隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

パリ・オペラ座。定年と年金問題

私の家族は、私のきょうだいが留学した時に親友となったフランス人一家と家族ぐるみで交流がある。
そのフランス人一家はパリ在住。家族でうちの実家に遊びにきたりも何度もしているのだけれど、さすがにコロナ禍で交流はオンラインのみ。
最近、パリはデモあるよ〜という近況が届いた。

以前彼らから聞いた話で、フランスの国立であるパリオペラ座バレエの定年は42歳、公務員扱いだけれども、定年の42歳から年金もらえるんだよと。
この若き定年とそこから生涯貰える年金の制度はルイ14世が作ったのだと。さすがおフランス

昔は男女で定年の歳がちょっと違ったそうだけれど、いまは男女ともに、ダンサーの定年は42歳。公務員の中でも特別に定年が若いけれど日本円で月に13万ほど(ユーロのレートで前後するけど)の年金が支給され、それを足しにしてセカンドキャリアやセミリタイヤ人生へ進むんだそうな。でももちろん、全員が定年までオペラ座で踊れるわけではないと。

このフランス年金問題は、数年前からフランスで大問題になっていることが心に引っかかっているので自分のために思ったことをメモ。

私が知らなかったこと

たまたまニュースをみていたら、目下フランスでは、年金受給年数引き上げを大統領が議会で強行採決したことで、市民のデモが多発しているという(2023年3月の記事)。
www.sankei.com

パリオペラ座バレエが、この年金問題について踊りで抗議していたニュースが過去にあった(2019年12月の記事)。
www.cinematoday.jp

欧州の年金制度については詳しく知らないけれどもニュースによると、欧州各国はどこもみんな65歳から受給開始にしているが、フランスは62歳だった。不景気を理由にフランスが2年遅らせて、受給開始を42歳で舞台から降りねばならないオペラ座のバレエダンサーたちも含め一律64歳にしようと動いてから、フランスは反対の嵐で大騒ぎ。しかしこのほどこの法案を無理やり通したのでフランス国内はデモ多発のニュースになったと…。

日本人からしてみれば、年金受給年齢開始が64歳なんて羨ましいほど若いよ。

曖昧な歌劇団

ふと思ったんだけれど、音楽学校に入学する=歌劇団に入る なんだけれどももちろんこれは絶対ではない。
宝塚歌劇団に入団するには専用の音楽学校への入学と卒業が必須条件だが、
あの音校に入っても必ず歌劇団に入団できるかっていうと、そうではない…。

けれど、音楽学校に入学する時点では、生徒側も学校(歌劇団)側も、お互い入団(就職)内定くらいの気持ちなわけで。
しかしながら未成年を含む生徒たちは、一体いつ入団の際の就職の給与を含む諸々の条件や福利厚生を知るのだろう…。

芸能人はピンキリ

パリ・オペラ座は国立なので公務員扱いだから、給与情報もある程度公開されていた。
いちばん下っ端で、日本円にして月20万台、いちばん上の主演ダンサーたちであるエトワールは日本円にして月45万円〜ていうところらしい。
バレエ業界の世界的な、給料の真ん中ラインは年収300万というけれど、ダンサー人口も多いしピンキリでしょうね〜。

よそはよそ、とはいえ

タカラジェンヌのセカンドキャリアは元トップの称号を得ていてもなかなか困難…とはよく言われるけれど、メディアに露出する部分だけをみれば過酷な椅子取りゲームであるテレビや舞台の世界に入るのだからこれは当たり前のことで、そもそも、興味ない人間がみたら、◯KBアイドルの元センターがグループ卒業後パッとしない現象と、何ら変わらないわけで。

でこれ実際パッとしないわけじゃなくて、あくまで、それまで立っていた舞台が特殊だっただけであり、周囲の関心も実際は、たいして変わってない、と私は捉えている。

ほんのひと握り以下…10年とか20年に1人、テレビで大活躍できる国民的人気と周知を得る元ジェンヌが、たまたま、出ることがある
ていう認識の方がたぶんあっている。

セカンドキャリアというけれど

フランスの場合、ストを強行したオペラ座バレエによる損失が14億とかになり、フランス政府は
「年金受給年数は64歳に統一させるが、その代わり一定条件を満たす42歳定年のダンサーたちにはセカンドキャリアのための職業訓練支援をおこなうよ」なんていう案を出した。
これが大不評。

法案は強行採決され、今後数年かけて段階的に施行していくみたいだけれど、このニュースをきっかけに、色々調べてみても、スポーツ界も音楽界もバレエ界もそしてミュージカルを含む舞台の表側も裏方側も、セカンドキャリアの前にそもそも、ファーストキャリアを構築することがまず難しい。

歌やダンスで生きていくことを、これからの世の中はどこまで許容するのだろうか。
タニマチ文化もいつまでもあるまい…
とりあえず私は、観たい舞台のチケットを買いつづけることしかできない。



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