私自身が触れた範囲では、フェアリータイプといえば涼風真世。
「PUCK」が発表されたときは妖精がついに妖精役を…なんて言われてましたっけね。とにかく美しくって、女性的すぎる顔立ち、エイジレスで中性的というか、ジェンダーレスというか…な魅力を発しているのにご本人の男役っぷりはバリバリ。その混然一体となった独特の輝き、魅力に対して「フェアリータイプ」なんて呼ばれていたんじゃないかと思う。
系譜というほどでもないけれど
タカラヅカのトップスターでフェアリータイプで、涼風真世の正統なる継承者だったのかなぁというのは龍真咲。
PUCK再演を実現したという点でそうなのかな、と思った。再演発表されたときちょっと驚いた。涼風真世のPUCKを?と。
そして涼風真世の大ファンという美弥るりかも、やっぱりフェアリータイプというような男役だったと思う。
みんな顎が細くて少女漫画的な顔立ちで、華奢で、でも男役のカラーとしては二枚目な男役なのね。
しかし…
私がタカラヅカを知った子供時代に、2番手、そしてトップスターとなった涼風真世は、私にとってちょっと特別なスター。
だからというわけではないけれど、この涼風真世というスターはやっぱりフェアリーというか化け物だったなあ、と先日の『Greatest Moment』を視聴して、あらためて感じた。
舞台に、涼風真世として登場した姿は、年とったけど若いな、でも年とったなでも綺麗だな みたいな印象。
PUCKの歌を披露したときは、もうタイムスリップしたかのようにあのPUCKだった。
グランドホテルのオットーは、またぞくぞくした。アレ?黒髪にして、役の歌を歌っていると、最初に感じた「久しぶりの涼風真世感」も全部なくなって、ただただ、オットー。
憑依型というのかわからんけど、とにかく特別であった。
思わずGM観た後にグラホ見直したくなり、再演の美弥オットーと新人公演の風間オットーも確認しちゃった。それぞれ違うからどれを否定するものでも無いし、巧拙も主観によるものだが、新人公演風間はまあ硬さもあって、割り引かねばならないものの、涼風真世がやはり格別。GMでの一曲再演ですら、オットーが病人であることも、人生の最後にここにやってきた、希望にすがって…という様子が伝わってきた。
昔も妖怪
某OGの退団後の公演に出演した涼風真世が、その日の公演中、舞台スタッフの不備でちょっとトラブルが発生したことを、終演後の挨拶で主演が笑い話に変えた際に、ひとりだけ舞台上で怖い顔をしていた、という。プロ意識の違いだろうなと思った。笑いにかえるのも、それを許さないのもどちらも。
このエピソードは、私の中の涼風真世像と全くぶれてなかった。この人はこういう人だ。
そもそも何人か、フェアリーと称されるタカラジェンヌはいる(いた)が、涼風真世とそれ以外は結構ばっつりと、ベツモノであると思う。
涼風真世のGreatest Momentの舞台でもそれを感じたのだが、とにかく涼風真世の男役姿はめちゃくちゃ骨太なのである。
華奢で女顔であった龍真咲や美弥るりかと同系統のかわいい顔なのに、涼風真世の男役って何だったら2番手だった天海祐希が弱く見えるほど強かったよなぁ。
誰と並んでいても「強い」のが涼風真世の男役としての魅力であったと思う。
それが退団公演でオットーだもの。卒業公演にも素晴らしい挑戦をされたジェンヌさんであった。
にしても研10就任だったのか。早かったんだなあ…。
週末の配信も楽しみにする。