さて、今までも主演役者以外は、公演と公演の合間、全ツなどの分割公演のときに、どこのグループにも配役されない子はいた。
天真みちる氏の連載を読むまでは、それはみんな本人希望のお休みで、ケガや病気の治療などに充てられる休養期間をとっているのかな、くらいに
思っていた。もちろん心のケアのための休養も想定していた。
けれども、もっとシビアに配役の選から漏れて強制的にお休みていうこともあるのだと知り、所属の劇団員、それも下級生を「使わない」という選択肢が組Pや演出家にあるのかとちょっと驚いた。
下級生ほど扱いが雑厳しいのは、かなり時代遅れの慣習だなと思う。
若く才能がある人ほど手厚くケアしないと、会社に残って一緒に成長なんてしてくれない世の中だよなと中途採用を担当しはじめて実感しまくりなので、ジェンヌはほんと魔法というか……いささか「好き」の搾取されすぎじゃないかい?と思わなくもない。
ただそれでも、エンタメ世界で仕事をするというのは、舞台人として食っていけるというのはそれだけで思いっきり恵まれているのよね(と、ここでファンも客も己を納得させているのかも)。
毎回豪華な衣装(しかも自分の衣装を採寸して用意してもらえる)や舞台装置なんて、他じゃ見られないからなあ、ほんとに…。
礼真琴に余計なこと言わせる劇団
次回作の取材会と称して、異例のお休みについてしゃべらせる歌劇団。そういうとこだぞ。
このニュースをみて、お休みしまーすということになんか罪悪感植えてない?とか気になるし、本人に思いっきり責任感とプレッシャー与えてどうすんじゃ、と思った。
で次に思ったのは、舞空瞳に休みはないんかい?という素朴な疑問。まあ娘1はセンシティブで超特別なポジションかと思う。
ある意味、トップスターより代役が難しいポジションだとも思う。ファンがとにかくギーギーいうのが娘役がらみだし。※偏見です。
絶対的立場のトップスターが担う主演男役の立ち位置の方を、専科なり二番手主演や若手主演らに回してもそういう公演とみなされやすいのちょっと面白い。
だって今回の休養、『じゃあ交代で今度は礼真琴のみが稼働して舞空瞳ちゃんは2か月休養ね!その間トップは別のだれかと組むわ~』てのはなんかファンが許さないだろうなぁって。※偏見です。
いわゆるスター専科も男役のみだし。
ともかくも、ニュースリリースで普通に「将来的なことはまだ未定だが星組から試験的に(とかいう理由付けで)トップスターに長期休養期間を設けた」て公式がアナウンスしてやればいいのに。なぜそれをしなかったのだろう。
ファンがざわつくのなんか目に見えてたのにね。
トップコンビがそろって、というかもっといえば、組全体が、半年に一回、20日~1か月の公演・お稽古の休みができないものかねぇ。
興行は止まれない問題
弊社は年間休日128日。土日祝は完全にお休みであり、盆暮れ正月には約一週間、会社の公休となる。その分普段はいささか有休がとりにくい。忙しい。
けれど恵まれている方だと思う。
タカラジェンヌの休日はどれくらいなのだろうか。ただ、お稽古期間や本公演中など、拘束時間はサラリーマンより短い日もありそうだし、時には深夜までお稽古がありそうだし。ただ意外と、歌劇団側が拘束する時間はイメージよりずっと短そう。で、任意のお稽古や自主レッスン等々でがっつりと時間が消費され、やらない子とやる子の差が出ていくのではないかと。過去のジェンヌさんインタビューでは、参加任意の各種お稽古に皆勤賞みたいな子もいれば、全然でない子もいたというし。時間がないということではなく、気持ちの問題で出るに出られなかったというようなインタビューもあったっけ。
公演スケジュール
かつて天海祐希が、自身がトップになるときに、2年後までの公演スケジュールを見せられて2年後の公演にミーマイがあった、でそこ光ってるように見えたから「あ、私これで辞めます!」とその場で宣言した…(その時のプロデューサーだかの劇団側の人がびっくりしてた)というような有名エピソードがある。
つまりはこれは、天海祐希に新トップの話をした時点で、トップスターとしてのお仕事1クールが2年間で、2年先までは歌劇団側の予定が決まっており、これより短い時間でトップ交代は想定していなかった ってことがわかるエピソードでもある。
無論全員がこうではなく、天海祐希の場合はトップ1クール目が2年間だったのかなと(歌劇団側が最低限準備して予定していた天海トップ期間)。で、これは本人と歌劇団側が望めば、2クール目も存在したんだと思われる。
これが、2年後の先はまた2年…ていうことでもなく(そのころの他組のトップ交代スケジュールも考慮して)さらに1公演、また1公演と延長してくものなのかもしれないし。
で、礼真琴のトップ1クール目の終わりが、「1789」までだったんだろうなと、私は考えている。
本人が望めばそこで退団可能だったんでしょうねぇ。けれども何かがあって、そりゃもう星風まどかスライドあたりから予定が変わっちゃって色々ずらしていって…
礼真琴星組トップ延長戦突入の前に、ちょうど演出家不足というか上演可能な脚本不足が発生もしたことだし、休養しちゃおうと。なんかそんな風にも想像できるなと思った。
まあ妄想。
にしてもなぁ
ピラミッド式といわれるトップスター制度を形成しているという割に、今回休養する礼星組の2番手枠は、それこそ礼真琴がトップ就任した3年半前からずーっと曖昧だったのは何でなの。愛月ひかるは星組異動時点で2番手退団が想定されていたようだし、その次を同期瀬央ゆりあには絶対にやらせる気はないのに微妙にあげ、月組から暁千星を呼びはしたけれど、ありちゃん2番手人生はこれからで、はじまってもいない。
トップ3年半の間に後継者の2番手が正2番手(=次期トップ)として誰も経験を積んでいないっていうの、なかなか…それでいいのか?と思わなくもない…。
これ、花組も同じだし……。月組も下手したらそうなっている。
ちなつさんは花や星より正2番手ポジであっても次期トップとしての正2番手かというと???だし…。
事実上番手をつけているのは歌劇団なのに、番手通りにトップ就任はしないようにしたのも歌劇団で。上級生をひいきして2番手ポジに置いたら、次期トップが2番手としての経験を積むのが遅れるっていうデメリットが発生しているのだとしたら、なんともはや。当事者であるジェンヌたちがみんな努力していて素晴らしい舞台をみせているだけあって、なんとも悩ましい。
でも理事長とかがまさか悩んでいやしないよなと確認したい。行き当たりばったりじゃないよね?と問いたい。