隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

月組『NINE』は奇跡か。2日間の配信を観て「影絵少女」を思い出す。

鳳月杏のプレサヨナラ公演であり、月組トップコンビのプレサヨナラ公演であるので、天紫珠李のプレサヨナラ公演でもある。
今日までたゆまず磨かれた男役というもののひとつのゴールのような、集大成をみせてくれたちなつさんの舞台であった。トップスター以外にも幾人かの男役が女役をやることは事前にわかっていた。しかし全員を女役に回して、舞台上の男は独りしかいない(少年時代の主人公はいるが)。

トップスターだけを輝かせる舞台かといえば否で、女役を演じた男役はその役者としての魅力を増していたし、能力をみせつけてくれたし、そしてタカラヅカにしかなしえないフィナーレにおいて最高のギャップを演出してくれ、観るものの心を震わせてくれた。

そしてトップ娘の天紫珠李は印象的に左側の横顔ばかり見せてくる序盤において、特別な美しさを体現していた。あましちゃんは本当に舞台でとっても美しい娘役で、この舞台上の格別な美しさは前任の海ちゃんから継承される系統かもしれない。存在に説得力があるのよね。

1日目と2日目

土曜日の配信は、舞台がはじまった瞬間から、なんか思ってたのと違うな?という印象だった。
この時点で私が知っていたことは、原作の「81/2」という映画と、これを原作としたミュージカル「NINE」のWikipediaの記事をさらりと読んだ知識のみで、タカラヅカ版の今回のNINEの情報は、ほぼ知らず。公式にあがっていた、主要キャストが並んだ紹介映像を事前に観ていたくらい。

で、いきなり人間ドラマ臭いぞ、これはわかりにくそうな内容だぞ、と開始15分くらいでじわじわくる。おおもとのオリジナルがイタリア・フランス合作映画だったことを思い出し、私について行けるかしらとどきどき。実際途中ちょっとスマホいじりながらの配信視聴となった。

一方で2回目の日曜日の千秋楽については、この1日目の若干注意散漫ながら観た経験がよかったのか、せりふの一言一句にひきつけられた。
それぞれの役が無駄なく必要なことしか表現していない感じとかがすごくわかりやすく伝わってきて、全員の役者のうまさとか、月組のよさとかそういうのがスコーンと、このNINEという作品を素晴らしく仕上げてみせてくれているのが、わかった。

2020年版とロゴ

2日間の配信を観終わったあとに、「NINE」のロゴにあしらわれている、左側の横顔を見せている女性のシルエットは誰なんだろう?ポーズからして妻のルイーザだろうか?でもなんか違う気がするな、と思ってスマホで検索したところ、2020年に梅田芸術劇場で上演されたNINEの公式動画が色々あがっているのをみつける。
この当時はDVDの発売もできたんですね。なんと。今回映像化できないのは残念過ぎる。

当時の映像をみたら、舞台全体の演出は(オリジナル舞台があるんだから当たり前だけど)同じなんですね。今回まゆぽんがズバーンと演じて我々観劇者のハートを打ち抜いた、
リリアン・ラ・フルール役を、前田美波里さんが演じられていた。めっちゃ素敵だったでしょうねぇ。当時のダイジェストをみて、なぜこの役がまゆぽんだったのかちょっとわかった。格別に迫力のある美女でないとダメだったのね。

ロゴに隠れている女性のシルエットについては、妻か、クラウディアか、女という概念かとか複数説が最初っから色々あって、特にこれと公式がうたっているわけではない模様。
主人公グイードにとっての女とは、と思うと、特定の誰かではなさそうってのが私の考えです。

映画さえできりゃなんでもいい男

事前にちょっと調べていたのでわかっていたんだけれども、グイードと妻ルイーザが最初にまともな会話をするシーンでは、グイードは10人くらいの美女に取りつかれている。
あれは彼の脳内の状態で、その後の各シーンでも、ていうか冒頭の、全員の女が舞台上でがやがやしているのも、全部グイードの精神状態、彼のあたまのなかなんですよね。

それがうるさくってかなわない。
かといってそれらはグイードを優しく甘く心地よい気持ちにしてくれる存在でもあるので、断ち切れない。

でもこのミュージカルで描かれている「物語上で実際にあった出来事」は「夫婦で避暑地のスパに行く」「出資者に追われる」「愛人が押しかけてきて離婚と結婚を迫ってくる」
で、でもグイードのミューズであると信じていたクラウディアをもってきてもグイードの創作意欲は枯渇したまんまで、最後は死を選ぶがそこは非常にあいまいに描かれるっていう、
そういうミュージカル。

最後が一見あいまいなのは、この話の原作である「81/2」が、フェリーニは当初映画のラストシーンに自死を明示して描いていたが、ともに脚本を担当していたトゥリオ・ピネッリが「ラストはハッピーエンドに」と警告し、修正されるも、完全に撮り直すことなく衣装などが混在したため、なんだかちょっとちぐはぐなところがある、という有名エピソードがのこっており、これを舞台化した際に、映画では破棄された元のラストシーンにつながる銃の場面が、印象的に盛り込まれたみたい。そう見えた。
なのでこの舞台NINEのラストシーンは、主人公グイードの死が暗示されている、ということになる。ただそれは、本人の肉体が死ぬことなのか、映画監督としての死や、9歳の自分の死なのか、みたいな精神的な概念的な死であって、グイードとしては再生を示唆しているのか。

元をただせば9歳の頃の出来事から彼の人生は歪み(ほんとはそういうことじゃないんだろうけど)、人生半ばにしてこんな感じに生活が破綻しました~っていうのがこのNINEって話なんだと私は解釈したんだけれど、全体を通して、このミュージカルのグイードの再生のはなしというか、救いとか希望とかそういうポジティブなものを感じて、観終わった後、とても清らかな気持ちになった。「舞台のグイードは自分に引き金は引かなかった」というのが映画版のラストをハッピーエンドにしたという事実とあいまって正解であるはずだし。
けれどあのラストはグイードの何かは死ぬ。そして清らかなものが残ったような、そんな風に感じた。

全員熱演すぎる

今回誰がよかったかといえば、これまた27名全員の名前をあげなくてはならない。
が、特に書き残しておくべきは、まずは鳳月杏がすごいということ。これはいったんおいておく。
あましちゃんがボブのカツラが本当によく似合って美しくって、舞台上で特別感(妻!)があって、素晴らしかったです。彼女にとっても娘役の集大成ですわね。

それから礼華はる。デカい白人女を演じていましたが、くいッと上がった眉が似合って似合って。それでいてただのコスプレではなかった。やっぱりぱるくんには特別なものがあるなってあらためて思いました。フィナーレでカッコよく登場したときも最高すぎましたわ。

みんなが名前を検索したであろうし私もした愛人カルラ役を好演した美渦せいかちゃん。どこかで名前をみたぞ、と思ったらゴールデンリバティの新公ヒロインでしたね!
いやらしくなくっちゃいけないけどキュートさがなくっちゃいけないし下品なのはダメというなかで、すっごくよかったし、もう一人のヒロイン状態でしたわね。
彼女がウッキウキで離婚に関する書類を見せ、グイードに破り捨てられ、それをいっしょけんめい拾って、広げてるところ、あの姿に同情しない女っているんでしょうか。
彼女は愛人だから同情の余地ないわ!て思う人もいるかもしれないけれど、私はとっても胸がいたくなった。

少年たちの夢の女サラギーナ

グイード少年は「例の小屋」に行っちゃったことがばれて大問題になったようだけれども、ママ(夢奈瑠音)の台詞を信じるなら、学校の少年たちの間では有名な場所でみんな行ってたみたいですよね。
2日目の配信で注意深く見ていたら、リトル・グイード(美海そら)との絡みの振付が非常に官能的でしたねぇ。1日目の配信視聴時は気が付かなかったんだけれども、サラギーナにからみついて腰を1度だけ動かして、少年時代のグイードにおとずれた性のめざめをしっかり描いていた。
桃歌雪が見事に演じきったサラギーナ、悪の女ってことなんでしょうが、女の一部の象徴的存在でもあるように思えた。全然キライになれない存在。

かしらかしらご存じかしら

舞台の狂言回しのような役回りだった「スパの聖母 姉(花妃舞音)」と「スパの聖母 妹(乃々れいあ)」のお役。配役された娘役さんがまたいいじゃないですか。

私これ、はじまってしばらくして、すぐに思い出しましたけれども、「かしらかしらご存じかしら」のあの台詞の影絵少女たちが出てきたアニメ。
そう「少女革命ウテナ」ですわ。
存在も何もかも、影絵少女だな~って思ったけれども、舞台NINEが2009年、少女革命ウテナが1997年ですから、ウテナの影絵少女の演出の方が先!
元ネタだったりして~。

※追記
元々のスパの聖母(マリア)は独りで演じるキャラだった!ので今回の姉妹演出は指田演出ですね。てことはウテナの影絵少女っぽさがあったのは
本当にそうだったのかも……なんて。












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憧れの日生劇場にて、「ファニー・ガール」を観た

連休中日に、日生劇場へでかけた。東京宝塚劇場のおとなり。
二度と造れない名建築という日生劇場。いちどは行ってみたかった劇場のあまりの美しさに感動しきり。

二度と建造できぬ名建築

柱、床、優美な階段に採光を考えられた広い窓、たっくさんのロビーの椅子(東京宝塚劇場も真似して欲しい)に、どこまでもアナログで親切で豊かな存在の象徴のような、ロビーの小さな売店はガラスのグラスで飲み物を提供する素敵さ。テーブル付き椅子もふんだんにあるから安心。
どこをみても昭和のいい時代を彷彿とさせていて全部がもう何とぜいたくで美しい空間か。

劇場空間ってなぜか絵画飾ってあるよね~とか、そういうのもいちいち感動しました。いまどきの新しい劇場にはなくなってしまった文化かしら?あの、劇場空間内の謎の絵画とか彫刻。芸術空間には芸術品を飾らなくちゃっていう感覚ね。長年不思議だったけれども、この年になってくるとじわじわよくなってくる。よい絵画や彫刻を飾ろうという意義が失われることは何とも味気なく、そういう豊かさが失われてしまうことがかなしい。

ロビー空間が楽しすぎてウロウロしたあと、劇場内に一歩足を踏み入れたら異空間!今回は1階席だったけれども、中二階と、一番上の2階席も全部ウロウロしちゃった。
床も含めて不思議な曲線で、天井がうんと高くって。ウットリした~(そして2,3度つまづいた)。

中の空間の在り方がすごい!と思った劇場は、三越劇場もありますけれども、どちらも流線形が特徴的でデコラティブで、非日常を意識したウットリ空間。
過去より現在、そして未来の方が技術が発達していくはずなのに、時代とともにたくさんの技術が廃れてしまう現象は何百年も繰り返していることだけれども、建築も確実にそうですよねぇ。

音が違う

単に反響の違いってだけかもしれないけれども、観劇の日の数日前にポーの一族をお隣の東京宝塚劇場で観たばかりなので、オケの音の違いや、指揮者でも変わるよなあなんていう、生オケの音について気になった。なんか音が元気!という感じがした。
オーケストラは東宝ミュージック/ダット・ミュージック。指揮者は福田光太郎氏と公式HPに名前があるが、劇場で観た方とHPの画像にギャップ……。
劇場で観た指揮者の方がご年配に見えた。んだけれども指揮は元気!あと、実はこの指揮者さんが舞台演出上めっちゃ活躍するので面白かった!指揮棒を主人公のファニーにとられたり真っ赤な薔薇の花束を渡したり。

中尾ミエさんだぁ

物語は、古き良き時代にアメリカに育ったユダヤ系の女性が、ショースターになって、愛する人に出会って、でもこの愛する人がギャンブラーで詐欺師呼ばわりされる人生を歩むもんだから、結婚して子供ができるも結婚生活の幸せ時間は長くは続かず…という感じ。Wikipediaを確認すると、実際の半生とこの「ファニー・ガール」のお話の筋とは結構違うものの、ポイントポイントは一緒って感じなのかな。実際の人生を元にした、実在のスターをモデルにしたお話って感じかしら。

主人公のファニーを望海風斗が好演。その母親が中尾ミエさんで、せりふひとつだけでぐっと雰囲気が出るし、歌うと(当然ながら)すっごいカッコいいしうまい(うまいっていうのも失礼なくらい)し、あー中尾ミエってそうだった凄い人だった~てのを思い出させてくれる。

この母が友達と3人でよくポーカーをやってるんだけど、その様子もね、実に雰囲気がいい。

何者でもない娘時代

望海風斗は最初、ダサいユダヤ娘で登場する。早口で半分くらい何言ってんだかわからないしダンスは下手でルックスもイマイチ。どこに自信があるのか、絶対ショーに出てスターになることを信じている。母親のブライス夫人(中尾ミエ)は、そんな娘を否定するでなく見守っている様子が素敵なママで、やべー娘にたまに冷静なツッコミを入れてるあたり、自分の娘を客観視もできているクールなママかと思いきや、娘が舞台で成功をつかんだとき、それは嬉しそうに「うちの娘なのよ」と喜び一杯で。ブルックリンの一角にある、ファニーたちの住むユダヤ人街にはプライバシーなぞなくって、ユダヤ民たちは一つの家族を形成している様子なども、アメリカ人が観たらなお一層来るものがあるのかしら、などと思った。
このミュージカルの歴史は古くって、名作らしいがとにかく楽曲がよい。海外ミュージカルは作曲が命、ってことがよくわかりますわね、毎度のことながら。

坂本昌行が最高状態

存在を忘れかけたところに、ひょっこり出てくるのがニック(坂本昌行)。舞台上の女たちもみんなウットリ、ヒロインのファニーもウットリないい男。
なぜかヒラヒラレースのシャツを着ている伊達男で愛嬌があって、優しくって。口説き方がスマートでそれでいてなかなか会えないっていうね!こんなんおちますやーん!!
とばかりにあっという間にニックを愛してしまうファニー。

若い娘は全員、大金のかかったデートを演出されたら確実におちる(私調べ)と思うんですけれどもファニーも落ちてましたねぇ。
でも後々この旦那がカネの問題を抱えていく。そして男がなぜそこにこだわるのかについては、彼を愛する女は理解できないんですね。そういう話。

登場時のニック(坂本昌行)はタキシード姿の、社交の正装で初登場なんだけれども、タカラジェンヌとは違うリアルな着こなしなんですよね。当然着こなしはタカラジェンヌの男役の方が美しい。けどリアルなのはこっちなのよね。こうしてみるとまるで違うものだなあなんて観ながら考えていた。そういやタカラヅカの男役のお衣装、特にパンツは、ジェンヌさんも着用したら座らないといわれていますけれども本当に皺がよってないわね。ニックのズボンは自然な皺がいっぱいあったわ。

坂本氏のニックを観てみたかったっていうのが今回チケットを取った理由の半分ですけれども、せりふ回しも明瞭、歌声はなんか吹替が合いそうってくらいにまろやかで、評判にたがわぬ素晴らしさでした。

タップダンスとショー

このミュージカルは、ヒロインのファニーが出演した劇場のショーを表現したレビュー場面がちりばめられていて、飽きる瞬間がない。出演者が八面六臂の活躍で、タップダンスもするし歌うし踊るしで、とても華やかだった。そして音楽の数々がとてもいい。ノリがよくって豊かで華やか。もっと上演してもいいのにね!ていう舞台だった。
タップダンスは観るたびに、実は私にはよくわかんない芸なんだけど(技量やキャリアの差があんまりわからない)。
イイヤツ枠で、ファニーを最初から支えるエディ役を演じた水田航生氏がメインでタップダンスを披露されていた。たぶんうまいんだと思う。手足が長くて見映えがする人だった。

今作はとにかく主演女優が大事で、若すぎても円熟しすぎてもはまらないかなって思うし、歌唱力とビジュアルが整ってないとねって思うと、望海風斗にピッタリのお役。本公演は5年くらい前から決まってたらしいって噂もあるけれど、いまの望海風斗にとてもはまる作品だと思った。
歌が大事、とにかくミュージカルなんだから歌が大事。ヒロインの歌もニックの歌もそれ以外の歌も、どれもとても大事で、ひとつも無駄がなかった。

9割くらい?の客席

私は、WOWOWの番組を観てからチケット購入して、普通に購入できたけれども、当日券も出ていたし、おかわりチケット購入も頑張って宣伝されていた。
この舞台は大阪や福岡も回るみたいだけれども、完売には至らず奮闘中の模様。私が観た日は台風一過の連休中日で、逆にファンも劇場に来るのが難しかったかもしれない日で、2階席は端が結構空いていたかな。1階後方のはじっこの席にいた私の前の席が不自然に数席並びで空いていたので、購入したけれども台風等の影響で来られなかった人もいたかもしれない。
まあ、ちとお高いですわね……ふらりと観るには。でも、私はあのとき半ば衝動的にチケットを取って本当によかったと大満足した。

とても良い公演で、日生劇場という素晴らしい劇場で観劇出来たことも本当に感動する体験となった。
公演が無事大フィナーレを迎えられるよう祈っている。





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アニメ1クール分。稲妻開化譚の風間柚乃東上作品を配信で観た

ポスターがイマイチ刺さらなかった私なんだけれども、作品はちゃんと面白かった。
真ん中の二人だけじゃなく、物語上の役割を担ったそれぞれのグループ(敵役、味方役、主人公の人柄を見せる脇役、物語を進める、事件を起こすグループ等)のすべてに見どころ、しどころがあり、全員の顔がよくみえるぶたいづくりはさすが。座付き作家はこうでなくちゃという仕上がりで、月組を観たかった身としては大いに満足した。

少し前から風間柚乃が己のビジュを研究し、よりヅカファンの最大与党(チャラ男イケメンだーいすきミーハー党)に好まれるよう、端正から耽美へ寄せている気配を感じていたんですけれども、先行画像はそのノリで、ポスターは作品の雰囲気重視のにぎやか系、で作品はというと、何かどっかで見たことあるキャラ像を寄せ集めて新しい話にした感じ。

アニメ1クール分を2時間半の劇場版にした感じか?みたいな印象を受けたのは、父母エピソードとか母のソロが1場面以上あり比重が思ったより大きかったなぁと感じたためか。

全体感想の前に立ちはだかる存在

うーちゃん(英かおと)の軍服姿がカッコよすぎた。うーちゃんにウットリしてたから部分的にちょっと話がはいってこなかったつうかうーちゃんイケメン過ぎるし。
役柄というかなんでしょうね、齋藤吉正氏はうーちゃんの軍服姿カッコイイと絶対ただもんじゃないチャライケメン風間柚乃を最初から年相応の親子姿に寄せるつもりなくって、年齢差とかいらんからカッコよく並ばせる方にかじ取りしたよねきっと。

明治維新はものがたりになる

今作は史実とフィクションを織り交ぜていますが、白虎隊とか、二本松少年隊とか、数えで12歳から17歳ということは最年少で10歳くらいの子も、志願または命令によって、武器を持って戦ったわけで、若い少年兵をたくさん生み出してたくさん死なせてしまった土地なんですよね福島って。会津藩と二本松藩という違いはあれど、明治維新で最も悲劇的なことを背負わされた土地のひとつだと思います。

そういう、なんとも痛ましい、子供たちに犠牲を強いた戦の傷を背負った登場人物たちや、それぞれの正義、正しいと思う道をいく政治家たちが登場しながらも、コミカルな展開や明るい「勢い」を感じさせる登場人物たちによって、舞台全体がいきいきしていた。

すぐに感じたアレ感

注目は、トップが近いのかと思われている風間柚乃の主演の様子と、ヒロインに選ばれた白河りりの様子、だったんだけれども、この配信を観ていて率直に感じたことは、
風間柚乃の芝居から感じる鳳月杏っぽさと、白河りりの芝居から感じた彩みちるっぽさであった。
なんならちなつさんとみちるちゃんに演じさせたところを想像してみても、すごく想像しやすい役柄・キャラでもあったなぁ。

風間柚乃は二番手羽根を背負ってからがぜん、目の前のトップさんでありピカイチの経験値をもつちなつさんの背中を真摯に追いかけて日々学んでいるんだろう。だからいまの風間くんを主演させると、その影響が目に見えてわかりやすかったんだと思う。

白河りりに関しては、彼女の芝居の元々の持ち味がわかるほど理解していないため、今回の役柄から、なんとなーく記憶にある彩みちるを連想したのかもしれない。
みちるちゃんは芝居巧者だったから、月組の若手はいろんなことを学んでいるだろうし~なんていう私の中にあるそういう偏見からくる印象かしら?とも思うし。

だから正しくはないかもしれないけれど、二人の芝居をみながらこんな印象を抱いた。

からの~

抱いた、とかいいつつも、風間柚乃の魅力とか、この人はどんなタカラジェンヌなんだろうとか、いまだにつかみかねている部分があって、とらえどころのない感じは何なんだろうなあなんてアレコレ考えたりもしていた。
チェ・ゲバラのときにあなたの名前を憶えてから、ずっと大好きなジェンヌさんでかわいくって頭がよくって芝居感もよくって声もよくって、ヅカオタでスカステのヅカクイズみたいなのめちゃ強いみたいんところも好きで、礼華はる君から教わったという「これを履くとヒールもスニーカーのようになる」という靴下を、私も履いてみたいわアタシ踊れないけどとか思いながらチェックして(ちなみにその靴下はウォーキングし始めて毎日履いているけどマジでめちゃいい)、ヒトより周りが見えるタイプだと思うんだよなあ、風間柚乃って。だからこそナルシスティックになり切れない賢さがアピール力に響き、ヅカファンの最大野党(キラキライケメン大勝利党)がもどかしく感じる点なのかもしれない。

月組は分裂しても月組

今回、NINE組が不在にもかかわらず、全然月組は物足りなさがなくってよい。
やっぱりバケモンだなと思ったのは、梨花ますみさんと佳城葵さんの伊藤夫婦ですかね。梨花ますみ組長はこういう芝居すると20歳くらい平気で若くなりますね。
やすちゃんは伊藤博文という、共通点がなさそうなキャラにしっかり寄ってめちゃウマだし。夫婦の関係性、主人公の風馬(風間柚乃)との関係性、けなげに尽くしてる二人の部下、中田英雄(澪あゆと)と本田恵一(涼宮蘭奈)がスマートでカッコよくって出てくるたびにスッテキだった。

お団子屋メンバーも、伊予松山義塾メンバーも、全員の個性があり台詞などもちゃんとあって生き生きしているのがまたよかったねぇ。いい子がいるなあと思ったら今回退団の、夏目金之助を演じた相星旬さんでしたか。キラキラしていましたねぇ。

そしてどうしてもひいき目にみちゃう大楠てら様は板垣退助だった。かっこよ~~~。

ヨカッタ人の名前をあげようとしたら全キャストってくらい、舞台全員がよかったなあ。

わすれちゃいけない2番手

彩海せらの役は美味しい役回りでしたね、ただ私の彼女を見る目が非常に厳しいので、今回はずっと良かったけれど、まだまだ足りない印象。中身が。
でも一乃凛(声がいい!芝居もきれい!)のお役との並びが様になっていて、なんか大事なものを守るために悪の道に堕ちてしまう治安の悪い世界での芝居が上手いのは雪組育ちだからなんですかねぇ。もう少しもうちょっとの成長を楽しみに待ちたい気持ち。
せら君のお芝居みていると、レインボーの池田を思い出すのは私だけだろうか。何がとは言えないが何かが似ている…?

うーちゃん

最後にまた英かおと。相手役状態だった主人公のおかあちゃん役は誰だろうと、あとから確認したら105期の朝香ゆららさん。大抜擢過ぎましたね。歌も芝居も。
うーちゃんはキャリアから、別箱だと役付きがうんとよくなるもんですが、こういう抜擢みると、次の、トップコンビ退団と一緒に巣立っちゃうんじゃないか、ほかにも卒業生だすんじゃないかとか考えてしまう。
私にとってうーちゃんはアイドルなので、卒業の日を想像するだけでイヤアアてなるけど、その日は必ず来るわけで……。まあまだなにもわかりませんけれども。人事的な転換となるトップ退団が控えているわけで、全体的な変化もかならずあるでしょうね。

ああチケットが欲しい

星も花もチケットがない。ああ、次の月組の本公演のチケットは当たりますように……。
常に「今が一番注目のとき」と思わせてくれるよい月組を見られて嬉しい。次の週末はNINE組か。楽しみに待ちたい。







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「葛藤とお友だちづくりのお話だよ」からはじまるポーの一族

秋の大連休。花粉症なのか風邪なのかわからない症状を抱えながら台風近づく東京宝塚劇場へでかけた。
鼻水と目がかゆいのと、アレグラで治まる点から確実に秋の花粉であるが、天気がちょっと悪い日とか曇りの日って案外症状が激しかったりするアレルギー。
台風が近い日ということで公演に何か変更があるかも、と心配したがこの日は問題なく通常営業の劇場であった。

ポーを観に来たという気持ちが強すぎて

ちょうど前日かその前か、原作者の萩尾望都先生が羽海野チカ先生と連れ立って観劇にいらしたらしいニュースにちょっとわくわく。
今回は久しぶりの2階席。2列目だったので銀橋も非常によく見え、王様気分で観劇できる良視界。角度がきついぶん前に座る方のあたまとか一切気にならないし、舞台全体が観やすいので2階S席っていいですねぇ。なかなかここにあたらないんですけれども。

しかも今回のポー、最後の最後にダイナミック演出があり、ゴンドラ?的なもので空中浮遊するエドガーとアランが思いのほか2階席でバッチリ楽しめるという望外の喜びがついてきた観劇となった。

近くの席の女子二人がカワイイ

前回、花組の公演は映像で観ていたが、私の感想は「ある意味出オチ」というもので……。花組生、そして明日海エドガーと柚香アランのビジュが凄すぎたことに脚本が負けていたというか、なんだろう舞台作品としてはあんまりおもしろいものではなかったな、と不満が残るものであった。メディア化拒否するタイプの原作ファンというスタンスで観た私。

なので断片的にしか、お芝居そのものは覚えていなかったし、再演作品の予習もしていない。キャスティングもろくに確認せずに劇場にいたんだけれど、近くの席の若い女性二人組の会話がとてもてもよかった。

二人組で、一人が初観劇・初宝塚のはじめてちゃんで、もう一人は関西まで観に行くという雪担ちゃんという様子だったんだけれども、はじめてちゃんに対して、プログラムを開きながら
雪担ちゃんの

『バンパネラっていうまあ、吸血鬼になっちゃってるのね。でこのきれいなの(プログラムを指差し)が朝美さんていうトップスターさんで、エドガー。このエドガーのおともだちづくりと、まあ葛藤?吸血鬼っていう、それを耽美?にえがいたおはなし』

ていう身もふたもない物語説明が私にクリティカルヒット。的確な要約にホワワとなってしまいましたわ。ヅカファンの容赦ない表現がいつだって素敵だと思います。

雪組をわすれかけていた

ボンクラな私は、舞台がはじまって、最初に出てきたシーラ(小桜ほのか)を「今回退団の美穂圭子さんっていいお役らしいけど、まさかシーラ…?」と一瞬思ってしまった。歌ウマだし。すぐに「ほのかちゃんだ!」とわかりましたけれども、思い込みが過ぎると目が曇る私。

なお物語中盤、ブラヴァツキー(美穂圭子)が出てきたらもう間違いようがなく美穂圭子さまだった。

出だしの勘違いはこれにとどまらず、私はどこかで勘違いをしたものか、アラン=瀬央ゆりあだと思い込んでいたから、アランが出てくるまでしばらく「ポーツネル男爵の子、せおっちに似てるな…?」「うまいな、あのせおっちに似てる人…」て何度も思っていた。アラン登場したときに「せおっちっぽくないけどすごくアランだ…!」とか思って、よくみたら縣千。
縣千の存在を忘れていた…というか、ポーの一族を観るぞ・観ているぞの気持ちが強すぎて、いまどこの組をみているのかわけがわからなくなっていたというか。

だいぶボケていて、紀城ゆりやみて、「稀惺かずと、ちょっと背のびた…?あんな顔だったっけ」とか最初思っちゃったしね。全然違うね。
自分のぼんやり具合にだいぶ自己嫌悪した。落ち着いて私。今思い返してみるとなんで観劇後しばらくするまでいろいろと勘違いしていたのかよくわからない。加齢と気圧のせいとしておきたい。

朝美絢のエドガー

でだし~!
エドガーの登場シーン、オープニングのせり上がりからピンスポにあたる瞬間の表情にくぎ付けになりました。
ㇰっと人を食ったような三白眼的な目線になる瞬間をナナメ上から目撃。誰がやっても難易度の高い、あのロマンチックなよくわからないドレープたっぷりの白シャツと少年性をとじこめた八分丈のパンツと白い靴下(タイツ)というエドガーのユニフォームが似合うんだけど、何とも言い難いちぐはぐ感も少し感じる。
熟した大人の女性が演じているのよねぇ、なんてことを思いながら、あーさのエドガーは明日海エドガーとは本当に別もので、エリザとかベルばら観た時のあの感じ、それぞれの役者の○○感がしっかりあって、あーさはあーさのエドガーを表現しているんだあって観ながら何度も感じた。

舞台上のエドガーは物語半ばまでイヤイヤ期があるんだけれども、ホテルの場面以降の、アランと出会ってからは明確に短くないバンパネラ生活ですっかりひねくれてしまった感じの瞳、目の演技というか表情のようなものがはっきりと伝わってくるエドガーだった。

縣千のアラン

まぬけな勘違いで、5秒くらい誰か気が付かなかったアラン。一度気が付けばそれはもう縣千なんだけれども、あがたくんがあのアランを…?タイプじゃないよね…って思っていたのは私だけじゃないはず。そして出来栄えは素晴らしく愛せるアランだった。ていうかすっごく好きになるアランだった。守りたくなるアランだった!
とてもいいビジュアルだったしとてもいいお芝居だったなぁ。

人形のメリーベル

出てきた瞬間から等身がちょっと特別なのがわかる音彩唯のメリーベル。かがんで小さく見せようとしている様子がけなげ。
ポーの一族の舞台がヅカフォーマットと合ってなさすぎるんで色々アレなんだよな~って思う。メリーベル音彩唯はとてもとてもかわいくて。正直役不足だよなぁというか、こっちが物足りない(もっと音彩唯を観たかった)というのが正直なところなんだけれども。お衣装はどれも素晴らしく似合っていたのが凄い。

すごくすごくいいポーツネル男爵

あの瀬央ゆりあっぽいポーツネル男爵は誰がやってるんだろう!とか思ってしまった瀬央ゆりあのポーツネル男爵は大活躍で、舞台上の役の比重も大きく、そしてせおっちが、本当にうまくてうまくて、この人がいなかったら舞台上の面白さや締まりが全然違ったよなあと思った。歌もいいし、スラリ長身の貴族姿が本当によく似合っていた。

説得力しかないシーラ

小桜ほのかが演じるシーラは、少年エドガーの初恋の相手であり、義母であり、物語上の男たちにもてまくる貴婦人であり。
首をさらけ出すために、チョーカーみたいなのを外して、レースの飾りのみになるデコルテの艶っぽいことといったら!!!
要所で歌も聴かせてくれたし、ヒロインらしいヒロインのいない筋書きのなかで、女性キャラで一番重いのはやっぱりこのシーラだったなあと。

小桜ほのかは専科で、今後も活躍していくことを期待しているけれども、美穂圭子さん同様、歌だけじゃなくお芝居だけじゃない、存在感もある素晴らしい才能だなあと今回改めて感じた。この公演でのキャスティングは専科の歌姫の継承かしらなんて思いましたものね。

特にシーラが農工具で刺されるあの場面の演技!肩をあげて全身の動き、見開く目など、本当に刺されたようにしかみえず、最高にゾクゾクした。

前よりも面白かった舞台

原作が大好きなだけに、前回は、キャストやビジュアルはいいのに筋自体はフーンだったのに比べて、今回の雪組版は全体的にとってもよかった。
ちょっとだけ気になる点は場面展開に幕を多用していたのがね、ベルばらとかエリザもだけど、クラシックな演出ですわね。イケコ先生らしいですわね。
実は最近の若手はやらない手法かな~とか考えながら観ていた。

歌も追加されているし、とにかく全体的にわかりやすくって。まあユーシスとメリーベルのエピソードが相変わらず扱いがちょっとヒドイのが気になりますけれども…原作好きとしては…でもエドガーとアランにスポットを当てるんだから仕方ないし、序盤といいあの辺の流れと言い、すっぱりすっきり。

大ラスのゴンドラは単なるファンサとして結局私も楽しんだし、その前の場面まででエドガーとアランが二人きりの永遠の旅に出たことも伝わってくる。

真那春人、諏訪さき、眞ノ宮るいをみてああ雪組~と思ったし、咲城けいは美貌が印象に残った。華世京はずいぶんと男をあげたなぁという感じだったし、華純沙那の清らかさは印象に残った。


配信でしっかり復習したいと思う。



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感想と劇評。演劇評論家渡辺保氏の訃報によせて

私が初めて歌舞伎に興味を持ったのは中学生くらいのとき。テレビで何かを観たのがきっかけだったと思う。
学校の芸術鑑賞的な、何かの一環で、希望日に歌舞伎観劇体験ができるというものがあって、母に話したらノリノリだったので観に行くことにしたら、色んな手違いで、時間も場所も思っていたのとは違って持て余した母と二人、野毛山動物園でサルをみたりしたおぼえがある。

母は劇場の座席に着くとすぐ寝てしまったし、私はそのときみた、知らない役者がやっている知らない演目が、それでもいくつかの場面、はっきりと記憶に残った。
あかるいきみどり色の振袖姿の、若い娘に扮した女形さんが、舞台上でトントンと大根を切るシーン。
そのシーンがあまりに鮮烈だったから後にあれは有名な「野崎村」の場面だったということが確かめられた。

歌舞伎観劇の日々は30歳の頃転職してほとんど終わり、その後は数年に1度きりとなり、最後に歌舞伎座にいったのはコロナ禍とずいぶんと遠くなってしまったが、私が歌舞伎を面白いと思ったたくさんの理由のなかのひとつに、演劇評論家 渡辺保氏の劇評があった。

プロの目線のひとつ

歌舞伎の芸は親子継承が基本である。この親子は血のつながりの有無にこだわりがあるというのとも違うが、実の親子が継承すると、姿かたちが勝手に似るものだから、ファンや贔屓はより喜ぶという違いはあるかもしれない。

何がいいのか、悪かったのか、芝居を観て己の感想を探る時によくわからなくなることがあった。演劇評論家の渡辺保氏は、毎月毎月何十年も、ご自身のホームページに「今月の芝居」というカテゴリで歌舞伎座や国立劇場や新橋演舞場の歌舞伎演目の感想・劇評を掲載されていたので、歌舞伎観劇を楽しんでいたころは毎月チェックしていた。

渡辺保氏の劇評はいつだって、世間知らずで無知な20代の私にも明快でわかりやすくって、そして芝居の急所とか要所が何なのかを教えてくれる貴重な文章だった。
毎回びっくりしたのが「前回の○○(看板役者名)とくらべて格段の出来」とか「○○(看板役者名)は変わり映えせず」とか「○○(看板役者名)は座ってるだけ」とか、ほめるところもそうでないところも率直なこと。
そして、何十年前の同じ役者の同じ役の芝居を実際に観ているから、比較して評論されたりするその蓄積されている経験や知識に圧倒された。

あと超有名な歌舞伎役者さんを結構一刀両断するから読んでてどきどきしちゃってね。

初日と楽日近くと

芝居はたとえ、歌舞伎のような、もう何百回と上演されている演目ですら、初日と千秋楽頃では芝居が変化する。
渡辺保氏はよく、その月の歌舞伎座に、初日の頃と、中日と、楽日近くとご覧になってその違いなんかを感想・劇評に盛り込まれる月なんかがあった。
それでうぶな私は「そんなに違うのか、なら私もそんな風にみてみたい」なんて憧れて、真似して同じ芝居を月に3回くらいみにいったこともあった。なんとなくの違いしかわからないもので、それを言語化できる力はなかった。

出色の出来

よく、ある役者がみせた良い芝居のことを「出色の出来(しゅっしょくのでき)」という表現をされていて、私はずっと「でいろのでき」と読んでいた。読み手が勉強不足で申し訳なくなる。この芝居好きの評論家が劇評のなかでときどき「祖父の○代目とそっくり」なんていう感想を書かれていると、全然わからないのに嬉しくなったりしてね。

誰かの芝居を褒めていることも面白いが、やっぱり劇評は厳しい意見の部分の方がより注目して、惹かれるように読んでいたように思う。
何十年も劇場に通って、その役者の初舞台から観ているだろう人の「〇〇の場面がよかった、よくなかった」はどんな風に感じられるのかに興味があったが、渡辺保氏はそれもわかりやすく評論されていた。
せりふ回しについて、実際の台詞を書かれて、このところの間がこうだと、次の場面の心情がこうなのだから矛盾が生じてしまう みたいな批評をされるから、いつもなるほどなあと。
こうして書いてみてはっきりするが、この具体的に証拠を指し示すような論調はまるで、本格推理モノで探偵が事件の謎を解き明かしているときの台詞のような表現方法に似ていると思う。

どこかの舞台関係者がぼやいていたこと

すこし前に、SNSで劇作家かなにか…舞台関係者が、ネガティブな感想を拒否するようなことを発言していて、ヅカ界隈のアカウントもその発言を批判していた。

正直に書くと、宝塚のブログについても他人の「面白かった」よりも「つまらなかった」の方が興味をそそるという構造はあると思う。
これは週刊誌系がよくやる手と一緒なので(批判的見出しでクリックを稼ぐ)、ヒトの心理というものはそっちに注目しがちなんだと思うのよね。

そうした「注意を集める言い回しがある」ということを差し引いて考えても、「私はとても期待してオープンマインドで劇場の椅子に座っていたのに、こう裏切られた」みたいな感想って本当に参考になるし面白いと感じる私。
もちろん「私はとても期待してオープンマインドで劇場の椅子に座ったら、王様気分の3時間を体験し最高過ぎた」ていう感想を否定するものでは一切ない。これは、あまいものとしょっぱいものの片方だけを否定するもんじゃないという話だと思っている。

誰かが本気で真面目に、中傷ではない批判や「おもしろくなかった」「できがよくなかった」を率直につづった文章は魅力的な感想だと私は感じている。その率直さを見習いたいと思う。
そしてそういうものをロジカルに書き上げられる人の一部が、プロの演劇評論家なんだと思う。

第三の目に

自分の好きなものを否定される気がして傷つく心理があるが、渡辺保氏はよく玉三郎さんクラスの人も一刀両断されていたものの、そこにはひとかけらの中傷もなく読み手が不快になる要素が皆無で、謎解きのようなロジカルさがあったから、つい同じ気持ちでうなづかされてしまうものだった。
そして「観ていない芝居を、評論家の意見だけで判断するものではない」という基本を思い出してハッとし、また劇場に行きたくなるものだった。

渡辺保氏の演劇評論はいつもそういう、教えとか導きを与えてくれるものになっていた。歌舞伎が好きだった私にとっては。

いつの間にか、たまに思い出してホームページを覗きにいくだけであったが、渡辺保氏は今月の9日に90歳で逝去されていた。ちょうど今日、増上寺で葬儀がおこなわれたという。
ホームページ上の劇評は、2025年6月が最新。鮮やかな劇評が乗っていて、ああ、また歌舞伎が観たいと思った。











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ちょっと本当に次元が違った、WOWOW「礼真琴CROSS HAUS」について

WOWOWのライブ・トーク番組で絶対的信頼がおけるホストと共に送る音楽番組といえば井上芳雄氏の「芳雄のミュー」が代表かつWOWOWのオリジナル番組のなかでも、ジャンル特化で根強い人気がある看板番組だと思う。

で今回、ドーンと広告もばらまかれて「鳴り物入りスタート」な感じではじまったのが「礼真琴CROSS HAUS」である。
初回は1時間スペシャル放送で、二組のゲストと共にテーマトークと、ゲストの代表曲を生演奏で歌唱・デュエットもという構成。

非常に画期的かつ明確なメッセージを感じたのは、番組開始の一番最初に披露されたのが、礼真琴自身が選曲した、ご本人にとって大事な曲である椎名林檎の『人生は夢だらけ』を披露した。
うたい方はオリジナルの椎名林檎に寄せているようで、勝手に寄っちゃってる感じがたぶん礼真琴自身がすり減るほどこの曲を聴いて、歌って愛してきたんだなぁと感じた。

この「人生は夢だらけ」は初回放送のエンディングにも使われた。二回目以降はオープニングムービーになるのかもしれんが、なんか雰囲気がよい。でも本音は礼真琴のオリジナル曲がここで流せたらいいよね~的な。そのうちメジャーデビューもしそうよね。しないわけがなさそうである。

なにかとレベチ

まずこの初回放送は、このためだけに課金してでも、礼真琴を知っていていいなと思ったことがある方は観るべきではないかというほどに、最高品質の歌唱が暴力的に次々と繰り出されるパワフルな番組だった。

これまで観たあらゆる歌番組等の、歌手のデュエットで、これまで生きてて一番すごいのを観たって感じ。

ゲスト選択が秀逸

初回ゲスト前半の平原綾香さんがまたすごいよくって。ドーンと重鎮感がありつつやさしくってやわらかそうでね。トークの雰囲気や、対面は2度目という距離感からくる雰囲気の初々しさとほがらかな親しみやすさがいい塩梅で、観ているとひたすら礼真琴と平原綾香さんへの好感度があがる仕様。いきなり女王様みたいな人を召喚したのがよいが、こういう人が民放のゴールデンタイムに普通に歌を披露する機会って、気が付くとほんと減ったものねぇ。

お互いに対する質問をあらかじめ考えておいて、それを3つカードにしてお互いの前に置き、カードを選択して会話をはじめる形式は、「カードを選ぶ」というほんのちょっとのゲーム性がとても効果的で、スカステでもよく見るやつだけど、なんかいいわね。

初回ゲスト後半がCrystal Kayさんで、この方がまた平原綾香さんとは異なるチャンネルの親しみやすさとフレンドリーな雰囲気が、後半にくるから観ているこっちはほっとした。

というか、この1時間スペシャル、30分の時点でおなかいっぱいすぎるのね。圧倒的歌唱しかないから。で、こんなすごいものを観れたなんて…なんて思ってたら後半ゲストとしてCrystal Kayさんが出てくるからマジで?てびびる。びびった。

ドキドキした

平原綾香さんと惜しみなく「Jupiter」のデュエットが披露されたんだけれども、パートごとにハモリがくるくる変わってね!主旋律とハモリが変わるのがゾクゾクしたし、ひっさしぶりに男役歌唱を思い出すような礼真琴の低音歌唱が、色々滅するほどカッコイイ。必聴。

いや~、すごかったなぁとひと息ついた後に、最後に「JOYFUL, JOYFUL」が披露されるけどこれがまたバケモノ曲でしたわ。全編英語かつラップ。「天使にラブソングを」のとてもパワフルで幸福度と難易度が高い楽曲。いつか出るんだろかって思っちゃうね。

これでフィナーレかと思ったら「どうもー♡」とCrystal Kayさん版が続くんで、ジェットコースター過ぎた。

素直で率直で

Crystal Kayさんは、どうしてタカラヅカを目指したのかなんていうことを改めて質問していて、それに率直にこたえる礼真琴がまたいい。
平原綾香さんとのトーク場面では、礼真琴がいちばんきいてみたかったこととして「初見の曲の練習方法」みたいなことをきいていた。平原氏は譜面はほぼみずに、耳でいれて、音が凄く響く場所や全く響かないスタジオ、広い場所、狭い場所など、反響音の異なる環境で歌いこんで音を確認し、いれていくということを語っていた。

礼真琴は逆にタカラヅカ時代から譜面をとにかく使うそう。こういうアプローチはどういう教えの中育ったかでそれぞれ違うようですねぇ。技術論みたいな話に近くって、それを聞きたがるまこっちゃんが本当に歌に関して貪欲で真摯で真面目だなぁと感じた。むかーしスカステの番組で望海風斗と共演したときも歌唱方法や声とか咽喉の保ち方みたいなことをだいもんに質問してたのを思い出したよ。

平原さんもCrystal Kayさんも経歴が特殊というか、幼いころから音楽の世界にいた方たちで、全然違うけどなんか共通点というか、音楽の子ですわね。
音楽の才能を開花するのには恵まれた環境が幼少期にあったにせよ、本人がボーっと受け身なだけなら才能は活かされない。葛藤もあったようなことをお二人ともちょっとだけ話していたのが印象的。

Crystal Kayさんが披露した「Only One」て楽曲はあとをひいて、よかったなぁ。

育ってほしい番組

次回(10月末)のゲストが氷川きよしさんらしい。クセツヨなところを持ってくるのね。いまからどんな感じなのかドキドキしますけれども、ダイジェスト映像をみるにだいぶパワフルな模様。

この番組が名物と言われるほど育って、そのうちライブとかしちゃったりして、なんて夢が膨らむんですけれども、とにかくこんなに歌がうまい人の番組初めて見たって気持ちになりましたわ。いままでみたいろんな音楽番組ものが過去になるというか。衝撃度はそれくらいに大きかった!






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WOWOW芳雄のミュー。充実期の望海風斗と「スター」

WOWOWの生放送、井上芳雄氏がホスト役を務める人気番組「芳雄のミュー」

久しぶりに望海風斗が登場ということで、これもオンデマンド視聴。赤い芥子色の、ボディラインを一切拾わないひらりとしたワンピース?ドレス?姿がスッテキでしたわ。

観客マスクはお約束

この番組、開幕は番組オリジナルのオープニングテーマソングを歌う芳雄氏を、番組観覧客が並んで両サイドで待ち受け、その間を芳雄氏が歌いながら1輪の薔薇を観客に渡していきながらスタートするという、素晴らしき昭和歌番組演出で味わいぶかい。

この時のお客さんがみんなマスクしているんだけれど、コロナ以降はこれがデフォですかね。まあ多少安心ですよねぇ。芳雄氏と距離の近い触れ合いシーンがありますものね。

だいもん、前回でたのって

何か3年ぶりとかいう会話してた気がするんだけど、そんなにたつ??とちょっとびっくりした。
後、なんだかんだもう一回くらい出てるんじゃないかって気にもなりました。不思議。

今回はミュージカル「ファニー・ガール」の宣伝ということで、元V6坂本昌行氏とご一緒に登場。この番組で知るまで、坂本氏が舞台、それもミュージカル経験をコツコツ築いて技術を磨かれていた方だったとは、よく知らなかった。
ファニー・ガールでは望海風斗と夫婦役だそう。このミュージカルのこと全然知らないけど、楽曲が名曲ぞろいということで、曲だけ有名だけどミュージカルのお話自体は意外とみんな知らない・観たことないでおなじみな作品らしいですね、業界内でも。

私ももちろん知らなかったけれど、だいもんが最後に歌った代表曲は聴いたことがあった。

井上芳雄も嫉妬するのがわかる

何かの流れで「思わず嫉妬してしまう」という言い方をされていた芳雄氏。
そのお相手が坂本昌行氏なんだけども、この坂本昌行という人の、魅力が、やばかった(語彙力ぅ)。

正直、ぴょこっと出てきた当初は、記憶の中の、あの「V6の坂本くん」のイメージよりずいぶん老けて、頬や眼窩もたるんで年相応になっており、アレ今こんな感じなんだ~って思ったんだけれども、そのすぐあとにね、「頬や目のたるみが自然・年相応の芸能人は人として信用できる」という私的な基準により、この坂本君はきっといいひと(まっとうなひと)だ!なんて目でみてたんですよ。画面を。

イヤ仕事上、ケアしまくっている芸能人が悪いわけじゃないけど、目がデカい人は特に、その代償として目の下たるみますからね。目や口元が派手な華やかな顔立ちほどね。
なんだけど見た目が大事な芸能人でしかも元アイドルなのに、この坂本氏は自然だなぁなんて思って。
おまけに、自分のターンが来るまでじっと静かでね。

この芳雄のミューは特に、はしゃいでやかましいタイプの俳優がたまにいますけれども、それも盛り上がりとしてわるくはないものの、この坂本氏の何がかっこよかったかって、
黙って座って、だいもんのターンで芳雄氏とやり取りしている間、本当に静かに微笑って感じだったのに、話し出すとオーラがあるし、
うたいだしたらちょっとカッコよすぎる。歌が上手い!!!

うたい方が特に素晴らしくて、たしかそのことで芳雄氏がちょっとジェラっちゃう魅力だとか言ってた気がする(うろおぼえ)。でもその表現の褒め方がすごいしっくりきていた、非常に稀有な魅力と色気がある人だと感じた。

だいもん目当てで観たのにすっかり坂本氏にやられるというか、脂がのってた時代の旧ジャニで育成され売れていたアイドルの人の持つオーラはだてじゃないというか。

みんなで歌う一曲は確かに肩透かし

ファニー・ガールは実在の人物のお話なんですね。その辺の紹介をされていた。
代表曲のひとつを3人で歌いましょう!ていうのが楽しみだったけど、坂本氏も芳雄氏もほぼ最後のコーラスでもったいない。
芳雄氏自身ももっと歌いたかったと言っていましたが、まー色々制約があるんでしょうね。練習する暇なさそうですしね。

この番組を観たあと、数日たってじわじわと気になりだしてきていて、ネットでもブロードウェイのスタッフが来日して密なお稽古の様子なんかが伝えられていましたが、
どうせみられんだろう、と思っていた。

しかしふとファンブログ観ていたら、まだチケットがありそうという情報があって、みてみたらたしかに。9月8日開幕で、シルバーウィーク期間に日生劇場でやってるんですね。
そのチケットがチケットサイトで、日によるもののまだ普通に買える状態であった。出演者は豪華そうだが、即ソールドアウトってのは厳しいんだな、日程か、演目かはたまた…
と思ったけれども、S席が17500円。プラス手数料。
大好きな演目!とかでなければ、この値段は初心者を跳ね返す金額であり、ファンは買っているものの完売はちょっとという感じなんでしょうか。

とりあえず、ポチったわ。観に行くわよ。






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