隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

「お姫様」だけが「ヒロイン」なのか?朝月希和の娘役道

雪組トップ娘役、ひらめちゃんこと朝月希和の退団が発表に。
びっくりした。もちろん就任当初から長期ではないだろうってことはわかっていたけれども、いや忘れてたよ、去就発表の時期だってことに。

「ひらめ」だったひらめちゃん

私が彼女、いい娘役さんだなって認識したのはとても遅い。名前をなんとなく見おぼえたのもいつだったか覚えてない。元々ここ10年くらいはトップ以外の名前はあんまり熱心に覚えない方だったし…
きれいだなあ、はまっているなあ、と思ったのがはいからさんの芸者役。マスカレードホテルはいまだに彼女の代表作だと思ってる。
あとfffのあのロールヘン役は大変すばらしかった。

「ひらめちゃん」の愛称はなんでだろって思ったけれども、音楽学校時代に魚顔だって友達から呼ばれたところからだったか。
今の彼女をみてもピンとこないが、トップ娘役就任の頃にアンコール放送されていた、下級生時代の彼女は確かにサカナ顔。
当時はメイクもお肌も荒れていたのに、年々見違えて、いまほんっとうに美しくなられたのでまじリスペクトです。

おまけに、退団記者会見で眩しかった、筋肉のついた二の腕!
彼女は真の、娘役職人さんであった。 

トップ娘役…

私の子供時代、確かまだ涼風真世が2〜3番手でもうトップになるよ、て頃。

ご近所に住む大の月組ファンで涼風真世ファンであったおねーさんのいう
「男役は男役10年っていって、まず10年は鍛えないと。男役がしっかり身についてから、15年目くらいまでにトップになる。一方娘役は3〜4年のとにかく若くてキャピキャピしたのが好まれるの」
という言葉を今でもよく覚えている。そんな彼女の贔屓、涼風真世は確か研9くらいでトップだったっけ。今思えばかなり早い。

相手役の麻乃佳世はまさにこのおねーさんのいうとおり、若いキャピキャピな研3か4での就任だったか(若くて成績優秀な優等生だった)。
もともと涼風真世ファンが憧れから受験、好成績で入団→その憧れの男役の相手役になるって、とんでもないシンデレラガールっぷりに、当時子供ながらちょっとジェラったっけ(ひとりのファンだった女の子がそんなマンガみたいな展開を実現するとは…という、努力で運をつかんだ人への、何もしてない無知な子供なりのやっかみだった)。

トップスターとトップ娘役は10期くらい離れていた方がいい、みたいなことが言われていたのはこの時代の名残であって、実際のところ、上級生な娘役はぽつぽつと誕生はしていたと思う。必ず研◯まで、なんてことはなかった。

歌劇団は昔も今も、「トップスター」をどう見せるか、1年以上先まで決まっている上演計画と照らし合わせて、何の演目を予定しているか、そのための人事を組んでるだけだと思ってる。
そして、ひと昔前には「トップ娘役」てのは、その呼び名すら公式から否定されていた時代もあったと記憶している。

これは、歌劇団が認めているスター制度とは「トップスターを中心としたスター制度」であって、ただ一人の男役が「トップスター」という役割を担うものでそれ以外のスター序列は公式に定められた椅子は存在しない、という宣言だったと思う。

なんだったら男役についても2番手、3番手という番手を否定する(歌劇団はそこを定めていない。2番手羽根など存在せず、その羽根を背負うものが次期トップと決まっているものではない)と公言していたこともあったような…?
これは新専科とか、2番手以下シャッフルとかなんかあの辺の時代のことであったかなぁ。

でもこれ、たぶんいまもなんとなく通じるものがあるのかなとも思う。

万博アンバサダーを各組の若手から1人ずつ選出し、選ばれた子らはたしかに「路線」と呼ばれる活躍と抜擢を受けてるし。この先トップになるかはわからんけど。

歌劇団が5人くらい選出したときって、なにげにそこからのトップ上がりは少ないような……

男役ですら、育成目線から言うと、10人あげて1人2人、トップに相応しい人気と実力を身に付ければヨシ、みたいな確率なのかも。
そしてそこに合わせられる娘は、研3より研10のほうが間違いない、てのはとっても合理的。

朝月希和は、なるべくしてなったトップ娘役であり、他の若手は力不足であったというシンプルな話、と思ってる。

香、お銀、?

シティーハンターの香という役は、若い乙女でありつつガサツでもあり、獠は香と認識しなければ「ハッスル」しちゃうナイスバディを隠し持っている、家族の縁がちょっとばかし薄い人である。

お銀もまた、過去は有耶無耶。でも普通が許されてたならならないであろう、元小悪魔犯罪者。

次の配役はどうなるやらだけれども、輪っかのドレス系は時代のヒロインじゃないっていう現代において、未だに輪っかのドレスなお役が娘役の王道でふさわしい正道としているタカラヅカにおいて、何気に朝月希和というベテラン役者がその古臭い役柄をやらずにここまできている。

遅咲きでもなんでもない、もっとも求められている困難な仕事をきっちりこなした、輝けるスーパーヒロインは、果たしてどんなお役でフィナーレを飾るのだろう。


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FLYWITHME ータカラヅカの有効活用ー

金曜午後、追加販売されたチケットを買うかどうするか、最後まで迷ったが、グッズを身に着けて楽しむほどの力はなく、当初の予定通り配信で観た。
生の楽しさ・空気感の楽しさと引き換えに快適な配信で楽しめるという選択肢が存在することが当たり前になってくれて、ありがとう!

で、LDH成分はどこからどこまで……

無知ですまんが、全然知らぬLDH
知らぬというか私の世代は、LDHLDHとして名乗りを上げる前夜を知っているので、へー!って感じ。それが今日まで続いていることは、当初のコンセプト大成功ってことか。たしかえーと彼らの初代?ていうの?最初の、はじまりのグループのリーダーが会社組織を作って社長となって、自分たちのグループの人気に左右されず、長く続いていけるジャンルとなれるように、っとかナントカでずっと活動をしていた、はず。私充分詳しくないか、えらい。

FLYWITHME、本当によいコラボだったのでは、と思う。

いままでのタカラヅカのコンサートイベントというものは、いつも、すべてが、過去のすべての公演が、とても内輪受けであった。なんというかファンで関心のある自分でも、ちょっと我慢してみていて、どのシーンも楽しむふりをしているような… すごくいい曲とダンスのシーンがいくつかあって、それと同じくらいは、そういうちょっと我慢なシーンもある…
今回のFLYWITHMEについては、「初めてのタカラヅカ」の人にも向けていたもので、外部にプロデュースされるだけでこんなにからりと鮮やかに変わるのかと驚いた。
映像のレベルが高かったな~。

容姿端麗の若い娘たちである

オープニングの小芝居、センス良かった。内容より娘役たちのスタイルのよいこと!潤花がタカラヅカっぽいクラシカルな装いよりずっと可愛くて、この子はこういうの向いてるな~って思った。
トップ娘の潤花と娘2ポジションの天彩峰里が目立っていたけれども、黒髪ボブの水音志保ちゃんの美貌と可愛さもとっても印象深かった。
ていうか娘役たちのミニスカ、足がほんっとに綺麗でね~。お衣装でかくれているだけで、男役もみんな美脚じゃない?タカラヅカってすごいねぇ…

芹香☆大勝利☆斗亜

ハイローは一切、タイトルすら聞いたことがないんだけれども、どこかで大人気のコンテンツということで…
あの紹介ムービーがあってくれてありがたかった。古今東西みんな大好きチンピラ抗争ものか。にしても5団体の陣地争いとは多いね!
そして、本公演前にこんな風にプレビューでジェンヌたちが役の扮装してみせてくれることなんて、はじめてのことじゃない?それがこう、デコラティブでわかりやすい色違いのグループごと、個性を出してくれてるのはわかるんだけれども、圧倒的キキちゃんよ。ンモーあの瞬間に惚れたね。あの役がなんだかさっぱりわからないんだけど、よくわかんないけど、でもあの白い団体のキキちゃんに一票。

長期トップとバディ感スゴツヨコンビだけにできること

LDHコラボの実現は、真風体制長期化の理由にもなったのだろうか。それとも長期化するからこのコラボがまわってきたのか。
わからんけれども、今の出来のよい他組トップを見渡しても、この仕事に最適なトップはやはりマカゼが一番と思うし、95組メンバーは少々若すぎて、きれいでうまいがでかくはない(身長だけの話ではない)のだが、宙組マカゼには「大きさ(身長や肩幅のはなしではない)」を持っている。
男くさい、おそらくは男の美しさを売りにしているLDH作品をタカラヅカでやるのに、マカゼ以外では無理だとまで思わせる説得力がある。
もっというと、マカゼと宙組にしかこのコラボ作品はできないのではないか?

スタイリッシュで高身長、おまけにここ数年で各段にコーラス力を鍛え上げた宙組は、総合力で最高の組ではなかろうか。
長期化だけが少々いらぬ心配を掻き立てるが、真風・芹香コンビの相性の良さ、関係性の良さは舞台にも良い効果を生んでいるし、時期をみて交代した潤花も、本当によいバランス。

ラップは苦しい。コーラスも苦しい。

下手じゃないんだろうけど歌って踊りながらそれがラップって苦しいよね。でも宙組メンバーは、健闘していたと思う。大体、自分の音域じゃない音で、よくでかいステージで歌えるものだ。
しかし唯一、うーん、だったのは潤花&真風のデュエット。これはひどかった。ネバセイでも???だったが、どうやら歌声の相性は最悪らしい。急激に不安定になるどころじゃなくておかしくなる。音程が狂うとかじゃなくて、ものすごい不協和音。不思議。

楽しむこと

楽しい時間の終わりを予感させる演出もあった。そういう歌詞の曲もあった。いよいよかな、とも思う。
けれども、ハイローはきっと楽しい時間になるだろう。私も急激に楽しみになってきた。このFLYWITHMEのおかげだ。

タカラヅカタカラヅカ以外では「ネタ」にはなるが、タカラヅカ原作のものがよそに展開することは、まあない。タカラヅカ出身の女優がテレビや映画を埋め尽くした時代はあれども。まあいまも、ある意味あるジャンルではひしめいているか。

今回のコラボは長期化するかもしれない。公演が面白いものになったら、存外相性が良いのではと思う。なによりいつもと違うダンスに、ジェンヌちゃんたちが楽しそうだった。もっと多様化していいんだな、なんていう気付きにもなる。黒燕尾を着て踊るからといって、古臭いことをしなければならないということではないのだ。


※FRY→FLYに修正。めっちゃこんがり揚がってました。失礼しました…。ご指摘本当にありがとうございました。

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ブエノスアイレスと夢介、そして退団者、東上…

「夢介千両みやげ」の新人公演の様子をスカステでみた。主演の縣千に関しては、本公演とはことなる夢介像をつくって挑んだ様子。
全然違う感じであった。スカステの番組上で、縣千自身が、「~だべ」というなまり台詞が全く入ってこなくて、台詞覚えに苦労したことを語っていたけれども、うん、ダイジェストでもわかるその感じ。

じわじわと縣千の魅力がわかってきた

体格がよく和物姿も映える。シティーハンター新人公演では堂々たるカッコイイ都会のスイーパーを演じた。そのときはじめて、縣千について「こんなに見映えがするんだな」と思ったっけ。

本公演の別バージョンとしてもいいんじゃないのって感じでカッコよかった縣千版 冴羽遼がみられたが、今回の夢介は、いまの縣千にはても足も出なかった模様。本公演でも立ち姿は大変美しかったものの、芝居はかなりうーん、だった。オチを担うあの変貌での締めも力不足。花組の「元禄バロックロック」にて音くり寿が全部かっさらう殿様でみせたのと全く同じパターンの役回りなのだが、あれくらいにやれないとダメなシーンよ。
和物芝居で拙さが目立ったなと思ったが、かつて言われていた歌は大幅向上してまるで違う、とてもよくなっていたと思う。

ブエノスアイレスの千秋楽

いよいよ、暁千星 月組大千秋楽が終わった。もう彼女は星組。とても残念で寂しいと思うのは月組びいきというか、彼女は月組で10年素晴らしく育った子だったから、星組への確実な栄転異動なのはわかっていても…。鮭のように、トップになる時戻ってきてくれないかな、なんて思ったり。

星組は、映像で観ていても文化の違う組だとよくわかる(歴代運動会などでも…)ので、ありちゃん大丈夫かななんてちょっと心配したり。でも彼女のようなスターは組替えでもれなく輝いているので、楽しみなのはわかってんのよ。

千秋楽のブエノスアイレスは、日本青年館での公演よりさらに乾いた声というか、あの作品にみなとけこんでいたように思う。観劇は叶わなかったけれども、よい公演だったのだなあ。
そして、ありちゃんだけでなく、晴音アキ・夏月都の2名はこれがほんとにほんとに、ありちゃんとの最後の舞台になったわけだ。。

月組退団者

夏月 都
晴音 アキ
佳乃 百合香

の3名が発表された。いやー、なつこさんとアキちゃん、ついに来たかという感じ。百合香ちゃんというのは、先日の鳳月杏のスカステスペシャル番組で、
京都弁使おうとして失敗していた子ね。
こんなかわいらしい喋りをする娘役いたんだな~くらいに思っていたけれど、あれが餞別でしたか。舞台上で見つけられたことはなかったまだまだ下級生。

晴音 アキちゃんは、一つの大変革期をふんばった珠城りょうの退団のときに、「てぃーてぃー」と珠城りょうのことを呼んでいたのがかわいくて、ああいい関係性だったのだなぁと思った。舞台上では何をやっていてもうまくって、名前と顔がわからないときから好きな役者さんだった。

ブエノスアイレスの風でのクソガキを育てているシングルマザー役はよかったねぇ。どうみても、ちょっと髪とか肌とかが昼の太陽の下で見ると荒れてるんだろうなあって感じの女でさ。でも太陽なんか届かない薄暗いクラブで歌ってる姿はきれいで、いい声で。「FULL SWING!」ではちなつさんと組んでるシーンがあったのでちょっとびっくりしたんだけれども、月組ってそういえば、娘2って誰なんだっけ。彼女ももちろん、配役のいい中核メンバーだけれど、なんか複数いるような印象。
活躍しているあましちゃんのようでそうでもないと思っている。復帰したきよらちゃんかな?はて。

なつこさんは、桜嵐記の名演技が記憶に新しいけれど、もっとWAO!と思ったのがブエノスアイレスの風での、あましちゃん演じるイサベラの母役の方。1分ほどしか出てこない役だけれども、車いすに乗って、貧乏ゆすりしながら看護師の手を払うあの厄介な老いた母感が、本当に、あのちょっとのシーンで、イサベラの人生のしょっぱさがぐっと伝わってきてね。役者としてめちゃくちゃ輝いていた。

月組の全国ツアーと東上

2022年秋の東上公演が、鳳月杏。これ退団フラグじゃありませんよーに。くれぐれも!!月組で東上できる子ほかにいないんだものねえ。
もう遥か昔のことのような、出島小宇宙戦争が2020年のことで、コロナ中止があったんだよね。そのリベンジと思いたい。そしてスペイン。また。タカラヅカはスペインが好きだなぁおい。

一方全ツが『ブラック・ジャック 危険な賭け』『FULL SWING!』
ブラック・ジャック」連載開始50周年のメモリアルイヤー …とは無理やりすぎるような…そんなメモリアル誰も気にしないような…などとは言ってはいけないんですよね。きっと。花組初演の再演か。
手塚治虫じたい、もう歴史上の人物くらい現代の若者には?な存在だと思うけれど、この主題歌はジェンヌさんみんな好きだよな。とりあえずピノコの配役が一番気になる。



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夢介から50両貰いたい女S

雪組東京公演を観た。
「夢介千両みやげ」はふる~~い大衆娯楽時代劇小説が原作であるらしい、とだけ知っていたが内容は予習せず。ショーも予習せず。
での観劇感想は主に

・彩風咲奈って、特大級のスターなのでは
・綾凰華への餞別に涙
・(主に芝居において)朝美絢の使い方の加減はこれくらいがいい
・ソラカズキィィィ
・いま、春が来て きわちゃんはきれいになった 去年よりずっときれいになった

の5つ。

彩風咲奈って…

まず夢介。芝居全体は率直にいって、シティーハンターと微妙に印象がかぶる作品となってしまい、損したなと思う。そもそもシティーハンター水戸黄門的というか、お約束展開がしっかりあるマンガなわけで、当初ここまでかぶる作品が続いちゃうなんてこと、歌劇団上層部もわかっていなかったと思う。

で、彩風咲奈は何でもできる子であり、こういうのも得意。
この夢介は無敵のスパダリみたいなキャラなんだけれども、道楽修行をするだべ~っていう、あくまで自分自身の高いポテンシャルについて無自覚な田舎者でなくてはならない。
で、その朴訥な田舎育ちで培われた価値観がしっかりとあって、朴訥×田舎といいつつも、遊んで来いと託されるカネが1000両なんだから、豪農というか地元の名士の子と思われる。
そりゃ地元のオンナにモテてきたはずで、なので女さばきもうまいんだね。遊び人の総太郎(朝美絢)とは違うモテ方でなければならず、そこがうまかった。

着物の着こなしも美しくて、低い位置の帯でも足が長い。肩がしっかりしてて映えてた。
全キャストの中で最も男前の着こなしと体格、ビジュアルが良かったのは縣千であったけれどもあれは体格の勝利。

ひたすらおいしく綾凰華

ここまでやりがいのあるお役と、ショーでも花道を通って、ステキだった~。
友達の初タカラヅカ観劇がシティーハンターであり、その中で友人が堕ちた相手が綾凰華であったので、今回の卒業発表は衝撃であったようで…。そういうものだからねタカラヅカは。でもあらためて、綾凰華の魅力であるあの柔らかさは唯一無二。男役は硬質で、骨を感じさせるようにみんな作っていき、娘役は逆にやわらかさ、たおやかさを演出していくものだが、彼女は男役でありながら柔らかい。それでいてしっかり男役。ともすれば判子を押したような似た感じの男役ができあがってしまう世界のなかでも、綾凰華の男役像はとても貴重な魅力。その有終の美を堪能した。

銀橋で歌う彼女の、彼女自身の物語のような歌詞に合わせての姿にまずほろり。それで終わりかと思いきや、黒燕尾でまた彩風咲奈から歌い継いだので、とてもとてもぐっときた。泣いてしまった。

朝美絢の使い方

彼女、今回は芝居・ショーとも完全な脇役で、3・4番手以下時代と変わらない扱いに見えた。この人の場合、研15以上、17とか18とかに、とっても魅力が増すタイプなのでは、と何となく感じているのだけれども、トップへの階段はそこまで待ってはもらえなさそうなのかな。青天でもキレイなんだけれども、もう少しただれた湿気を感じる色気があった方が良い役であったと思う。なんせひとり孕ませているわけで。

芝居はモテモテくそボンボンの役で、これで夢介がただのド田舎者ならばちょっと美味しい役なんだけども、夢介は周りのきれいなおねぇさんたちにガチ恋系でモテちゃう役だから、対比するダメで悪いヤツ。やりようによってはかなり情けないイヤな奴ってだけで終わってしまう。
大体、朝美絢演じる総太郎のエピソードって、玄人な女性にモテちゃう金持ちチャラ男なのに、(それまでセフレ扱いしてた)地味で器量が悪くて地位もない下女が妊娠でもって結婚に持ち込むわけで……、こういう下女のような女を現代ではプロ彼女っていうんじゃないの?てちょっと思った。

夢介があちこちの小エピソードで50両バラマキしてる話の積み重ねでできている本作で、あーさは思ったよりも脇役であった。彼女は2番手だから~とかいう事情を無視してみればいい役、いいポジションなんだけれども、思ったほどの出番ではなかったなという印象。かといってほかの誰かが番手以上に出てたかというと、夢介、お銀を除いて、あんまり突出した2番目の役っぽい役はなく。

一方でショーでも、アレ?って感じであんまり出張ってなかった気がする。前日の舞浜で、ちなつさんがバーン!と大活躍していた印象が強すぎたせいもある(舞浜は更生人数半分だし)のは大きいかもしれないけれど。
綾凰華への餞別に場面を割いたにしては、彩風咲奈は和希そらとより絡んで踊っていた、ようにみえた。
拍手は大きかったけれどね、歌、最後に上にはね上げるようなあの癖はあんまり好きではない……。あれが好きってファンもいるんだろうけど。

和希そら・ザ・スター

いや~素晴らしいネ!!
この人は確かに宙組育ちで、雪組とはちょっと違うものをお持ちなんだなあ、とこうして本公演で観て感じた。芝居じゃ美味しい三太役。最後の方、狂言回しのような役になってるのには少々、演出に疑問。だってそのあともだらっと芝居あったしねぇ。でもいい役貰ってたなあと思う。

で、ショー。もうずっと見入ってしまった。咲奈ちゃんも発光しているけれど、ソラカズキはなにをやってもうまいねぇ。さらにこのショーパートでは彼女の持つ宙組で培われたアダルトな魅力・オーラがよりふりまかれていて、目立ちまくっていたように思う。今の白っぽい髪の色も大変セクシー。
ショーは彼女だけではなく、場面全体としてひたすらカッコよくてカッコよかった、白黒お衣装で4拍クラップするあの、あの場面!!和希そらはチェックのシャツにネクタイひっかけた白系お衣装なんだけれどもアー!!カッコイイ!!!!

座席位置が上手寄りだったので最後のフィナーレ、羽根背負ってみんなが銀橋に並ぶところでは、ちょうど目の前のラインに和希そらがいたので、とっても嬉しくなった。

朝月希和の役者魂

あと今回、ポスターの時点で変化ぶりが素敵だったきわちゃん。彼女は地の顔を忘れるほど、メイクが上手で役柄に溶ける人だなあと思う。
私は彼女が、きれいだなあ…としみじみ感じたのだけれども、その印象を与えてくれた過半数の要素は、役への感想だった。いや、ほんとに…スカステで垣間見てた下級生の頃と比べたら、どんだけきれいになったんだこの人は、というくらいに美しい。
また前回のショー「Fire Fever!」では羽根衣装がでかすぎて彩風咲奈ほどには着こなせておらず小さな体が埋没しているように見えたこともあったが、今回のショーではしっかりとしっとりとトップ娘役さんで、何やっても穴がない彼女への信頼性はやはりその経験値からくるもので、観ていて安心だった。芝居もショーも。
お銀はかわいい女で、アバズレって呼ばれてて実際に過去はアレだったってことも含めて憎めない女で大変よかった。

彼女はもはや成長がどうのということはなく、進化や変化というレベル。それだからこそ彩風咲奈の亭主関白系にはまってついていけるのではとも思う。

最後に

この雪組公演、芝居の方のコンセプトは明快(明るく楽しい和物)でよいが、少々冗長だった。テンポは歌謡ショーが付いてる演歌歌手の芝居パートのそれと同じで、嫌いではない。
が、もっと小気味よいといい。せめてあと10分短いとねぇ、いいんだけど。たぶん制作側もそう思ってたと思うけど。
もっと言うとこれ30分(CMいれて22分)にして楽しい連載ものになるような題材。1時間40分は少々、後半、頭を抱えてしまった。

ショーは、銀橋使いまくりでおなじみの中村一徳先生。先日の花組ショーでもそうだったけれど、中村一徳先生は娘役を銀橋に並べて出してくれるから大好き!
黒燕尾で男役が団体芸を見せるように、中村一徳先生のショーのように娘役が前に出てきて花を舞い散らかしてくれていい。ほかにも若手やベテランが銀橋にピックアップされる場面が必ずあって、自分のように組子の名前と顔があやふやなものにとってもこれはとてもうれしい。
さらに、ショーにつきものの戦争と平和的アレについても今作ではちょっと違った描かれ方で美しかったし。義務としての軍服はあーさが処理したね。

たぶん評判は割れたろうなっておもうこの公演だけれども、芝居はブラッシュアップ(ていうかもっと小品にしてバウ向けとかに)して再演できると思う。
宝塚の和物は、幕あけにあった洋楽に合わせた踊りがなくてはならないし、こういう演目を継いでいってほしい。




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海王星覗いてきた(配信で。)

なんだろう、面白かったけどちなつさんが最高過ぎたのとからんちゃんの髪の色が変わっててドキドキしたのと、あとれいこちゃんの顔面がきれいすぎて何度もびっくりしたのと、海ちゃんはきれいだったのにまたきれいになったねぇ…てのと。

ポスターの違和感の正体

細心のギャツビーポスターもそうだけれど、れいこちゃんであってれいこちゃんではない、きれいなんだけど「うん?…なんか…」という違和感がちょっとあった「Rain on Neptune」のポスター。

でも、スカステで初日画像みたらびっくりした。だって画像加工・エフェクトかかってたあのポスターの美がそのまんま動いていたから。
この日のライブ配信のアップでアレって思ったけれど、薄い瞳の色のコンタクトをいれているのかな?お化粧も髪の色も色素薄くってそれがまた、ー!!ー!!

きっれいね。あと同じ髪色にそろえてんのかな、海ちゃんの髪の色もとてもユニゾンしてて綺麗だったぁ。

違和感どころか、まんまそのキャラとして舞浜に降臨していて、いやすごいな。

月組は強い

まず目に留まったのがからんちゃんこと 千海華蘭 の、髪をちょっと金髪と黒の派手なアレにしただけであのなに、アレなに、かっこいいの!ベテランなのにアイドル感強すぎる。
登場時点で一番人工生命体ぽかった白雪さち花ちゃん。CGみたいだった。
立っているだけでなんか派手で、それでいて芝居パートのキャラ性を維持したままのような英 かおとと夢奈 瑠音。そして信頼の佳城 葵。みんな本当に素敵だった。
なんだかとても久しぶりに月組に会ったなあという気持ちが満たされた。
組長以下、名前をあげたらきりがない下級生までも、スターが揃っていて、それはトップだとかなんだとか一切関係なくみんなスターで、半円形の「見せる舞台」で最後の瞬間まできちっとしたタカラヅカスタイルのまま終わった美意識も月組っぽくて大変好ましくて、いいもんだなぁと。

海乃美月

うみちゃんが、トップ就任前よりもずっと好きになってきている。彼女のポテンシャルの高さとレベルの高さがとても見ていて気持ちがよい。
今回あのディズニーの難しい歌をほぼ地声かな?ていう、娘役歌唱とは違う声で歌っていたけれども、そういう声を出すと少女感が増して。一方で月城かなととのデュエットではキレイに娘役歌唱の高音。よいギャップだった。
先日のネバセイ、唯一の不満がトップコンビのデュエットの不協和音であったので(音の相性なのかな?)、もっと欲しい、これくらいほしいとちょっと頭によぎったね。

芝居パートもとにかく、海乃美月の美がないと説得力のない話になってしまったと思う。

内容はないよう?あるけどよう

お話しはこう、キャラものってことでいいと思う。膨らませると尺に入らないからいい長さで素敵にまとまっていたイイ感じの美しいお話であった。ていうか全キャラがよかった。

ただ……

私は子供じゃないのでね、月城かなと演じるシャトーが悪役にみえたね。

だって彼がある日いきなり海王星にやってきて、勝手なシスコンと初恋と価値観でもってかき回したわけよ。それはもう、トリトンの世界にとってみればただのインベーダー(侵略者)よ。
ネプチューンがシャトーに何となく惹かれた理由もわからない。顔面?顔面がいいから?(違う)

誰にも迷惑をかけない宇宙の片隅で、己の力だけでひとつの世界を作っていたトリトンも別に何にも悪いことしてないしねぇ。
ギリギリ変な王様スタイルだったけれども、すっごい男だったよ。トリトン。ていうかトリトン様だよ。あと芝居パートのからんちゃんとやすちゃんコンビが美しすぎてもうデビューしてほしい。

トップが変われば組も変わる

月城かなと体制の月組はほがらかで遊びがあって優しそうだなぁ。るう組長も楽しそうでなにより。珠城体制のときはみんなが彼女を支える見守るというような感じもあったかなと思うけれど、彼女が良い引継ぎをしたなと思う。憂いなしの新体制はこれまでのリレーが生んでいるものでもあるのだから、良い新体制を観るのはタカラヅカ冥利につきる。

るう組長、この日のフリートークでは、「夢をみるだけなら自由。月城かなと演じる役の少年時代を演じたい、研究科21年光月るう」と語っていて面白かった。この方前から子役に混ざりたがるものね。いいよ!
他には、満ちゃんのフリートークがちょっとなげぇよと思った。そういうところだよなあの子…。乙女のポリシーはどちゃくさかわいかったけれども。
組長がいるのに仕切はちなつさん、てのも、いい感じであった。ていうかちなつさんよ!!!

すごかった鳳月 杏。

いやー。

ちなつさんへの愛が止まらない!!

どんなご贔屓を胸に抱いているファンであっても、その輝きのまぶしさに目を細めるに違いない、ちなつさんの素晴らしいオーラと魅力全力全開花盛り。
歌ってよし踊ってよし群舞でよしソロもよし、そしてMCもすべてよし。あと足長い。

劇場内の観客すべての視線誘導が完璧と思うし、癖の強い役もそうでないものも、どちらであっても美しい。本当に美しい。
確実に特別な存在になっていると思う。お願いずっといて…て思っちゃう。




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ブエノスアイレスの風に吹かれてきた

暁千星の新たな・大きな一歩への餞となる特大の花束のような、跳躍するスターの鐘が鳴り響くような実に記念碑的な舞台だった。

月組を観続けていたファンにとっては、ありちゃんこと暁千星が、バブ味満載の、くるくる回る要員としてときに消費されまくり過ぎる王子時代から、どのように進化していくかそれはそれは楽しみにドキドキしながら見守り続けてきたファンにとっては、これは…キタ…!とこぶしを握り締めガッツポーズして、そして、あ、星組行っちゃうんだウエエエイっていう泣き笑いの感無量舞台となったことと思う。
ああ、星組に行ってしまうのはもう将来の躍進にとって必要なこととはいえ、暁 千星は本当に月組の王子であったよ。そして最後の舞台でブエノスアイレスの風とともに去りゆくアー!ありちゃん!!いかないで!!(※おめでとうなんだけど千秋楽までは惜しみたい)

つい先日のこと

スカステって上演スケジュールに合わせて、主演スターの思いで舞台とか、本公演の初演映像とかプログラム合わせてくるじゃない。それでやってたじゃない、アルカディア。いまの暁 千星と比べたら、あの頃の暁 千星は美少年。ぷくぷくのかわゆい子でもう別人。特に役柄のクールさに若干の共通点があるだけに、その差が歴然ですよ。
いまのありちゃんからするとアルカディアの映像はもうなんだ、学生時代の文化祭か?くらいのかわいさで、それはそれで貴重な美しさとはいえ、今の彼女の男役としての進化には本当に努力があったのだな、と感動する。

毎度思うけれど、10代の成長期じゃあるまいし、推定20歳くらいから約10年で、タカラジェンヌって本当にみんな磨きあげるよね。スゴイ。老いるはずなのにみんな確実に美しく成長している。
それは今回のヒロイン、イサベラ役の天紫珠李もそう。覚悟をもって役も身体も作ってきたなと、思いが伝わってきた。

ブエノスアイレスの風ってそもそも

正塚 晴彦作品あるあるなのか知らんけど、リアリティのない言葉遣いで会話をずっとしているのね。ああとかうんとか余計な相槌は極力廃して、口語(こうご)…話し言葉でそれはないよっていう、詩的でインテリで観念的で、キミらは霞を食ってるのか?修道士の会話かと思うような、いちいちカッコイイ台詞のやり取りばかりで、一幕後半あたりで、自分は何を観ているんだっけなと頭の片隅であれこれ思考がうずきだしてね。
こうなると目の前の舞台に飽きそうなものなのに、不思議と飽きずに全然つまらなくもならない。
先日WOWOWで、○十郎作品の再演舞台中継をみたときとは対照的で、このときは舞台特有の大袈裟なせりふ回しでの会話の応酬を観てすぐ飽きてしまったのに、正塚演出はもっと意図的というのか、ちゃんと面白いの。大違い。

この作品、主人公ニコラスは出所後、新たな人生の目標がみつからないままそれでも、自分の才能を生かして第二の人生歩めそうなのに、ちょっと迷っている。
そこに運命がつけ込むようなことをして、ニコラスの足を止めるためかのような存在として過去を引きずっているかつての仲間リカルド(風間 柚乃)と再会し、幸福度の低い幼少期を過ごしたうえに孤独にとことん弱そうなリカルドの妹リリアナ(花妃 舞音)との再会もまた、ニコラスの新たな人生への歩みを鈍らせる。
やらしい、なんとやらしく憎らしい設定か。

出所したニコラスは裸一貫。反政府組織のリーダーという戦犯でありながら特赦で出所 という設定はつまり、逮捕・投獄後はもう二度と出られないという覚悟や絶望を味わって、たぶんもう自分の人生はとうに諦めていたところに降ってわいた超特別ラッキーな「出所」なわけで。国の性格や時代を考えたら急に銃殺刑に処されても仕方ないかくらいの時代よ。急に自分の手の中に自分の人生がかえってきた。そんな彼が、思ったよりうまくやれたタンゴと出会ったパートナー、イサベラ。
このイサベラもキラキラした人ではなくって、夫婦仲が最悪の姉夫婦のところに居候して、カネ持っていかれて、病気の母親の入院費はますますかさむ状態で。この先ニコラスとタンゴのパートナーがうまくいったところでそう簡単に彼女の人生の憂いは去らない。

お芝居としては、リカルドが破滅しリリアナのメンタルは崩壊寸前、ニコラスの新しい人生は出だしから過去の清算をまだ、まだ支払わされるというしょっぱさ。
このお芝居は店の歌手?フローラ(晴音 アキ)と主人公のニコラスしか歌わない。このフローラも、若くして子供産んだのかな?っていうたぶんシングルマザーで、その息子がマルセーロ(彩海 せら)という、物語をより悪い方に意図せず導いてしまったクソガキ。あみちゃんはシティハンターのときとちょっと役がかぶっている。
可愛い顔した子なのに、役が愚かな若者ばかりなのはなんでだろうね。
そんなあみちゃん、フィナーレでスーツを着てのタンゴではとてもスマートで、上半身のラインがとっても美しい男役さんで、ああ、私が雪組でいつもオペラ盗まれてたその人だと改めて実感した。

リカルドとリリアナの「きょうだい愛」

兄妹と紹介されるこの二人。床ドンシーンもあり、妹リリアナの、兄への妄信的な態度といいマルセーロが関係を勘違いするような仲睦まじさ。
作中、2人は同じ孤児院出身で、そこからニコラスが救い出してくれたとさらりと会話の中で説明されるにとどまる。
はたしてこのリカルドとリリアナの「兄妹」というのは本当に血がつながっているのか、はたまた貧乏孤児院であまりに幼いころから身を寄せ合ってきたから「兄妹」と呼び合い思いあっていて実際の血のつながりについては不明なのか。
ま、ぶっちゃけ血のつながりはなさそう。ですよね正塚せんせい?

でもこの二人は男女の性愛ではつながらない。互いが唯一家族と呼べる記憶を分かち合っているからかな。幸福を共有した2人じゃなくて不安を慰めあってきた2人なんですよリカルドとリリアナは。だから性愛ごときに飲まれたくないのね。でも時々ヒリヒリする。それが床ドンでありサンドイッチのシーンなんじゃないかな。

元カノのエバ

エバ役の羽音 みかちゃん。とてもよかった。登場人物の中ではもっともまっとうな昼の光の中で生きている人(女)ですよ。
彼女に説得力がないとね。ビセンテ(礼華 はる)は、思いのほか髭が似合ういい男っぷりで、ヤンデレ風というか結構まともそうでたちの悪い婚約者を今後しっかりコントロールしてよい夫婦関係を築いていきそう。
ビセンテは一方的にニコラスにやきもちを焼くわけですが、焼きもち…嫉妬表現って、みんな大好きだし、2次元とか舞台の男女の絡みなんかで眺める分には気持ちがいいけど、実際にあんな風に、もう過去の元カレに対して今の彼しかも結婚を考えている婚約者が、人の話をきかずに嫉妬しているのをみると、冷めない?
私は冷める。

でもビセンテは結婚相手にはとてもいい経歴の男ですし公僕としてちゃんと働いているわけで、エバが彼を手放すことはないと思う。この一件で、彼女はビセンテにしっかり首輪をつけることに成功した感じ。今後ビセンテエバに手綱を握られつつも表面上は彼女をしっかりリードするという、いい夫婦になりそう。なってくれ。

生き生きした小物たち

この日の観劇は2階席からだったので、上から小物の様子がいくつか観察できた。リリアナ登場シーンで、銀行家と何やら投資かなんかの相談のシーンで、リリアナの前のパンフレットにはなんか、何?水道施設?ビフォアアフターみたいな、何かの設備の絵が描いてあるのがみえた。
店でロレンソ(凛城 きら)とメルセデス(夏月 都)が同じテーブルで開店前になんかしてて、メルセデスが何か帳簿っぽいものに書き込んでいるシーン。帳簿っぽいものは、いくつか見出しがあって、何かのメニュー表みたいに。もっと前のニコラスが店に雇用してもらうときの契約書も、ニコラスが、リカルドたちの部屋に入れてもらって机の引き出しをあさる、その引き出しの中に何かの写真とか書類が入ってたり、それらは皆、ただの白紙ではなく、何かが描かれていた。
そういうのがちらちら見えたのが、なんとも楽しかった。客席からほとんど見えなかったとしても、それらがちゃんと用意されたものだと思うだけで舞台がよりよくみえるように思う。

男役 暁 千星

美しいタンゴシーンの、すっかりほっそりしたあましちゃんとのダンスなどわかりやすい見どころだけではなく、すべてのシーンで、暁 千星がとにかく素晴らしかった。
肩パットのはいった白シャツに負けぬ体躯。細すぎない黒いパンツが実に効いていたなぁ。彼女が演じてきた様々な舞台のうち、たぶんこのブエノスアイレスの風のニコラス役は、文句なく一番の出来と思うし、今後の彼女の舞台人生のなかでも特別な役、特別な舞台になるのではないかと思う。

先日の宙組観劇でも思ったけれども、男役10年なんである。経験や年輪がつくる層って確かにあるもので、いま、本当に脱皮が終わって、新たな羽根か翼かがようやく伸び切って、羽ばたくんだなあっていう瞬間のような暁 千星の輝きは格別でね。
一挙手一投足が美しい、格好いい男役だった。これを堪能するためのブエノスアイレスの風であったよ。


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現タカラヅカの2大スター

宝塚大劇場星組が、GW絶好の興行期間に入ったと同時に無念の休演。5日までから10日までに延長、またもや新人公演も中止。
これ以上の長期化はしないことを祈りたい。
こうなると「劇場での会話がまたうるさいからだ」という批判があがるが、結局連れがいる観劇者は黙れないわけで、かといってチケットは複数枚購入可能のままだし、劇団内の内も外も、いちいち止めていられない。もうこういう世の中で続けていく(劇団内に感染を認めたら粛々と休演)ということなのだろう。

一方で、大劇場公演が大幅に止まってしまった宙組公演が東京では完走。卒業生もいたし、公演内容が今の世にも響くものがあり、感動的だった。

しかし人口密度が少ないムラ公演ばかり中止の憂き目にあう。興行中止か続行かを決めるのは、あくまで公演メンバーなどの内側の状況によるからだろう…とはいえ…無念よ…。
といっても自分自身の経験からいってもこの感染症は、絶対に「これまでの普通の風邪」とは全く違ったし、侮るなかれ、だ。人命や健康に優先するものなし。

宙組の圧倒的な感じ

ネバセイ。先日劇場で、SS席でたっぷり堪能した思い出をよみがえらせつつ、配信で千秋楽を楽しんだ。

つくづく、真風涼帆をつくった歌劇団ってすごいと思う。
真風涼帆は最初っから抜擢されスター街道を歩んできたジェンヌさんだけれど、このいまの圧倒的スター感のスゴツヨ感は見事の一言に尽きる。他組のスターには出せない魅力をいま醸しまくっているのには、様々な時を超えてきた長期トップにしか持てない何かがあるのかな、なんて思う。もちろんぼーっと長期やっていて持てるものではない。マカゼも昔は歌も芝居も決して巧いってほどでもない、見た目とオーラ先行なスターに見えた。
それが舞台ごとにめきめきめきめき…目覚ましく進化していって。昔よく言った「男役10年」ってどういうことかっていうと真風涼帆のことじゃないかなって思う。
5人のトップスターの真ん中にふさわしい貫禄がある。前はもっと個性的に見えて、5人のスターの中での真ん中っぽくはなかったのにね。

磨かれていくよね

で、そんな魅力あるトップスター達はもちろんその組の時代の顔なんだけれども、今のタカラヅカにはトップとか番手とか関係ない、とんでもなく愛されてとんでもなく輝いている2大スターがいると思っている。それが月組 鳳月杏と宙組 芹香斗亜の2人。

ちなつさんとキキちゃんの共通点

この二人も今の姿からはちょっと信じられないほど、若手時代は歌もズコー、芝居もフツーであった。それがもういまやどの角度から光をあててもまばゆくきらめくダイヤモンドの輝き…!
元々の魅力が開花したからこその今の舞台姿の強さ美しさは、今の歌劇団の全ジャンヌのなかでも、特別なものではないかと思う。
あと組や贔屓の垣根を越えての、ファンからの評価の高さ、信頼度の高さ、愛されっぷりも。あと足の長さ。

どちらのスターも大好き。

足の長さともうひとつ

ちなつさんは、あっちこっちと異動したことでも有名なジェンヌで、それは彼女への人柄やメンタルや技術への信頼度の高さが評価されてのことと思う。
いつだったか、彼女の舞台を観ていたときに、真ん中への集中力の高さにしびれたことがあった。目線も意識も、トップスターが一番美しく見える角度を作っているその姿が美しかったし、とても理性的で、きっと彼女と組む演者はさぞかし安心できるだろうと思わずため息がでた。
ともに組む相手も自身も、すべてが美しくなる人でありながらそれぞれの役の個性にとても従順な役づくりをされる。

キキちゃんは先日千秋楽を迎えた「NEVER SAY GOODBYE」におけるヴィセント・ロメロの芝居が素晴らしかった。舞台上で役として生きていて、熱い役を熱演しつつ主演を一切邪魔しないどころか舞台全体になじんでなじんで。どう見ても手足の長い細いモデル体型の女性の身体つきでありながら、血と肉でできた闘牛士として、兵士として受肉していたようにしか見えなかった。同じスペイン人を演じたエルハポンの頃は、こんな芝居はできていなかった。とんでもなく進化している。
それにスター芹香斗亜として登場する歌唱指導も、彼女がノリにノッている状態なのがビシバシで。歌唱指導で泣いたのは初めての経験。

これぞ別格

とにもかくにも、いま!私が、それぞれの組の番手とか、あるいは若手スター組とか、各組トップスターとか、そういうの全部吹っ飛ばして、今最高に観ていて楽しい・美しい・満足度最高なスター、それが鳳月杏と芹香斗亜のお二人である。
一作品でも多く、長く観ていたい。タカラジェンヌであるお二人を。それは格別な限りある時間だよなぁ。



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