隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

ムラのチケット、東京のチケット

そういえば「温泉施設の客寄せに」が宝塚歌劇のスタートだったのだから、「宝塚大劇場」が多くの人にとって決して近い距離にあるわけではないのだということを、あらためて実感させられる今日この頃。
宙組の大劇場公演チケットにだいぶ余裕があるようです。様々な条件が重なると、やっぱりこれが普通だよね、と思ってしまう。

やっぱり遠いよタカラヅカ

宝塚大劇場公演はいま月組のトップ退団公演中。
これはコロナ禍の緊急事態宣言延長に伴い、完売ではなかったものの5末に売り止めとなりましたので、関係者が内々に、というの(あるか知らんけど)でもない限りあらたにチケットを注文して観劇はかないません。
月組の前は、花組が本公演(アウグストゥス)をやってました。こちらは後半、公演中止のうえ歴史に残る無観客千秋楽となりましたが、販売期間中でも完売とはならず(中止がかかる流れで購入が厳しかった状況)。

その前は星組ロミジュリ。
東京公演期間に至ってSNS上では大評判とはなったものの、ムラ公演は一般でも即完売とはならず。比較的はやくチケットはさばけていましたが、前評判からすると意外なほど、「日を選ばなければ買える」という状態が発生。完売厨(自分の贔屓組はよそと違って完売ですのよとマウントする婦人たち。どの組の贔屓にもいる)はやきもきしたでしょうねぇ。

その前は雪組fff、トップコンビ退団公演。
さすがにこれは完売でしょ!となったか、というと…たしかに完売したはずなのに、いざ幕が開くと、連日どこかしらで空席が目立つという状況が目撃される事態に。転売屋の敗北と遠征組の涙の自粛が、赤い空席となって晒される公演となりました。転売ではなくとも、SNS上でチケットお譲りが大量発生するという困惑する状況も生まれました。

さらにその前が宙組アナスタシア。まかまど最後の公演。
これまた一般で完売とはならず、売り止めがあったり貸切公演の中止がありましたっけ。私はこれは、東京で何度か観ましたが、二階席が真っ赤のなか一人ぽつんと観劇した日がありましたねぇ。

劇場は遠くなった

結局のところこれに尽きると思う。
それでも多少無理してでも遠征しよう、という人は、贔屓のトップ退団公演なら動くかもしれないが、この宙組シャーロックのムラチケ状況を眺めると、今の時点で土日ですらS席に余裕がある日が存在するのは、もう、認めなければならない。私たちはもう、劇場から足が遠のいている。
たとえ好きで応援している人たちの舞台であっても、みんな無理しなくなった。

宝塚大劇場にとって最も望ましい観客は、遠方から阪急交通などを多用して遠征してきてくれる団体の客だろう。個が集まっての団体でも、どこぞの貸切でもいい。はるばるやってきてあずき色の電車に乗ってきてくれる観光客が一番、トータルで阪急グループにお金を使ってくれるのであればこそ、宝塚歌劇を運営しているかいがあるというものだ。
しかしそれは、ワクチンが当たり前になった後の世界になっても、復活となるかは不透明であると思う。この数年で我々はものの価値観の再構築を迫られてしまった。

劇場は大切だ、芸術は存在しなければならない、でも遠方の劇場への気軽な遠征は、日常生活に存在する様々な大切なものを思うと厳しいので配信で我慢する。

こんな感じに落としどころを見つけた人は多いのではなかろうか。私たちは宝塚歌劇舞台芸術も愛しているが、愛し続けるには生活基盤を守らねばならん。
宝塚大劇場は、やっぱり遠くて、あきらめざるを得ない。

東京ならありか

人口が最も多い都市には、その分ヅカファンも多いわけで、当然ながら、コロナ関係なく東京公演のほうがチケット争奪は厳しい。
直近では月組がさっくり完売(まだ公演前)。公演中の花組はチケット完売ならず→売り止め。

※コメントにて訂正いただきました、改めて自分のメモを確認したところ、花組
 友会先着は余裕あり、一般で即完売→貸切公演キャンセルで戻りが出る→6/1以降売り止めへ でした。戻り分も完売情報もありましたが自分が確認した29日30日はごく少数残ありでした。無事売れてたらなにより。その後の現状、公式HPでは売り止め扱いのメッセージがでています。
 大変失礼しました。

星組ロミジュリ、雪組fffはともに一般で完売だったかと思う。大都市ゆえに緊急事態宣言下の中心部であっても劇場に向かう人の母数は多いかもしれないが、「東京いってくる!」が絶対に許されない地方在住ファンがたっくさんいる。同じ遠征できないにしても、ムラと東京では少々趣が違うと思われる。
それでも、2000以上の座席を持つ劇場を、よく回転させるものだといたく感心する。宝塚歌劇は本当に規模が大きい、すごいことなのだ。

私の仲良し友人が在籍している劇団は、通常300~500席くらいの劇場で公演しており、中心メンバーに有名な声優が何人かいるので小~中規模劇団としては、日ごろの公演チケットの売れ行きがいいのだが、コロナ禍ではすべての公演を断念し、オンラインのみにしている。これは、もしも緊急事態宣言等による公演中止となった場合、そのまんま劇団として廃業に追い込まれるほど、金銭に余裕がないためである。
ひとつの公演を完走したあと、資金に余裕があり貯金ができる劇団などあるだろうか。もしあるのならそこは、よっぽどグッズが売れているところである。

全国は今後もありかもしれない

さて様々なツアー企画などで、タカラヅカ温泉に客を呼べなくなったらどうなるか。それはもう、いくら東京なら完売しようが、やがて衰退するだけ。本拠地が閑古鳥になってしまったら元も子もないので。経費はかかるが、小さい規模(劇場サイズ的に)向けの作品をツアーに出して回していくのは、地元に宝塚歌劇がくるというのであれば客はこようし、認知・知名度も稼げるし、昔ながらの旅回り一座ではないが、費用対効果はでるかもしれない。当面、厳しい収益を反映し、大劇場公演の予算は削られていくはずなのだが、地方公演は復活のまま継続されるのではと期待している。

古くても新しくても

これからが、本当の正念場を迎える気がする宝塚歌劇。まもなくここしばらくなじんだトップスターが全員卒業していくだろう。若くて美しくて芸に穴がなくって、それでいて真面目な若きスターたちはきっと、大変難しい時代を支えることになる。
たぶんあと10年20年で、ババアファンもおとなしくなるはず(天海祐希時代に大量にファンになった世代がたいがい老朽化してきて、生観劇がしんどくなるはずだから)。
まあその頃には柚希礼音と明日海りお時代に大量発生しためんどくさい粘着熱烈ファン層がババア化するんだろうが。

それでも劇場がにぎわって、ロビーがにぎわってても怒られないで、そんな日常が帰ってきたら、なんて夢見るのはだいぶ甘いか。
せめて今日の幕が当然あくものと、信じられる日常にはなってほしい。しかしこの先、自分がチケットをどれだけ手に入れるかは、もうわからない。
無事幕があきますようにと祈るけれども、自分はそこに座らない……そういうファンになる日がくるかもしれない。
でもチケットを買わなければ、幕はあかなくなってしまう。


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