隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

父の言葉と、エンタメとの付き合い方

先日、久しぶりに会った父に「円安はまだまだ終わらないかね。というか、円がまた上がることはあるのだろうか?」ときいてみたところ「円は弱くなったから、強くなる要素が何もないから、もうあがらないよ」と一刀両断だった。
そのあとに続いた父の言葉は大変面白かった。
「だって、この前アメリカの大統領がサムスン半導体工場視察したでしょ?日本は?あのときの来日で米の大統領が視察した工場あった?」
「韓国のさ、ほら、B?BTSホワイトハウスいったでしょ?日本のアイドル誰か招かれたことある?」

父「日本人ってなんとなく韓国や北朝鮮より進んでるとか、上とか思ってるけど向こうのほうがずっと上っていうか、世界に向けていろんなものを作ってんだよ。日本はずっと自分たちのシマの中で勘違いしてる。かなうわけない。そんな国の通貨が世界に対して強くなるわけなんかない」

ウーン、その通りなのかも、と思った。大体、日本のアイドルの名前なんかろくにおぼえたことのない、もうすぐ傘寿だねなんて言ってる父が「BTS」は覚えてることがもうすごい。こと芸能人やカルチャーに関しては、それに興味がない、ファンでもない人間に認知されることが本当の人気と思う。

知っているのに知らない謎のムラ

昔から不思議なのは「タカラヅカ」といえばみんな知ってるのに存在以上のことは驚くほど知られていないこと。誰もが「ああ、あの女性だけの」「羽根の」「●●●●(芸能界で活躍中の元OGの名」の」と誰にでも、老若男女に通じる存在でありながら、じゃあいま現役のトップスターは誰か?となると観劇未経験者にはほぼ、まったく認知されていない。
テレビでお受験を追いかけるコンテンツは大人気だし、テレビ芸能界には「元宝塚」はいまだにブランドにもなるのに、知っているようで知らないのは、なんだろう屋久島の屋久杉 みたいなもんか(わかりにくいたとえ)。

誰でも知っている観光地…なんだけどなかなか行けない…実際には見たこともいったこともない人が多い…みたいな。

宝塚大劇場=遠い 東京宝塚劇場=大多数の日本人にとっては東京も遠い …という事実と「劇場」という場所自体の心理的距離感は生活習慣や育った習慣によって、本当に人によって違いがあるものだ。テレビやアニメやゲームよりも深く日本人には根付いているはずの劇場芸術は、やはり生もの、一期一会の参加型の文化である。そして観るには映画鑑賞の何倍かのお金がかかるというコストの面が、実は、いまや本当に、多くの人にってタカラヅカを含む「劇場」が自分の人生から少々遠いところになってしまった大きな要因かもしれないと思うとちょっと寂しい。しかしこんなにも貧困だの、給料が全く上がらないだのというのが話題にあがる現状の日本では仕方がないのか。

それにしても、認知度に比例しないクローズドサークルタカラヅカよ。
結局のところ、全国的に日常的にテレビでみかけるかどうか、なのかなぁ。ネット社会といっても認知度ってのはいまだにテレビに左右されている。望海・明日海両名だって、NHKで歌うことの評判・反応・関心は、卒業後のあらゆる活動の中で最も大きいものであったわけで。
「現役ジェンヌ」の一般認知度が、トップスターですらほぼ知られておらず、創業者一族直系の娘や昔の女優の親せきといった、親の七光り付き若手ジェンヌでなければマスコミに取り上げられルない、首都圏に住んでいるとそんな微妙な取り上げらればかりなんだけれども、関西エリアはもっと露出あるんだろうか。
スカステができちゃったからレギュラ―出演のテレビは、スカステだけかな? 

そんな暇はないし隙間はないし

現役ジェンヌたちがここまで舞台に忙しくするんじゃなくて、常にひと組ほど外部活動できる舞台休眠期間があれば、その間にテレビやラジオや雑誌のインタビューやといった仕事をとってきて、やらせて認知度をあげて ということができるかもしれない。
ところがそんな暇はないし。舞台人の彼らにとって本業のタカラヅカの舞台が優先なのはいうまでもない。大昔はともかく。
ひと昔まえに、現役にして超若手娘役がNHK朝ドラ主演しその後トップ娘役になったが、企画は悪くなかったと思うのに予想以上に内外に軋轢を生んでしまっていたっけ。
朝ドラ、私は観られない生活なのだけれども、そんな私であってもいまのジェンヌをみていて、つい「この子朝ドラ主演したりしたらめっちゃ人気出そう」とか思っちゃう。潤花の朝ドラとかめっちゃよさそう。わかる。

でもほんとのところ、「住み分けができない」というジレンマがありそうだなと最近とみに思う。
現役ジェンヌが広告を背負って、例えば有名なVISAのように、例えばTVCMが都内在住でもよくみられるダイキンのように、ちょっと露出するのはOKなんだろうが、現役ジェンヌが有名雑誌の表紙を飾ったり、今以上に何かのモデルにもっと出てしまうと…OGの仕事を食ってしまうかなぁと思う。
OGは、現役ジェンヌの多くの未来の姿でもあるので、仲良く住み分けて行きたいところだろう。

トニー賞にて

今年のトニー賞授賞式をWOWOWで視聴していた。ミュージカルの本場、なのかな?あちらはなんというか、難しいテーマを娯楽に昇華しまくっている。
女性の地位うんぬんどころか、ジェンダーとか人種とか。ノミネート作品のどこにも、おフランスなドレスを引きずった作品はないし、ファントムも黄泉の帝王もいない。
それはそれで、答えの出ない難しい問題ばっかりをミュージカル上で観たいか?っていうと、うーんだし。もっとお気楽ウキウキ娯楽作品に昇華されているものを観たいなって思うし。
でも古典名作だって現代新作だって、結局のところテーマは愛でしょ。ほぼ。差別に敏感な国の舞台エンタメの最前線がトニー賞なんだとすると、日本は差別に鈍感な国であり、またその鈍感さがいい方向に働いて、童話のような舞台が実現可能なのかも、なんて思ったりする。

なんでネバセイだったか

発表時は退団フラグかと思われた宙組ネバセイは、終わってみればなんてことない初舞台思い出公演であった。
しかし、どなたかの感想でだったか「外部に売り込みたいがための、営業目的の再演だったのかも」なんてご意見を目にしてなるほどー!なんて思ったり。

宙組ハイローや星組ルスダン、月組公演「応天の門」なんてのもそうだが、タカラヅカもふたたび原作付き作品で話題と客を呼び込もうとしているっぽい。一方で、宝塚歌劇オリジナル作品がよその何らかのジャンルで上演されたりアニメ化したりマンガやドラマになったことはない。
ネバセイは音楽もとっても海外ミュージカルだし(作曲者がそうだし…)、海外を含めた、外部へ売りたい・売れる作品ナンバーワンかもしれない。
国内ではたぶん厳しい。タカラヅカ並みの規模の劇団がそもそもない(四季がヅカ作品なんて絶対やらないし)。予算もないよねぇ。おまけに海外ミュージカル界にはネバセイみたいな作品は全然、目新しくないと思う…。

もし海外にパッケージで売るなら、やっぱり宝塚のショーみたいなオリジナリティ満載のもののほうが価値は高いように思う。でもそれは無理というもの。
タカラヅカは男女の愛は描いても性は描かない。レオタードでロケットで足上げですらセクシーさは出さない。「それも女の魅力よ、否定するもんじゃないわ」って思わせてくれた作品、仙名彩世のエイトシャルマンくらいじゃない?「女だけがやっている」が面白さの主軸だが外国エンタメからみたら、何らかの差別問題にひっかかりそうである。

新規を呼び込んだところで…

雪組シティーハンターのときもちょっと感じたものだけれども、今度の宙組ハイローなんか特に、ハイロー原作ファンがチケットとろうとしても大変厳しいのではないだろうか。市場に出回る頃にはチケはすべて友会会員が買ってしまっているし、貸切公演は情報をいち早くつかんでいないと募集が終わっているし。
そしてそれらにチケが出回るもっと前に、非公式ファンクラブががっつりおさえているし。初日の幕が開いて、それがスポーツ報知とかの記事になって、それをみたはじめてのひとが「へえ、面白そう」と思った時点でなんにもないわけで。
チケットが余るのは劇団は望まないし難しいこと。でもやっぱり、次の100年を生き残るには……もう、「非公式」ファンクラブの存在は限界が来ているように思う。公式がジェンヌのケアも含めて予算を割くべきだよなぁ。すべての舞台にチケットさばき問題はあるんだけどさ。

リピーターが強い

ミュージシャンのライブコンサートとヅカのファンは近い。どちらも公演に全部行こうとするし地方遠征も普通にやろうとするから。劇場芝居が映画と同じようなもんだと思っている人間は、4回も5回も劇場に通う人の感覚がすぐには理解できない。でも自分のアイドルに会いに行く行為ととらえなおせば、全部いきたいわけよね。私も、多くのファンがなんだかんだ実践している、7回も8回も劇場に通う行為が、観劇はじめたばかりの頃はなかなか理解できなかった。
映像観劇時代は、そもそも劇場の存在が遠すぎて観客席にどういう人がいるのか、なんて想像したこともなかったし。

何度も通うほど好きになると楽しい。
人事の話題は予想外なことが時々はおこっていたほうがファンをひきつける。
ファンの中にさらに特権的な会がある構造が面白い。
現役ジェンヌの一般認知度が低いことに逆に価値や魅力を感じる。
本当か嘘かわからない噂をネットで眺めることを、ついやってしまう…
ジェンヌ同士の関係性などをながめたい。

そういうの、全部ファンとしての楽しみなのだろう。舞台をただ観るだけに、どうしても、とどまることがない。

でも一番楽しいのはやっぱり、「初めて舞台を観ること」
これなんだよね……。