公演の発表があったとき、「ダリかぁ」と思った。ダリと言えば……有栖川有栖先生著の「ダリの繭」、懐かしいな、ずいぶん再読してないな……。
まゆぽんがヒロインときいて
瀬央ゆりあ主演の舞台を観てみたかったので配信は楽しみにしていたが、開幕直後にSNSでまゆぽんがヒロイン枠ときいてテンションアゲ。
スチル写真の美をみてテンションアゲアゲ。
そりゃあわくわくしておりましたよ。
黒髪+あのデザインの冠を身に着けてビタはまりする日本人選手権やったら永久に1位だと思う。さすがまゆぽん。
あのシャカリキは誰だ
終始舞台のほぼ真ん中で目立ちまくり活躍しまくっていたのはジョーカー・ナルシスを演じた華世京だった。彼女を売り出す作品にも思えた今公演。
どこへ出しても何をやらせても恥ずかしくないドヤ!!て感じの、雪組の次代の顔ですわねぇ。
入団当初から注目だった彼女だけれども、顔の美しさなど、どこが似てるとかは言えないけど、美しい舞台姿に天寿さんを思い出しましたよ。白いメイクが似合ってましたねぇ。
赤い諏訪さきもとてもよかった。彼女はいつからかいわゆる別格ロードへ進みましたが、とにかく見るたびにうまくてうまくて、ほんとうにいい役者さん。
娘役さんのなかでは、やっぱうっめぇな、ちょっと別格にうっめぇなと思えるのが音綺みあさん。ちいさなダリを演じていた彼女。やっていること以上にいいものに見えるので、スター性ってやつでしょうか。
スタンダードなヒロインポジを担った星沢ありさは名前がよく話題に上がる注目路線各ですが、お芝居はまあ、本人のポテンシャルのまだ2割くらいなんじゃないだろうか。
もっともっと可能性があるなって感じさせてくれる女優さんで、スタイルの美しさに目が奪われた。芝居そのものは、器用だなとは思ったけど、て感じ。というか美しいのでそっちばっかり気になっちゃたので本人的にはもっとお芝居とかもみてよ!て思ってそう。大変申し訳ない。ただこの舞台…、真ん中とそれ以外に絶対に超えられない壁があったようにみえた。
異質だった瀬央ゆりあ
瀬央ゆりあは、顔が美しい。姿が美しい。おまけに芝居がよくて、歌が素晴らしくうまい。前はここまでじゃなかったですよねぇ。すさまじくパーフェクトな存在になられましたねぇ。
ファンには怒られるかもしれないが、瀬央ゆりあの顔がここまで美しいと思ったのは初めて。いままでは目がデカいな、とそればかりだった。
しかし特に今回、あの特徴のある毛皮姿にピンストライプのスーツでいる時間が長かったけれども、それがなんと似合っていることか!ピンストスーツを着こなすって、男役の課題よね。
素晴らしく美男だった。イケメンとか男前というか「美男」ね。
それに、最初にガウン着ていたダリはあれは、あれもせおっち?同じ人間に見えなくって。アレ誰だった…?せおっち…?
今回の舞台は、ダリの作品世界(精神世界)のような白昼夢の世界の住人達と、ダリと、クイーン・ガラと、若かりし頃のダリの仲間や友人や若かりし頃のガラとか、色々いるんだけれども、誰といてもダリが浮いてたかなぁ、というか、瀬央ゆりあ(と輝月ゆうま)とそれ以外の格差があった。
みえている世界、立っている世界が違うキャラと多く絡むのでそう見えて当然な演出がされていたんだろうけれども、芝居のうまさみたいな見かたであっても瀬央ゆりあはひとり異質。
若手とベテランの差がでちゃっていたように思う。
どちらかというと、せおっちのレベルが素晴らしかったというはなしであって若手たちはその時のベストを尽くしていたので批判ではない。瀬央ゆりあがひたすら特別に見える作りの舞台だった。演出家の意図だよねきっと。観客の私にそうみえたってことは。
相手役を魅せる技
瀬央ゆりあへの絶賛が止まらないのは、相手役の専科 輝月ゆうまが、冷静さをもってみれば誰よりもデカい女だったにもかかわらず、その隣にいて全くかすまないどころか包容力でつつみこむようなダンディズムさえ漂う最高に素敵なパートナーとして二人の並びがカップルだったこと。輝月ゆうまの細い腰みました?ちょっと前吸血鬼のパッパだったのにね。
ガラという、実際の人物像もなかなか破天荒なワイルドなファムファタルを、白昼夢の世界の女王として描いて、若かりしガラ、ダリと出会った頃のガラとダリを別の役者…雪組の次代を担うメンバーに任せたことも、専科の輝月ゆうまはともかくとして、瀬央ゆりあがこのカンパニーと別の存在のように見える一因だったかもしれない、主に見る側の私の目がここで曇る。
瀬央ゆりあは退団の花道を雪組で歩むんだと思う。そういう想像をかきたてられてしまったので、この芝居とキャストの見えかたとその思いが上手く分離してくれず、瀬央ゆりあが役以上に異質にみえたのかも。
とはいえ、ダリってそういう存在なので、なんかはまったよね。本当に役とキャストが。
誰にもなれない
いい同期がいっぱいいすぎて本人もうますぎてなかなか気を遣いっぱなしにみえる瀬央ゆりあだけれども、彼女の舞台以外の発言や同期と並んだ時の言動や態度、それ以外のメンバーのときも、常に彼女はクレバーで面白くて一番面白い。瀬央ゆりあが他のジェンヌさんたちと並んで話す姿をみると、彼女を好きにならずにはいられない。
そのうえで、いまヤバいほどの美(語彙力がおいつかない)と、演者としてのなんかすごい…なんか…(語彙力が)。それにあの歌よ。
最初はへ~~ってボケっと観ていられたけれども、フィナーレに向かって、最後の圧巻のソロ歌唱を瀬央ゆりあが歌い上げるあたりは椅子から腰を浮かせて画面ににじりよって見入ってしまった。
ダリの太陽
最後の場面で瀬央ゆりあの後ろにじんわり浮かんだのが「ダリの太陽」。彼が最後に描いたとされる自画像で、なんと現物が日本にあるのにびっくり。…さすが日本。
岡崎市美術館が所蔵していて、いま閉館中で常設展示しているわけでもないからあまり見られることはないだろうけれども、いつか機会があればみてみたい。きっと瀬央ゆりあの、あの美しいダリの姿を思い出すにちがいないし、もはや私の中のダリはこの芝居の、瀬央ゆりあのダリになった。