隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

事前情報ゼロで花組『Goethe(ゲーテ)!』を配信で観た

おお……欧州風味……


よくわからないなりにそんなことを漠然と感じながら、日曜午後は花組ゲーテを大いに楽しんだ。

へえ、開幕、歌からかぁ

ゲーテ個人の半生は知らないし彼の著作を読んだこともない私。ただゲーテって、色んな文芸作品とかに引用されまくってるよな、みんな好きなんだなゲーテって、そんな印象。
いつの時代の人だったのかも曖昧である。
名前から、そういやドイツ系なのかとなんとなく気づき、このミュージカルがドイツ産だとうっすら、なにかでみたような…とじわじわ思い出したころには、ほぼ台詞がなく延々歌っている舞台展開に「あ、そういう作品…?」となった。

時々旋律が1789風味

全編とにかくきれいで、聴いていて気持ちがいい旋律。ときどき1789のロナンが歌ってたようなメロディにきこえなくもないところがちらほらあった気がする。
ほぼ歌なもので、その楽曲にはAメロBメロサビ!みたいな単純な形式ではなかったと思う。だから特にどの曲がよかった!と言えないんだけれども、全部きれいだったなぁ、という印象。
主題歌っぽいゲーテゲーテ!ってのだけ、なんか他と違って元気いっぱいだったわね。それが意外と言えば意外。

感想を書くにあたってゲーテWikipediaで確認してみると、82歳没。若きウェルテルの悩みが世に出たのは25歳のとき。その後、ただの作家としてではなく、政治家や学者や、とにかくマルチで多彩な才能を発揮した生涯であり、70代になってなお17歳の娘に求婚するくらいだったようだから、社会的地位の高い男性あるあるで、いくつになっても自分は30過ぎの男って感覚だったんですかね。子をなした本妻とは、20年籍をいれずに内縁の妻扱いにしていたというし、晩年まで若い女性に恋していた点も含め、実際のところ彼は誰かや何かひとつに執着しのめりこむタイプではなく、自己みたいなものとの付き合いに忙しかったタイプかなぁと想像。

ミュージカルのラストが、自作が評判を得て、自分の力を感じて明るく終わったのも、史実のゲーテの充実人生が待っているからだったのね。

ゲーテの著作に多くの作家が曲をつけて世に出しまくった背景があるからこそ、このミュージカルは全編歌でつづられているのかな、なんて思った。
ただただ歌わせたわけではなく、意味づけがあったのかも、とWikipediaを読んで、自分なりに理解した。

この曲だけは特別だったよ

で、史実とは違ってある部分を切り取って膨らましてとても素敵な青春物語にしていた本作。ヒロイン、ロッテ(星空美咲)をこれほど素晴らしく生かした作品はこの先もそうないのではないかしら。彼女の素晴らしい歌声に耳福!!
登場シーンの、あのパーティ会場的なところでの歌唱は、全編歌でできたこの芝居のなかでもちょっと違った旋律の歌をちゃんと歌わせていて際立っていた。

あれは恋しちゃうわね。

今作をやった花組が見事だったのは、ゲーテ(永久輝せあ)×ロッテ(星空美咲)カップルと、ヴィルヘルム(聖乃あすか)×マルガレーテ(美空真瑠)カップルの対比の良さ。
そのビジュアル面からいっても、無垢(でもだいぶあざとい)なロッテと人妻マルガレーテのキャラ性の違いなんかゾクゾクした。この二人の女性のデュエットシーンがとってもよかった。
こういうデュエットはタカラヅカオリジナルでは実現しないので、貴重だった。美空真瑠ちゃんなんて娘役さん、なんて逸材がいたんだ!! て思っちゃうよね。
105期の男役ですやん。

主要キャラ全員よすぎる問題

すっばらしすぎてくらくらした。このゲーテというか、永久輝花組の素晴らしいところは、若手も含め全員開花してきていることよね。

美空真瑠のイケない人妻感も、その歌声も、聖乃ヴィルヘルムがハマっちゃう感じも全部最高だったし。

ロッテが最終的に手を取った(正解だったと思うわアタシ)侑輝大弥くん演じるケストナー。長らくヅカを観てきたけれども、こんなにリアルイケメン舞台俳優みたいな男役なかなかいないわよ。マジでイケメン過ぎて説得力あり過ぎて、だいや君がいなければ成立してなかったんじゃないかっていう三角関係よ。

侑輝大弥を使わずして何を使うのか?というくらいに、もっともっと活躍していい素晴らしいスターだわ。本来自分の音域ではない男役ボイスでよく歌いきったと思うし、ロッテとの会話がぎゅんぎゅんでしたね。

あの、ロッテに好きなものをたずねたら、なにひとつわかんなくって、「べんきょうします!」みたいな会話のとこ、もーーーー!満点!!スキ!いい男!
仕事ちゃんとしてて資産もあって親世代の受けがよくって結婚したい女性に寄り添える男。ロッテちゃんは彼の手を取って大正解と思ったわ。
ゲーテの手を取ってたら、同じヴォルフガングの手を取ったばっかりに「ダンスはやめられない~」て歌う系になった可能性あったわ。

で、悪魔

最近、東宝エリザみて、活躍しているOGたちを間近でみたなかに、タカラヅカでは路線にのっからずに早めに卒業し、外部舞台で大活躍しているOGたちがたくさんいて。
それがまた、確かな経験と技術に裏打ちされた、ぽっと出には絶対真似できないクオリティの素晴らしい舞台だったもんで大感激したんだけれども、そういうOGさんかと思ったよ、
メフィストフェレス役の夏希真斗くん。これまた105期!!!

え、105期ヤバ。

長い手足に、説得力のある小顔に歌、目線ひとつとっても非常に繊細で、強烈なインパクトでしたわ。こういうお役を、残念ながらタカラヅカオリジナル作品では、若手に振ることが困難であることはきっと、中の演出家にとっても歯がゆい制約のはず。この役をとった彼女の魅力は私の心にも強烈な印象を残した。オイシイ出番であったし。

なによりも聖乃あすか

観るたびに魅せられていく役者である。彼女を贔屓する人が、彼女の同期を下げる発言をしがちなのが歯がゆいんだけども、彼女を誰よりもアゲアゲに褒め称えたくなる気持ちはわかり過ぎる。
永久輝せあを花組トップにしたのって大正解だよなと思うのが、この聖乃あすかの魅力を毎回倍増させる構成というか、お互い相乗効果で、美咲ちゃん含めトップ3人トリデンテが、毎回違って毎回いい美の暴力になる。なんだろうこの三人、ケルベロスか?

何をやっても○○ みたいな役者のタイプと、○○の××(役名) みたいな役者のタイプと、○○が××(役名)になっている…!ていう役者のタイプと、なんか、3タイプいるかなぁと思っている。
この3つは優劣ではなく三つ巴で、それぞれの魅力の光と影があると思う。

何をやっても○○系は、月組系ですかねぇ。ちなつさんもだし、れいこちゃんもそうかな。たまきちは○○の××系だったと感じている。
○○の××系は雪組系。だいもんはこのタイプと感じていた。みりおさんも。みっちゃんも。
○○が××になっている系は、ゆりさんやまゆぽんというちょっと一線超えている人はもちろん、トップ系だと私の中ではちぎみゆ。咲妃みゆは組んだ相手の力を何倍にも引き上げるすごい娘役さんでしたわね。

まこの辺の分類は作品でも違って見えるから、あくまで今現在思い付くイメージ。

んで花組のいまの、ひとみさ+あすかちゃんのトリオってのは、この芝居タイプみたいな、役者の魅力の方向性みたいなのが一致しているというのかわからんが、コスプレに説得力があり、カメレオン役者的なうまさもあり、すごい、「観やすい」みたいな親和性があるように感じる。

永久輝せあのうまさ

今回のゲーテ役はわりとこじらせ系かとおもいきや、ゲーテというキャラの人生の青春の1ページであってこのキャラの残り人生のページ数が分厚いことから、なんかこう、隠しきれない陽キャ感みたいなのがあるわけよ。ゲーテというキャラ自体に。
で、こじらせ系がハマるしうまいひとこちゃんなんだけど、もうそういう役は履修済みで今さら繰り返す必要もなかったわけ。そこにきてこの、根っこは陽キャというか恵まれ充実人生キャラであるゲーテを演じたことの意義がデカい。

新たな魅力、全編歌の難しい舞台をこなした体力・実力を示し、ひとこちゃん花組の充実シーズンを見せつけられた。
今の花組は確実に面白いし魅力的だし、別班極美チームと合流した次回本公演への期待がうなぎのぼり。素晴らしいプロデュースではないだろうか。

そんな自作が、歌劇団のこじらせ秀才女子たちによる和物とショーの二本立てでしょ。ンモー楽しみでしかない。






にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村