隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

「タカラヅカというものに興味津々」層と七海ひろき

花組さん、千秋楽おめでとうございました。卒業生の方々が無事、最後の大階段を降りることができてこちらもひと安心。
私のチケットも中止で消えてしまったけれども、仕方ないものだからそれほど悲しみはなかった。まあとにかく最後の日にナントカ調整したんですねぇ。5組のなかでも花組は特に中止が多い印象なんだけれども、めぐり合わせの運のなさか。

SNSにてそれをみかけ

「合コンに行ったら女がいなかった話」ドラマ化のビジュアルがどーんとSNSで拡散されていて、壮大な出オチである。
この絵を七海ひろき他OGイケメンズでやりたかっただけだろと。
拡散されているのをみたら「合コンに瀬戸かずやいたら大勝利だろ」とかそんなのしかなくって面白かったんだけど、色々な反応をながめていたら「七海ひろきが惚れさせる話はいいけど七海ひろきが惚れちゃう話だと話は別」という反応があって、あっこれなんだよねと納得。

七海ひろきの魅力

カイちゃんこと七海ひろきは、男役はタカラヅカだけのものとはっきり線引きしつつも自分が長年やってきた自分にとって一番自然なかたちとして、ナチュラル男役スタイルで独自の畑を開墾することに成功した。ネームバリューもばっちりの彼女を中心に、まだ「男役系」がいける元ジェンヌに男役っぽい仕事の需要が、以前よりも確実に増えているのはカイちゃん登場により、業界の人が「これは、かつてないと思っていたオーダーが通る世界線にやってきたのでは!」と気が付き始めた。

ある時代まで元タカラジェンヌでテレビを含む芸能の仕事がやってくるのはトップスターだけだったし(※いつの時代も例外はあるが圧倒的比率として)、そんな元トップたちは女優変換を求められた。身につけた男役芸は外部に需要がなかったから。それがいまやそれが面白くなっている時代で、さらにいうとこの1,2年でちょっとブームもあるんじゃないのってくらいに、確実にカイちゃんが世間に認知させたスタイルがあったからこそ、選択肢が増えている感がある。演者(元ジェンヌ)側も制作側も。

具体的に言うと、実際に制作側がタカラヅカみたいなことしたくって、ちょうどそれができる元ジェンヌさんがここ数年でわらわらと増えたのをいいことに嬉々としてキャスティングしたのが例の日本刀シリーズの舞台だろう。男役っぽくやってほしい、というオーダーがヅカの外で生まれている。

そしてそんな需要にフラグを立てた七海ひろきというキャラは、あくまで「周囲→七海ひろき」の方向にときめく存在なのであって、「七海ひろき→どこかの男」にときめいて合コンきっかけで女の顔をしてしまうのは、ちょっと違うというのだろう。ということはやっぱり、そこの層の需要には表現規制(カイちゃんが女の子の顔をして恋愛するドラマはならぬとか)がそれなりにしっかりありそう。

で、「合コンに行ったら~」は

これはピクシブでもちょっと結構読めるし面白いからおすすめなネタマンガだけれども、カイちゃん演じる「蘇芳(スオウ)」は割と第一話から真ん中の男「常盤(トキワ)」に対して超スパダリで完全ロックオンして超スパダリを繰り出していく。瀬戸かずや演じる役「藤(フジ)」もそう。
女性の恰好のはなしもあるんだけどそこどうするんだろ
でも原作マンガのいいところは男装の麗人である女子たちはちゃんと女子でもあり、男子たちはいい子で、彼女たちのギャップにやられまくる紳士である。
みんなかわいい。

にしてもキャスティングも公開されたポスタービジュアルも、もうそういうことね!OK!感がビシバシに伝わり話題になったんだから、そういうキャスティングとして扱われた彼女たち、大勝利ではなかろうか。
あと瀬戸かずやは女性姿が異常にきれいすぎるからぜひドラマ中でもみせてほしい。如月蓮もキャラの雰囲気に寄せてて楽しみ。瀬戸かずや演じる藤と如月蓮演じる琥珀(コハク)の絡みも濃ゆいけど、ドラマでやるのかな~?

放送日はまだ一か月以上先だけれども、楽しみだな!!!




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特別なシーズン という言葉

『新章 パリ・オペラ座 特別なシーズンのはじまり』という映画が、2022年8月19日より公開されている。
早速、渋谷で観てきた。内容はパリ国立バレエ団がパンデミックのなか、長い休止期間を経てレッスンを再開し「ラ・バヤデール」というバレエ作品の中でも特に難易度の高い・群舞の見せ場が多く難しいという作品でシーズン再会しよう…としたけれど……という時間軸(2020年~2021年)をカメラが追いかけながら、新しいエトワール(タカラヅカで言うトップスターみたいなもの。パリ国立バレエはダンサーに序列がありピラミッド型のランク制。国立なので外国人が入りエトワールになるのは大変困難)が指名され、再始動していく様子を映していた。

gaga.ne.jp

ことばが大事だということ

この手のドキュメンタリーはたくさん見てきた方だけれど、いつも思うのは、エライ人…現場監督とか演出家とか先生とか親とか…その場の一番エライ人、の使う言葉が大変美しく丁寧で、気が利いている。こういわれたら話をきいちゃうし相手の目、意思に同調したくなるよね と思っちゃうような本当に優しく丁寧な物言いをする。
それを踏まえてであろう日本語翻訳がまた美しかった。

久しぶりのレッスン再開に、ダンサーたちに向かって、バレエ団の先生(多分エライ人。女性)が「再会できてうれしい」ということを本当に嬉しそうに、静かに伝える。長々演説するわけでもなく。

ゆっくり時間をかけて身体をストレッチして、さあバーレッスン、というのはまだまだレッスン半ばというところだと思うが、相当みっちりストレッチするんだなあとわかるくらいみんな汗がすごい。そしてバーレッスンもなんか嬉しそうで。
男性ダンサーが、グラン・ジュテというのか、片足で高くジャンプしながらぐるりとスタジオを半周するような振りのレッスンをしようというときに、
「やった、ジャンプできる!」「ジャンプしたい!」「家で飛んでたー?」「飛べるわけないよーずっと走るだけだよ」「飛んだら隣から怒られる」
というような会話をキャッキャしていた。そんな会話をする彼らはいわば、パリ国立バレエ団のトップスター達なんだけれども、自粛期間中のフランスは外に出たら罰則があるほど日本とは比較にならない厳しいロックダウンがあったわけで、毎日8時間以上踊っていた人間が走ることくらいしかできなかったという。

そんなウキウキのダンサーたちに先生たちが優しく厳しく「飛ぶな」というのだ。
「いいね、飛んではいけない。慎重に慎重に」「絶対にいきなり飛んではいけない」「飛ぶな」「飛んではダメ」
ジャンプのレッスンなんだけど、飛ぶなという先生の気持ちがとっても強くて印象に残った。致命的な怪我をさせないという使命感が強くて。

ハッとする瞬間

振付が順調に進み、男女のダンサーがデュエットでリフトをするが失敗する。「しばらくやってなかったから…」と男性ダンサーが戸惑っていた。

また別の場面では、バレエ団のトップダンサーのひとりが「あまり時間がない。42歳が定年だから」という。
パリ国立バレエ団のダンサーの定年は42歳。肉体のピークは短いので、舞台に立てないもどかしさや、人生におけるダンサーとしてのピークはいまなのに思う存分レッスンできないこと自体に危機感を持つ言葉が映っていた。

たびたび、タカラジェンヌのことを思い出しながらこの映画をみた。

パリっ子におけるパリ国立バレエ団

映画とは関係ないが、パリ在住の日本人夫婦が、子どもが通うバレエスクールのお友達(地元フランス人)たちから受けたフランス人におけるパリ国立バレエ団の存在感について感じたことを紹介していたブログを思い出した。
「フランス人において我が子をパリ国立バレエ団に入れようってのはとても非日常的なことで、日本でいうところの娘をタカラジェンヌに…みたいなものだと思う」
というような感覚だとその人は紹介していたっけ。

そういえば、WOWOWで放送していて制作にNHKも入っていた「明日のエトワール。~パリ・オペラ座バレエ学校の一年~」というドキュメンタリーのシリーズものがあった。フランスの国中でバレエを志す、下は8歳の子供から10代前半の子が厳しい学校入学オーディションに挑んで、難関の入学に喜んだものの年々落とされて、年齢があがるほど人数が減っていき、いざ卒業というときでも試験に通らなければパリ国立バレエ団に入ることはできない。8歳や9歳からたとえバレエ学校で生き抜いたとしても、卒業イコールあのオペラ座の舞台に立てるわけではないという狭き門。合格したらしたで8,9歳でも完全寮生活となる。フランスの地方から出てきた9歳の子が合格しそのままバレエ団に入団できたとしたら就職となるわけで、週末のみ家に帰れるとはいえ実質、10歳を前に親元から巣立ち就職(の準備)をするということだ。
おまけに税金が投入されている国立組織なので、バレエ学校についてはフランス人のみが正式に在籍できる、という資格を絞っている点も、また興味深く。
こういう、一般人には触れる機会のない特別な世界の話はいつも面白い(外国人がパリオペラ座バレエ学校で学ぶ機会を得ること自体は可能だが正規学生とは違う扱いらしい)。

私がタカラヅカに興味があるのも、パリ国立バレエ団およびその学校のドキュメンタリーに高い関心を持つのも同じで、秘密めいた扉の向こうの世界だからである。

新章のはじまりは

パリ国立バレエ団といえば「パリ・オペラ座」だと思う。映画のタイトルも「パリ・オペラ座」だし。でもバレエ団が公演再開する実際の場所は「オペラ・バスティーユ」あのバスティーユ牢獄の跡地にできているいわゆる「新・オペラ座」で、私が認識していた古き良きオペラ座は「ガルニエ宮」なのだそうだ。どちらも国立バレエ団の本拠地ではあるとのこと。ガルニエ宮のほうはバレエとオペラだけ、みたいに用途を絞っている模様。
バレエダンサーたちは、このオペラ・バスティーユでの舞台リハーサルに慣れない様子であった。本拠地の一つとはいえ、久しぶりにその舞台に立って、本番のセットで本番の衣装を身に着け、見どころのひとつである群舞のリハーサルをやるシーンがあるが、この緊張感は大変なものだった。


ただいまタカラヅカは感染者続出によりたびたび公演が中断している。
コロナに関して規制緩和されたら、多少感染者がいても公演中止までする必要はなくなるかもしれない。ただそれは、熱があろうが咳が出ようが後遺症に苦しめられようが、タカラジェンヌを舞台に立たせる、ということにもつながりはしまいか。
タカラヅカが偏愛するパリのダンサーたちが厳しい中にもmaître(メートル。講師とか先生とかいう存在で、演出家も含まれていたかも)たち大切にされているように、
日本の小さな町の歌劇団の団員達も、どうか本当の意味で、組織にもファンにも大切にされてほしい。本当の意味で。



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年末の足音がすぐそこに

暦の上では秋!
そしてコアなヅカファンにはおなじみカレンダーの情報が一挙公開に。

うっわ

公式には2番手も3番手も存在しない。公式が認めているのはトップスターとトップ娘役だけ!!あと演出上おっきい羽根付ける子がいるけどね~^^
てなことなんですよねぇ。実態はどうであれ…

人数が全く均等ではないし、妙に少ない組もある。けどこれを観る人はみんな理由がわかる。すごいね伝わってるね。

(1)宝塚スターカレンダー
◎発売日 10月21日(金)
◎規格 B2判/13枚(表紙とも)
◎価格 1,650円(税込)
◎掲載メンバー(計17名)■下線は今回初登場者
花組]柚香光・星風まどか・水美舞斗・永久輝せあ
月組]月城かなと・海乃美月・鳳月杏
雪組]彩風咲奈・朝美絢
星組]礼真琴・舞空瞳・瀬央ゆりあ・暁千星
宙組]真風涼帆・潤花・芹香斗亜・桜木みなと

(2)宝塚スター卓上カレンダー
◎発売日 10月21日(金)
◎規格 A5判/13枚(表紙とも、片面仕様)
◎価格 1,300円(税込)
◎掲載メンバー 宝塚スターカレンダーと同一です。
※宝塚スターカレンダーと同じ写真となります。

(3)宝塚卓上カレンダー
◎発売日 10月21日(金)
◎規格 A5判/13枚(表紙とも、リング式・両面仕様)
◎価格 900円(税込)
◎掲載メンバー(計23名)■下線は今回初登場者
花組]帆純まひろ・聖乃あすか・一之瀬航季・侑輝大弥・希波らいと
月組]夢奈瑠音・蓮つかさ・英かおと・礼華はる・彩海せら
雪組]諏訪さき・縣千・咲城けい
星組]綺城ひか理・天華えま・極美慎・碧海さりお・天飛華音
宙組]紫藤りゅう・瑠風輝・鷹翔千空・風色日向・亜音有星

(4)宝塚ステージカレンダー
◎発売日 11月4日(金)
◎規格 A2判/13枚(表紙とも、リング式・両面仕様)
◎価格 1,650円(税込)
◎掲載メンバー(計24名)■下線は今回初登場者
花組]柚香光・星風まどか・水美舞斗・永久輝せあ・聖乃あすか
月組]月城かなと・海乃美月・鳳月杏・風間柚乃
雪組]彩風咲奈・朝美絢・和希そら・縣千
星組]礼真琴・舞空瞳・瀬央ゆりあ・暁千星・極美慎
宙組]真風涼帆・潤花・芹香斗亜・桜木みなと・瑠風輝
[専科]凪七瑠海


(5)宝塚パーソナルカレンダー(全9種類)
◎発売日 11月18日(金)
◎規格 B4判/8枚(表紙とも)
◎価格 700円(税込)
◎発売メンバー
花組]柚香光・水美舞斗
月組]月城かなと・鳳月杏
雪組]彩風咲奈・朝美絢
星組]礼真琴
宙組]真風涼帆・芹香斗亜

(6)宝塚パーソナル卓上カレンダー(全5種類)
◎発売日 11月18日(金)
◎規格 15cm×15cm/13枚(表紙とも)
◎価格 700円(税込)
◎発売メンバー
花組]柚香光
月組]月城かなと
雪組]彩風咲奈
星組]礼真琴
宙組]真風涼帆


(7)宝塚ポスターカレンダー(全7種類)
◎発売日 11月18日(金)
(本商品はキャトルレーヴ各店および通信販売での限定販売商品となります。)
◎規格 A3判/1枚(両面仕様)
◎価格 500円(税込)
◎発売メンバー ■下線は今回初登場者
花組]永久輝せあ
月組風間柚乃
雪組]和希そら
星組]瀬央ゆりあ・暁千星
宙組]桜木みなと
[専科]凪七瑠海


(掲載メンバー、発売日等は変更となる場合がございます。)   


メンバーの変更ってのはあれかな、スタカレの、雪組新トップ娘役の追加があるよっていうことでしょうね。まさか、ここから雪や星に路線男役メンバーが追加発表なんて目立つことがされるなんてありえないでしょうし。
ほかにはあと4か月の間に抜き差しならぬ事情でスッと辞める子とか、なにかあったときの場合のためのあくまで念のための予防線ですかねぇ。

まあ、カレンダー事情につい注目してしまった今回の発表だけれども、あまり熱心に買い求めたことはなく…。
今回はみんなちょうど、スターとしていまが旬を感じさせるレギュラーメンバーもいるし、ちょっとどんなものが出るのか今から楽しみなので、キャトル久しぶりにいきたいなぁ。

あと、卓上カレンダーメンバーに関していうと私はやっぱりこの中だと月組メンバーが好きで、まだもうしばらくこの中の誰も欠けて欲しくないな…と思う。
にしてもパソカレ。わかっちゃいるけどわかりやすい。星組の今後を考えるとこれからの引継ぎをファンに愛想つかれることなく、判官びいきで損するジェンヌを生まないようにも配慮するとなると、結構たいへんそうだ。


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ODYSSEYにこめられたもの

雪組が満を持して上演にこぎつけた雪組公演 『ODYSSEY(オデッセイ)-The Age of Discovery-』を配信でみた。

あんなにぽつりぽつりと自分の言葉で千秋楽の挨拶をする子(トップ)をこれまで観た覚えがなく。
咲ちゃんの重く熱い想いが駄々漏れで、なんでかな…って、結構冷静に眺めていた。時間気にするくらいには冷静に眺めてた。
フォーラム公演がお流れになった時も「アラー残念だねえ」くらいにしか受け止めていなかったのだけれども、ああそうか、あの時あのフォーラム公演でなければ、当初予定していたメンバーでの公演は叶わなかった。別箱に分かれるから~どころか退団してる仲間がいる、だからこその、熱くて重い挨拶だったのか、と……(理解遅すぎ)。

にしても、そういうこと(公演予定が変わることやそれにより共演メンバーが入れ替わること)をそんなに重く受け止めるものなんだな、と少し驚いた。雪組トップの咲ちゃんや組メンバーに関わらず、役者全般、ジェンヌ全般、もう少しその辺はドライというか、容赦なく流れていく仕事のひとつひとつとして思い入れが入る隙間がもっとないものだと勝手に思っていたのでその逆、瞬間瞬間が重いものなのだなあと感じ入った。
彼らにしてみれば、新型コロナの流行からがらりと自分たちの公演を取り巻く状況が変わってしまったがゆえの想いもさぞかしあったろうしね。コロナ前とはやっぱり、いろんなことが変わったなと改めて感じた。

ODYSSEYで最も目をひいたジェンヌ

この公演自体、発表時からポスターみてもスカステの情報をかいつまんでみても、とりあえず彩風咲奈に絶対似合う海賊の扮装で踊りまくらせたいっていうそのコンセプト以外には特に伝わってくるものはなく…。あ、全編ショースタイルなんだなっていうのも夏にちょうどいい感じで、配信視聴してみたら、よい公演じゃないのと好きになった。

入れ替わり立ち代わり、様々な場面があったが、登場のたびに視線を奪われたのは朝月希和だった。彼女はあんなたおやかな大人の、おとなしそうな顔をしてよく踊ること踊ること。望海トップ時代の雪組体制でも、彼女はよく踊れる人だなあと目を引いたけれども、トップ娘役としての堂々たるオーラみたいなものももうしっかり板について、記憶に残るスターになったなと思う。

前トップ娘役の真彩希帆は少女漫画がよく似合う清潔感や処女性を持った娘役で、それがタカラヅカの演出でときどきある、アバズレもどきのばりんばりんの女の顔で踊ったりするアレが似合わない子だった。観てるこっちがいけないモノをみているような気がしてちょっとなーっていうことがあったけれども、朝月希和は聖母も夜の聖母もどっちもしてくれる感じが実にいい(これはキャラの持ち味の違いなのでどっちがどうということではない)。とにかく、ふぁいやーふぃーばーって踊ってたあの、衣装に着られていた希和ちゃんはもうどこにもいない。

アガタ

雪の激推し御曹司。こういう公演でカルメンという女役をやらせるのは大変よい。彼女が大変美形であることがようわかる。夢介でも着流し姿がダントツによかったし、こういう迫力美女系が似合うのは、彼女が卒業しても舞台の仕事をする場合でも需要ありそうだな、真ん中の役は難しいかもだけど(隣に立てる男の選択肢が狭まるから)なんて思ったり。
引き続き歌唱力強化が続いているようで、かつてのマカゼとかちなつさんとかキキちゃんだって、結構男役歌唱はふらふらだった時代があったのだから、彼女もきっともうすぐ、劇場を響かせるダイナミックな歌声を堂々と聴かせてくれる日が来るに違いない。
雪組はワンス~からなんだかんだ本公演は毎公演1度は生で観劇できているにも関わらず、若手スターがちっとも見分けがつかない(覚えられない)。ビジュアルで目立つだけで才能なんだと、縣千を見つけるたびに思うよね。覚えられるから。

嗚呼、さあ

チャイナの場面で美貌とコスプレ大得意なことを発揮した朝美絢。ほかの場面でなにしてたっけ?とあまり思い出せず。
前の公演のショーでも思ったけれども、2番手といっても出ずっぱりということもない(ような気がする)ので出演ボリュームはやっぱりトップとそれ以外という感じに、2番3番…というのは本当に便宜上のものなんだなと、こういう公演を観るたびに感じる。ソロの場面や銀橋がある場合誰が出るか、群舞の真ん中を誰がやるかなどの割り振りで、より目立つ美味しいところは便宜上2番手便宜上3番手…と割り当てられるから、観客には当然その序列が見えるんだけれども…。

前トップ時代の星組体制における2番手礼真琴のフル活用っぷりってちょっとすごかったと記憶している。というかめっちゃその印象が強い(礼真琴に関していえば台頭してきた若手時代から使われまくっていた事実もあるけど)。単純な運動量が常に多かったなーっていうスターとして、礼真琴、珠城りょうの名前が思い浮かぶ。
彼らはどの番手にいた時代であっても、他の組の同じくらいのポジションのスターよりも汗かかされてたように思う。まあ、それは酷使するということだからたぶんいいことではない。ケガしたらおしまいだし。

現状の、ショーにおけるあーさは要するに、ずいぶんと美味しく大事に使われているように見えた。言い方をかえりゃ、必殺技が少ないから連続して使えないって感じというか…くわえてる薔薇を投げちゃうから次の薔薇はないというか…そういう扱われ方になっちゃうよなーと。まあいいんだけど…彼女ってまた組替えしたりあるんですかね?全くないとは言えない気がしてきた。まあでもこのままいくのかな。オラオラホスト芸は全く好きではないのでかつてのあーさは苦手だったけれども、このところきゅるっとちいかわみたいに見える瞬間もあり、どのみちこの先も楽しみなスターさん。

彩風咲奈って

今回、思いっきりおめでたいものをご開帳(言い方)して厄払いをしてくれたかのように、美しく輝いたスターたちのショー、ODYSSEY。トップスターが堂々たるダルマ姿を見せてくれてなんだかんだ言って全員大好きじゃん?ダルマ。
私が感動したのはそのときの彩風咲奈の本当に豊かな表情。惜しみなく愛を振りまく、これぞタカラヅカのトップスターという表情をみせてくれたこと。
やはりああいう衣装で練り歩くシーンでは、「タカラヅカのショーが持つ豊かさ」を全身で体現しなくてはならないと思う。
長すぎてスレンダー過ぎてスタイルそのものよりも、あの微笑みにノックアウト。

元々、非常に得難い三白眼と、舞台上でなんか光ってるスター性。何でも着こなすスタイルと、芝居も歌もよしという器用さと、実に御曹司にふさわしいパーフェクトなジェンヌであると思っている。次の公演、蒼穹~が大変楽しみである。彩風咲奈はもちろん今の雪組のすべての人にとって、素晴らしい公演となる予感がする。




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配信と動画販売

役者をやっている友人が関わっている劇団で、久しぶりにしっかりと、有人観客ありでの公演を無事開催していた。
その際にはライブ配信と、アーカイブ配信も販売していた。アーカイブでみられることは大変ありがたかった。
アーカイブ期間は均一に●日間有効となってはおらず、初日も最終日の公演も全部ひっくるめて、公演の当月末まで有効 となっていたが、特に不公平性は感じずかえってわかりやすかった。
私は友人への義理もあり初日と千秋楽両方の配信を購入、片方はライブ配信で視聴し、もう一つは予定があったのでアーカイブで楽しもうと思った。
しかし、つい見過ごしてしまい、購入したっきりアーカイブ配信期間中に観ることはなく、結局見逃してしまった。

サービス拡大は不満拡大を生むか

もともと義理と人情半分、演目への純粋な興味が半分、という気持ちで2本の配信を購入したので、見逃してしまったアーカイブ配信分に対する勿体ない気持ちは、ちょっとだけ、だった。配信終了日や時間に関するアナウンスは購入時のみだけれども、ちゃんと把握もしていたし、半ばわかっていながら、つい、2時間集中して視聴する時間をつくることに億劫になってしまって観ずじまいになってしまったのだった。私が怠惰であったのだ。
はたして、アーカイブ配信のサービスがタカラヅカではじまったとしても、購入した番組を自分がちゃんと観るかどうかは実に怪しい。

というのも、私にとっては舞台を観る気持ちと集中力は、劇場に行くとか、ライブ配信とかっていう、こちらの生活やその瞬間の気持ちを無視して開催してくれることで、こちらも本気出して時間と集中力(とカネ)の準備が整うものだから。
身支度をして劇場へ行くとか、15時からの配信のために諸々片づけてスタンバイするとかができるのは相手(舞台)が生ものだからこそ。
ましてや舞台芸術は消えモノなわけで。ものぐさな自分もライブに対してスイッチが入るのである。ただこれがしばらくは消えませんよ、観られますよ となったとたん、後に取っておこうとしてしまう心理が働いてしまい機会をそのまま逸してしまうことが…たぶん、それなりにありそう。

思えば私の場合、毎年お正月にNHKEテレでやってくれる、歌舞伎座南座からの歌舞伎の劇場生中継に関しても、その時観ていないとやっぱり盛り上がらず、録画してしまうともうなかなか観ない。あとから観るものでもないスポーツ中継に似ている。

動画配信サービスとライブ配信

スカステに入っていても、観たい舞台が観られるわけではない。配信をまたねばならないし、加入してみると「なぜかしょっちゅう再放送するやつ」「全然放送しないやつ」とあるな、なんてこともわかってくるので、必ずしもヅカファンにとって必要なものではないことを実感する。楽しみ方、愛で方はひとそれぞれなので、オリジナル番組への関心がそれほどでもない人間にとっては、お目当ての舞台映像を個別でレンタル・購入できる動画配信サービスのほうが向いているかもしれない。

しかし動画配信サービスなら、ピンポイントで観たい作品をレンタルできる…とはいえ、レンタルビデオと同じでそこにあるからといって視聴購入するかというと別だし、購入したからといってちゃんと観るかというと人による。このへんで、「常にBGMのように、なんでもいいからタカラヅカを垂れ流していたいのか」「好きなジェンヌ・組の映像や情報は余さずコレクションしたいのか」「特定の作品だけ手元に置きたいのか」「現役生徒による作品・ライブ配信だけ観たい」などの嗜好によって、ひとえにファンといっても「映像」に対する行動が変わってくる。

私にとって動画配信は、ライブ中継であるからこそ観る・感動する という側面が多少、ある。過去作品から得る感動は映画鑑賞に近い。とにかく映像とはいえ劇場ライブ中継だけがもう全くのベツモノ。
アーカイブ配信ありの場合でも、その期間が短ければ観るんだと思う。その方が「ライブ感」「リアルタイム感」があるから。

ディレイ配信…

ヅカでは「夢千鳥」配信のこと…。本来は生放送に対して数秒~数分以上遅れて放送するのがディレイ配信。たった数秒遅らせる生放送であっても、例えば事件事故などの番組中の突発的な出来事がそのまま流されてしまうのを止めることができる。日常的に生放送はみんな数秒のディレイ放送らしい。
あんまりよくわかっていなかったけれども、夢千鳥のあの配信のディレイはどれくらいディレイ(delay=遅れ)だったんだろう。録画放送ってわざわざ言わなかったのよね。でも公演自体の危機に直面したあの舞台はピリピリヒリヒリしていて一種独特だった。今後あんまりやることはなさそう。

ファンのためのアイテム、DVD/ブルーレイ

私には相変わらず、なぜDVD/ブルーレイが公演期間中に早々に販売されるのかが呑み込めていないが、あるとないとじゃ大違い!ファン大騒ぎ!なのはもうようくわかっている。東西両方の千秋楽をおさめて販売すればいいのに、って思っていたけれどそういうことじゃあ、ないらしい?
でも、西と東の公演では時に演出も変わることが珍しくないので、私としては、西版と東版まとめて売ってほしい。もしくは別販売でもいいから。
この辺の公演映像の差を網羅するにはスカステ入ってないとカバーできないのを最近になってようやく理解した(遅い)。

ヅカファンに比較されがちな四季は、映像はほとんど売っていない。なぜならディズニーであったりブロードウェイであったり、近年の人気作・代表作は皆版権ものだから、かな?配信にも気を遣うことだろう。公演中止が組織存続に直結したのもうなづける。

結局のところ

映像配信も映像販売も、かなり既存ファン向けなのだわ。それによって観客を増やそうということはない。ファン離れを阻止し、ファンに向けて顧客満足度をあげて収益を得ようということだ。
タカラヅカはアトラクション感のある舞台商品で、音楽ライブと同じで、一度劇場で体験すると、やはり生で観てこそだと思う。長らく映像で観てきた自分も、劇場観劇を初体験してからぐっと好きの温度があがった。ど新規が興味本位で映像配信を観るだろうか……。
そういう人はNHKの放送なんかを観るんじゃなかろうか、とにかく財布の紐は固いと思われる。ではどういうタイミングで観るか?

そりゃやっぱり、ベルばらの舞台化で客を呼び込んだように、原作付きでファンを呼び込む古典手法だろう。だから今度のハイローは非常に重要な公演となるのではなかろうか。それを任せるには今の宙組と真風涼帆しかいない。こればっかりは。



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花組のふたご星、柚香光と水美舞斗

たまたま仕事が休みで、花組千秋楽配信が観られるじゃなーいと直前に気が付いてぽちり。いやありがたい時代よ。

事前情報ほとんど取り込まずに、「リストのはなし」「リストはその時代でアイドル状態だった」「悲恋というか」くらいの知識でみたけれども。

いやー、柚香光が美しい。

話は

リストの半生を綴った物語…で。
史実を追いかけつつも、物語が煮詰まってくると台詞がいまいち何言ってんだかわからなくなるのは音楽家シリーズのお約束なのだろうか。この感覚、fffでも味わったわ。
観念的になるというか。

【観念的(かんねんてき)】具体的現実を離れて、(抽象的に)頭の中だけで考えるさま。by Google

リストにとってはマリーが最後の女ではなかったとはいえ、史実では10年の同棲期間の間に3人も子供をつくって家族となっているし。なんというかまあ。
後半、ショパン(水美舞斗)と対話もしていたけれども。対決ってことでもなく。ショパン(水美)と主演を絡ませたいがためのシーンのように見えてここは響かなかった。
序盤から終始ジョルジュ・サンド(永久輝せあ)ともよく絡んでいたけれども、柚香リストにとっては自分と自分の音楽以上に大事な存在はなかった模様。
なので物語上、ヒロイン・マリーも、ショパンも、ジョルジュ・サンドも誰も柚香リストの相手にはならなかった……ように見えた。

いうほどあなた誰のことも「それなり」だったわよね、的な。むろんないがしろにしていたわけではないものの…
ロクモのモーツァルトのように破壊的天才型でもなく、fffのベートーヴェンのようにクソ頑固コミュ障天才でもなく、案外俗っぽくて、なんだかんだ全部得るものは得てやることはやって、長生きした感じは伝わった。
ただ最後のシーン、老年だったの?あんまりよくわからなかったな。ヒロインと再会しないといけなかったから…なんでしょうけども、夢のうちでの再会でもよかったような。
あのリストなら、老年、あんな風につつましく子供たち相手に生きてて…思い出すのは果たしてマリーだったか?さあ、どうだろうか……。

タカラヅカらしく美しく

にしても、登場人物は皆美しかった。本当に美しくって、タカラヅカを観ているなあという気持ちを充分に満たしてくれた。
衣装も小物も、本当に素晴らしい。つくづく宝塚の舞台は役者にとって恵まれているように思う。
ポスターそのままの美しさで動く主演2人にはみとれた。星風まどかの衣装はどこかお人形みたいで、チョーカーが首輪みたいでほのかに倒錯的で魅力的だった。彼女は偉大。

ジョルジュ・サンドの永久輝せあは、ちょっとダサい黒髪のカツラも含めてよい役づくりだった。ていうかうまいよな、歌も芝居も。
どちらがどうってことではないが、確かにこう同じくらい美しいはずの水美舞斗も、水美舞斗演じるショパンという役も、あまり引っ掛かりを感じなかった。悪くはないものの印象に残りにくいというか。この点においては永久輝せあは人によっては良くも悪くもかもしれんが、私にとってはいい意味でひっかかった。

古典の極みであるわっかのドレスに仰々しいカツラの貴族たちと、暗い色合いながらある意味気取ったブルジョアたちのコントラストは面白かった。
花組は名前がわかる子少ないんだけど、みんな綺麗でかわいい。特に娘役。

ショー「Fashionable Empire

ショーで一番印象に残ったのは、相変わらず花組は全体的に「娘役」というものを売りにしているというか一つのコンテンツとしてショーの要素に存在していて、ほかの組とはちょっとばかし違うんだよね、と感じる点。「娘役」が見どころの一つになっているというのか。
星風まどかが単独で場を仕切って真ん中で歌い踊り、みんなと銀橋に出てきて歌いきるシーンなんて特に思った。あとからトップや2番手が出てきてお株を奪うなんてことしない。そのシーンのメインは最後までトップ娘役。それを中心に花組メンバーがずらりと。ちょっといいよね。
ファッションショーのシーンもそうだったな。見ごたえがあった。あと要所要所で歌い手として、永久輝せあが重用されているようにみえた。

他、このショーにおいて柚香光と水美舞斗のペア感はとても強く、ダンスで絡んでいたけれどもこの二人、背格好も似ているし、なんというか、運命共同体というか…この二人辞めるときは一緒じゃないかしら、なんてちょっと思っちゃうくらい。どちらか一人だけが残る花組ぴんとこない。

よそ様と一味違うロケット…

なんか、なんかだな?て思ったけれどもどうやら花組ロケットってこんな感じなのね?
男役の子の男役度が高い!男役感がバリ高いまんまロケットやるから女装感強し。アーイ!ってんじゃなくてア”-イ!!のような。嫌いではない。面白かった。
ショー、細かいところ全然覚えてないけれど、このロケットは大変強く印象に残りました。

さよなら音くり寿

前作の将軍役は少々くどくて……だった音くり寿だったが、今回、巡礼の年での第一声、パーーーフェクトッ!!!
「みぃーーなさまああああっ!!」みたいなあの感じ完璧よオォォ!
そしてアレを愛人にしマリーに乗り換えるリストさんの下半身フットワークの軽さも見事、と思わせてくれる、一言でキャラを伝えてくれる表現力。
ショーにおいても、某星組娘2・3の扱いとは違ってこちら花組さんは、品のよいピックアップ加減。音くりちゃんは絶妙な加減で美声を届けてくれた。

卒業の挨拶において並んだ彼女が、こんなに小柄だったっけ?と小さくみえたのと、ハキハキノリノリであいさつするかと思いきや、涙をこらえて、感極まっていて、ちょっと意外。彼女のお人柄は知る由もないけれど、そりゃよく演じている役柄とご本人は関係ないものね。愛らしく華奢な娘役さんであった。東京公演では1度だけ生観劇できる予定なので、しっかり見届けたい。楽しみ。

熟した柚香花組

すっかりいい意味で自信たっぷり、羽根の重圧につぶされることなくドヤアとしているいまのトップスター柚香光。なんだかもうそろそろ集大成か?なんて。
今回、配信で観た千秋楽は特に、リストという役柄もあいまって全体的にとても自信がみなぎって押し出しが強かったように感じた。
意外と、体制変更はそう遠くないのでは、なんてちょっと思ったり。どんな変更なのかはわからないけれど。



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父の言葉と、エンタメとの付き合い方

先日、久しぶりに会った父に「円安はまだまだ終わらないかね。というか、円がまた上がることはあるのだろうか?」ときいてみたところ「円は弱くなったから、強くなる要素が何もないから、もうあがらないよ」と一刀両断だった。
そのあとに続いた父の言葉は大変面白かった。
「だって、この前アメリカの大統領がサムスン半導体工場視察したでしょ?日本は?あのときの来日で米の大統領が視察した工場あった?」
「韓国のさ、ほら、B?BTSホワイトハウスいったでしょ?日本のアイドル誰か招かれたことある?」

父「日本人ってなんとなく韓国や北朝鮮より進んでるとか、上とか思ってるけど向こうのほうがずっと上っていうか、世界に向けていろんなものを作ってんだよ。日本はずっと自分たちのシマの中で勘違いしてる。かなうわけない。そんな国の通貨が世界に対して強くなるわけなんかない」

ウーン、その通りなのかも、と思った。大体、日本のアイドルの名前なんかろくにおぼえたことのない、もうすぐ傘寿だねなんて言ってる父が「BTS」は覚えてることがもうすごい。こと芸能人やカルチャーに関しては、それに興味がない、ファンでもない人間に認知されることが本当の人気と思う。

知っているのに知らない謎のムラ

昔から不思議なのは「タカラヅカ」といえばみんな知ってるのに存在以上のことは驚くほど知られていないこと。誰もが「ああ、あの女性だけの」「羽根の」「●●●●(芸能界で活躍中の元OGの名」の」と誰にでも、老若男女に通じる存在でありながら、じゃあいま現役のトップスターは誰か?となると観劇未経験者にはほぼ、まったく認知されていない。
テレビでお受験を追いかけるコンテンツは大人気だし、テレビ芸能界には「元宝塚」はいまだにブランドにもなるのに、知っているようで知らないのは、なんだろう屋久島の屋久杉 みたいなもんか(わかりにくいたとえ)。

誰でも知っている観光地…なんだけどなかなか行けない…実際には見たこともいったこともない人が多い…みたいな。

宝塚大劇場=遠い 東京宝塚劇場=大多数の日本人にとっては東京も遠い …という事実と「劇場」という場所自体の心理的距離感は生活習慣や育った習慣によって、本当に人によって違いがあるものだ。テレビやアニメやゲームよりも深く日本人には根付いているはずの劇場芸術は、やはり生もの、一期一会の参加型の文化である。そして観るには映画鑑賞の何倍かのお金がかかるというコストの面が、実は、いまや本当に、多くの人にってタカラヅカを含む「劇場」が自分の人生から少々遠いところになってしまった大きな要因かもしれないと思うとちょっと寂しい。しかしこんなにも貧困だの、給料が全く上がらないだのというのが話題にあがる現状の日本では仕方がないのか。

それにしても、認知度に比例しないクローズドサークルタカラヅカよ。
結局のところ、全国的に日常的にテレビでみかけるかどうか、なのかなぁ。ネット社会といっても認知度ってのはいまだにテレビに左右されている。望海・明日海両名だって、NHKで歌うことの評判・反応・関心は、卒業後のあらゆる活動の中で最も大きいものであったわけで。
「現役ジェンヌ」の一般認知度が、トップスターですらほぼ知られておらず、創業者一族直系の娘や昔の女優の親せきといった、親の七光り付き若手ジェンヌでなければマスコミに取り上げられルない、首都圏に住んでいるとそんな微妙な取り上げらればかりなんだけれども、関西エリアはもっと露出あるんだろうか。
スカステができちゃったからレギュラ―出演のテレビは、スカステだけかな? 

そんな暇はないし隙間はないし

現役ジェンヌたちがここまで舞台に忙しくするんじゃなくて、常にひと組ほど外部活動できる舞台休眠期間があれば、その間にテレビやラジオや雑誌のインタビューやといった仕事をとってきて、やらせて認知度をあげて ということができるかもしれない。
ところがそんな暇はないし。舞台人の彼らにとって本業のタカラヅカの舞台が優先なのはいうまでもない。大昔はともかく。
ひと昔まえに、現役にして超若手娘役がNHK朝ドラ主演しその後トップ娘役になったが、企画は悪くなかったと思うのに予想以上に内外に軋轢を生んでしまっていたっけ。
朝ドラ、私は観られない生活なのだけれども、そんな私であってもいまのジェンヌをみていて、つい「この子朝ドラ主演したりしたらめっちゃ人気出そう」とか思っちゃう。潤花の朝ドラとかめっちゃよさそう。わかる。

でもほんとのところ、「住み分けができない」というジレンマがありそうだなと最近とみに思う。
現役ジェンヌが広告を背負って、例えば有名なVISAのように、例えばTVCMが都内在住でもよくみられるダイキンのように、ちょっと露出するのはOKなんだろうが、現役ジェンヌが有名雑誌の表紙を飾ったり、今以上に何かのモデルにもっと出てしまうと…OGの仕事を食ってしまうかなぁと思う。
OGは、現役ジェンヌの多くの未来の姿でもあるので、仲良く住み分けて行きたいところだろう。

トニー賞にて

今年のトニー賞授賞式をWOWOWで視聴していた。ミュージカルの本場、なのかな?あちらはなんというか、難しいテーマを娯楽に昇華しまくっている。
女性の地位うんぬんどころか、ジェンダーとか人種とか。ノミネート作品のどこにも、おフランスなドレスを引きずった作品はないし、ファントムも黄泉の帝王もいない。
それはそれで、答えの出ない難しい問題ばっかりをミュージカル上で観たいか?っていうと、うーんだし。もっとお気楽ウキウキ娯楽作品に昇華されているものを観たいなって思うし。
でも古典名作だって現代新作だって、結局のところテーマは愛でしょ。ほぼ。差別に敏感な国の舞台エンタメの最前線がトニー賞なんだとすると、日本は差別に鈍感な国であり、またその鈍感さがいい方向に働いて、童話のような舞台が実現可能なのかも、なんて思ったりする。

なんでネバセイだったか

発表時は退団フラグかと思われた宙組ネバセイは、終わってみればなんてことない初舞台思い出公演であった。
しかし、どなたかの感想でだったか「外部に売り込みたいがための、営業目的の再演だったのかも」なんてご意見を目にしてなるほどー!なんて思ったり。

宙組ハイローや星組ルスダン、月組公演「応天の門」なんてのもそうだが、タカラヅカもふたたび原作付き作品で話題と客を呼び込もうとしているっぽい。一方で、宝塚歌劇オリジナル作品がよその何らかのジャンルで上演されたりアニメ化したりマンガやドラマになったことはない。
ネバセイは音楽もとっても海外ミュージカルだし(作曲者がそうだし…)、海外を含めた、外部へ売りたい・売れる作品ナンバーワンかもしれない。
国内ではたぶん厳しい。タカラヅカ並みの規模の劇団がそもそもない(四季がヅカ作品なんて絶対やらないし)。予算もないよねぇ。おまけに海外ミュージカル界にはネバセイみたいな作品は全然、目新しくないと思う…。

もし海外にパッケージで売るなら、やっぱり宝塚のショーみたいなオリジナリティ満載のもののほうが価値は高いように思う。でもそれは無理というもの。
タカラヅカは男女の愛は描いても性は描かない。レオタードでロケットで足上げですらセクシーさは出さない。「それも女の魅力よ、否定するもんじゃないわ」って思わせてくれた作品、仙名彩世のエイトシャルマンくらいじゃない?「女だけがやっている」が面白さの主軸だが外国エンタメからみたら、何らかの差別問題にひっかかりそうである。

新規を呼び込んだところで…

雪組シティーハンターのときもちょっと感じたものだけれども、今度の宙組ハイローなんか特に、ハイロー原作ファンがチケットとろうとしても大変厳しいのではないだろうか。市場に出回る頃にはチケはすべて友会会員が買ってしまっているし、貸切公演は情報をいち早くつかんでいないと募集が終わっているし。
そしてそれらにチケが出回るもっと前に、非公式ファンクラブががっつりおさえているし。初日の幕が開いて、それがスポーツ報知とかの記事になって、それをみたはじめてのひとが「へえ、面白そう」と思った時点でなんにもないわけで。
チケットが余るのは劇団は望まないし難しいこと。でもやっぱり、次の100年を生き残るには……もう、「非公式」ファンクラブの存在は限界が来ているように思う。公式がジェンヌのケアも含めて予算を割くべきだよなぁ。すべての舞台にチケットさばき問題はあるんだけどさ。

リピーターが強い

ミュージシャンのライブコンサートとヅカのファンは近い。どちらも公演に全部行こうとするし地方遠征も普通にやろうとするから。劇場芝居が映画と同じようなもんだと思っている人間は、4回も5回も劇場に通う人の感覚がすぐには理解できない。でも自分のアイドルに会いに行く行為ととらえなおせば、全部いきたいわけよね。私も、多くのファンがなんだかんだ実践している、7回も8回も劇場に通う行為が、観劇はじめたばかりの頃はなかなか理解できなかった。
映像観劇時代は、そもそも劇場の存在が遠すぎて観客席にどういう人がいるのか、なんて想像したこともなかったし。

何度も通うほど好きになると楽しい。
人事の話題は予想外なことが時々はおこっていたほうがファンをひきつける。
ファンの中にさらに特権的な会がある構造が面白い。
現役ジェンヌの一般認知度が低いことに逆に価値や魅力を感じる。
本当か嘘かわからない噂をネットで眺めることを、ついやってしまう…
ジェンヌ同士の関係性などをながめたい。

そういうの、全部ファンとしての楽しみなのだろう。舞台をただ観るだけに、どうしても、とどまることがない。

でも一番楽しいのはやっぱり、「初めて舞台を観ること」
これなんだよね……。