何度も観ると、演目の内容は頭にはいってますから、個別の役者とか、特定の場所をオペラグラスで凝視とか、色々気になるところを毎回クローズアップして観ることができる、そして、「よし次はあそこもっとよく観てみよ」なんてことができる。劇場で観れば、どこをいつ観るかは自分次第。
特に心に残ったジェンヌさんたち個別の感想など。思いつくまま順不同。
鳳月杏 専科のような活躍
WTTでは、上位組ではあるものの、それ以上ではなかった。自分に委ねられた立ち位置に徹したプロの仕事をみせてくれたけれど、終始抑え気味で、キラキラギラギラ感もなく。
ちょっと大丈夫かな？と思った。ライブ配信では。
ピガールでは、ウィリーは儲け役ではあったと思うが、初見ライブ配信で観た時は、演じるのがちなつさんだからちょっと美味しくしたけど脇役は脇役で、ちょっと残念だった。
劇場で何度か観るうちに、男性客、それも1人で来ている人が結構いるんだなぁと思ったのだけれど、彼らはちなつウィリーにとても惹かれるようで、私が劇場で観た限り、近くに座る男性客、年配であるほど、ウィリーが出てくるだけでもう笑ってるのね。
あの出番で、2度目より3度目と、どんどん「あ、面白い奴でてきた！」と思わせるのはさすがとしかいいようがない。
珠城りょう君、からんロートレック、ちなつウィリーの墓場なシーンは毎回微妙な緊張感があって。今回の役の話だけでなく、彼女は自ら何かするというよりも、アドリブなり、相手の芝居を受けて返す人なのよね鳳月杏は。名レシーバー。私は彼女が大好きだけれど、もっとアクを強く出してくれてもいいのに（出せる演目に出会って欲しい）と思う。今回ちなつファンは正直物足りなかったのでは。
千海華蘭 最優秀助演男優賞
この人こんなに上手いっけ、てくらい全てのシーンで完璧だった。黒燕尾で彼女をうまく見つけられなくて（ついたまれいに見入っちゃって）残念。劇場の空気を掴むのが上手いし、芝居に違和感ないし、珠城りょうとの絡みの芝居でも常にリードできる余裕があったと思う。ライブ配信と生観劇とで最も印象にブレがなかった人。とにかくこの人がいなければ1900年のフランス臭は出なかった。ピガールの作品の底上げをした人。もう絶賛しかない。
輝月ゆうま 脇役を生かした人
ライブ配信では、このキャラ切っても成り立たないかなぁ、成り立つよなぁ、この話…と思った。生観劇でも前半は、特に印象に残らなかったし、ジェンヌたちに役を割り振るための役以上には思えなかった。しかし、12月末、もうあといくつ寝るとお正月〜のあたり、私は連日観劇だったが、この頃の輝月マルセルは、まさに輝いてた。アンパンマンにおけるバイキンマンくらいに。
銀橋の芝居もどんどんよくなって、劇場にいれろのシーンのアドリブを他の場面のアドリブたちとリンクさせることで、美味しく美味しく見せることに大成功していて、いやよくやったなぁと。今回ピガール、しっかり台詞のある役はすくないのだけれど、舞台上で役として生きる時間を、結構な数のジェンヌたちに与えられていて、各自工夫のしがいがあるような芝居であった。彼女はちゃんとやり切った、立派な役者さんである。
その3に続く…
