隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

コロナと物価高と舞台製作事情

つい先日、知人が製作に絡む舞台を観劇してきた。中劇場作品でかなり凝った演出に感動した。
舞台装置はよくある白い壁とか白い箱を組み合わせて場面転換するやつ…に一見思えて、実は大変意図的にそれらを使い随所に工夫がされていて、映像や光、照明を上手く組み合わせた、大変に斬新な見映えであった。というか演出上の映像の巧みさでいえば、ヅカの舞台でよく使われる映像の多くよりも上であったなぁ。ハイローやアナスタシアなど宙組公演の映像演出はどれもいいけど、ときどき…いまいち…なヅカの映像演出。たぶん、あの舞台がでっかすぎてちょっと難しいんだろうな~。

で、まあその知人の舞台で聞いたビックリな話。

劇団存続の危機

充分に人気の劇団である。固定客も沢山。けれどコロナで長らくまともに公演ができず、懐事情が厳しくいよいよ本当に本当の存続の危機だという。チケット完売しようが、やっぱりグッズ製作してそれを買ってもらわないことには、利益にならないそうな。

この「利益はグッズが大きい」件は、たとえばドーム規模でライブやる人気ミュージシャンでも同様らしく、こうした状況じたいは昔からよく聞く話だけれどもしかし、その後にとびでてきた現状のお話に驚き。
「舞台の骨組みや装置の大部分の素材である木材の値段が、コロナ前より3〜4倍なことも」
という。
倍なんてものじゃない高騰っぷりなんだそう。
そういえば、その公演のチケット代もヅカのS席ほどじゃないにしても、それに近い値段であったな。確かコロナ前から数千円上がっている。
それでもギリギリなのだろう。
私の周囲には、値段が高いからというごく単純な理由で劇場に行かない層も一定数いるし、モノの値段というものは本当に難しい。適切な価格でも、価値を決めるのは主観や偏見だったりしてしまうわけで。

多分豪華さピカイチのヅカさん

新作主義のタカラヅカ。再演の場合も何十年か前のものであったりして、去年の新作を今年も…なんてことはけっしてやらない。なので基本的に倉庫を圧迫することしかしない大道具に関してはほぼ、都度作成し、その際に使う材木などは惜しみなく解体して再利用しているものと思う…のだけれども。

タカラヅカばかり見ていると忘れがちだけれども、あんなに舞台が回ったりセリが色々あがって、その都度舞台装置も早替えして…なんてことを日々やっている劇場はそうそうないのではと思う。

私は小劇場作品も観るけれども、やっぱりのっぺりした四角い箱と板を机や椅子やに例えて…みたいなものよりも、凝った造りの舞台上を観るのが好き。
歌舞伎を観るときも細かい家財道具や奥の床の間をみたり、後ろの風景の展開とか、そういった大小の装置、そこに散らばる小道具なども、舞台の大事な楽しみのひとつだと感じている。
最近ではロマ劇の、あのアパートの部屋は色々凝ってたなぁ、と思う。

実はお衣装は外注

タカラヅカといえばあのお衣装。毎回新しいお衣装と既存のものをうまく混在し、時に各ジェンヌの身体に合わせてつくったりと、贅沢なことをしているのは、華やかな衣装があってこそ舞台が映えるからだと、それはもう毎回感動するポイントのひとつ。

全部お衣装部で作っているものと今まで思っていたけれど、実は外注先がいるのですね。大阪の老舗の有名な会社さんなのかな。特殊といえるあの燕尾などを作られるには、こつを知っている職人技が必要であると思うし、それらが今後も継承されていくといいな、なんて思う。
舞台衣装って実はいろんなパターンがあるのかもしれない。タカラヅカの番組では、衣装部の紹介ばかりで、全部内部でと思われがちだけれども、豪華豪華と評判をとっている雪組蒼穹の昴」も衣装は外注やレンタルもあるそうな。
餅は餅屋。あんな特殊なお衣装や髪飾りを借りられるのならそれに越したことはない、とも思う。内製が絶対正義ではあるまい。
ときどき日比谷シャンテに展示されているお衣装、寸法がとんでもないなとは思う。大体みんなほっそいの。

そういえば以前仕事で、展示会に出展する際にコンパニオンを入れるのに、オリジナルの衣装を作ろうってことになって、それはレースクイーン程じゃないがそれなりに体の線がわかる衣装で。マーケティング担当が「イベントコンパニオンの体型って一般人のスリム体型ともちょっと違うスリムさだから、それがわかっている制作会社があるんだよ」と教えてくれたことがあった。
誰でも着られるように緩めに作るわけにいかないのである。見映えが違うから。タカラヅカのお衣装のあの細さはやっぱり特殊だろうなぁ…。

男役スターが大階段から降りてきて魅せるシルエットもスマートで美しいけれど、そのあとに、デュエットのために1人降りてくるトップ娘役が最高に美しいラインをシルエットで魅せてくれるじゃない。あれ、本当に綺麗で毎回ため息がでるけれども、その美しいラインを作っているのは娘役の細すぎるスタイルとそれをなぞる美しい衣装なんだな。
夢の舞台とはよく言ったもんだ。





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