隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

和希そら。赤い鳥が逃げた

予定調和な月組トップ退団よりも、こちらの方がよっぽど動揺したソラカズキの卒業宣言。

ああああー!!ずっとあなたの男役を観ていたかったよ、和希そら

見事すぎる引き際

和希そらの去就タイミングを考えたら(そして最近のご本人もどうやら組替えあたりで迷い考えていたらしいことから)、私には、彼女が、別格スターや別格二番目とか上級生〇番手みたいなポジに「なることを回避した」とそのように自身の進路を決めたのだととらえた。大拍手である。

麗しかった2ショット

先日のWOWOWプルミエールで、あーさこと朝美絢と二人で出演。この並びが非常にキラキラしていて、そりゃあキラキラしていた。なによりも、思いのほかお似合いな並びでこの二人がいつかトップスターと〇番手としてがっつり舞台で組む日がみられるのかも、と期待した。観てみたい、と。

組替えインパク

ふと考えてみれば、組替えってずいぶんと選び抜かれて行われる人事異動なのだな。今更だけど。わかっていたけれど。しみじみそう思った今回。
タカラヅカの場合、10代の子供を選抜して育成し若いうちに卒業する特殊な舞台ゆえに、いい意味で、誰がどこの組にいても同じようにできる組織。
なので組替えというものは本当に組織の主演級の配置を操作する行為であり、イレギュラーな行為なんですかね。思った以上に。あとはもう人間関係でしょうね。

和希そらは、紫藤りゅうが組替えしてきたとき、どんな風に感じたのかなぁとか今更ながら考えてしまう。
しどりゅーは同期96期で、宙組に来たものの路線にあがるためというわけではなく(路線大渋滞の宙組でしたものねあの当時も既に)。かといって落ちることなく、星組にいるよりはより目立つ使われ方をしてカジロワで卒業。2019年に組替え→2023年に卒業だった。

夢千鳥

和希そらのソラカズキが爆発した伝説級舞台。あれは2021年のことでわずか4日間の幻公演。私のチケットも消えたけれどそんなことよりディレイ配信してくれて嬉しかったし、脚本演出も演者たちの魅力と混然一体になってすべてがよかった。
あの直後に和希そらは雪組へ。2024年に卒業となるのでしどりゅーよりも扱いや並びは上ではあったが、流れは似ているのかも、と思ったり。

というのも、配役の位置や別箱主演をとるにしても、その組にいると同組内の序列とか順番とかのアレコレで主演や別箱の割り当てをそのジェンヌに回せないけど、別組ならこの子に回すことができるようになる、そういうことあるよね。ソラカズキはまさにそうだったんじゃないかな。並び的に宙組にいたままでは、心中・恋の大和路をやらせることができない…でもこれは夢白あやと主演させたかったんじゃないかな、なんて。

歌劇団は上げると決めた子はなにがなんでもあげるよね ということをどちらかというとネガティブな意味でファンに使われている。これって要は何年も前からスターをどう扱うかの事業計画が大体決まっているんだろうなと想起させることで。だからよっぽどのことがなければ、役者本人がどんなであれ「ない」子には新人公演がとれない。努力や実力のはなしではなく。
それが路線かそうでないかってことなんでしょうけれど。

別箱で主演を重ねてくれて、和希そらはますます魅力が寄せてくる波のように満ち満ちて、だからこそこの先の路線人事計画との兼ね合いは難しかったのかもしれない。けれども舞台のどこにいようともいてほしい、もう少しいてほしいとひたすらおしんでしまう。

肩はたたかない

で。

・トップ路線人事計画はずっと前に線が引かれている
信じがたいことに、どうやら万博アンバサ案件の重要度がやたら高いらしい
・このまま居ても上級生二番手格か専科

この辺なんでしょうねぇ。
あらためて、万博の当時のプレスリリース(2020年2月)をみると、『2014年以降入団の若手がアンバサダーを務める』として5人のメンバーが、所属の組情報とともに掲載されていた。

「組替え」はヅカファンにしかわからないものなので、いざ2025年になって仮に<宙組の縣千です!とか<月組の極美慎です!とか言われたら、万博サイトや関連情報の誤植?間違い?などという地味に面倒なことが起こるよね。
てことはやっぱりアンバサダーに組替えはなく、この超路線ジェンヌたちは2020年時点で、2025年にはそのまま各組で退団予定もなく、トップスターの両脇すぐのところに立つ予定と決められていたんだよね。万博後の2026年に誰がどこのトップになっているかそもそもトップになるかは、わからないけども……。

このアンバサメンバーに選ばれた路線たちが、2025年には各組でより上のポジへと上がっている予定となると、96期という上級生で売れっ子のソラカズキの去就は正しくいま、分かれ目だったのかなと思う。彼女が残る選択肢をしても歌劇団はOKだったでしょう。けれどそうなると次の問題が……

ざわつきなう、月組

大好きだけれど本当にトップの可能性がここまで大きくなるとは思っていなかったからこそ、遠慮なく贔屓目でみられていた人ナンバーワンがちなつさんだったのよね私には。
判官びいきしやすいキラキラスター、それがちなつさん「だった」。彼女は何度も組替えしていて「古巣に戻る」があった以上人間関係が理由ではなく、スター構成の都合上、重宝されての指名なのだろう。


競走馬の世界には、北海道とか関西からの長距離移動の際に、レースに一切関係なく馬運車や飛行機に競走馬に同伴して一緒に旅をするだけの馬ってのがいる。
なんでかって、社会性抜群の馬は長距離移動させられることが苦手な子がおり、わずか半日や1日かけての移動だけで10キロ単位で体重落としちゃったりする。なので、移動がへっちゃらで競走馬とも仲良しの、心身ともに丈夫でおだやか~~な気性で、別にレースに出ることもないから細かい調整不要(競走馬としては活躍しない)、そんな馬をレースに出す大事な馬に同伴させる旅のお供馬っていうポジションの馬が存在する。

わたしのなかのちなつさんは、歌劇団にそういう扱いされてるスターなのかなって思っている部分があった。
決して上にあげるためだけに彼女があっちこっちへ行ったり来たりしたわけではなく、上げたいスターを支えるために重宝された存在。それでいてあの超絶スタイルでなんかすごい舞台にキラキラと華を添えて何年も活躍していたらば、まあタカラジェンヌならその間にファン、増やすよね。本人が辞めなかったら今の流れは必然。

彼女は結構まえから2番手羽根背負っているのに、トップにそのままあがるなんてこれっぽっちも思っていなかった。きっと歌劇団本命の若い期を月城かなとの次に持ってくるだろうとどこかで思い込んでいて。

で…で…

結構できる子で内外に人柄がよくて、おまけに本人が「タカラヅカ大好き」って思っているだけで在団し続けて、その結果トップ去就番手がらみに絡む大きな存在になるっていうちなつさんのようなコースに、和希そらもなりかねなかったと、そして彼女はそういう方向に進むことを選ばなかったんだと、そう思った。
鳳月杏をけなしたくないので(好きなので)うだうだ書きこぼしてみたが、やっぱりあれだ。なまじ目立つ主演格スターかつトップにしないと歌劇団が決めているスターが在団し続けると、跡目争いのややこしいところに絡まざるを得なくなって、ファンをざわつかせることになるんだな。

まあそう早まらなくとも、
まだちなつさんの進退は不明。ただ87期から94期研9にトップを継がせることをやってのけた歌劇団が、いまそしてこれから95期から飛ばす先は100期以降でしょう、と考えてしまう。
やっぱり、5組のトップスターの期はそろえてはいけなかった。そろえるから詰んだ。ばらばらだったら再配置だってしやすかったろうに。

花組:マイティの存在により、2番手枠で次期トップ確路線が育つ時間がなくなる
月組:ちなつさんの存在により、以下同文
雪組:順当
星組:愛ちゃん→せおっちの存在により、これまた2番手枠で次期トップ確路線が育つ時間が減る
宙組:次期トップ確の正二番手が唯一しっかり存在していたのに、異常長期ステイとなる

2番手ポジにいた子を全員そのままトップ羽根背負わせることができたらよかったけど、そうもいかないらしいし、でもみんな人気あるしせっかくだから使おう…っていう八方美人方針は、ときに若手早期離脱とかの悲劇も生むし、長期居座りみたいに見えてしまうデメリットも生むわなそりゃ…。

なんかやっぱり

進退については各ジェンヌの意志が最優先で、トップスターだけは候補者をしっかり決めているもののそれ以外はほんっと2番手枠ですら、ジェンヌにお任せしている結果がこうなのではなかろうか。
「わたし、まだ鐘の音がきこえないから、この舞台にたちたい」
と思い続ける限り、歌劇団は「いいよ~」といってあとは人気と年数と舞台人としてのタイプで配置して……いるだけ!ではないかしらね。


キキちゃんが本日やっと念願のトップスターお披露目本公演初日となった。
95期桜木みなともようやくようやく、2番手羽根を背負うことができた。この先、万博期間中に桜木みなとにトップが交代したとして、宙組のアンバサダー風色日向だけはアンバサメンバー唯一の102期で一番下級生なので、2年後に3番手くらいに上がっていれば上々ってかんじかな。宙組のアンバサが100期優希しおんでも101期鷹翔千空でもよさそうなのに風色日向なのは、彼女だけは絶対に宙組であげて、上の子は組替え可能性がより高いのかなと。
優希しおんは卒業を選び、鷹翔千空は…めっちゃ動きそう。

よいスターが、歌劇団があげたいスターが詰まってしまい、どこにもこれ以上の活躍が期待できる余裕のない宙組から飛び立った96期和希そらが、雪組でより広い活躍の場を与えられたのはよかった。でもいま、そこにとどまらずに次の空へ飛び立ってしまう。逃げた赤い鳥は和希そらのことだったのか。





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