雪組トップ娘役、ひらめちゃんこと朝月希和の退団が発表に。
びっくりした。もちろん就任当初から長期ではないだろうってことはわかっていたけれども、いや忘れてたよ、去就発表の時期だってことに。
「ひらめ」だったひらめちゃん
私が彼女、いい娘役さんだなって認識したのはとても遅い。名前をなんとなく見おぼえたのもいつだったか覚えてない。元々ここ10年くらいはトップ以外の名前はあんまり熱心に覚えない方だったし…
きれいだなあ、はまっているなあ、と思ったのがはいからさんの芸者役。マスカレードホテルはいまだに彼女の代表作だと思ってる。
あとfffのあのロールヘン役は大変すばらしかった。
「ひらめちゃん」の愛称はなんでだろって思ったけれども、音楽学校時代に魚顔だって友達から呼ばれたところからだったか。
今の彼女をみてもピンとこないが、トップ娘役就任の頃にアンコール放送されていた、下級生時代の彼女は確かにサカナ顔。
当時はメイクもお肌も荒れていたのに、年々見違えて、いまほんっとうに美しくなられたのでまじリスペクトです。
おまけに、退団記者会見で眩しかった、筋肉のついた二の腕!
彼女は真の、娘役職人さんであった。
トップ娘役…
私の子供時代、確かまだ涼風真世が2〜3番手でもうトップになるよ、て頃。
ご近所に住む大の月組ファンで涼風真世ファンであったおねーさんのいう
「男役は男役10年っていって、まず10年は鍛えないと。男役がしっかり身についてから、15年目くらいまでにトップになる。一方娘役は3〜4年のとにかく若くてキャピキャピしたのが好まれるの」
という言葉を今でもよく覚えている。そんな彼女の贔屓、涼風真世は確か研9くらいでトップだったっけ。今思えばかなり早い。
相手役の麻乃佳世はまさにこのおねーさんのいうとおり、若いキャピキャピな研3か4での就任だったか(若くて成績優秀な優等生だった)。
もともと涼風真世ファンが憧れから受験、好成績で入団→その憧れの男役の相手役になるって、とんでもないシンデレラガールっぷりに、当時子供ながらちょっとジェラったっけ(ひとりのファンだった女の子がそんなマンガみたいな展開を実現するとは…という、努力で運をつかんだ人への、何もしてない無知な子供なりのやっかみだった)。
トップスターとトップ娘役は10期くらい離れていた方がいい、みたいなことが言われていたのはこの時代の名残であって、実際のところ、上級生な娘役はぽつぽつと誕生はしていたと思う。必ず研◯まで、なんてことはなかった。
歌劇団は昔も今も、「トップスター」をどう見せるか、1年以上先まで決まっている上演計画と照らし合わせて、何の演目を予定しているか、そのための人事を組んでるだけだと思ってる。
そして、ひと昔前には「トップ娘役」てのは、その呼び名すら公式から否定されていた時代もあったと記憶している。
これは、歌劇団が認めているスター制度とは「トップスターを中心としたスター制度」であって、ただ一人の男役が「トップスター」という役割を担うものでそれ以外のスター序列は公式に定められた椅子は存在しない、という宣言だったと思う。
なんだったら男役についても2番手、3番手という番手を否定する(歌劇団はそこを定めていない。2番手羽根など存在せず、その羽根を背負うものが次期トップと決まっているものではない)と公言していたこともあったような…?
これは新専科とか、2番手以下シャッフルとかなんかあの辺の時代のことであったかなぁ。
でもこれ、たぶんいまもなんとなく通じるものがあるのかなとも思う。
万博アンバサダーを各組の若手から1人ずつ選出し、選ばれた子らはたしかに「路線」と呼ばれる活躍と抜擢を受けてるし。この先トップになるかはわからんけど。
…歌劇団が5人くらい選出したときって、なにげにそこからのトップ上がりは少ないような……
男役ですら、育成目線から言うと、10人あげて1人2人、トップに相応しい人気と実力を身に付ければヨシ、みたいな確率なのかも。
そしてそこに合わせられる娘は、研3より研10のほうが間違いない、てのはとっても合理的。
朝月希和は、なるべくしてなったトップ娘役であり、他の若手は力不足であったというシンプルな話、と思ってる。
香、お銀、?
シティーハンターの香という役は、若い乙女でありつつガサツでもあり、獠は香と認識しなければ「ハッスル」しちゃうナイスバディを隠し持っている、家族の縁がちょっとばかし薄い人である。
お銀もまた、過去は有耶無耶。でも普通が許されてたならならないであろう、元小悪魔犯罪者。
次の配役はどうなるやらだけれども、輪っかのドレス系は時代のヒロインじゃないっていう現代において、未だに輪っかのドレスなお役が娘役の王道でふさわしい正道としているタカラヅカにおいて、何気に朝月希和というベテラン役者がその古臭い役柄をやらずにここまできている。
遅咲きでもなんでもない、もっとも求められている困難な仕事をきっちりこなした、輝けるスーパーヒロインは、果たしてどんなお役でフィナーレを飾るのだろう。