隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

フェアリータイプ、またの名を男役らしくない美しさ

私自身が触れた範囲では、フェアリータイプといえば涼風真世
「PUCK」が発表されたときは妖精がついに妖精役を…なんて言われてましたっけね。とにかく美しくって、女性的すぎる顔立ち、エイジレスで中性的というか、ジェンダーレスというか…な魅力を発しているのにご本人の男役っぷりはバリバリ。その混然一体となった独特の輝き、魅力に対して「フェアリータイプ」なんて呼ばれていたんじゃないかと思う。

系譜というほどでもないけれど

タカラヅカのトップスターでフェアリータイプで、涼風真世の正統なる継承者だったのかなぁというのは龍真咲
PUCK再演を実現したという点でそうなのかな、と思った。再演発表されたときちょっと驚いた。涼風真世のPUCKを?と。
そして涼風真世の大ファンという美弥るりかも、やっぱりフェアリータイプというような男役だったと思う。

みんな顎が細くて少女漫画的な顔立ちで、華奢で、でも男役のカラーとしては二枚目な男役なのね。

しかし…

私がタカラヅカを知った子供時代に、2番手、そしてトップスターとなった涼風真世は、私にとってちょっと特別なスター。
だからというわけではないけれど、この涼風真世というスターはやっぱりフェアリーというか化け物だったなあ、と先日の『Greatest Moment』を視聴して、あらためて感じた。
舞台に、涼風真世として登場した姿は、年とったけど若いな、でも年とったなでも綺麗だな みたいな印象。
PUCKの歌を披露したときは、もうタイムスリップしたかのようにあのPUCKだった。
グランドホテルのオットーは、またぞくぞくした。アレ?黒髪にして、役の歌を歌っていると、最初に感じた「久しぶりの涼風真世感」も全部なくなって、ただただ、オットー。
憑依型というのかわからんけど、とにかく特別であった。

思わずGM観た後にグラホ見直したくなり、再演の美弥オットーと新人公演の風間オットーも確認しちゃった。それぞれ違うからどれを否定するものでも無いし、巧拙も主観によるものだが、新人公演風間はまあ硬さもあって、割り引かねばならないものの、涼風真世がやはり格別。GMでの一曲再演ですら、オットーが病人であることも、人生の最後にここにやってきた、希望にすがって…という様子が伝わってきた。

昔も妖怪

某OGの退団後の公演に出演した涼風真世が、その日の公演中、舞台スタッフの不備でちょっとトラブルが発生したことを、終演後の挨拶で主演が笑い話に変えた際に、ひとりだけ舞台上で怖い顔をしていた、という。プロ意識の違いだろうなと思った。笑いにかえるのも、それを許さないのもどちらも。
このエピソードは、私の中の涼風真世像と全くぶれてなかった。この人はこういう人だ。

そもそも何人か、フェアリーと称されるタカラジェンヌはいる(いた)が、涼風真世とそれ以外は結構ばっつりと、ベツモノであると思う。
涼風真世のGreatest Momentの舞台でもそれを感じたのだが、とにかく涼風真世の男役姿はめちゃくちゃ骨太なのである。
華奢で女顔であった龍真咲や美弥るりかと同系統のかわいい顔なのに、涼風真世の男役って何だったら2番手だった天海祐希が弱く見えるほど強かったよなぁ。

誰と並んでいても「強い」のが涼風真世の男役としての魅力であったと思う。

それが退団公演でオットーだもの。卒業公演にも素晴らしい挑戦をされたジェンヌさんであった。

にしても研10就任だったのか。早かったんだなあ…。

週末の配信も楽しみにする。



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グレイテストモメント 〜女って最高〜

当初はそんなに興味がなかった公演なんだけれど、いろんな方の梅田公演の感想が楽しそうだったので、配信視聴。

超!OGと

その場の最上級生クラスのOGてのは、時代が変わってもまとう空気とキラキラは、なんか共通している。
思い出すのは宝塚80周年、そしてさよなら大劇場と題して、宝塚大劇場の建て直し大イベントでの連夜の特別番組。
鳳蘭が仕切り役で、楽屋の風呂場の話やご自身の音楽学校受験での面接官との問答のことなんか飛び出して(この手の話は今でも秘密のはず)、
さすが鳳蘭だった。

あの頃の大物OGたちが醸してたものを、この
花組月組100thAnniversary「Greatest Moment」
に登場した、あのころ現役だったんじゃ?てOGたちも、あの頃も既にOGだった方たちも、みんな発してた。

バリバリOGと

やっぱり評判通り、ヤンミキの並びは熱くなる。
あと真矢みきってやっぱスゴイね!
お茶の間の顔になったりなんだりでもう、すっかり卒業してるのかと思ってたけれど、また男役やるとあんなに危険な魅力がぶわっとでるとは。
この人がもし今現役だったら、いまの子達吹っ飛ぶわね。
あと剣幸
こんなにバリバリとは…。ランベスウォークやってくれてたけれど、この人真ん中が似合う。

真琴つばさとか、下級生顔するところが好き。
みんな喋れるし元気だし、なんかあー、いいもんみてるなーってこちらも元気が出た。

ホヤホヤOGと

ちょっと綺麗過ぎて、アレ⁈となった。瀬戸かずやにも珠城りょうにも。
本当に2人とも、現役男役を卒業して、OGとしての男役の振る舞いは勿論ピカイチなんだけれども、そんなことより美人度が増している。
今まで制限かけてたものね。
めちゃくちゃきれいで見惚れた。

安寿ミラと3人で踊った場面はとてもカッコよくて、ずっと観ていたかった。

やっぱりまとうものが違う現役

特出の凪七瑠海と紫門ゆりや。
違うねぇ。どこまでも折り目正しく、ピシッとしてるところが違うのかなぁ。
専科って存在は意味と価値があるなと思うのはこういうときかなって思う。

いやすごいよOG

群舞やコーラスを勤めているOGさんたちもみんな凄くない?可愛いしきれいだし。
ベテランOGさんがふっくらしているのもむしろ嬉しい。女はこうでなくっちゃよ。

最近、SATCの続編(特別編?)で50代になったヒロインたちを描くドラマが配信決定したニュースで、製作総指揮者の元に届いた、ヒロインたちが老けたことに対する批判に対し

「『女性は35歳か、引退してフロリダに住んでいるかどちらかなのか』と思いました。その間の章がすっぽり抜けています」

と答えたインタビュー記事を読んだ。女には女盛りの美しいときか、70過ぎたシニアか、しか許されないのか、ということに触れている。
美容に気を遣えばそこを指摘しけなし、(そもそも美魔女は侮蔑の意味が込められているし)自然体でいれば白髪をいちいちグレイヘアと呼ばずにいられないし。
どうやら、歳を経ること変わることに対して苦しみを感じて隠れて生きなければいけないらしいのだ。

かつてタカラジェンヌであった人たちは、外見が変わろうが同じようであろうが、とにかく共通して、娘役だった人たちは可愛く、男役だった人たちは美しいのだ。

女は30代から結構大変だと思うんだけれども、舞台に立つと変わらず非日常を描き出すOGたち。輝いてくれるOGたち。
その存在こそ素晴らしい。


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博多座に行ってきた②~夢は追うの追われるの~

宝塚歌劇は新作主義とはいえ、そう都合よくいまの組でやれるショー作品があるわけでなし。
先日まで本公演でかけていたショーを全国ツアーや別箱で、各公演にあわせて修正し再演するのって、お金とか装置とかお稽古時間とか、そういう現実的な理由が一番大きいのだと、そうは思うのだけれども。つい演者や演出を比較してしまう。

まず、美しくてよかった

博多座版、『Dream Chaser -新たな夢へ-』はよかった。充分に良かったし、期待通りであった。
2チームに分かれての公演なので、いわゆる番手の変動が楽しみのひとつ。あの子がここに、その子がここに…。それら全部、よかった。
でもドリチェは本公演版が一番よかったなあ、ていうのが私の本音。ただれいこうみのデュエダンへの流れは比較しようもなくそれぞれがそれぞれのコンビに似合っていて、とってもよかった!

結局のところ

博多座のショーを何度か観て、私がじわじわ実感したことは「やっぱり珠城りょうってすごかったんだな」てこと。「やっぱり美園さくらって唯一無二だったな」てこと。
珠城りょうの男役としてのビジュアル、身体の極めていいこと、それをより美しくみせる振り付けや衣装などのすべての演出どれを放り込まれても、珠城りょうはきっちりとこたえて素晴らしい舞台を見せていたのだなぁ… 
美園さくらのコケティッシュな微笑みや美しい舞台姿、雰囲気バリバリのキャラクタ性は立っているだけでストーリー性を感じさせ、観客である私を楽しませてくれていたのだなぁ…

目の前の、2人のいないショーは別モノでこれはこれでとてもいい。れいこうみはとても良い。だが前トップのよかったことを思い起こさせる博多座版ドリチェであった。

感じたことを率直に書くと、圧倒的に東西大劇場のドリチェのほうがあらゆる場面でよかった。

で、私は月城かなとがとっても好きなので全部褒めたい。褒めたいのだけれど、だけれど、冒頭の登場シーンはちょっと隙があってがっかりポイントだった。階段の差によるポージングのせいで、れいこちゃんは悪くないと、かばいたい気持ちもあるが、トップスターがこうした板付きで登場する以上、全客席から美しくみえなければならない。
残念ながらやけに下半身のラインがやぼったくて(早替えを控えた衣装のせいか?階段か?)、もっとピシッと立っていて欲しかった。ここが一番肝心。
シルエットが浮かび上がるわけだからねぇ…なんであんなに野暮ったかったんだろう。別日の別の角度からみてもここの下半身のラインがよくないのは変わらなかった(のちのミロンガの衣装の着こなしもそうだけれどこの人はもっと細身のラインがいいのだろう)。

とはいえ、全体的に自分が、大劇場版のほうがやっぱりよかったなぁと感じたのは、

 ①ショー作品こそ、専用劇場で一番映える
 ②ショー作品こそ、70余名の人海戦術による迫力が生きる
 ③大階段の効果は絶大

結局のところ、この3点が差を生んだ理由のほとんどを占めていると思う。やっぱり東西の大劇場で観るショーってすごく見栄えがする。

新トップコンビのよさ

デュエダン。あの二人のためのデュエダンにおいて、芝居がかった振りがそこここにあったが、そのたびに、月城かなとが表情を作った瞬間ぐっと引き込まれたのが強く印象に残った。
月城かなとの相手役がうみちゃんでよかったとも、本当に、この公演をみて改めて思った。正直、就任発表時は別にそこまでなんとも思わなかった。否定的な気持ちもなかったけれど、順当だな、くらいで。しかし、うん、なんというかこのコンビは心から憂いなくおめでとー!って言えるのがいいよね。

海乃美月は入団以降毎年主演を取っていた月組本命の娘役だけあって、しっかりしている。何の不安もない。そして月城かなとも、脇も組子の実力もとっても充実したこの時期にトップに立てることは幸運だと思う。
ショー後半の、新たな演出で、うみちゃんが、選ばれし男役たち一人ずつと組んで踊るところがあるが、あそこなんてねぇ、ポッと出の娘役にはできないことよ…。

月城かなとに一番似合うものを

再演が繰り返されるショーは、結局、部分的な場面の良しあしを除いてショー全体としては、本公演が一番よくできている。東西で三か月、専用劇場にて上演するのだものね、それが一番よくみえなくちゃあね。
雪組『Music Revolution!』も、本公演版、トップスター全国ツアー版、彩風咲奈版と、これでもか~とやってたのをなんだかんだ全部観たけれど、一番良かったと思うのは迷いなく本公演版。
アクアヴィーテ!も今度、トップ娘役を潤花にチェンジして地方に持っていくんだっけ。アタイはあの星風まどかのアクアヴィーテのソロ大好きだから、あそこだけは潤花でもかなわないわよ、とは思うけれど、それよりなにより、あのオープニングの、次から次へと、段差を降りてきて客席にアピールする演出の迫力は、大劇場の大きさあってこそ。

歌劇団側は最新が常に最高であるように提供を心掛けていると思うけれども、東西大劇場で何度も通ったドリチェは、自分自身も想像していなかったほどに珠城りょうってよかったな…ということを思ってしまった。
くれぐれもれいこちゃんが悪いわけではないことを強く言っておきたい。れいこちゃんに対して私が一方的に注文付けたかったのは出だしの階段での下半身のポーズだけである。

退団仕様をできるだけ打ち消した普遍的な作品として作られていたドリチェだけれども、珠城りょう・美園さくらトップコンビの作品であったことはやっぱり間違いないわけで場面のあちこちで、たまさくのことに思いがいった。

次の本公演はいよいよ、大劇場お披露目となる。月城かなと・海乃美月新トップコンビのためのショー作品が用意される。それが楽しみである。

思いがけず、たまさくのことをやたら思い出してしまうことになった。

前トップコンビの集大成となるラストステージ、それを「これから」の新トップスター月城かなとが引き継ぐ。タカラヅカの醍醐味。
ここからはじまるのだ、と思うとこの日の舞台、この博多座公演は素晴らしいスタートだし、これからの月城かなと海乃美月コンビがどんな風に開花するのか楽しみ。

あ、あと、先日雪組公演をまた観てきたが、ショーのスペイン衣装の場面。
お帽子付きの衣装の着こなしは、雪組の全員よりも鳳月杏の方が上であった。申し訳ないがそれほど今のちなつさんはいい。
月組の面々は更なる充実期を迎えている。


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博多座に行ってきた①~川霧の橋は渡るの渡らないの~

関東から行くとさすがに近いとはいえない、福岡の博多座。けれどもほんっとうに空港からのアクセス抜群で、福岡空港着陸から20分もすれば博多座につけるの、すごい。うちは羽田空港へのアクセスがいいところに住んでいるので、ますます「通える…」と思ってしまった。生活があるのでそうはいかないけど、相変わらずいい劇場。

オマケに博多座、ちょっと(30秒くらい)歩くと、屋根付きの長いアーケード商店街がある。ここのなかにはぜんざいが人気のお店や、焼き飯と味噌ラーメンが大人気の中華屋(私は皿うどん食べに行った)とか、普通のお店がいっぱいあってね。長浜ラーメンの店もあるしね。幕間、外に出ようってここにきたら時間なんてあっという間。
というわけで、10数年ぶりに博多座へいってきた。

美しい劇場、博多座

前に博多座へ芝居見物にでかけたのは、坂東玉三郎さんが博多座初お目見えっていうお祭り騒ぎの公演のときだったと思う。劇場内の様子はあまり覚えていなかったが、今回いってみると、なんとも美しい内装でよい雰囲気で、居心地がよかった。
トイレの数も圧倒的だし、劇場内レストランの席数も充実している。今回は空港で食べた朝ごはんでおなかいっぱいだったのでかなわなかったが、今度は劇場でご飯たべてお金を博多座に払いたいな。

椅子は腰当のカーブが付き、座り心地よくお尻への負担も少なくてありがたかった。私は日ごろ自転車乗っているせいかお尻が痛くなりがちなので…。
今回座ったのは下手寄りの前から5列目くらいという舞台に近い席と、上手寄りの真ん中より後方の席。前方上手・下手寄りは音響の都合上、ちょっと近すぎるかなと感じた。
上手寄りの真ん中より後方の席のときのほうが舞台から遠いし、どうかと思ったが千鳥がしっかりしていて視界良好で大変見やすかった。
前に着物姿の女性が座っていたので、着物は帯をつぶさないように座ると、いわゆる前かがみとまではいかないが、頭の位置が高くなり後方に座る者にとってはちょっと邪魔になることがありがちだが、博多座の千鳥席は全く問題なくストレスなく舞台を見渡すことができた。
つくづく、東西の大劇場というのはかなり大きい劇場なのだなと実感した。博多座では結局、オペラグラスをあまり使うこともなかった。

川霧の橋はどこへ渡るのか

新生月組の新トップコンビ組にとってはとってもいい演目で、他組には失礼ながら「これはやっぱり月組のものだし、こういうのは月組が一番だなあ」と感じさせられた。
日本舞踊でも、和物芝居でも、先代そして新生トップコンビの月組が5組中随一である。
それでも若いところは若いと感じたが、京 三紗、梨花 ますみの雰囲気はさすが。購入したパンフレットでは、新トップコンビを差し置いて京 三紗さんが一番美しく粋で情感たっぷりのお写真であった。

どこが最高か

とにかく評価の高い演目である「川霧の橋」。どこがいいかって、やっぱり開幕の祭りの場面だと思う。
太鼓を披露し、そこから楽しい祭りにぱっと舞台がはなやいで。この場面の音楽も踊りもすごくいい。これぞタカラヅカの和物よ、という名シーンだと思う。
そして、話はさらさらと流れていく、スピーディに進んでいくのが観劇に向いている。1時間半で疲れずに飽きさせずにみせるにはよく構成したなあ…と、難しいことはわからない私のような観客ですら、なんかめっちゃよくできてるな!とわかるもの。

主人公やヒロインの心のうちみたいな表現も最小限にとどめているのも、かえっていいよなと思った。この時代の人たちそれぞれがそれぞれの事情のもと、単純ではない自分の人生というか、生活をしている感じは山本周五郎作品の空気があって。

にしても、初見だとそれなりに唐突な話にもみえるよね。

主人公は、そんなにいい男ではない…

ロマンス小説とか少女漫画のヒーロー的な主人公の幸次郎であった。
惚れた女には口下手で優しくできなくて好意も上手く伝えられず、ヒロインはちっとも彼を意識したことなどないのだから、普段どんな態度の男か知れる。
おみっちゃんがそっけなくかんざしを受け取るところ、とってもいい。気のない男からのプレゼントって、プレゼントと気が付かないレベルに関心が向かないものねぇ。

幸次郎の元ネタキャラ(原作 柳橋物語)では、火事によって川端で死んでしまうのは彼、幸さん。だがお芝居で死んでしまうのはお光の祖父。おみっちゃんと幸次郎の縁談が流れたあとは、世間体とかいろいろあるから、距離を置いての付き合いにとどめたい…となったあとに、幸次郎が命がけでお光と源六(光月 るう)を助けにくることが、お光にとってはとっても大きなことだったわけで、その後のお光が変わる出来事となる。海乃 美月はとても丁寧で、とにかくかわいくて、とってもよかった。

きれいでない職人のおやじ

月組の組長は毎度、舞台で目立つ人だ。他組の観劇にいくと、どこの組長さんも舞台での役割には重みづけがされているが、月組は特に目立つと感じる。
お光の祖父を演じた今作、舞台メイクがとてもよくて歌舞伎役者のようだった。お祭りシーンの後、杉田屋の前の通りにベンチタイプの床几台を出してみんなが思い思いに酒を酌み交わしているシーンで、ひょっこり下手から、お光とともに源六が出てくる。ここで彼がどういう気性の人間かがそれなりにあらわれる。
杉田屋からお光への縁談話と、それを断るくだりは、あまりくどい芝居をやると杉田屋のおかみさんが悪者になってしまうから難しい。
あの場面は、悪意も悪気も一切なく、幼いお光かわいさのあまり、我が子を亡くした女性がつい口にした言葉が思いがけず相手に突き刺さる というのが肝心。
組長・副組長コンビのこの芝居を、いつか月組の若手は引き継げるだろうか。川霧にも新人公演あったら面白かったのに~。

ちょっと大人の役

夢奈 瑠音と英 かおとはそれぞれ、主人公たちに対してより大人な役(年齢ということではなく)を演じていたのが印象的だった。
英 かおとは姿がよかった。かつらも似合う。新婚役も似合う。夢奈 瑠音はこういう役今後も増えるのかねぇ。棟梁役はある程度大きさが求められるが、お光と同世代の子供を亡くしているのだから老け役ってほどでもない。火事が起こってから半纏をまとい、きびきび動く姿が壮年の男性らしくまたるねちゃんの中にある男っぽさとマッチしていた。

おみっちゃんは夢を見ない

海乃 美月演じるヒロインお光の役の印象はぶっちゃけ「たいして好きでも愛してもいない男を、愚直に待つ女」であった。
彼女がそうしたのは清吉を愛していたわけではなく、そうしたかったからだろう。彼氏のことが好きだから付き合ってるんじゃなくて、「彼氏がいる私」が重要なの的な。
おじいさんと二人健気に暮らしている若い娘だが、露骨な言い方をすれば、嫁入り前の娘が祖父の女房役をやらされている日常を生きているわけで。こういうのって現代もあるよね。元々の控えめな性格もあったのか大それた夢をみるでなく恋に恋する乙女ってわけでもなく素朴な、いい子過ぎるいい子。幼いともいう。
そこに、ちょい悪で女にもてるタイプらしき清吉に迫られたことは彼女にとってとっても衝撃的で、好意を寄せられていた(と思った)ことがとにかくうれしくってYesという…悪くない、おみっちゃんは。
その悪くない娘さん感をうみちゃんはしっかり見せてくれた。

火事の後、記憶障害になるが、記憶を取り戻したところであんまりいいことは起こらない。戻ってきた清吉とのエピソードは具体的に演じられはしないが、つぎはぎの着物に着替えて橋のたもとで、ゆとりがあって幸せそうな幸次郎夫婦をみてしまう様子、その惨めな気持ちわかる。
大それた幸せをつかむ夢をみることすら、思いつかなかったような娘っこのおみっちゃん、数十分の間に苦労多き女になった。最後は美しいシーンで終わるが、心の平安への遠回りが切ない。

幸次郎…

新トップ、月城かなと。彼女のことを今後も全力で応援したい。

長くお光に惚れてはいても、破談となればちゃんと別のつり合う人と見合い結婚して相手を大事にするの、えらい。
この時代は当然、お互い好きあって既に関係持っていようが片想いだろうが、正式に夫婦になろうとするならば仲人をたてて縁談持ち込むのがスジなので、別に彼が意気地なしなわけではない。

しかし、ちょいよくわからん男という印象が残った。
寒暖差があるというか…いいところと、悪くはないが良くはないような部分があるよなぁ、とダルレークの時もチラッと感じた月城かなとの芝居。気がきくのかきかないのか、どっちなんだ幸次郎。

幸次郎って、伝わってくる人柄が本当ならば、もうちょっといちばん大事な子に必死にならん?て思ってしまう。とっても難しい役だ。

半次と清吉

初見の回はどっちもまあまあだった。二度目の観劇ではぐっとよくなって、より伝わるものが多かった。

半次(鳳月 杏)はまあ…ストーカーするんじゃなくて手を貸せよとどつきたい男ナンバーワン。

お嬢様に叶わぬ恋をして ← イイ
ときどき言葉を交わせるチャンスにうきうき ← イイ
でも決して一線は超えない近づかない ← イイ
それで火事でウッカリ振り払われ ←
娼婦になった彼女のことも見守るだけ ←

なんでダメ元でも助けようとしないかな…

いや、そんな簡単なことではないとわかってるんだけどねぇ。だから彼がやくざ者にどつかれるシーンがあるわけだし。
あと、最後の登場シーン、懐のモノに手を触れ決心を口にするところが、初回観劇の時は「え、その続きは⁉︎」と回収されない場面にみえたが、二度目の観劇ではしっかり〆ていた。さすが。
清吉と半次のこの関係とやりとりとその先の運命は、原作 ひとでなしの方のエピソード。

一方清吉を演じる暁 千星は、なんかこういう役またやってるね感。
柳橋物語にしろ、ひとでなしにしろ、この清吉の役割は非道。とにかく非道。
なんだけど、女にとっては、もしかしたら清吉はいい男なのかもね。生活抜きで付き合うならだけど、ホストクラブではナンバー取ってるし仲間に結構慕われてるヤツ、みたいなキャラにみえた。

先回りしておみっちゃんにプロポーズする場面からもっと悪魔のささやき的な、危険な男でいいと思う。回数重ねるごとにいっぱい伝わってきたのでどんどん良くなってたってことよね。

清吉もいいけどありちゃんの幸次郎もいつか観てみたい。

春海ゆうがイイ!

今舞台の私の中でのMVPは何と言っても彼女、春海 ゆう。権二郎役。情緒があってとっても良かった!文句なしによかった!!

のん兵衛の飛脚、権二郎は主要登場人物たちの知り合い・お友達枠といおうか。江戸の空気をまとい主人公たちの生きている生活の、その世界を形作る役割り。
権二郎はその中でも唯一、大阪にてグレた清吉にばったり出くわし、(余計な)情報を与える重要な立ち回りが。
お世話になった杉田屋を飛び出した後、どうやら真面目に仕事の修業をしているわけではないことは、清吉を一目見ればわかったはずだけれど、そういったことには気が付かないというよりも突っ込まない・おせっかいはしないのがこの時代の江戸の人情のありかた。春海 ゆうは和物がいいねぇ。桜嵐記でもよかったけれど。

ショーのドリチェでも彼女は活躍しているが、私が観た回でたまたま、ショー序盤で舞台中央寄りに落ちた誰かのアクセサリーをサッと拾って、その後の場面で後方の階段へ向かい歌っていたのだけれど、手の中に拾ったアクセを隠しつつ、手そのものの形はキチンと振り付けというか、指先までポーズしていて、なんか感動した。
オペラグラスで確認しちゃったもの。

これが半分

月組、恐ろしいことにこれで人数が半分。
みんなうますぎる。本当にこの組は芝居がうまい。ほか、辰巳芸者の小りんを演じた晴音 アキもよかった。私は歌舞伎ファンなので辰巳芸者にはうるさい(笑)のだけれども、辰巳芸者ってのは深川の芸者のことで、意気とか張りとかまあ、とにかく誇り高き芸者さんたちなんだけれども、美人でいい芸者だった。
チーム芸者、チーム長唄のお師匠に通う娘たち、チーム夜鷹らの女役者たちはどれもよく研究されていたし、チーム杉田屋の若衆たちも粋でいなせな雰囲気を作っていたし。
ショーでは人数の少なさ・舞台の小ささを実感したが、芝居では、いっぱいいるなあ…と充実感を感じられた。

橋の存在

初回、下手寄りの前方席で観劇したときに、ちょっと気になったのが、「上手奥の橋から、次から次へと人が出てきては引っ込むなあ」という演出。
当然わざとなんだけど、観ている角度的に妙にそれがおかしかった。

最後にこの橋は舞台全面にかかり、印象的な幸次郎とお光の蛍のシーンとなる。ポスターの場面ね。長い長い回り道を経て、2人がやっと互いの手を取りあい、一緒に橋を渡ってゆくシーン。
SNSでみかけた、どなたかの感想で「おみっちゃんは最後にやっと橋を渡る」という演出の意図について触れていた方がいて、なるほどお、と思った。

この芝居、描かれてはいないが、この後半次はきっと清吉を殺めてしまうわけで、その顛末は杉田屋やおみっちゃんたちにも当然知れるところとなるだろう。あの祭りの日に、幸次郎を次期棟梁に、そして共に研さんしてきた半次と清吉をその後見人に、という晴れやかな…あの日の人々の運命は、それぞれの結末をむかえていくわけだ。
幸せをつかむ幸次郎とお光ですらこんだけしょっぱい運命であることにこの物語を皆が好きになる理由があるんだろうな。
私もやっぱり、好きだし名作だと思う。





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雪組『CITY HUNTER』とティンパニ歓喜!『Fire Fever!』をみた

これお披露目公演だったっけ?

東京公演の、それも半ばを過ぎたタイミングでの観劇だったので舞台が安定していたのもあるでしょうが、彩風咲奈・朝月希和コンビの雪組がもうずっと存在していたかのような、そういう安定感をビシバシ感じました。これほどオーラ満開の新トップスターもなかなかいないのでは。

シティーハンターへの反応に戸惑った

まず、タカラヅカファンがシティーハンターについて想像以上に無知なことに驚いた。「世代が違う&趣味趣向が違う」という、ファンとの相性が未知数すぎる原作を持ってきたことがここで明らかになりましたね。
1971年生まれの齋藤 吉正氏はたぶん、アニメ版シティーハンターの開始とその後の人気ぶりの時代が思春期にかぶっていて、当然原作の人気も高かったし、びしばしに観てた世代だと思う。私はヨシマサ氏より若い世代だけれども、あのアニメ第一話の衝撃今でも忘れていないし、GetWildのイントロに夢中になった子供時代を過ごしてましたので、今回の舞台化には驚いたものの、世間は「シティーハンターの人気・知名度>>>宝塚歌劇の観劇経験度」なのに、ヅカファンはこれが逆転しているんだから、そのギャップにびっくりした。
それでもシティーハンターを知っている・好きだというヅカファンがまず心配していたのが、もっこり発言の扱いなんだもの。
私は、あのガンアクションをどう舞台化するんじゃ、とそっちの方が気になったよ。だって性的表現についていえば、タカラヅカは元々偏っている(キレイであればなにしてもよし)。
実際観てみて、ガンアクションシーンはうまく処理したなぁとは思うが、見どころではなくなっていた。

縁がある作品を観る面白さ

私にとってはとても思い入れのある「シティーハンター」。
タカラヅカ版を実際にみてみた感想としては、原作のエピソードや要素てんこ盛りだなあ…というのにおなかいっぱい。これでもかと詰め込まれてて、作者は原作にめいっぱいこびているというか、原作者に褒められたいのか?と感じた。
今回、2階席どセンターエリアの前から3,4列目という席で、舞台全体の見やすさが素晴らしかった。友会チケットはいつも1階席後方なので、全体の見やすさでは圧倒的に2階席!舞台奥まで、全部がよくみえる席にこの作品はぴったりだった。新宿の群衆を描きたかったんだなって伝わってきた、

シティーハンターの描き方は2種類あったと思う。冴羽 獠という特異なキャラを深堀りする方向と、一個の出来上がったキャラとして普通に存在させ、話をガンガン進めていくのと。組のみんなに演じどころのある役をちりばめたくて、後者のような展開なのかな?と感じた。

ファイヤーでフィーバーしてた

ショーが始まる前、後ろの席の人が「体感5分だからね」とおっしゃっていたけれども、そうでもなかったよ、体感15分くらい。
ん~、私にはここはイマイチ…と思った場面は一か所。2番目の場面というのか。あーさがヨーロッパ貴族な扮装をして、2タイプの女性たちとわちゃわちゃするところ。
2曲進むほどの場面ではなかったし、冗談かもしれないが、ガチ武器を取り出した貴婦人たちには品がなくちっとも笑えなかった。
総踊りのシーンが多かったのはお披露目公演、新体制だからかな?2階席からだとより迫力だった。でも、後半、最後の手前で若手組が次々と踊る場面を観たときには新鮮なんてものじゃなくて、やっぱりショーのいいところというのは、若手や新人やベテランを自由にピックアップできるところだよなぁ、と思った。

ティンパニ奏者歓喜

幕間のオーケストラ練習タイムで、ずいぶんとティンパニが鳴っているなあとは感じたのだけれども、フィーバーしていた!ティンパニが!あの、数十分待った挙句最後の数音のみ、みたいな忍耐の楽器かよっていうティンパニ、そういう楽器のティンパニが大活躍の楽曲であった。低音ズンドコの『Fire Fever!』の主題歌は気持ちがよくて、それが楽しかったなあ。
あとスマートに踊る咲奈ちゃんが観たかったので、彼女が踊りだすと期待通り、そして期待以上にかっこよくて、とってもわくわくした。

これからの雪組も面白そう

このメンバーから彩みちるちゃんが抜けて、和希 そらがくる?男役のメンバーは確かに、上位路線が足りないからいいかもしれない。ここに、歌って踊れて芝居巧者の和希 そらがくるのはきっといいこと。でも彩みちるちゃんの穴は大きいのでは…。彼女は本公演でも別箱でも、いつでもとっても活躍している。本公演でも、冴子は儲け役。いったいこの枠に誰があがってくるのかしら。朝月 希和ちゃんは透明すぎる。控えめで可憐であったところがそのまま好感度になったような娘役さんだと思っていた。
昔の若手のころの朝月 希和ちゃんは、やぼったくてニキビだらけでメイクも酷くてただただ、懸命にやってるだけの若手だった。今の美しさはどうだろう。彼女の努力は実を結び本当に美しい人になった。この公演でも、なんでもきれいにそつなくこなす姿がみられた。控えめ過ぎて心配になるくらいなんだけど、隣の咲ちゃんがギラギラだからいいのかな。ぶつかり合ってバッチバチにやってほしい。




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風間柚乃バウを観た

ライブ配信はないかなと思っていたけれど、ここから若手も新人公演もライブ配信解禁だよ、となってくれたおかげで、何とか仕事を調整し配信視聴がかないました。
バウホール公演は本当に限られた公演なのでありがたいです。

みたよ!風間バウ

平日なのでバタバタしつつ、あまりわき目も降らずにじっくり観劇とはいかなかったけれど、楽しくみられました。と同時に、すごい感動した派とよくわからなかった(脚本に?)派がでていたようで、わからなくもないなと思った。2幕最後、雪山からのシーンは現実なの?なんなの?となったし。圧巻の歌でありながら難しいことをしているなぁと…。話の筋や演出の意図をちゃんと受け止められたかというと、自信なし。
でも、大劇場じゃできないことしてるなあと思ったし、舞台上のみんながよくって、私は結構楽しんだ派。

すごいよ!ゆのバウ

まず、月組がどこの組よりも勝っているといって間違いないのが、こうして2組に分けての公演でも、全員歌えること。しかもレベルが高い!

主演の風間柚乃も、まず歌で一歩前に出てきた子という印象をずっと持ってましたが、ここ1,2年でしゅっとしてあれよあれよという間に洗練されたスターに。
本人の中での課題であったというダンスも、出島生島戦争で相当がんばって以来ずっと向上しつづけているし、ますますこれからが楽しみなスター。
彼女の舞台をみているといつも、素晴らしいけれど本人が一番今の出来に満足してなさそうだな~と、そう感じる。本番で自己ベストを更新しつつもまだまだ、と思ってそうで、だからこれからも観続けたいと思う。

みんなうまいよ、月組バウ

まず冒頭の群舞で、ぱっと目を引く人が千海 華蘭。この人が役としてというより、千海 華蘭としてダンスをしていると本当に目を引く。
そしてきれいな人がいる!と輝きが飛び込んでくる紫門 ゆりや。立ち姿や座り姿がいちいち美しくって、若手と一線を画してましたね。この人は本当にすごい。
歌がうまいのはこれまでの観劇で知っていたけれども、きよら 羽龍ちゃんめっちゃくちゃうまい。2幕では出番が少なかったのがちょっと残念だった。
博多座で、思わず探しちゃった蘭 尚樹くんはバウ組だった。かわいかったしかっこよかった。相変わらず、細かいお芝居をしてて好き。歌も上手いし、いい子だ。

他に目を引いたのは朝霧 真くん。そして彩音 星凪くん。ぎりくんは「あ、やっぱうまいな」て魅力を再確認した。かのん君は華があった。
それから安心安定の佳城 葵。舞台を安定させてくれる。一星 慧くんもよかったし、もう全員名前を挙げたいくらい。娘役もよかったけれども名前と顔が一致してないので上げられない、残念。カナダ人親子の姉妹、ルーカスがパリに着てみんな久しぶり~の場面の娘役たちに、研2?パリの場面でドスの効いたあの歌声を聴かせてくれた子。
みんなとてもとてもよかった。

博多座もバウも、役の大小に関係なくそれぞれキャラがしっかりした役がジェンヌたちにちりばめられていて、舞台に上がっている子が全員それぞれの役を生きている点が、月組らしくて、とっても味わい深かった。

めちゃくちゃ歌うこのバウ

あちこちにちょっとしたショーのような場面にいろんな歌がこれでもかと詰め込まれていた作品で、楽しめた。昭和歌謡風がよかったねぇ。こういうの久しぶりだなあ、新作では。1幕と2幕では舞台ががらりと変わる。役者も別の役で舞台にあがっている。2幕からは専科の二人もでてきていよいよ物語が煮詰まっていくが、汝鳥 伶がいるだけでちょっと違う、とか、紫門ゆりやがやるだけで、他よりひとつ彩度がより鮮やかなキャラになるという面白さ。
それにしても、あんまり歌わない脚本のほうが多い(と感じる)のに、よく歌うバウだった。
それがラストの雪山の、長い長い独唱につながるのだろう。あそこ、これでおしまいかとおもったらそこからさらに畳みかけるように歌うから、あのシーン、あの歌に集約されていくものがあるということが伝わってきた。

グリーンが似合うよ風間柚乃

エンディング、グリーンのキラキラしたジャケットで振り向く風間柚乃、きまってた!
この芝居は風間柚乃のためのバウで、彼女の魅力や力をぐいっとみせるようなつくりがよくて、晴れやかで爽快なジャズナンバーを気持ちよく散りばめて、とにかく「スターの魅力を伝えたい!」という想いが詰まっているなと感じた。
ぱる君が「明日の活力になるような舞台を」をナウオンで語っていたけれどもよぅく伝わってきたよ。

主演の風間柚乃が間違いなくスターであること、そして月組がどこを切り取ってもよいということを再確認したバウ公演だった。

早く彼らが全員集合した、次の大劇場公演をみたい。


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新トップお披露目リレー最後が、ついに

いよいよ博多座月組公演初日が幕を開け、新しい月組の姿が披露されました。
まだプレお披露目とはいえ、前々から発表されていたこととはいえ、スカステニュースでの映像でみてみると、新トップの大羽根姿は本当に感動する。

ところでプレ

そういえば、詳しい理由は知らないんだけれど、トップスターの象徴である大羽根を、大劇場お披露目までとっておかないよね、劇団。
プレお披露目てのも、外野からするとなんのこっちゃなんだろうなって思うけれど、ファンにとってはそれぞれ意味のことなるお披露目になるのだろう。

その大事な門出に、月城かなと・海乃美月新トップコンビは、博多座という良い劇場に恵まれ川霧&DCという、意味のある良い演目に恵まれ、いやほんとによかったねぇ、と思う。

川霧の橋とDC

名作の誉れ高い「川霧の橋」、私はこれ未見。ダイジェストみたいな映像を観たことがある、か?でも当時の評判はなんとなくおぼえてるかなぁ。当時、関東の端っこに暮らす子供であったので公演を観る方法がなかった。そもそもが柴田作品だからいいんじゃなくて、山本周五郎原作ってのがまず質を担保してくれているんだ、と受け止めている。そこに柴田先生がかけ合わさっての名作なんだろな、と。そういいたいくらい、山本周五郎作品はとてもいい。

山本周五郎の作品の数々は言葉も台詞もよくて、単純でない男と女の描かれ方がよくて、悪いやつが悪くて、舞台化に向いてる。あといろんな年齢の人間が出てくるって印象を持っている。娘さんが女優をされていて、コロナ禍前は毎年、朗読劇やってたっけ。よかったなぁ。

そしてショー。初日映像を観る限り、思いのほか元のかたちのままみたい。もうちょっと変えてくるのかなって思っていたので、逆に役者が変わることによる変化がはっきりしていて面白そう。

Dream Chaserというショーは観る人によって印象がずいぶん違ったように思う。
「トップコンビが全然踊らなくて若手とイチャイチャしてばかりだ」とアンチ系ファンがブログに書いていたのを読んだときはびっくりしたっけ…。
私にはこのショー、冒頭・中詰め・フィナーレと、3回もトップコンビがペアで踊ってたので充分過ぎるほど絡んでいるように見えたから。どこが強く印象に残ったか、の違いなんでしょうね。
このショーはそもそも、あえて退団作品の色を薄めて作られているので、再利用しやすいのかな、と思う。シンプルともいう。
にしても、海ちゃんが各男役と次々絡むシーンがみえたの、初日映像。アレ天才じゃなかろうか。
海ちゃんほど、これまでの歩みとそれを共に歩んできた組の仲間との個々の絡みをプレお披露目で見せるのに相応しいストーリーを持った娘役はそういない。これぞ生え抜きの強みである。

他に気になった点として、映像だけの感想にはなるけれど、ミロンガのテラテラ青スーツが月城かなとには少し大きくみえたので、衣装など細かいところもすべて、前トップ珠城りょうにいちばん似合うように場面が作られていたんだなあ、と、じわっと感じた。
ああ、早く肉眼で確かめたい。絶対に印象が変わると思うから。

何でもできると思われている暁千星が、初日の「I'll be back」の場面では息切れ気味。2日目公演を観た人が、この場面に限らず全体がいい意味でほぐれてよくなっていたというから、初日の緊張感が相当であったと思われる。
体力や身体能力が、ありちゃんはれいこちゃんより上なイメージだったけれども、思えばれいこちゃんはピガールのロングトーンでもこのアビバの場面でも、息切れをしたことがなく。しっかり2番手として鍛え上げていたことが証明されている。

和物…

珍しく、星組本公演と月組別箱で和物。この和の被りはいつ以来か、とさかのぼってみると、まさに前回の博多座
花組「あかねさす紫の花」をやっているときに大劇場は星組「ANOTHER WORLD」であったか。2018年4月。なんとまあ、ひと時代前。
でもどちらも、和というかコスチュームものといってもいいような作品だからなぁ。

和物は人気がないと言われがちなのは、私は残念に思う。客の質を問われているようにも感じるから。西洋の軍服みたいなの着てキラッとロマンスやってないと客が来ないとなると妙なことだ。タカラヅカはジェンヌとファンの距離が近くて、個々のジェンヌを応援するファンが多いのならば、どんな演目でも観に来そうなものなのに。
いまチケット完売しないのは相変わらず大手ツアーが組めないからで、和物のせいとは思いたくない。

そういえば宝塚舞踊会はもう、公演が難しそうな気がするけど…またいつかやるのかな?今のトップコンビで日本舞踊が一番ましなのは誰だろう。。
前回の舞踊会も色々……だった。トップコンビのなかで唯一よかった(ちゃんとしていた)のが月組トップコンビのみであったので、震えたもの…。
代替わりしてもやっぱり月組コンビがまともそう。平均的に月組は和物が踊れていると感じる。まおまおとかもっと活躍してほしい!
こればっかりは月組を批判しがちな人も黙るしかない、歴然とした差がある。轟悠も松本先生も退団してしまったし、公演として質の面で、成り立たせるのが厳しいのでは。
これで和物芝居もますます斜陽になっていくとなると、宝塚歌劇の力が落ちてしまうことになるので、なんとか、この先再演されるような普遍的に面白い和物芝居の名作をいま、新たに生み出してほしいんだけどなぁ。それは和物に限らずか。

とりあえず!

新生月組のはじまりは華々しく美しくて素晴らしい。
公演の無事、千秋楽まで無事に幕が開き幕がおりるまで、無事を祈りたい。すべての公演にいえることだけれども、無事であってほしいと、このところさらに強く思うことが多い。


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