隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

ゆりさん花へゆく

な、なんだってー!

紫門 ゆりや・・・2023年10月9日付で花組へ異動
※異動後に最初に出演する公演は未定です。  

は、花組の組子に?!と動揺したけれど副組長ですわね。

紫門 ゆりや・・・2023年10月9日付で花組副組長に就任   


月組の紫門ゆりや」だもんね感が強い自分にとっては、花組にとられた感がしてちょっとジェラってしまうが、なんてことはなく私、花組が好きなので問題なかったわ。

花組はファンサがあついから、今度花組みにいったら、紫門ゆりやの熱いファンサを受けられたりするんだろうか。WAO。

組長たちがよく変わる印象だけど

意外とみんなしっかり数年、在籍されていることは、以前調べたとおり。

ゆりさんがマイティと入れ違いなのは学年ですね~。うーん。ゆりさんは91期。もはや貴重な上級生。
にしても紫門ゆりやがイケてるヒネクレ爺みたいな濃ゆい役をやって、カレー君たちと絡むとしたらわくわくしかありません!!最高!!

紫門ゆりやはしかし、副組長になるということで寮住まいになるのでしょうか。ところで寮ってちゃんと最新設備にリノベされているんでしょうかね?阪急、そういうところちゃんとしてなさそうで心配…!

花組が動き出す

そして同日、永久輝せあ全ツ『激情』-ホセとカルメン-の発表が。ひとこちゃん、全ツおめでとう!!
しかも激情か~~。

その裏で、カレー君はコンサートとな。 ほう…。

柚香光 スペシャルコンサート
『Be Shining!!』-華麗なる時-
作・演出/藤井 大介

説明文をみると、ショー作品らしい。歌いまくるというか、ショー公演ね。ほう…。

花組も、柚香光がそこそこ長くトップをやってきている割に2番手枠が星組同様しっかり固まっていない。柚香光のあとを継ぐ次期トップとしての2番手が。
ここでひとこちゃんにドライブをかけるのだろうか。ともあれ、楽しみ。

しかし藤井大介氏も多忙のよう。新作主義のタカラヅカならば、脚本や演出の人材を厚く厚く育成していてもいいのにね。なんだったら学校作っていてもいいくらいに…。

見過ごせない、ひとこちゃんのショー

あらためて公演情報をみていたら、ひとこちゃん、激情とともに上演するショーが、岡田作品のロマンチック・レビューとな。
全ツで人気ですね 岡田作品。でも品がよいしいろいろとちょうどよさそうな気もする。

チケット大変そうだなあ。どこかみられますように。

芸名をみたときに真っ先に考えること

客席降り復活とかお茶会復活とか入り出待ち復活とかいうニュースが歓迎ムードだけれど、なんとなく引いてしまっている自分がいる。
とはいえそもそもが、お茶会や出待ちなんてものは無縁な生活をしてきているので、自分がかかわりそうなのは、客席降りを目撃できるかも、くらいのレベルなんだけれども。つまり、あまり影響はないのだ。

ところで少し前に公式に、109期の組配属の発表があった。そのことで気になることをメモ。

組配属、その内容

配属の発表日は「2023年05月11日」で、配属日は「2023年5月29日付」。

☆印は娘役

花組
翠笙 芹南(すいしょう せりな)☆
月世 麗(つきよ れい)
風美 はる帆(かざみ はるほ)
花綺 ちさと(はなき ちさと)☆
風白 ルイ(かぜしろ るい)
夢希 舞香(ゆめき まいか)☆
咲葉 えめ(さきは えめ)☆
優帆 なぎさ(ゆうほ なぎさ)  
 

月組
帆華 なつ海(ほばな なつみ)☆
乃々 れいあ(のの れいあ)☆
翔 ゆり愛(しょう ゆりあ)
朱鷺 あおい(とき あおい)☆
梨乃 すずらん(りの すずらん)☆
飛翔 れいや(ひしょう れいや)
日向 みなき(ひゅうが みなき)
央河 希涼(おうが きりょう)
  

雪組
音綺 みあ(おとき みあ)☆
律希 奏(りつき そう)
結翔 恋(ゆいと れん)
祈菜 さあや(きな さあや)☆
桜菜 みのり(さくらな みのり)☆
星姫 あやか(ほしひめ あやか)☆
清見 ひかり(きよみ ひかり)   

星組
早瀬 まほろ(はやせ まほろ
美鈴 桜(みすず さくら)☆
湖ノ花 なり(このか なり)☆
逢莉 しゅん(あいり しゅん)
花綾 れい(かりょう れい)
美琴 ゆゆ(みこと ゆゆ)☆
星奈 蘭(ほしな らん)☆
彩香 涼(いろか りょう)
  

宙組
楓莉 かの(ふうり かの)☆
輝星 成(きせい なる)
朝絵 咲名(あさえ さな)☆
響 望歌(ひびき もか)
宇河 キラ(うかわ きら)☆
空輝 紫夕(そらき しゆう)
飛月 夏純(ひづき かすみ)
ゆり 遥(ゆり はるか)☆

*なお、碧月光については、初舞台公演休演のため、復帰後に組配属予定   

5/29(月)って何の日なの

その日の各組はなにをしているんだっけ、とみてみると。

花組…鴛鴦歌合戦の集合日…?まだ…?
月組…別箱お稽古中
雪組宝塚大劇場千秋楽の翌日。★109期生初舞台公演
星組…「1789」初日4日前
宙組…東京でトップコンビ卒業公演中

なのかな??
そう!(すっかり忘れていたけれど)初舞台生って、宝塚大劇場でのお披露目が終わってから組配属なのよね。
なぜって、彼女たち、雪組の東京公演についてくるかっていうとこないのよね!

宝塚歌劇団にとってお披露目すべき劇場は宝塚大劇場。東西同じ扱いではないのよ…という意地悪な話なわけではなく、単に歌劇団は予定が詰まっているので、新劇団員をこのタイミングで他組に配属してそれぞれのお稽古に入らないと間に合わないんでしょうねぇ。

まあそうした事情のおかげで、過去には月組ピガール東京版でスゴツヨラインダンスを観ることができたんだけれども…、ムラ公演での初舞台生たちの可愛さ、フレッシュさはやっぱり格別で。
初舞台生にしか出せないあのすごいキラキラってなんなんだろう!すごい!て毎回思う。

で、109期生

私の場合、タカラジェンヌの芸名は『タカラジェンヌよ!ていうお名前』と『汎用的な芸名にもなりうる字面のお名前』の2つの種類に分けて眺める癖がある。
芸名の候補は3つほど提出しなければならないらしいが、過去のジェンヌさんと被ってもいけないし、芸名なのだから、誰かと似ているものもNGでかつ、ある程度は「花鳥風月っぽさ」が好まれ……となると確かにそれは、年々難易度はあがるだろうなあ。

109期生のお名前を観てもだれがだれやらわからないけれども、名前だけで「わかりやすくていいわ」と思ったナンバーワンが
清見 ひかり(きよみ ひかり) さん。雪組配属。姓も名もみたとおりの音でなじみのある響きで。ジェンヌみもあってかわいい。

そして「タカラジェンヌよ!ていう名前」私的ナンバーワンは
宇河 キラ(うかわ きら)さん宙組配属。このお名前、いまどき&レトロの融合っぷりがハイセンスで、ドキッとするお名前。男役かとおもったけど娘役さんなのね。
どのお名前もきれいでかわいいが、このお二人はお名前から気になる子になった。

卒業後も芸能活動を見据えてる?

お名前に「舞」が入っている子はきっとダンスが好きだったり得意な子、「歌」や「音」がはいっていると歌が好きだったり得意な子だよ というファンのお話をきいて、なるほどー!と思ったことがあったけれども、こうしてお名前を眺めてみると本当に純粋な「好き」とか「夢」が詰まっているなあって感じる。

いまのOGのなかで、最も広く認知されていて人気が強いといえば、天海祐希だけれど、彼女の名前も実に美しい。
天海祐希」がこうも日本中の人に愛されて定着している大きな芸能人になったのには、彼女の名前が花鳥風月系過ぎるものになり過ぎず名前の字面からの偏見を受けにくい、社会性の高いお名前だというのもあるのでは、なんて思う。
社会性の高い名前ってなんだよ、というと、私の偏見ではあるけれども。特別感となじみのよさの同居が絶妙だなぁと。





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お休みはトップだけ? 今後の展開は未定か

さて、今までも主演役者以外は、公演と公演の合間、全ツなどの分割公演のときに、どこのグループにも配役されない子はいた。
天真みちる氏の連載を読むまでは、それはみんな本人希望のお休みで、ケガや病気の治療などに充てられる休養期間をとっているのかな、くらいに
思っていた。もちろん心のケアのための休養も想定していた。
けれども、もっとシビアに配役の選から漏れて強制的にお休みていうこともあるのだと知り、所属の劇団員、それも下級生を「使わない」という選択肢が組Pや演出家にあるのかとちょっと驚いた。

下級生ほど扱いが厳しいのは、かなり時代遅れの慣習だなと思う。
若く才能がある人ほど手厚くケアしないと、会社に残って一緒に成長なんてしてくれない世の中だよなと中途採用を担当しはじめて実感しまくりなので、ジェンヌはほんと魔法というか……いささか「好き」の搾取されすぎじゃないかい?と思わなくもない。

ただそれでも、エンタメ世界で仕事をするというのは、舞台人として食っていけるというのはそれだけで思いっきり恵まれているのよね(と、ここでファンも客も己を納得させているのかも)。
毎回豪華な衣装(しかも自分の衣装を採寸して用意してもらえる)や舞台装置なんて、他じゃ見られないからなあ、ほんとに…。

礼真琴に余計なこと言わせる劇団

次回作の取材会と称して、異例のお休みについてしゃべらせる歌劇団そういうとこだぞ。
このニュースをみて、お休みしまーすということになんか罪悪感植えてない?とか気になるし、本人に思いっきり責任感とプレッシャー与えてどうすんじゃ、と思った。

で次に思ったのは、舞空瞳に休みはないんかい?という素朴な疑問。まあ娘1はセンシティブで超特別なポジションかと思う。
ある意味、トップスターより代役が難しいポジションだとも思う。ファンがとにかくギーギーいうのが娘役がらみだし。※偏見です。
絶対的立場のトップスターが担う主演男役の立ち位置の方を、専科なり二番手主演や若手主演らに回してもそういう公演とみなされやすいのちょっと面白い。
だって今回の休養、『じゃあ交代で今度は礼真琴のみが稼働して舞空瞳ちゃんは2か月休養ね!その間トップは別のだれかと組むわ~』てのはなんかファンが許さないだろうなぁって。※偏見です。
いわゆるスター専科も男役のみだし。

ともかくも、ニュースリリースで普通に「将来的なことはまだ未定だが星組から試験的に(とかいう理由付けで)トップスターに長期休養期間を設けた」て公式がアナウンスしてやればいいのに。なぜそれをしなかったのだろう。
ファンがざわつくのなんか目に見えてたのにね。

トップコンビがそろって、というかもっといえば、組全体が、半年に一回、20日~1か月の公演・お稽古の休みができないものかねぇ。

興行は止まれない問題

弊社は年間休日128日。土日祝は完全にお休みであり、盆暮れ正月には約一週間、会社の公休となる。その分普段はいささか有休がとりにくい。忙しい。
けれど恵まれている方だと思う。
タカラジェンヌの休日はどれくらいなのだろうか。ただ、お稽古期間や本公演中など、拘束時間はサラリーマンより短い日もありそうだし、時には深夜までお稽古がありそうだし。ただ意外と、歌劇団側が拘束する時間はイメージよりずっと短そう。で、任意のお稽古や自主レッスン等々でがっつりと時間が消費され、やらない子とやる子の差が出ていくのではないかと。過去のジェンヌさんインタビューでは、参加任意の各種お稽古に皆勤賞みたいな子もいれば、全然でない子もいたというし。時間がないということではなく、気持ちの問題で出るに出られなかったというようなインタビューもあったっけ。

公演スケジュール

かつて天海祐希が、自身がトップになるときに、2年後までの公演スケジュールを見せられて2年後の公演にミーマイがあった、でそこ光ってるように見えたから「あ、私これで辞めます!」とその場で宣言した…(その時のプロデューサーだかの劇団側の人がびっくりしてた)というような有名エピソードがある。
つまりはこれは、天海祐希に新トップの話をした時点で、トップスターとしてのお仕事1クールが2年間で、2年先までは歌劇団側の予定が決まっており、これより短い時間でトップ交代は想定していなかった ってことがわかるエピソードでもある。
無論全員がこうではなく、天海祐希の場合はトップ1クール目が2年間だったのかなと(歌劇団側が最低限準備して予定していた天海トップ期間)。で、これは本人と歌劇団側が望めば、2クール目も存在したんだと思われる。
これが、2年後の先はまた2年…ていうことでもなく(そのころの他組のトップ交代スケジュールも考慮して)さらに1公演、また1公演と延長してくものなのかもしれないし。

で、礼真琴のトップ1クール目の終わりが、「1789」までだったんだろうなと、私は考えている。
本人が望めばそこで退団可能だったんでしょうねぇ。けれども何かがあって、そりゃもう星風まどかスライドあたりから予定が変わっちゃって色々ずらしていって…
礼真琴星組トップ延長戦突入の前に、ちょうど演出家不足というか上演可能な脚本不足が発生もしたことだし、休養しちゃおうと。なんかそんな風にも想像できるなと思った。

まあ妄想。

にしてもなぁ

ピラミッド式といわれるトップスター制度を形成しているという割に、今回休養する礼星組の2番手枠は、それこそ礼真琴がトップ就任した3年半前からずーっと曖昧だったのは何でなの。愛月ひかるは星組異動時点で2番手退団が想定されていたようだし、その次を同期瀬央ゆりあには絶対にやらせる気はないのに微妙にあげ、月組から暁千星を呼びはしたけれど、ありちゃん2番手人生はこれからで、はじまってもいない。
トップ3年半の間に後継者の2番手が正2番手(=次期トップ)として誰も経験を積んでいないっていうの、なかなか…それでいいのか?と思わなくもない…。
これ、花組も同じだし……。月組も下手したらそうなっている。
ちなつさんは花や星より正2番手ポジであっても次期トップとしての正2番手かというと???だし…。

事実上番手をつけているのは歌劇団なのに、番手通りにトップ就任はしないようにしたのも歌劇団で。上級生をひいきして2番手ポジに置いたら、次期トップが2番手としての経験を積むのが遅れるっていうデメリットが発生しているのだとしたら、なんともはや。当事者であるジェンヌたちがみんな努力していて素晴らしい舞台をみせているだけあって、なんとも悩ましい。

でも理事長とかがまさか悩んでいやしないよなと確認したい。行き当たりばったりじゃないよね?と問いたい。





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清く正しく美しいクズ男純文学を観た

聖乃あすか主演『舞姫』を観た。

聖乃あすか演じる豊太郎のメッキがはがれてどんどん軽い男になっていくのか、それともエリス演じる美羽愛がどんどん重い女になっていくのか。

すごい歌う

舞姫。そういえばちゃんと観てるようで観てなかったのかも。聖乃あすかは喉潰しており出だし絶不調であったものの、あったまってきたらどんどん声が出るようになり、二幕では気にならなくなっていてよかった、といっていいのかな?終演後ゆっくり休めて欲しいな〜。
喉を酷使するとものすごく疲れるし、大変なお仕事やね。

ヒロイン美羽愛

かわいい。歌も上手い。声もヒロインボイス
彼女の持つ可愛さがまた、幼なげであったり愛に身を投じる哀れで愚かな女、ていう純文学にありがちな女にハマる可憐な可愛さ。可能性のかたまり。

だいや君

画家として私費留学し無理無茶で死んでしまう芳次郎役の侑輝 大弥くんが、凄くいい。画面いっぱいピカピカに光る美貌とオーラと。
前から目立つ存在だったけれど本公演でなんかもう跳ね上がったんじゃなかろうか。色々。

ホットワインのボーイ

2幕冒頭、歌ってるボーイが美空 真瑠くんかな。
違ったらごめんだけどめちゃくちゃ上手くてキュートで、2幕の開幕いきなり歌ってて、ぐっと心を掴まれた。そして最後に出てくる希望に満ちた青木という青年役も。

朝ドラヒロインかと思ったキヨ

クソ兄持って苦労しがちないい妹役。詩希 すみれちゃんがまたよかった。声がきれいで。

なんだかんだ美味しい医師見習い

岩井を演じた泉 まいら君も美味しい役どころで期待されてるのかなと思う。目立つ役だし、私も今回覚えた!

聖乃あすかってどうよ

顔がきれいで。色が白くて。男役の姿をはっきり認識した、明日海りお卒業公演の青い精のときは、メイクが工夫されてはいたけれど、そうでない時の男役化粧はあんまり?と思っていた。
しかし、やっぱりあの万博の記念式典で華やかな振袖の袴姿で、役人のオッサンたちの中に並んだ時の、なんと清涼な美しさかと圧倒されたものね。あーこの人とびきりの美人なんだと。

近年は急にシュッとなんか路線変更というか、その清廉潔白系の持ち味に、チャラ系花男風味が加算され頬もシャープになって。

でこの、真っ直ぐのようでクズっていう純文学系色男の豊太郎。聖乃あすかの持ち味と相まっていい舞台だったなと思う。
にしても、顔がきれいすぎてつるんとしてて、
白軍服もお似合いで、白軍服は花組のものかよ〜

専科が抜群にいい

一樹 千尋、万里 柚美の2人がそれぞれ本当に芝居を締めて締めて、この2人でないとこの味出ないよねってしみじみ感じた。本当に素晴らしかった。

バウにぴったり

このちょっと古い話も、クラシカル美形の主演者も、バウホール公演にピッタリだった。
来月は月組でキラキラ若手がまた主演する。本当に特別なホールでこのならではの芝居があるよなと思う。
チケット取れたことないし、取れてもコロナでなくなってしまったり、だったので、いつか今度行ってみたい。



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OGによって語られる細かすぎて伝わらない歌劇団情報

花組OGの天真みちる氏があらたにはじめている連載

「おじさん芸」を磨いた元タカラジェンヌ 天真みちるの雑草魂 に興味深いことがいろいろと書かれていた。
woman.nikkei.com

無料会員でも読めるのがありがたい。

ヅカファンからみて、専科ではなかったたそさんが、セカンドキャリアで世間向けに呼称するようになった「おじさん芸を磨いた」の部分について、はじめてみたときにはちょっと違和感を感じていたけれども、この方の文章を読んでみればすぐに誤解とわかった。
既刊本に書いてあるものからも伝わってくるが、ヅカの中の人・タカラジェンヌであったたそさんにとって専科とは宝塚歌劇スペシャリスト集団であって、私のように「重要な老け役をやる人」なんていうとらえ方をしてないのよ。私の専科への認識がいささかざっくりと雑すぎる。専科がそれだけじゃないのを観てきているはずなのにね。反省。

初めて知る内部事情

ひとつの組にだいたい75人くらいが所属していて、組のことはプロデューサーが全権担って運営していて。そこまでは既知の情報だった。
しかし、
・下級生はプロデューサーとの面談は2年に1回
・上級生は年1回

で、下級生はプロデューサーや演出家の先生などに、おいそれと機会を見つけて話しかけようなんて行為はとてもじゃないができない・やったらアウトな空気であるらしいことがビシバシに伝わってくる。

下級生の扱いがいささかかわいそうじゃない?と思う。下級生へのフォローのほうが手厚くあるべきと思うのは、私が一般企業の感覚でとらえているからだろうか。
足りないフォローは上級生や組長がするの?そんなの、よっぽど面倒見がよくて本人に他人のケアができる余裕があってストレス耐性が鬼強いタイプのジェンヌがたまたま上級生にいないと、なかなかねぇ。
美園さくらちゃんがメンタルケアのシステム拡充の必要について言及していたことを思い出したよ。

己に向き合いすぎるしんどさ

ちょうど同じタイミングで、87期の元雪組娘役の晴華みどりさんと元月組の綾月せりさんのインタビュー記事を読んだ。
卒業を決めた心境についてはいままでいろいろなジェンヌさんのものを見たり聞いたりしてきたけれどこの、お二人の会話からなるインタビューで語られたそれぞれの卒業を決めた時のお話は非常に興味深かった。こんな風にリアリティある内容を語ってくれるものをみられるなんて、なんて貴重!

hint-pot.jp


そして卒業までの道筋にある、抜擢に対するプレッシャーのこと。
自分は質問を投げられるほどまだまだ向き合ってないんじゃないか、意見が聞けるほどのレベルに達してないんじゃないか』という心境……なんと己に厳しいことか。
自分と向き合い続けた結果、至らなさに目が留まってしまい上級生にそうそう相談できなかった、そして今思えばもっと相談してよかったのに、と当時を振り返って語られている様子は、読んでいるだけでこちらの姿勢も正してしまうような厳しさ。

たそさんも

天真みちる氏もやはり、抜擢に関しては「抜擢されなかったこと」について連載のなかで非常に貴重なお話をされている。
ファンレターでファンの方が自分を見てくれている声にじかに触れる分、役付きが自分の思ったようなものではないと、かえって『なぜ…』とネガティブな考えにとらわれてしまうことがある、という点に触れられていたこともまた、当事者でしかわかりえない感覚。

そこまで追い詰めないといけないのか、とかそこまで己と向き合い続けるものなのか、とただただ圧倒されるばかり。

また下級生時代のたそさんが別箱の割り振りに漏れた件についても紹介されている。

いつの公演だったか…。月組の3分割のときだったか、だれがどこに振り分けられたのかを確認していて、4~5人、どこにも名前がなかったジェンヌさんたちがいた。その中には毎公演、いい役をもらっている上級生の名前もあったので「心身メンテナンスの休みをもらったのかな」と思ったけれども、一緒に名前のなかったほかの子たちはみな、研3くらいの下級生だったので、休み??ケガがあったとか??くらいに感じていた。

しかし、かつてのたそさんのようにもしかしたらその下級生の何人かは演出家から要らぬとはじかれた子だったのかもしれない。
経験が大事というのに、下級生時代に、本人への予告なしにある日突然「自分の名前がどこにもない!」ということがあるのか。その心境は計り知れない。

むかーしむかしの映像で

私にとってのミーマイ、ジャッキーといえば麻乃佳世だし、グランドホテルのフラムシェンは麻乃佳世である。

どの時点での密着取材番組であったかは覚えていないけれども、天海祐希の相手役としての何かの稽古場で、麻乃佳世が演出家と怖い顔で話し合い、まったくもって納得していない難しい顔で会話は終了…その間天海祐希は近くにいるもそこに入らず、という映像で、ナレーションとか画面の見せ方としては、若き新トップを支える経験者トップ娘役である麻乃佳世がそのことで何かの苦労をしており演出家と意見交換している みたいな見せ方で。
いまのトップスターとかいまの天海祐希の価値観からいうと信じられないかもしれないが、別に特別扱いされてなかったように受け取れるもので強く印象に残っている。あんな風に演出家と会話ができたのも、主演だったからなのだろう。

その麻乃佳世はたしかグランドホテルの役作りの一環で、お衣装がすごく短いミニスカなものだから、体づくりをしなければと夕飯を18時までにしてそれ以降は食べ物口にしないようにしてお稽古して体づくりをしたら30キロ台に落ち込んだ、と笑いながら暴露していた。これも現役当時の映像で。
いまよりおおらかだったよなあ…あの手の映像も。笑いごとではない絞りっぷりなのにそれを明るく披露されていたものね。

抜擢される子と覚えてもらうことから、の子

演出家にまず存在を気付いてもらうところからのスタートだったたそさんの話には、入団前から名前が売れている話題の・期待の新人の名前も出てくる。
そもそもが選ばれしジェンヌたちも、入団時点でまたスタートラインが大きく違うということが浮かび上がってきて本当に競争社会なんだなあと。
一方で綾月せりさん晴華みどりさんのインタビュー記事には、こちらは抜擢ゆえの苦労の話が対比が面白いし、また、副組長の話も。

組長、副組長は寮住まいって初めて知った。へぇ…。
寮がどんなところなのかはわからないけれども、なかなかのプライベート滅亡ルールである。

最近のこの手のインタビューはちらほらと、話の中にこうした「へぇ~」という知らなかった情報がちりばめられていて、おもしろい。
どちらかというと話のメインよりも、面談が年1回以下なんだ~とか、卒業すると決めるときのあれこれってそんな感じなんだ~とか、副組長さんてそんな感じなんだ~とか、そういうことがとにかく面白い。

たそさんの連載も、綾月せりさん晴華みどりさんのインタビューも、まだ続きはこれから公開なので、引き続きとてもとてもたのしみ。




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失われた月組100周年と華々しくはじまる雪組100周年

雪組の、新トップ娘役お披露目公演が評判。公式の画像・映像も観劇された方の感想からも、実にはなやかで晴れやかでよい舞台なのだなあということが伝わってくる。
このまま雪組は100周年の記念アレコレまでぶち抜けそう。

雪組の100周年はいつだっけ、と検索したら梅田芸術劇場で行われるOGによるイベントが真っ先にヒットした。

www.umegei.com

2024年に雪組は100周年を迎えるのね。私にとっての雪組といえば、杜けあき、そして一路真輝かな。そこから観はじめて。
杜けあきの退団公演であった忠臣蔵は、当時大きなニュースになっていて、関東の一般家庭の子供であった自分の目にも届いたのだから、今とはずいぶんと違う話題性だったのかなと思う。今のほうがインターネットやスマホSNSやらで情報は誰にも届きやすいけれど、あの頃のように宝塚のとあるスターの卒業で、全国ネットの地上波番組やNHKが特集を組んで紹介するようなことは、なくなった。

雪組の公演予定

Happy“NEW”Musical

『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』
-Boiled Doyle on the Toil Trail-
作・演出/生田 大和

Winter Spectacular

『FROZEN HOLIDAY(フローズン・ホリデイ)』
-Snow Troupe 100th Anniversary-
作・演出/野口 幸作

宝塚大劇場 (兵庫県)
2023年11月10日(金)〜12月13日(水)

年末そして年始の東京公演の雪組のショーにしっかりと「Snow Troupe 100th Anniversary」の記載がある。

花組100周年公演は今はもう遠い昔にも思える2021年~2022年の以下の公演だった。

三井住友VISAカード シアター
忠臣蔵ファンタジー

『元禄バロックロック』
三井住友VISAカード シアター
レビュー・アニバーサリー

『The Fascination(ザ ファシネイション)!』

  • 花組誕生100周年 そして未来へ-

宝塚大劇場:2021年11月6日(土)〜12月13日(月)
東京宝塚劇場:2022年1月2日(日)〜2月6日(日)

いやマジで、なんで?

ご存じ宝塚歌劇団は、旧体制から人数増加して公演の充実をはかるのに、あるとき2分割し、これがのちに花組と、月組の名前に変わり。
2分割したときに、当時の上演においてメイン公演を担った組のほうが花組になったから、筆頭格であるという誇りが今もって継承されている…らしい。
花組月組に差があるということではなく、宝塚歌劇団において5組が並ぶとき必ず、花組が特別であり花組が先頭をとる組。
こういう伝統とか慣習があるところも『宝塚歌劇団』という存在への興味や好奇心につながる。

なので花組が特別なのはいいんだけど…
ファシネイションの後の月組公演が以下だった。


ミュージカル・キネマ

今夜、ロマンス劇場で
ジャズ・オマージュ

『FULL SWING!』
宝塚大劇場:2022年1月1日(土)〜1月31日(月)
東京宝塚劇場:2022年2月25日(金)〜3月27日(日)


ショートの2本立て。時期もちょうどよい。おまけに新トップコンビお披露目公演。けれども「月組100周年」を公演演目に添えることをなぜ、歌劇団はしなかったのだろう……。

花組月組は分割して誕生したのだから、どちらも100周年、筆頭組の花組が「100周年よ!」とどーんと祭りをするのはいいんだけど、続いて月組が100周年!とお祭りしたほうが印象付けられたのにね。内容に手を加えずとも、サブタイトルに100って入れるだけでも成り立ったと思う。

でもそれがされなかった。…ほんとに、なぜなのかわからない…。


とりあえず雪組はお祭りできてなにより。



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歌劇団の運営も「スミレコード」

セクハラパワハラ報道で突然異動・退社となった某元演出家が4月に歌劇団を提訴したという報道をみた。
詳細は毎度おなじみ例の○春。

当然ながらの食い違い

ざっと内容をみて地味にひっかかったのは、被害者とされたA氏の「母親」が出てきていること。A氏って成人しているのにお母さんがあれこれみてるの?
本人が心身を壊したら、いくつであろうが両親がケアするのが当たり前なんだろうか。そんなもの?
たぶん今の日本ではたとえ子供が20代だろうが40代だろうが親が出てきて我が子をかばいまもり、会社に申し立てまでしたりは普通に受け止められるのだろうなあ。私には少々過保護に映るけれども、そうした意見すら被害者を攻撃する意見に見なされてしまう世の中なんだろうか。

親が窓口になっていることの危険性は、この手の問題は当人すら相手の言動意図を解釈違いするところからはじまるものなので、当時者以外が介入したら事態がどんどんすれ違い悪化するんじゃないかということ。介入する第三者代理人は弁護士に限っておいた方がいいんだろうと思う。難しいことだけれど。

どちらの味方もできないけれど

○春はまずハラスメント行為である某演出家が追放された、その理由となった行為はこんなものだったらしい、と報道。それが昨年末。
で、いま、同じ媒体である○春がその「元」演出家の訴えと主張を掲載。どっちも○春が煽ってるんじゃないのかい、と思うが、それが商売だものね。釈然としないけれど。
新生雪組の公演がはじまって、追い風中というこのタイミングも意地が悪い。

で、とてもよくないなあと思うのは歌劇団(阪急)の対応…。

ご存知歌劇団は、たびたび演出助手などのスタッフ採用をかけている。A氏はその正門をたたかずに(叩いてたのかもしれないが公にされていない)、知り合いの知り合いに強いOGがいるぞというコネを使って、問題の元演出家の力によって歌劇団に採用された。以降、A氏はこの元演出家への恩をかえすべく媚びまくり腰巾着になったわけだ。そのことは証拠が記事に掲載されていた。

その元演出家は採用権限を持っていたから、彼が恩を売りたくなるような目上の人気OGから紹介された人物を歌劇団側に採用させることができた。
…にしても、最終的な決定権を持っているのは採用した歌劇団。だからこそ責任をもって歌劇団が一人のスタッフを適切に扱わねばならなかったのではないかと思う。
どこかの私設劇団じゃあるまいし、大企業傘下の歌劇団が、なんでこの新人A氏と元演出家が公私の別なくコミュニケーション取るような関係性になるまで放っておいたのか。誰が採用に口をだそうが、給料を支払っている会社側がコントロールすべきごくごく基本的な企業コンプライアンスは、なかったの?と思ってしまう。

今回の件に関して公表されたA氏と元演出家とのやり取り、なぜそんなやり取りができてしまったのか?というそもそもの理由は、そこに会社の枠を超えた、古(いにしえ)の徒弟制度が演出家界隈に存在するからではないかしら。

芸能関係はなんでもありじゃないぞ

子どものころから、昭和のスター=破天荒がヨシ とか、歌舞伎役者=女遊びは芸の肥やし とかいうのが不思議だった。
不良がカッコイイ てのとたぶん思考ルーツは同じなんじゃなかろうかとも思う。
有名演出家なら灰皿投げても武勇伝になったりとか、大物女優なら大遅刻していいとか。そういうのも、理解しがたかった。理解できないのは私が庶民でありその業界の人間じゃないから、ていうこともたぶん大いにあると思うが。

この歳になると、指導者が生徒や弟子の立場のものに、厳しい言動を投げることで、泣かせるような厳しい対応をすることで、何かを引き出そうとかその体験でこそ最短ルートで学べるものがあるとか、そういうものは、確かにあるんだろうとは、思う。誰かの体験として見聞きするなら「つらい目に遭ったおかげで成長した」話は美談になる。ただし「成長した」「大成した」話だけしか語られない。そうはならなかった話は今回のスキャンダルのように…たくさん腐って地の底に滲みているんではないかと思う。
ただ興味深いことに多くのフィクションが「死ぬほどのひどい目に遭うことで特別な力に目覚める」という描写をしており、これを読者は歓迎する。勿論、フィクションだから。不倫を唾棄するだろう多くの人がタカラヅカの舞台上の物語でおこる不倫ものに寛容なのは、フィクションだから。舞台演出家は美化がうまいものだ。

歌劇団は運営もスミレコード

だがしかし、会社組織はそれをしてはならないと思う。社員のなかの権力を、それも人事に関する権力を与えている社員が、若い新人と密になることを、たとえそれを新人が希望したとしても、絶対に許してはならない。会社の人間関係と学校の人間関係はそこが違う。
なにかしらの権限がある社員を作ったのなら、その社員がつねに公平でいられるよう管理しないといけないと思うのは、私だけだろうか。
このスキャンダルの登場人物、誰にも同情できない。ただ、それが起こった歌劇団は会社組織としていかなる個の独善や暴走が可能な状態を決して許してはならない。
めっちゃくちゃ難しいのはわかるけど…。
自分の所属する会社を振り返ってみても、謎の行動で勝手な仕事をやらかしている社員はいるし、それを放置している上長もいるし、それを訴えても処分できない人事もいるし、それもこれもすべては人と組織にとって、いちばん安全な温さを保つためであったりしてなかなかに悩ましい問題がある。

でもねぇ、株主がいるような会社は、それをよくあることなんていって見逃し続けることはあまり清く正しく美しいこととはいえない。