ちょっと前にWOWOWで放送していた、モンテ・クリスト伯を録画していたので日曜の夜に視聴。
だるくなるかな(明るい話じゃないから)と視聴タイミングをはかっていたんだけれども、さっくり1時間半ほどにタカラヅカ仕様でまとまった本舞台は、全ツ公演にはピッタリじゃねっていう感じで、視聴後もそんなにどんより悲しくなることもなく、なかなか楽しめた。
私にとっては巌窟王
私にとってのこの題材は、10年くらい前にアニメ化した前田真宏監督のアニメ版巌窟王が素晴らしすぎて、やっぱりあのアニメ版を想起しちゃう。
こちらの舞台は純粋にタカラヅカ版であり、初演宙組版のリメイク品なので全く別。
原作は新聞連載だったから読むにはいささか間延びした展開もあるらしいが、実在するそっくりの事件をなぞった話っていうんだから信じられない。Wikiを読んでも、エドモン・ダンテスのモデルになった人物と事件の概要は、フィクションであってくれよと願いたくなるような話。
それはさておき、今回の舞台、何も知らずに観たのでラストのアルベールの設定変更には「エッ」てなりましたね。まあそこを原作通り、フェルナンの息子としてしまうと、語らなくてはならない心情が枠に収まりきらないし、トップ娘役の居どころが難しいので、ヅカ版らしい改変かな、と納得。
なんかいないなと思ったら
公演当時の情報を確認したら、公演中止や休演が相次いでいたんですね。WOWOW放送の映像は、スカステ放送のものと同じだそう。2022年9月1日収録。
有沙瞳は休演していたんですね。ほかにも多数、休演と復帰とバタバタしていた模様。こういう苦労された公演があったことを3年足らずで忘れてしまっている私…。
現地で公演中止を発表されることなどは今後もありうることで、忘れちゃいけないな、なんて思った。
美はみせものになる
映像で観て、いいなと思ったのは、主演礼真琴はおいといて、舞空瞳のメルセデス。瀬央ゆりあのフェルナン、綺城ひか理のヴィルフォール。
そして目立っておいしく美しい暁千星のベルツッチオ、天華えまのルイジのコンビは、これからの星組体制を予感させるもので、この頃から相性ちゃんとみられてたのかな、とか今更気が付いたりなんかして。
でやっぱり、キラキラなアルベールを演じきった稀惺かずとですねぇ。尺があれば、モンテ・クリスト伯とアルベールの間に生まれた関係性、アルベールが彼に心酔していく様子なんかも描きたかったでしょうね。結構物語の大事な要素だったとおもうし。尺の都合でその辺はバッサリいってて、決闘にいたる大事な感情みたいなのがだいぶ大味になっていたけれども、この物語の被害者ワンツーが、主人公のエドモンとこの息子アルベールなわけで……。
ラストに礼真琴のエドモンと親子の邂逅をすることになったアルベールのキラキラ稀惺かずとが、しっかりお披露目されている感じがしてとても印象に残った。
変化する主人公
今作は、登場シーンから、厳しい牢獄の日々、そして脱獄後にも神職姿に、パーティでどどんとモンテ・クリスト伯として登場するシーンにと、主役の姿がガンガン変わる。
物語開幕当初の、悲劇手前のエドモンの姿をした礼真琴は、私には柚希礼音にそっくりに見えておおお?て思った。
髪色を明るい金髪にしてバックにまとめて男らしいメイクする礼真琴って、柚希礼音に寄る気がする。
その後も見た目が七変化するので、単純にみていて飽きないし面白い。モンテ・クリスト伯として姿を見せた黒髪の礼真琴は、ウンかわいすぎるんだが、芝居がそれを裏切っていて。
この役をやるには彼女の身体はかわいすぎるんだとは思うものの芝居力でそのギャップを振り切っていたし、舞空メルセデスとの並びもとてもよかった。
礼真琴は海賊とかこのモンテ・クリスト伯も、本人希望でやりたくてやったらしいから、ノッてましたねぇ。
復讐にとりつかれ、憎しメルセデスに対面した姿・表情はしっかりと焼き付いた。
別にいいんだけれども…
1時間半でわかりやすく纏め、宝塚歌劇らしさを維持する意味では今作の改変は納得するものの、ヅカファン、ひいては我々女の身勝手さには考えさせられる。
今作のメルセデスはヒーローに対する一定の貞節を守ったようでいながら托卵というなかなかえぐいことをしてしまうことになっちゃったけれども、ろくでなし3人男に人生を狂わされた被害者としての立場ならそれも仕方なしというか、彼女にできる精いっぱいの抵抗ということにしたのだろうか。
原作も含めエドモンの立場からすれば、何がなんでも自分に操を立てて独り身で信じてくれていなかったのでアウトという判定なんだが、こうしてみるとそれはそれで…、そうできるもんならしたかったけど、というメルセデスの言い分もあるわけで…、劇中、ありちゃんベルツッチオが何度もエドモン礼真琴の説得を試みていた台詞にもっとも同意しちゃう。
これが転じてベルツッチオ役がよりよくみえるのよね。単なる出番の多さだけじゃなくて、キャラの真人間感に好感がもてちゃう。
せおっち演じるフェルナンがとことん嫌な奴になってくれてたから丸く収まってるところあるよね、とか、色々と、あっさり書かれることになった男女愛憎面について想像しちゃったわ。