隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

宙組ネバセイ千秋楽配信。宙組のたからもの

いや~

楽曲がいい!

仕事しながらの視聴とはなったけれど、ながら観であっても観られてよかった。このミュージカルをやれるのは宙組だけ!って思いましたねぇ。
実は全然興味ない演目だった。しかし、いまだにファンが多いというのにも大いに納得。

初演?

当時の私には観劇手段がなかったので、初演は未経験。なので思い入れなく今回観られたのはよかったのかもしれない。
退団公演だった、というのはよくわかるけれども、退団公演で再演しなくとも意外とよかったのでは。
真風氏の進退がいよいよ発表かというタイミングですが、これを再演して退団公演にしなかったのは、初演を特別扱いしたから、ともいえるかなあ。ネバセイで退団できる主演は初演の方だけ!っていうね。
マカゼの魅力にマッチした、思いのほか面白くみられたミュージカルだった。

ヒロインに感情移入しないタイプとしては

登場シーンでわりとイラっと来るヒロイン(笑)、キャサリン。ハリウッドに乗り込んできた新進劇作家がハリウッドをバカにするとは、なんたることだ。
大衆娯楽の何が悪いのだ、タカラヅカでそれをいうかーぃ!と突っ込みたくなるほど登場シーンはハリネズミのようなとげとげしい女。離婚したて?でしょうね。
自分の脚本を勝手に直されたことによる激怒はわからんでもないが、その時代のそのアメリカのそのハリウッドで求められる役割を仕事として出さねばならないわけでね。ここでギャンギャン暴れる彼女ってのがどういう女かって描かれることで、のちにジョルジュと行動を共にしたいという強い意志を持った女と…いうのはわかるんだが。

スター女優エレン(天彩峰里)はうまかったですねぇ。潤花のキャサリンもだし、エレンの天彩峰里もだけれども、欧米の女性をとっても自然に美しく演じますね。
男役がスマートで高身長なのに対し女役もスタイリッシュで本当にみんな魅力的。

エレンと写真家ジョルジュ(真風涼帆)は、冒頭時点でがっつり深い仲ではなかったと思うの。でも会うたびに艶っぽい言葉遊びはしてたと思うし、エレンもどこまで本気だったかはわからない。でも彼女素敵ねえ、スター女優ねえ、とみていたら、潤花キャサリンが出てきたとたんに彼女がヒロインで、エレンは脇に追いやられる。その感じがとっても伝わってきた。何よこの女!っていうエレンの気持ちが。
潤花の魅力でありちょっとイラっとするのがまさにこの「圧倒的な正ヒロイン感」であり、彼女の登場で追いやられる側からすると、癇に障る女!なわけ。

でそんなヒロインと2度目にあったときにするする口説いて落としてるジョルジュ真風。さすがの包容力というのかさすがの色男ぶりというのか。本当にお似合いな主演カップルだ。

次々と楽曲がいい

宙組もまた、誰が歌ってもうまい!安定しているしコーラスは素晴らしいし、ミュージカル観るならこの組じゃなかろうか全組ミュージカルやってるけれども。
ヅカ以外のミュージカルではなかなか真似できない息の合ったハーモニーが心地よくて、この作品に必要な力強さもあって、画面越しだが堪能した。
ワイルドホーンさんってのはミュージカル楽曲の技術が本当に高い人なんだろうなあ。ネバセイといえば「One Heart 」なんだろうけれども、私は他の曲にお気に入りをいくつもみつけた。
あの、髭が真ん中に出てきてみんなで歌うところ…(うろおぼえ)あそこよかったねぇ。

これもまたおとぎ話

話の筋というか、展開自体は実にドラマチックで…メロドラマ的というのか、タカラヅカによく似合うというのか。これを観に来た人の欲を満たす作品だよねぇと感じた。
感動的なのかもしれないが、物語の入り口ですでに世界的に有名な人気カメラマンであったジョルジュが、カメラの代わりに銃を持つシーンには考えさせられた。
現場では銃を持たずしてその場にとどまることはできなかったろうが、彼にできたことは一兵士になることだったんだろうかね。せっかく世界的なカメラマンなのにね。
スペイン内戦というデリケートな問題もロマンチックな舞台にしてしまうタカラヅカは毒だなあとも思う。

布を振ればファンは満足か

フィナーレは非常に美しかった。天彩峰里が真風涼帆に寄り添ってあの「男役ガフルトカッコイイ布」を受け取って銀橋に送り出すあたり。娘2なんだなあ。
ちょっと前の月組ではトップ娘が美園さくら、娘スゴツヨ2が海乃美月で、海ちゃんがあんな風に珠城りょうと「男役ガフルトカッコイイ布」の受け渡しだのやってたらキー!さくらちゃんを尊重してよね!なんてちょっと思ったかもしれないが、なんだろうこの宙組の場合だとむしろいい。
星組でも観たくないかも。あそこの娘スゴツヨ2もスーパースゴツヨなので、舞空瞳ちゃんをもっとちやほやしてよね!てなったかもしれない。宙組でそのハラハラ感がないのは、天彩峰里が娘2として前月・現星ほど配慮されていないせいかはたまた長期トップ・マカゼの包容力のせいか、娘1潤花の超・陽オーラが影をおっぱらっているせいか。
なんにせよ、観ていて安定感のある組である。


この公演、東京で生観劇できるのは来月か。今から楽しみであるし、この良い舞台が宝塚大劇場で半分も上演できなかったことは惜しいものの、無事開幕できてなによりだったと思う。


にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村