宙組卒業の発表が、ちょっと予想してなかったんでダメージでかい……。集合日だったんですね…。
優希 しおん
花宮 沙羅
2023年12月24日(宙組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団
宙組を拝見するたびに舞台上のどこにいるかな?と探すのが楽しみなジェンヌさんのひとりだったしおん君。そして何でもできる可憐な、期待の娘役さんとしてみていた花宮沙羅ちゃん。ついに卒業ですか…。
花組トップ交代の余韻
会見の様子も記事で確認して、相手役から贈られたピアス披露が、美園さくら→潤花→星風まどかと続いているので、こりゃ次に卒業するトップコンビも耳飾りプレゼント&披露しないとなぁ、なんて余計なことを考えた。にしてもみんなかわいい。
で、ファンは柚香光&星風まどかの卒業公演が小池修一郎による一本ものであることにモヤモヤしている模様。私もちょっとそう。
それもこれも、先日、イケコ1本もの卒業をした宙組前トップコンビの演目カジロワが凡作だったからである。ところどころ、おもしろかったし、シーンによって素敵だった。でも2幕物のお芝居全体を観て、何も残らなかった(物語としては)のよね、私には…。それこそ、宙組が演じてなかったら観なかったわたぶん。
特別よいものじゃないのなら、わざわざ2時間半でやらなくていいじゃんって思っちゃったよね。
ましてやタカラヅカの卒業公演だよ。ショーをやらずにこれ(カジロワ)を1本ものに引き延ばした、その説得力はなかった。1時間半の通常の芝居に収めていたら、もっと評価高かったんじゃないの、という思いが残る。
答えはとっくに出ていて、
『名作とわかっている大物海外ミュージカル一本ものを卒業公演にやる』ですら、ファンはまあ納得する(歓迎はしない)レベルであり、宝塚歌劇とは芝居とショーの二本立てにその魅力が100パーセント発揮されることをファンは熟知している。そこに1ミリだって反論の余地はないと思う。
厳しい時代に、素晴らしい夢を描いてくれた花組トップコンビに、芝居とショーとの二本立てをあててくれない(当てられない)ことが、一番かなしい。
思えばあれは奇跡だった
やっぱり、前月組トップコンビの退団公演、桜嵐記とDream Chaserという演目は、格別、素晴らしかったな。
ああいう、卒業公演としても作品単体でも面白い、そういう演目と構成でトップスターを見送りたい、というファンの思いはそれほどわがままな気持ちではないはず。
前星組トップコンビの紅ゆずる&綺咲愛里の退団公演「GOD OF STARS/エクレール ブリアン」みたいな、トップコンビの個性や相性をよく考えたコンビにお似合いの演目でっていうのも座付き作家がいてオリジナル新作を売りにしている宝塚歌劇らしいものだったな、と思う。
ここぞという公演でこそ、トップを一番輝かせるオリジナル新作で…という路線は、もっともタカラヅカらしいあるべき姿、みせるべき姿勢のように思う。
昨今、海外ミュージカルが喜ばれる理由のひとつに、「作品クオリティが約束されている」というのも少なからずあるんじゃないかな~って思うわけで。でも、たったそれだけな気もする。
やっぱりタカラヅカオリジナルには、宝塚歌劇の特長を吸い込んだ構成がとれる最大の強みを生かし切って生かしまくって、トップスターを卒業させてあげてくれと願う。
ショーと歌い踊るシーン豊富なお芝居とはちょっと違う
ヅカ独特のあの、カラフルでキラキラで燕尾…??みたいなあのショーのスーツでばーんと出てきたり、急な軍服とか急なフランスとか急な治安悪い男群舞とか。そういう音と光と色の洪水にまみれた幸せな1時間半で、なんかお芝居がどれだけ悲劇だろうとトンデモだろうとどうでもよくなっちゃってアー楽しかったぁ ていうあの恍惚の時間は、芝居の中でどれだけトップコンビが舞い踊ろうとも、場面場面で男役娘役が群舞をしてくれようと、たぶんきっと間違いなく物足りないだろうなぁ。
芝居とショーの二本立てでしか接種できない栄養があるってこと、その栄養でしか育たないものがこの世にはあるってこと…、歌劇団の幹部たちはもうちょっと気にかけてほしい。