隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

fffを生観劇した②〜盗賊と宝石も

ライブ配信から時間が経って、生観劇初回の感想はちょっと前に書き残したけれど、その後2回、阪急貸切とスカステ貸切にまさかの当選で、観てきた。
これで私の、望海風斗の雪組観劇、生観劇は最後である。

色々違ったそれぞれの観劇

初回は正直結構、歌がうまいな以外の感想が持てなかったってことになるのかなあ……
2回目の観劇(生観劇1回目)で、やっぱり劇場で観ると違うなあと思って、ようやく全体像が観られたって気がした。
そして3回目の観劇(生観劇2回目)で、fffの最後は自然と涙がこみあげてきた。

熱烈にだいもんが好きだから!とかそういう嗜好とはそこまで関係なく、泣けた。
それに1階最後部あたりから、舞台全体を見渡してみることで、演出の全体像がよく見えて、fffってこういう作品かあ、と思ったし、シルクロードは生田もっと頑張れってことにも気が付いた。

ついジェンヌを観たくなるのがタカラヅカだけれど

オペラグラスを諦めてずっと全体を観ていると、新たに気が付くことが多数。
まずは、fffにて、謎の女の声を認識していたのが、ベートーヴェン以外にはゲーテさんだったこと。オープニングで声に気が付いてました。
謎の女は、その正体からして誰のそばにもいるのよ、と語られるけれども認識しているかは別の話。とすると、ゲーテは気が付いていて、ナポレオンはたぶん一切気にしてない(共演がない)のはそういうことなんだろうな、と。

それから、この公演の、お芝居全体での最初のせりふが「おつかれさま、人生~♪」ってのもまあ皮肉。
ベートーヴェンとナポレオンの邂逅シーンは、時間を飛び越えて、ロシアで敗退中のナポレオン(実際はこの時点でナポレオンは島流しの上死んでいる)と、ロールヘンの死を知り、絶望の淵に至ったベートーヴェンが、ベートーヴェンの夢想のなかで出会うシーンであり、トップスターと次期トップの最後のお芝居でもある。

だがそこで、「モテたかった」って嘆くトップスターってばよ。

謎の女ちゃんからの指摘でも「結婚できない」てキーワードに一番ぴくっとなっていたし、ロールヘン妊娠からのお手紙をかたくなに無視していたことも、ウエクミの描く望海ベートーヴェンが「モテない結婚できない男」という側面を強調されているのは悪意(笑)か。

こうしたことは、3回目くらいの観劇でやっと気が付いた。
もっと色々、炎のことや黄色い服チームのこととかもあるけれども、不幸を飲み込んだから幸せだったと言い切れた、歓喜に至ったという描かれ方はよく理解できて、ベートーヴェン生誕年のあれこれはコロナで色々吹き飛んだけれども、たとえ日本全国でも何かしらイベントが開催されたとして、ベートーヴェンをこんな切り口でこんな風に描いた作品は、後にも先にもこれきりだろう。

シルクロード

fffに慣れてきてあれこれ理解できた頃、同じく、シルクロードのショーも全容が何となく把握できた。そして、初めてのショー演出でしたっけ。ウンいまいち。
だいもん&まあやの歌がなかったらクッソダサいからなこれ、と毒づきたくなること多数。
何をどう間違ったのか、わざとなのか。パンフの菅野よう子氏は提供曲の解説ご挨拶であるようにあそこはやはり「森で幸せに生を終えた巨木」でなくてはならなかった。ひょろい虹色の木ではなく。
ショーは場面展開が肝だと思うのだけれど、よほど場面ごとに推敲を重ねて重ねたのか、だいぶ違ったものになったのではという爪痕が見え隠れ。
それが振り付けの仕事なのか演出の仕事なのかは判断がつかないが、似たようなことの繰り返しの動きも2か所で気になって、こんなずぶの素人がうーん?てなるくらいだった、と感想を残しておく。

大評判のダスカのシーンについては、まあやラップ大勝利なんだが、振り付けは私の好みじゃなかったかなあ、てこと(ずいぶんややこしかった)と、
今日の、良席で観てつくづくわかったことに、だいもんがクッソ楽しそうであった、ということ。
ただこのシーンに対してファンとして強く思うのは、生田氏が思い出のバンドネオンをここで入れてきているわけだが、そのファンへのマウントがキモイ。
このショー、生田氏とファンとの、望海風斗スキスキ度合い比べ合戦である(心理的に)。
私としては大変むかつくぜ!と思いました(笑)。

生田氏へのなんかむかつくという嫉妬全開にしなくっても、やっぱりショーって藤井大介は(あれも本人のフェチが強いが)うまいんだなって気づかされました。
色々惜しかったシルクロード。アクアヴィーテが小説ならば、生田氏のつくったショーはラノベ。そんな感じの軽さ。
とにもかくにも、望海風斗が最高にかっこよくて真彩ちゃんが最高にきれいで、翔くんが猛烈にアピールされてたので咲奈ちゃんがちょっと影薄かった、とかあるけれども、トップスターコンビと退団一同がひたすらおいしくを目指したみたいなので、大成功かな。

ちょっと飽きていた「退団」

卒業を発表してから思いのほか時間が経ってしまって、好きなのに「退団のちらつくもの」すべてに対し、飽きてもいた今日この頃。
3月は怒涛の月組ダルレークや幽霊刑事、さくらちゃんMSなどが全部目新しくてキャッキャしていた分「あ、まだやってたんだっけ雪組サヨナラ公演」なんて思っちゃって。
大劇場からずいぶん経った気がした。そりゃそうだ、あと2週間ないんだものね…。

今日の観劇は7列目くらいでした。おかげでとてもよく見えたおかげで、あ、これ現実なんだって引き戻された。
終わりが近づいている。だからこんなにも、一瞬一瞬が美しいんだなあと。
もう二度とあの劇場で、私は望海風斗も真彩希帆も観ることがない。今日が最後なんだな、こんなにちかくで歌をきいて、だいもんと目があったりなんかして、こんな経験もうないんだなって。
しみじみと、しみじみと目の当たりにして思い出した。待ってはくれないラストデイ。

あんまりにも望海風斗が美しくてかっこよくて、あらためて惚れてしまった。
あんな美しくてカッコいいものに視線投げられたらたまったものではない。一期一会の舞台だからこそ、卒業直前の舞台を観てもそんな風に惚れさせられてしまう。






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