れいこちゃんはトップスターだったから、就任時点で「この人あと数年でお辞めになるのね」と受け止めていた。
対して娘役の場合、意外と読めない任期。人によって次期トップスターへ引き継いだり先に卒業したり同時退団だったり、さまざまである。
月城かなとが長期可能なスターであった場合、海乃美月は添い遂げは厳しかったかもしれない。就任時点で3作退団かなとか言われていたくらいだし、主演経験数と学年の点から、れいこちゃんが7作以上やる人だった場合、それこそ3作限定で、次に若い学年の娘役へ引き継がねばならなかった可能性はあったかな~と思う。月城かなとが5作と決まっていたからこそ、同時就任同時退団がすんなりいったんではないかな。
海ちゃん卒業時に、事前にれいこちゃんから話があってしばらく考えた、みたいな経緯が、わかるようなわからないような?だったけれど……。
現実的に継続ってあったのかなぁ?
トップスター制度の役割
ときどき、公演をみていると、トップスター制度の弊害も感じることがある。このピラミッド制度のために、配役に制限がかかるだろうし、トップはなかなか、休みたくても休めないし。
かといってトップ格をひと組につき複数置くと大・大炎上となるのは過去の例の通り。
そして2番手とか3番手までたどり着いた路線スター男役って、「あ、私結婚したいわ」とか「私他にやりたいことできたわ」っていう理由でやっぱやめる~ってできる…んですかねぇ。
なんとなく音校の受験時点で、その辺の性格や性質まで見抜こうとして選んでいるんじゃないかなと思う。熱意や情熱。どうしてもタカラヅカじゃないとだめなんだ…という熱。
いいところでスパッと辞められる子にも個々の事情や理由がある。けれど、芸能活動である以上、サラリーマン稼業よりよっぽど生活のすべてをささげられるか?という点が大事になる場面、ありそうだなあ。だっていま、2番手のスターが「バーテンダーになりたいからやめる」とか言い出してもそんな馬鹿なってなるじゃない。
そもそもそこにステップアップした人がそんなこと言いださない、言い出す気持ちの余地すらない、徹頭徹尾ジェンヌでいられる人がえらばれているんじゃないかなぁ。
そして、トップスター制度には、そこまで人生かけてスターになった人を「順当に卒業させる」という大事な機能がある。実はこの卒業を随時促せるシステムが、ピラミッド型のスター制度の役割として一番大事なことなのかもしれない、なんてことを今更意識している。遅いのかもしれん。
最近のプチ事件
最近ちょっととある芝居を観にいって、そこそこ大変なトラブルがあった。私は観客としてそれに巻き込まれたわけだが、その時感じたことは「タカラヅカってちゃんとしてるなあ」ということ。
昨今、歌劇団を、運営をけなすことが流行っているが実際のところ、歌劇団以上に良い環境で舞台芸術の教育を受けることができて、ひと晩中使える専用稽古場があって(利用時間に制限がかかったこと、誰も望んでいなかったのでは、と思う…)、豪華な衣装と舞台で生オケで芝居と歌とダンスができる専用劇場…
舞台で生きたい、という人にとってやっぱり恵まれた環境であることには違いなくて。本当だったら一生ここで老け役でいいからいくつになっても舞台に立ちたいわ…って人は今までたくさんいたんじゃなかろうか。
でも卒業がある。おしみおしまれ若いうちに卒業。これが。これが大事なのよやっぱり。
ほろり涙
ジェンヌさんにはいろいろいるけれども、もっとも素の個性や性格がイマイチつかみづらいジェンヌの一人が、海ちゃんであった。
抜擢受けないジェンヌ人生だったら、彼女こそずーっとヅカにいたい子、ただただ舞台が好きな人に思えた。それ以外の性格がようわからない。まさに妖精。徹頭徹尾タカラジェンヌよ。
そんな彼女が大階段のご挨拶でほろりと来ていたので、ああ本当に卒業するんだ…と、なんかやっと実感がこもった。海乃美月、辞めるのか…。
それは、最初から卒業までの花道を予感させられ続けてきたトップスターよりもずっとなんか、実感がわきづらいことだった。
月組はずっといい組である
私にとって月組は、今代で何かが復活した組ではない。変わらぬ月組らしい月組であった。れいこちゃんの魅力が語られるとき、前任たまきち時代を下げるコメントが付くものを多くみるせいで、いつももやもやする。
私自身は、れいこちゃんへのスターとしての評価はちょっと辛口で、それは私自身にとってもちょっとショックなことなんだけれど…(私自身れいこちゃんにもっと無邪気にもっと夢中になりたかったのに、そうはならなかった点についてびっくりなんである)、
れいこちゃんってなんかもっとこう、なんかフェチズムが隠れている気がする(急に何言ってるんだ私)…。
つまり何が言いたいかというと、東京の大千秋楽に向けて、真に悔いなく、全部やり切れるよう、何かで立ち止まることなくとにかく無事で、全員そろって…
それらが叶うように、それを見届けて私の中の何かこの気持ちも一緒に浄化したい。