隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

盗賊と宝石~期待と心配と~

雪組東京公演の、友の会一次選考はやっぱり外れた。先日ステータスがゴールドに上がったんだけれども、やはりSS席は手が届かない。
先日のライブ配信、ショーの方の感想をまとめる。ネタバレがいやな人や、少しの批判も嫌な人はどうか読まないでほしい。あと菅野氏のファンの方もおやめになった方がいい。ここではできるだけ自分のわがままで身勝手な感想を書くようにしているので、ごめんなさい。

いや面白かったシルクロードのショー

全体的に目まぐるしく、目にも麗しい衣装などで楽しいショーだった。
特に、あの中盤から後半に出てくるプリーツ生地の衣装はどれもきれいで、衣装の型とも合っているように見えて、ステキだなあと思った。
多用されていたので「オモシロ生地を仕入れたぞ」て感じだったのかな?と思った。身内に生地開発してた者がいるので以前聞いた話だと、開発したオリジナルの面白い生地素材を取引先に営業かけるので、そうしたこともあると思ったり。

ヘンだな、と素直に我に返ったシーンは、例の盗賊と宝石の菅野よう子氏の楽曲シーンの舞台美術。それと次期トップコンビだけ白装束でひょこひょこ踊っているあの演出。
こうだからこうあるべきだと思ったのだ、という作り手の意思の反映が雑で、ひとつひとつのパーツの意図があいまいでこちらに伝わる力がなく、なんとなくよくある感じでアレしちゃった感。
有名作曲家の曲とトップスターの歌唱力でごまかせると思ったのだろうか。

オリエンタルは魅力的、ただ…

非常にセンシティブな問題として、このショーでみせてくれた「シルクロード感」はたぶん、宝塚歌劇100年以上の歴史において一切刷新されていない。
海外ドラマなどで、間違ったジャパニーズが出てくると「その赤い提灯は日本ていうよりチャイナだなあ」とか色々、面白くもあるがこの時代においても誤解まみれだなと感じることがある。
そうした我々の文化への誤解・知識の浅さを露呈する「シルクロード感」への古臭さが目立つショーであった。それが望海風斗によく似あっていて、とかくと批判に聞こえるが、残念ながらとても似合っていたし、ショーを見ている間はこの中東の文化を軽んじてはいないかという実に無視できない問題を忘れられたけれども、果たしてこの作品は「普遍的な芸術作品であり舞台だ」といえるかどうか。退団公演の名のもとに実に刹那的だと感じた。

特にやっちまったなぁというのが、朝美 絢が美女を侍らしてオラってるパート。
あーさをコスプレさせてかっこよくさせたかっただけだとは思うが、バカ殿が大奥の腰元にセクハラしまくってキャーていうバラエティショーのようだった。
面白かったかもしれないし喜ぶ人もいるだろうが、あまり品がよろしくない。「へそだし美女集団の真ん中にあーさ」という同じテーマでも、もっとやりようがあったのではと思う。

退団者へのはなむけ

これはタカラヅカならではの文化なので、全面的によかったとおもう。作品を多少窮屈にしてでも、卒業と代替わりとスター序列制度を敷いている団体において、卒業メンバーを最後に華々しく送る演出をちりばめるというのは絶対的に正しいと思う。ファンに対しても、ジェンヌたちにとっても。
昔はいちいちそんなこと思わなかったけれど、宝塚の舞台人生は限りがある。選ばれた人のみに許された舞台を限りある時間の中でのみ、立つことができるわけで、精一杯、サヨナラはさせてあげたいし、こっちもみせてもらいたい。
昔は特になんとも思っていなかったけれども、最近涙もろくなったので、なんだかみんながまぶしくって涙が滲んだ。

ショー、そして、歌

真彩ちゃんのラップいいねぇ…。彼女の声は、井上芳雄の歌声のそれみたいにどこまでいってもきれいに丸まった音というのか、かすれたり息になったりせず響くので、ほかの歌い手と一線を画した響きを聴かせてくれる。他の歌うまジェンヌにもこうした歌声はおらず、また一般人の歌声がいかに濁っているかを実感する。それくらいきれいな真彩ちゃんの声でラップですよ。違和感ありまくり、だけどこれがいい、かわいいし。
トップ娘役の歌でトップスターが超かっこよく踊るってのは、あるようでない、ようでたまにある…けど意外と2番手以下とだったりして、、かな?
バンドネオン上海を懐かしむ望海風斗のルックスとともに、最も印象深いシーンだった。

あの歌はどう聴こえたか

例の菅野よう子氏の歌は、どんな曲か事前に知らず、先行配信されていたことも気に留めていなくて、このライブ配信で、どのシーンかな、気が付くかな?と楽しみにしていたが、しっかりと「あ、これだ」とわかる曲だった。「イカニモ菅野」であった。
このあと早速配信されていたスタジオ収録版も聴いたが、後半になればなるほどどういう曲か、広がっていってよくわからなくなり、やっかいな曲だと感じた。いろいろと注文もあったろうなー作るの難しかったろうな―とも思うけれど、キャッチーでなかったのが残念かな。曲のピークは最初だけ。
ぶしつけながら、タカラヅカファン界隈での 菅野よう子=すっごいいいもの という認識と高い信頼性を皆がもっていることが、オタクな私としては実に不思議。
私はといえばエスカフローネから菅野よう子のファンになり、マクロスプラスを知りカウボーイビバップで夢中になったあるある路線のクチだが、好きで買い集めたのはそのあたりまで。
もしいま、澤野弘之氏が宝塚を、となったら熱狂するだろう。今の音楽ファンもアニメファンも。それくらいタカラヅカはちょっと、古い(言い過ぎ)。

不協和音について

残念ながら、雪組全体として歌唱力が低すぎた。fffの方もそうだが、コーラスが汚い。
特に今のタカラヅカファンは、死ぬほど努力して磨き上げている宙組のアナスタシアを聴いている最中なこともあって耳が肥えてしまい、これまでにない技術の格差を実感してしまう。トップ2人以外の歌唱力とハーモニーは5組中最下位かもしれない。
ここ最近実際に聴いた実感で順位をつけると 宙組月組花組>>雪組 で、星組は眩耀の谷がだいぶ前の記憶になってしまい定かでないのだが、花組とどっちかなーくらいか。
退団公演でありったけの気持ちをこめればいいってもんではない。
次期トップの咲奈ちゃんひらめちゃんコンビは心配していないが、基本的な舞台力の低下、コーラスがいまいちとなると雪組は、和気あいあい仲良しアピールもマイナスイメージにしかならない。

デュエダン、黒燕尾

正直にいえば、全体としてはあまり印象に残らなかった。ただ、たしか真彩ちゃんが、2番手以下の男役とちょいちょい踊りながら大階段へ向かい、途中からトップコンビ並んで手を取り大階段を降りてくるところ…は、ショーのフィナーレだっけ?さよならショーのほうだっけ?w
あそこは感動したな。あらためて東京公演で(チケットが取れるといいけれど)きちんとしっかり観たい。

好きなんだけど

果たして雪組は、完成度が高いのか、トップコンビのみ特に完成度が高いだけなのか、なんなのか…まとまりはあるんだろうけども。
次期トップの咲ちゃんも、本当に舞台ではうお、まぶし!ていう魅力とオーラがある人なので、体育会系の気配がより増しており、今いまいち萌えない星組よりはきっと、これからの雪組はしっとりと面白い舞台を作ってくれそうだと期待しているけれども、かなり変わっていくんだろうなあとしみじみ感じた。
8人抜けて、新時代を迎えた時に、このショーがどんな風に思い出されるのかしら。
不思議と、ショーですらだいもんと誰か(真彩ちゃん含む)の夢夢しいシーンてなかったよね?なんで?最後だよ?いや、だいもんがやると全部重くなるのかなぁ。

というわけで、シルクロード~盗賊と宝石~というショーは、総合的に満足度が高いはずなのに山ほどケチをつけたくなる不思議な部分もあり、
大変に魅力的な(嫌味ではなくまじで)、ちょっときいてよ、と誰かに何かいいたくなるショーであった。
きっとライブ配信だけでは伝わらないこともたくさんあったはず。東京公演のチケット当たりますように。




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