その返しがすっぱり鮮烈だったので印象に残ったのが、望海風斗。
スカステ番組の何気ない場面で、「美しい」というようなその容姿に関する誉め言葉を受けただいもんが「ありがとうございまーす」と笑いながらこたえていた。
イヤミなし・余計な照れ隠しもなしの実にさっぱりした返しで、外見を褒められることの多い人にとっての最適解はこの、さっぱりとした「ありがとうございます」なんだなと感じた。
少し前にネットで話題になっていたつぶやき
筆者の方がたしか女性だったか…。様々な形態の水商売で黒服経験ありの人が、エッセイ漫画風にさらりと1枚イラストで紹介していた、
「誰が見ても美人が多いキャバクラでは自己評価の低い女性が多く『この中で自分が一番ブス』と思っている子が多くて、誰が見てもフツーかそれ以下の女子が集まっているコンカフェのキャストは自己評価が高い女性が多く皆『この中なら私が一番かわいい』と思っていた」
っていう内容。
どちらのお店に遊びに行った経験がなくとも何故かなんとなく「わかる…」と思わせるこのつぶやきがめちゃくちゃ反響があったようで、自分の目にも飛び込んできて、とても面白いなって記憶に残った。
そして自己研鑽を惜しまない、本当にきれいな人の自己評価が辛口というのは、どの世界でも同じなんだろうかなんてことをふと思ったり。自分の周りのガチ美女も、そのことが逆にコンプレックスな子が多め。まあ、小さいころから異性に変な目で見られがちというのもあるようだけれども。
ガチ美人だらけの女の園…
歌劇団に伝わる と、されている「ブスの25か条」というものがある。内容はともかくタイトルがキツイ。
いつ誰がそれをまとめたのかはわからないが、集団の中の個、個の集まりの集団をまとめるのにこうした、誰もがちょっとは心当たりがあるような格言を全員の頭上にかかげて、全員で同じ価値観を共有することによっていらぬ揉め事を回避しよう というのはたぶんすごく効果があることだと想像できる。
価値観を同じくすること というのは、ひとつ屋根の下で長時間過ごす間柄では最も重要なことのひとつだものね。
だから、「ブスの」というとてもキツイ言い回しの「25か条」を掲げることによって「あなたその態度ブスよ」とか「その考え方はブスよ」ていわれたら、歌劇団のような場所にいる子たちにとっては我が身を振り返りやすいのかなと思う。それに、指摘しづらいことを指摘しなくてはいけない場合にもこうした共通認識の看板があれば、それを引き合いにして言いやすい、なんてこともあるのかも。
まあ、今のジェンヌたちがこの、数年前話題になった25か条とやらを実際に本当に認識しているのかはなはだ疑問…。
ちなみに、かつてアニメ化もされた「らんま1/2」にて、原作ではその回の敵キャラが、主人公の女体化した女らんまに対して「ブス」を連呼する話があった。
これがアニメではすべて「チンクシャ」に置き換えられていた。1990年頃放送していた昔のアニメ表現ですでに「ブス」は規制されていたのである。
立場や状況でのぞまれる態度
ずっと自分が一番下の立場でいられたら、それはある意味では楽なことかもしれないけれど、翌年には下の子が入ってくるから「自分が一番下っ端」で居続けることはできない。つまり、毎年一年ずつ上級生になっていくのにふさわしい自信をつけないといけない。選ばれた女性たちがうんと美しく笑顔を見せ続けるのは本当に大変なことと思う。
その場で最下級生の子が「かわいい!」と先輩たちにいわれて「ありがとうございます!(ニコッ)」などとは、なかなか、やれないだろう。
「いえいえとんでもない、やめてください…」スカステ番組に登場する下級生、特に抜擢のはやい娘役さんなど、かわいいといわれるといつも本気でどうかえせばいいのやら戸惑っている様子が映る。その様子もかわいらしいけれど、これ毎度、最適な受け答えをするのに本当に困ってるんだろうなと思う。
スカステ番組の「Cafe ふぉるだ」において、カチャさんに対して下級生が「本当にお肌がきれいで、どんなお手入れを…」と質問する場面がたまにある。
そのたびにカチャさんは全力で「イヤイヤイヤイヤ」と否定しつつ、実際に取り入れているお手入れ法(ちゃんとこたえてくれるカチャ好き)をサラッと紹介している。このときのカチャさんの「イヤイヤ…!」てのもまた、本気だと思う。カチャさんのお肌は本当に綺麗だが、かといってうんと若い子にお肌キレイって言われたときのなんともいえぬプレッシャーみたいなものってのは大人にしかわからぬもの。
※ちなみに、とある下級生が紹介していた、上級生に指導されたという「シャワーを直接顔に当ててはならぬ」ってのは驚いた。
両手でやさしくできるだけ刺激を与えずに流すんだそうな…。真似してみたけどまだるっこしくて無理だった。本当にジェンヌさんのお手入れはスゴイ。
ファンの前で最も褒められる人たち
トップスターはいちいち謙遜している場合ではないし立場でもないから、褒められたら「ありがとうございます!」で受けるというのは大正解なんだろうと思う。
意識してみれば、特に容姿をほめられた場合のトップスターはみんなあんまり謙遜せずにさらりと受け止めているような。
誰から、とか誰といる場面で、などでは言葉にそれぞれ違いがあり、色々な意味合いがあると思うが(美しくないといけない立場とか、自分を下げる発言で他をも下げかねないから否定的な言い回しは避けるとか)、スカステ番組などのファンが目にする場において、トップスター達が相手役の娘役や路線下級生に「カッコいい」とか「カッコいい」とか「カッコいい」ていわれるときに「ありがとー笑」とニコニコしているのは、なんだかとっても素敵だと思う。
にしても、そのなかでもだいもんのほんの少し棒読みでの「ありがとうございまーす!」というあの返しは、ピカイチだったなぁ。
褒められたときの受け答えによってキャラも出るし。「ありがとうございまーす」には愛されの秘訣がある。