先日公式リセールで幸運にも手にすることのできた、桜木みなとプレお披露目、『ZORRO THE MUSICAL』を観てきた。
東急シアターオーブはアクセスしやすくてよい。ただ渋谷駅周辺はただでさえ方向感覚を見失いやすい上に大工事が佳境のようで道が変わっているために、
「駅周辺のあそこにちょっと寄るか」なんて思うともう、どちらへ歩き出せばいいのやら……。
似たようなおきれいな高層ビルをいっぱい建てていて、どのビルもグルメ+ちょっとラグジュアリーな商業フロア+オフィステナントって構成なので、なんか、なんだかなと思う。
全員MVP
先に全体的な感想を書き記しておくと、「そういうオーディションで選ばれしキャスティングだったに違いない」と確信するほど、全員歌えるし踊れるし。
役名はあるものの観客席で事前チェックなしに観ている分には、群衆の女性、群衆の男性 というモブ役にみえるそのひとりひとりに何か所もの歌のソロがあり、それが全員うまい。
外部公演のミュージカルを観ているみたい、という感想を見かけたけれども、それはこの、主演以外にも全員の見せ場となる歌唱やダンスシーンがしっかりある見ごたえのある
構成だからだろうな。
とりあえず歌って踊るか~
なんでこの芝居、カリフォルニアを舞台にしたんだろうね…?ってくらいにフラメンコ!フラメンコ!
終始素晴らしいフラメンコギターが生演奏で奏でられているけれども、演奏者ってこのための外部の人だよねきっと。このギター聴いてるだけで幸せになる舞台だった。
すっごいかっこよかった。
元々がロンドンで好評上演された海外ミュージカル作品ということで、見どころ・客寄せのネタが盛りだくさんのフラメンコシーンなんでしょうね。
どっちかっていうとフラメンコが主役な舞台だから、演者しか興味ないタイプの観客が多いタカラヅカ界隈では「フラメンコ多過ぎィ」という感想になってしまうの理解できる。
調べると2011年にV6坂本氏が主演で東宝で上演履歴あり。当時の記事によると、「物語の語り部の老ジプシーが」なんて書いてあったけれども、ヅカ版に語り部が語る構成はなかったし、なくてよかったんで、タカヤの潤色が効いたのかな。
本家でもやってよ
本作をみながら、ときどき「本家ヅカのオリジナルも、これくらい主演以外を活躍させればいいのに」って思いが、ときどき…いや頻繁にその思いがこみあげてくるほど、演者全員が生き生きと活躍する舞台構成だった。
全員歌えるというか、全員叫ぶように歌えるので見ごたえがあったんだけれども、普段の本公演ではちょっとのソロですら慎重に選ばれたジェンヌにしか割り当てが許されていないのに気づかされる。
本作ヒロインのルイサ(春乃さくら)と、ヒロインと同じくらい活躍し重要な役でもあるジプシーのイネス(天彩峰里)がデュエットするシーンなんて、ああ、どうして本家オリジナルのタカラヅカ作品は、ふたりの娘役がデュエットするシーンが皆無なんだろう?ってちょっと我に返っちゃうくらい、とてもよいシーンだった。
ラモンの物語
この作品のタイトルロールでもある「ゾロ」であるディエゴが主人公なんだけれども、物語の主役は兄のラモン(瑠風輝)で間違いない。
名探偵コナンとかルパン三世でも、コナンやルパンが主人公でヒーローなのは間違いないが、その話の主人公っているじゃない。コナンでいうと刑事回とか、カリオストロだとクラリスとか。
この話は、ゾロというヒーロー(主人公)ものの、ラモンが主役の話だった。そしてそれを演じきったもえこちゃんが素晴らしかった。
一幕と二幕では顔が変わったように見えた。
一幕ラストで、ラモンはゾロとの直接対決で「Z」の刻印を身体に受ける。
ラモンが「正義と秩序」と主張するのは、舞台開幕直後くらいで、すぐにそれはあいまいになるし、話がすすめばすすむほど本人の矛盾した行動というのか、なにひとつ思った通りにならないから壊す感じが加速し続け、そのスピードがクライマックスに向かっていく様子がかわいそうで。パパは彼が子供のころから「この子あぶないなぁ」ってわかってたくせに、下手過ぎやろ、コミュニケーション…とか、ラモンに同情してしまった。
舞台に大きな月がでて、この影が様々なキャラクターの心象風景を演出するのにつかわれるのだけれども、これを使ったラモンのソロと、ディエゴのソロとでは、ラモンの方が尺も長かったように思う。だから彼の方が印象に残った。そのラモンを演じきったもえこちゃんのソロは圧巻。
正義のヒーロー
桜木みなと演じるディエゴの方が、物語上、掘り下げられてはいない。この辺はなんだろう、「みんな~ゾロ、知ってるよね~?」って前提で作られたミュージカルだからだろうか。
ディエゴがつらかったのは、なんつーかこう、あんまり後先考えてなかったからこうなった感がちょっと…ある…。
冒頭で、こじつけのような理由で処刑されかかった市民を助けるには、ゾロの活躍が必要だった。
けれども、助けた後のことをゾロ(ディエゴ)がなんも考えてなったせいで、思わぬ展開が待ち受けていたからヒロインのルイサとも仲たがいしてしまうし。
彼は、「お兄ちゃんがそんなにやりたいなら市長やればよくって僕は別にお兄ちゃんと敵対したいわけじゃない」っていうのが一貫していたために、肝心のお兄ちゃんが想像以上に暴走するタイプだったことに対応しきれなかったのよね。
スペインからカリフォルニアに渡航する間、何日もあったんだから、いったい自分がなにをしにカリフォルニアにいくのか、兄の暴政を自分が止めるということはすなわち何をすることになるのか?ちゃんとルイサの話きいて考えておいていただきたかった。
二幕途中でそんな反省をうながしたくなるディエゴなんだけれども、これをカッコいいヒーローにしてみせた桜木みなとってすごくないか?
ヒロイン更新中
ルイサを演じた春乃さくらは、いままでみた彼女のお芝居の中で一番よかった。
彼女の舞台はいつもうまいなと思いつつも、無味無臭過ぎる魅力というのか、モブ感があるというか、この先どうすんのかなとかちょっとそういう余計なことを感じていたけれど、
間違いなく一番よかった。
カツラが似合いすぎるというか、ビジュアル素晴らしかったな。もちろん歌も、もともと歌うま系だけれども、さらに高め安定って感じ。ヒロイン声で活舌がいいのでとってもわかりやすい。せりふ回しに癖がなく、このキャラにもあっていてとっても魅力的だった。ディエゴとの幼馴染感には萌えた。
あの子役は誰
少年時代のディエゴを演じた美星帆那ちゃんがめっちゃくちゃうまかった!子供役を演じるジェンヌさんは色々観たけれども、本当にああいう少年にしかみえなかった。
幕間にすぐお名前チェックしちゃった。みたことあるお名前だとおもったらカジロワで新公初ヒロインとった105期生(また105期!)だったんですねぇ。できる子多過ぎ105期。
あのジプシーは誰
割と最初の方で、木魚みたいな変な楽器を座ってカンカン鳴らしてた男役は、誰だったんだろう。市民運動になってトーチをもって群舞するときの一番下手側でトーチ持ってた男役が同じ人だったと思うんだけれど(ちがうかなぁ)。
あれはだーれ めっちゃいいんだけど~ のひとりは間違いなく泉堂成くん。でもほかにも、あの子は?あのジプシーは?となったね~。
あのガルシアは誰
外部ミュージカルの恩恵で、主演以外もいっぱい見せ場があるから観ていてわくわくする。非常に大事な役、ガルシアもまたよくて。あの子誰だっけ??ておもったら風色日向くんだった。難しいお役を、ガルシアって人物像がしっかりこちらに伝わってきて、彼のことを思わず好きになっちゃうし、彼に訪れた悲劇がまた悲しいし。
大活躍だった。
なんでやプレお披露目
称賛したいポイントだらけで止まらないんだけれども、もちろんずんさくの並びがお似合いだった。こんなに身長差あったっけの並びで、華奢なはずのずんちゃんと、身体が細いからか顔がでかくみえるさくらちゃんなんだけど、並ぶとアラ不思議、お互いの長所しか目立たないしっくりくる並び。
で、今作はラモンの物語だ、と思うくらいの熱演・名演の瑠風輝でしょ。このゾロという作品で各役者の輪郭がとてもはっきりして素晴らしかったのに、この三人を真ん中に据えて新生宙組をやらないなんて、そんな馬鹿な!
瑠風輝の組替えは、ソラカズキのときと同様に活躍の場を与えるための花道だと思うし、星組のもえこちゃんを心待ちにしている部分が私にはあったんだけれど、
この出来の良いプレお披露目公演をみちゃうと、「え。このメンバーで本公演お披露目…では、ない…だと…?」となっちゃった。
とはいえ、週末の配信も絶対みたいし、全員が本当に素晴らしい公演だった。