隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

理想形、雪組トップスター

少女時代の私がポ~となって、退団後出版の本(ちょっと前まで、トップスターは退団後みんな本1冊出してたような…)まで買ったトップが、杜けあき

雪組ってのは昔はちょっと地味なキャラのように言われていた気がする。和物がうまいからっていうただそのイメージだけだったと思うけれど。
杜けあきがいて、一路真輝が次に控えていて、轟悠なんて若手路線系の一人でしかなくって…ていう懐かしい時代

の話はさておき。そんな雪組の系譜を継いだ彩風咲奈の退団に向けたショー公演をライブ配信で視聴した。

チケット運がなかった

望海風斗の時代の方がはるかにチケットが取れたのはやはり、コロナの影響なのかな。私自身の生観劇体験のはじめましてが2018年ごろだから、だいもんファイナルシーズンの頃であったし。ワンスもfffもずいぶんと、観たな…。

対して咲ちゃん。咲ちゃん!!コロナの規制緩和後あたりからまったく、当たらなくなった。
最後に雪組を生でみたのいつだっけ、と確認したら2022年の『蒼穹の昴』 。そこから2年、生で観られてない。
友会かすりもしない不思議。雪組だけまったくかすらなかったな~。まさか夢白あやとのトップコンビを生で1回も観られないまま終わるとは。

豊かさの象徴

咲ちゃん。彩風咲奈。悪いスーツも着こなす稀有な才能を持った、シャープな男役でありながら、トップスター時代にダルマを披露できる「豊かさの象徴として真ん中にたてるかがやき」をもった、ここ数代でようやく誕生した稀有なトップスターだと思っている。

男役像というのはみんなそれぞれ、自分の長所と短所を色々演出して化粧して装って作っているから、どんなに男らしいスターであっても、逆に華奢なタイプのスターであっても、女役をするだけで男役像からのギャップがネガティブに出てしまうタイプの方が多い(かわいい女の子、華奢な女性であることが晒されすぎてしまう)。まさに「化けの皮がはがれて」しまう。
これが屁でもないってタイプがごく稀にいて、彩風咲奈がそれだった。彼女の堂々たるダルマ姿の見事さに大感動したっけ。男役トップがやることにひとつ意味がのっかるんだよなぁ。
ありがたやー!って感じで。個人的な感想です。

手足が長く、顔立ちは三白眼系の鋭い視線で、受け身が得意なタイプってダルマいける男役になりやすいのだろうか。ちなつさんもコレだよな。

トップスターとファンの祭典

『ALL BY MYSELF』というタイトル。「すべて自分自身で」という意味合い。他の人の手をかりずに全部自分でやったよ…なんて言い回しに使うらしい。Googleが教えてくれた。
たった一人で万能な孤高な…そんな感じかなって思われるが、ショーは咲ちゃんのこれまでの作品を追う、王道にして正道の退団前公演であった。

私はここ最近雪組の作品を生観劇することが叶わないし、咲ちゃんのことを、昔からずっと追いかけていたスターってみていたわけでもない。

だけれども、嬉しいなぁと感じる公演だった。彩風咲奈のこれまでを振り返ってくれて、名作「海の見える街」は記憶とはまた違っていて。やっぱり円熟味というかなにか熟成されたものがあった。
あの当時のものはあの当時にしかない味があった。思い出補正もあって、あの若いステージにしかなかったものが懐かしくなった。お酒のようだなあ、なんて思ったり。

詳細は語りつくせないんだけれども、彼女だけを新人時代から追っかけてたファンの人は号泣で前がみえなかったんじゃなかろうか、この公演。

あなたにあいたい

咲ちゃんってのは、本当、身長173センチで脚が2mくらいあるすごいスターなんだけども、こういう人が男役やってくれてるのってやっぱすげぇなって。
彼女はまた新人時代から見る見るうちに美しくなっていったタイプで。前トップのだいもんが雪組を中心に毎公演足しげく観劇しまくっている様子からも、なんかこう、いいね、よかったね雪組って…。

咲ちゃんてのは、ハリゴシみたいな、「ちょい落ちぶれた二枚目スター」っていう、チンピラよりはどこか生まれがよさそうな感じみたいなのが似合ってるなあっていうイメージで。
エストサイドストーリーとか、ミーマイもいいね、なんかこうアメリカンな元気なミュージカル、もっとやっているところを観たかったなあ。

おでっせい

この公演、ひしひしと感じたのは……。

やっぱりODYSSEYへの熱い思いでしょうか。なんか熱かったと思うんだけどあの場面。フラッグもたしかODYSSEYゆかりの品ですもんね。
海賊っていいもんね…

卒業の花道は伝家の宝刀、ベルばら。彩風咲奈にこそふさわしい。最後の日まで楽しみだ。