隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

雪組『蒼穹の昴』を観た。清朝はややこしいがそこがいい

壮大な小説をギュッと一本モノにしてドーンと予算と専科突っ込んで他には真似できぬ舞台になったよ、という、現雪組の本命公演と名高い「蒼穹の昴」を観てきた。チケットが一枚しか取れなかったので最初で最後の生観劇となり、トップ娘役朝月希和ちゃんを生で観られるのもこの日が最後となった。すばるの星のように綺麗だった。

最初に、私の知識は…

原作は知らない…。
ただ浅田次郎先生が大変な清朝時代の研究者というか、大ファンというかマニアというか愛のある方であり、何度も何度も紫禁城故宮博物館にも足を運び、確か今年、紫禁城の一角に見つかったというか、解明された乾隆帝時代(だっけ)の、国中の不思議な奇岩で出来た岩の庭園や初めて内装が明らかになった部屋を再現したNHKのドキュメンタリーにも出演されていて博識ぶりをチラ見せされてたのを、私は観ていた。

この4、5年か、日本でも中国歴史ドラマブームもあり清朝紫禁城を舞台にした名作大河ドラマも沢山あり、私もそのいくつかを観て圧倒されつつちょっとした知識を得ていたりもしている。たぶん、多くの人もそんな感じではなかろうか…。

なので、舞台装置をうまく使っての紫禁城の場面演出は素晴らしかったし、紫禁城だけではないどの場面も隅から隅までたのしめた。観るだけで豊かな気持ちになれることは、観劇の大事な魅力と思う。華やかであることは舞台において大正義!

ヒロインが4人いる

観劇に際して、ネット上のファンの方々の感想は色々チラチラ楽しく読ませていただいていたものの、あんまり予備知識なしでみようと思って。
※でも一か所、阿片屈の場面の意味を和希そらが解説していた言葉は覚えていてよかった。
観ていて思ったことは、まあタカラヅカスターシステムってものは、こんなところでも「枷」になるよな、ということ。
配役にしろ娘役の扱いにしろ、舞台・芝居をよくするためには最適な作りをしたいだろうが、スターシステムに配慮して演出したりを考えるとちょっと、観ているこっちが配慮して感想を持たなくちゃならないような気になってくるところがね、あるなぁと。

序盤からの主人公は、李春児(朝美 絢)。京劇シーンをピークにその後はスッと脇役になっていった。
中盤から後半にかけてようやく、梁文秀(彩風 咲奈)が主人公らしくなってきて、最後は真ん中にたつ大河ドラマの主人公だった。このキャラ、科挙を首席で合格するってことははっきりいって天才というより異能者のレベルで驚異的な頭脳を持っているという人っていうことなんだよね。

昔、藤田あつ子先生による煌如星シリーズの漫画でその辺のことを学んだのでそのように捉えた。なお煌如星シリーズは清朝を舞台にし、絶世の美少年 煌如星(こうじょせい)が15歳で科挙に状元(じょうげん=トップ成績)で合格し官僚になり、殺人事件の謎解きなどをするという読み切りミステリ仕立てかつ中国古代の様々が学べるという最高にイカした漫画なので、今回、蒼穹の昴での装置も衣装も流用できるしすごくヅカで舞台化できる面白い漫画なのでは…とちょっと妄想している。

まあそんな、異常に頭がいい主人公は、だからこそ余計なことをしないしバカなこともしないので、中盤まで受け身にみえてしまった。これは仕方ない。だが咲ちゃんの最高のビジュアルがその分の穴埋めをして解決していたと思う。立っているだけで目立つし、どこのラインも美しい。本当に圧倒的ビジュアルであった。

で、そんな主人公に対して、私の観劇中に感じた限りでは、ヒロインが

西太后(一樹 千尋
・光緒帝(縣 千)
・李春児(朝美 絢)
・李玲玲(朝月 希和)

と、いっぱいいたなぁ…と感じた(性別不問)。

顔以外を顔以上に褒めちぎるときがやってきた

私は一部のあーさファンが嫌いである。なぜならSNSやらに彼女の写真を無断転載しまくるから。あれは本当によくないことなので、そこがとっても嫌。
何故愛するスターの権利を侵害するのか。そういうところだぞ。

で、あーさ自体に対しては、オラ芸に走る彼女(彼女だけではないけれど)は全く好みでない。歌のクセも好きじゃない、んだがコーラスはぐっとキレイなんだよなと今回改めて思った。
あとあのビジュアルイメージからの配役…、確かに黒い天使もやんちゃなハイスクールボーイも似合うんだが、魔法使いとか狐は全然好みではなかった(演目が)。
今まで一番好きだったのはワンスのキャロル。男役10年過ぎてのあの大きな女役、柔らかそうなフォルムが完璧で三白眼のクソ彼氏ともお似合いでとっても良かった。

でも今回の李春児役こそこれまでで一番のはまり役、当たり役ではなかろうか。
ぼろをまといながらの登場シーンからずっと目にいっぱい光をいれてキラキラさせていて、その愚かで弱い存在こそがいとしさを感じさせる貧しい子のなんとまあ。
なんとまあ、はまることか。単なる成り上がりではなく、宦官になって成り上がるあたりがまた、これは浅田次郎先生のキャラ設定がすごいところであり。
宦官姿も様になっていて、元々小柄で女っけの強い外見が役にも大いにプラスで。
彩風 咲奈の梁文秀といい感じに対照的な外見とキャラで、引き立てあっていた。


他にもたくさん、見どころはあった。見どころはあったんだよねぇ見どころは……。


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