隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

「月城かなとの月組」②

この日の観劇はSS席4列目。阪急貸切お高いぜプランによるお席。家賃みたいなお値段だったんだから1か月あの席で観劇させてくれないだろうか…。

舞台に近い席だったのでおかげで、ショー開幕時に、なんかシルエットがおかしなくらいにわさわさしている人々がスタスタ、板付きのために暗闇の中、進んでくるのがわかって開幕前からテンション上がった。

ショー「Deep Sea」

タイトルが発表されたときは意味深に思えたが、内容は別に意味深でもなかった。
ストーリー仕立てといってもいいくらいストーリー性みたいなものを感じたがちょっとそこが重たい気もしたのは、つい先日、対照的な印象だった野口先生のアンシャントマンを最前列で浴びた後遺症のせいもあると思う。

今回この公演ははじめての観劇で、席はSS席と舞台に近くてどこをみりゃいいのかキョロキョロしたり。花道にスターたちが並ぶときは、真ん中のれいこちゃんをみようにも真正面に並んでくれるスターたちが気になってしょうがないわけで。
全体の印象としては、芝居もショーも海乃美月が超・充実期というのか、キラキラを通り越してもう、月というより太陽。そりゃもう輝いていた。

デュエダンでまとっていた、ヅカの娘役のお衣装の中でも最高なんじゃないかって思う一着である、黒いベルベットぽい生地にラインストーンが縦ストライプを描きつつ背中の、肩甲骨の間あたりに向かってストライプが集約されていくようなデザインの、あのドレスが本当にきれいで素晴らしい着こなしで。

欲を言えば…がっつりダンサータイプなスターとガシガシに踊ってほしかったな。あのお衣装で。

ショーで印象に残ったもの

風間柚乃のソロ歌唱
・彩海せらのキラキラとダンス
・千海華蘭の白い歯と相変わらず童顔とのギャップでこっちが照れちゃうダンスでのキメ顔
・ちなつさんの美しい姿
・6人の真珠の女たちが全員スゴイかわいいしキレイだしあのシーンが楽しかった。じゃんけんはまあどっちでも。
・その後一人で出てきた真珠うみちゃんがダル・レーク以来のへそ出しで、お衣装のテンションもそっち系でふいに懐かしくなる
・礼華はると彩海せらが真ん中でリードする若手中心のダンスシーン。これまた月城かなと版ダル・レークのときのフィナーレの若手ダンスシーンを彷彿とさせた
・3本ろうそく持ってうみちゃん上手から出てきてのシーンは。最初は珍しいタイプの小道具持ってきたな、と思っていたけれども全体的にとても美しいシーンだった。
・ロケットでなんか黒髪の魅力的な子がいる!とチェックしたら涼宮蘭奈ちゃん。
・ぎりくんを見つけると嬉しい
・まのんちゃんをみると保護者の気持ちになる(ブエノスアイレスの後遺症がなおってない)
・きよらちゃんのエトワールはやっぱりすごかった

変わっていく

今回は組長も退団されていく、という思いもあっていつもより一層、変化を感じていく過程を味わった気がする。そういう思い入れがどうしても、観劇に影響した。
他のスターたちの組替えを受けて、あ、前よりちょっと目立たない立ち位置になったかな、という子もいたと感じるし、若手のなかにあらたなる輝きを見つける体験もした。

今後の月組娘役戦線の中心にいるだろう彩みちるの登場によって、推し方が強いのかそうでないのかわからないでおなじみ、あましちゃんはどうなるのかなって気になってたけれど、今回のショーにおけるあましちゃんは「あ、あの子の立ち姿きれいだな」て思ったらそれが彼女だった~なんてことが何度かあって、より洗練されているような印象を持った。

本公演で卒業するかれんちゃんと蘭世ちゃんは、毎度、ショーではちょっと目立つポジ にいて、銀橋渡りがあったポジションの子たちなのだから、次の公演ではその位置に新しい顔がたつことになる。常にそういう入れ替わりを観てきたはずなのに、卒業するのかあ、もう観れないのかと、寂しさのほうが今は強い。

ショーにおけるトップスター

楽しくて面白くて充実と満足感たっぷりのショーとは、なんだろうなぁ?とちょっと、DeepSeaを思い出しながら考える。
別にトップの歌とかダンス力でそれらが決まるわけではなくて、それはあくまでオプションみたいなもの。ショーそのものの魅力と満足感は、衣装や音楽も含めたとにかく総合的なもので決まると思う。
だから、トップスターがガシガシ踊っても踊らなくても、それぞれ魅力的なショーになっているのならいいと思っている。

でも私のショーの好みとしては、どうやら、真ん中が踊る方が好きらしい。勿論、タカラヅカの歴史においてはいろんなスターがいて、れいこちゃんより踊らないスターはいた。けれどもDeepSea。もっとも重要な見せ場のひとつであるデュエダンのタンゴに、私は満足できなかった…。うみちゃんの衣装が最高だっただけあって余計物足りなかった。

そもそも私は月城かなとが好きである。ただショーのれいこちゃんに対する自分のなかの偏見が消えてくれない。
彼女が踊っているのをみると「怪我の影響はもう大丈夫なのかな」と余計な心配をし、デュエダンであんまり踊っていなかったら「やっぱり怪我の影響であまり踊らない(踊れない)のかな」と余計な心配をする、そういう余計な考えがよぎってしまい、まー、無心で楽しみたい気持ちに水を差し邪魔をしてくれる。

充実期とか変革期とか

月組っていま充実期なのかね?
正直よくわからなかった。むろん充実していないということではない。なんかずっと変わらないテンションのような気がする。
このいい意味での高め安定って感じ、メンバー変わるよ、退団・卒業メンバーに思い入れがあってなんだか普通に観られなかったよ、といいつつも、総合的な感想は「いつもの感じ…」という感覚は、月組が職人的といわれるゆえんだろうか。
SS席4列目に座っても、S席15列目くらいのいつも座るエリアとあんま変わらなかったかも(いい意味で。ほんとにいい意味で)。どこに座っているお客様にもひとしくタカラヅカをお届け感が満載であったよ。

ただ、確実にいえることは、うみちゃんが舞台人生における超充実期を迎えているのか、一番輝いていたし目立っていた。あとフツーに使われまくっていた。
少なくとも私がみた回の輝き・働きともに「トップ」はうみちゃんだったなぁ。

しかし、れいこちゃんはやっぱり非凡な人で。芝居でもそうだが、うーん?と感じた次のシーンではわわ~と喜ばせてくれる。
いまの月組は「月城かなとの月組」なのだ。そのマイペースな感じがなんというか、よくもわるくも…この公演に色濃く出ていたように思う。

月組の月城かなと」か「月城かなとの月組」か、それが問題、なのか?

もう一回、本公演を観られる予定なのでとにかく色々もう一回確かめねば、と思った。




にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

「月城かなとの月組」①

しばらく生観劇のご縁がなかった月組

元々、剣幸トップ時代に宝塚に出会って涼風真世に魅せられた経験から、月組はちょっと他の組より贔屓目であった。

…いやでも紫苑ゆうにも杜けあきにもヤンミキにも魅せられてたか、思い返せば子供の頃からどの組もみんな好きだったみたい。

まあとにかく、いまも昔も好きな月組
でもねぇ、ここ最近特大ご縁ありまくりでファンサの熱い花組にやられちゃってからの、久々の月組の見えかたが変わるかな?とちょっとドキドキの、ひっさしぶりの観劇であった。

咄嗟に名前が出て来ない

アッあの人は…えーとホラあの子!…のように、下級生まで覚えている方の月組なのに、なんかみんな記憶よりいい意味で変わってて名前が出てこなくて。
やすちゃんとれんこんちゃんの2人は、舞台上で、似てないんだけどなんか印象が被っていて、ポジションが似てるというか(芝居はどっちも上手いよね相変わらず)。

あっちを見てはあーあの子…こっちも見てはあー、あの子… の繰り返しであった。

自分は原作ファン

応天の門は原作のファン。だから…、大劇場を観劇された方々の感想を色々読んでたらなんか不安だったんだけれど、
感想を読んで感じてた印象よりずっと面白かった。

MVPは、百鬼夜行の鬼の皆さんだろうか。
実に不気味で、あの中身がみんな可愛い女性だなんて、とても信じられない。
あとてら君。坊主といえば雪組シティーハンターの海坊主がよく出来ていたと思ったけれどいや、てら君が歴代No.1坊主@タカラヅカを塗り替えたわ。
衣装とカツラの工夫、立ち姿に表情全部素晴らしかった!!

道真

原作準拠のキャスティングをするなら、月城かなとより千海華蘭の方が道真っぽいよなと思っていた。舞台を観ていても、うーんやっぱり原作からはちょっと遠いな、と感じて。
でもそう思うと次のシーンではとっても応天の道真っぽくて。さすが月城かなと、見せ方がうまいんだわね。

れいこちゃんのことはずっと好きだけれど、彼女をして芝居の月組の復活だという声には大いに反論したい派である。

※珠城りょうは良かった。月城かなとの代でやたらこの芝居復活を言う人は珠城アンチだと私は解釈している。

月城かなとは確かにいい声だし滑舌も良いし、原作ファンの私が今回、どうかな?と思った月城版道真についても、多くの場面ではよかった。ときどき、学生の身分(=秀才前夜、という未熟なお年頃な道真を持ってきたのが原作のスゴイ点と思う)には、全く見えなかったけれど。
しかしそれは、主演のトップスターだからカッコよくないといけないわけで、そのための演出を加算すれば原作よりはいささか大人で美形過ぎる菅三になるのも仕方なし。

完璧なる業平

高子と業平については、伊勢物語NHKの「100分de名著」で取り上げていたのをよく覚えていたのでとても切なく。
ちなつさんの業平は実にハマり役だった。立ち姿が美しくて見惚れた。

ハマっていたといえば風間柚乃の基経。この手の役は桜嵐記を思い出す。
ラストシーンまで素晴らしかった。

あとうみちゃんの昭姫。作画が良すぎる。これまためちゃくちゃハマってた。お衣装が似合っていて、常に美しかった。

安定の2人

今作で卒業の光月るうと千海華蘭。
いや他にも大事な月組メンバーが沢山卒業だけれど、特にお役の比重も大きい2人が抜けると一体どうなるんだろうね。
寂しくて、ショーの卒業生ピックアップシーンではほろりと泣いてしまったし…

このお二人もこういう役を本当に完璧に表現される。素晴らしい役者さん。

ちょっと…

一方で、もっと違うかたちがよかったなーと思ったのは…いっぱいいるけど結愛かれんちゃん。
本当に美しかったし大事なポジションなんだけども、ワガママを言うならもっともっとキャラとして話に絡んで欲しかったな。

あとうーちゃん…物足りない。もっとみたかったな。でも鬼は凄かった。

他、きよらちゃんが元気そうでなにより。
彩みちるちゃんの白梅は、菅三に構いすぎではなかろうか。ヅカ版の白梅は業平好きではなさそう。
るおりあ君の吉祥丸はちょっと出色の出来。
長谷雄の彩海せらは華がありまくりで眩しくてたびたび目を奪われた。これからも楽しみ過ぎる。

娘役は2人ほど気になる子がいたけど名前分からず。昭姫のお店のシーンで目立っていた。

あ、あとみとさんもやっぱりお芝居は流石。

目立つ礼華はる

ぱるくんは目立っていた。ときに業平よりも。
これは基経にも感じた。業平って原作でも序盤は特に、大事な2番手の役だけれども、活躍するようなしないような…キャラで。
物語を動かす役回りは他のキャラである事が多く、ワトソン役でもないような…
少なくともこの舞台では、ワトソン役は昭姫だったし。業平はレストレード警部な役回りだったか。
基経は敵役モリアーティな役回りだし、ぱるくんは今回のエピソードの、探偵に謎を持ち込む依頼者的なポジションになっていて、あちこちで目立っていた。次代のスター感も満載。

主題歌は知らないが

舞台としては、幕前芝居みたいなシーンが多いかなと、思わなくもなかったし、耳に残る主題歌もなかったし(合っていたけどフレーズをすぐ覚える系ではなかった)…なんだけれども。映像演出やこだわりの月なんかは効果的で。

幕切れ、最後の最後のシーン。あの終わりかたも実によかった。めっちゃカッコいい。ヅカの舞台ではちょっとないかも。原作を部分的に切り取らざるを得ない舞台化において、私としては原作をふまえての最高の幕切れと思った。
とても映像的な舞台(映像演出のことではなく全体が)で、アニメか映画のような映像でイメージして作ったのかしらとちょっと思った、わからんけど…。

あと一回、観劇予定である。
2回目はどんなふうにみえるのか今から楽しみ。



にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

かつてお受験を経験した親御さんからきいた話

仕事で組んでいる会社の人の娘さんが、タカラヅカ受験をしたときのことを思い出す。
春の、桜満開の、この受験に関するニュースが飛び交う時期になると。

いつから目指したのか

娘さんは中学生の頃、たんなる「好き」「好奇心」から「タカラジェンヌに、なりたい」まで気持ちを持っていくのに数年間かかったらしい。
本人が初めてそのことを母親に告げたのは中学生から高校生になるとき。
受験はタイムリミットがある。本人にとっても心を決めるには若くそして時間がないから、あらゆる意味での親御さんのバックアップが本当に重要なのだろう。

お父さんは知らなかった

娘さんはお母さんにたびたび相談して、
「お受験は一回だけのつもりで、そこでの感触と結果でその先を考える」
「準備不足なら受験しない」
「不合格のことを大事に考えて、宝塚以外の進路をきちんと準備する」
てことで、初めての受験を高校二年生のときに絞ったそうな。

で、この計画はお父さんはきかされてなかった。「うちのお父さんはきっと反対なんかしない」とお母さんと娘さんが考えていたらしいけど、お父さんはだいぶ寂しかったらしい。

母と娘の計画は「もし音校に合格したら宝塚市内の、歌劇団近くに引越す」まで段取りを組んでいた。
もし本当に受かっていたらお父さんだけ、仕事の都合で都内に残されることになっていた。そこまで母娘で決められて、そりゃお父さん、さみしがるわ。

娘さんの覚悟

娘さんには憧れのタカラジェンヌさんがいたそうな。その人のようになりたい、という思いがあったと。
写真でみる娘さんはとても美人で、タカラジェンヌを目指すにふさわしい、素敵な子だった。

彼女が偉かったのは、宝塚に入れなかった時は◯◯になる、という計画も周到で、とてもハイレベルな大学への受験も並行していたこと!
タカラジェンヌになりたいという夢も本気だったのに。

お金のこと

一年でお受験のためのレッスン代にかかったお金の総額は、500万以上1000万以下ってところだったそう。
お受験スクールもだが、習い事の世界にあるお月謝以外のお礼金の風習などもあるそうで…
スクールの費用はあとから色々想定以上にかかったらしい。

なおこの、娘さんの親である会社の人(お父さんの方)というのは会社の役員で港区在住。
娘さんは中学生からかな?私立のいいとこの学校に通っていた。宝塚受験するには私立の中高エスカレータで上がれるようなところじゃないと厳しいらしい(公立受験の余裕がないし年数百万というレッスンに通うだけの時間の融通がない)。

都内のいいところは、たくさんスタジオやお受験スクールがあり、地方からの受験より交通費や夏期講習などの滞在費がかからない分、金銭面でも節約できるという。
とはいえ…、やっぱりお受験はお金持ちに許されることなのよね。

いまの娘さん

単なる学校進学じゃない、10代少女の就職の話になるわけだから、親戚だって口を出してくるという。
だからこそいざ受験に進路を決めてからは、応援してくれる家族のために、という思いも本物だったそうな。

彼女はタカラジェンヌにはなれなかった。
けれども、準備していた大学受験では素晴らしいところに進学しその後留学もして、びっくりするほどの才女に育って、コロナもあったし身内はやっぱり「不合格だったことで逆にあなたの未来は広がったね」と言われるほど、輝かしい学歴を身につけた。

あの舞台に立つことはなくても、彼女のいまの人生にはタカラヅカ受験の経験がものすごく大きく、良い方向へ影響したという話。
しみじみ、そこまで努力できるような子が目指す夢の舞台なんだなぁ、と。



にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

別箱フレンチで本領発揮の礼真琴。赤と黒を観る。

日曜日は楽しみにしていた星組、礼真琴主演、赤と黒を観た。

宝塚でもたびたび上演された「赤と黒」とは、原作は同じなだけで脚本・演出は違うフレンチ・ロック・ミュージカルということで…
ロクモみたいなもんかなって期待してたけれど、一幕開幕直後にやっぱりロクモやん、てほどのフレンチロックミュージカル感。

キャラやストーリーは分かっている前提

フランス人にとっては定番なのかしら、赤と黒って。
それくらい、物語そのものとか各キャラ設定の説明は吹っ飛ばして、
感情表現を歌いまくりであった。

ありちゃんのキラキラが引き立っていて開幕から大勝利。

礼真琴×暁千星の組み合わせも華やかで。

2人が並んで立つと、ありちゃんのスタイルの良さが際立つが、こっちゃんが見劣るんじゃなくて、ありちゃんより背が低い点も逆にこっちゃんのチャーミングさやジャニーズ的イケメンさとして魅力が増す。
相性がいいんだな。

有沙瞳のレナール夫人

夫が紫門ゆりやで、3人も幼い子供がいて。
ある日やってきた若い屈折イケメンと不倫するんだから、彼女がどれだけ純愛を叫ぼうがちゃんちゃらおかしい。そんな難しい役について、あっちの赤と黒はやけに清らかな若奥様として描かれているが、こっちの赤と黒では、ものすごく艶っぽい大人の女。有沙瞳しか似合わないんじゃってくらい絶妙だった。
2幕に出てくる、ジュリアンの2人目の女マチルドと良い対比だった。
あと歌うま。

紫門ゆりやのやりかた

愛のない夫婦として描かれるレナール夫妻だが、愛とか夫婦のあり方がすれ違ってるだけで、女の望む男じゃないだけって感じのレナールさん紫門ゆりや。
最初はちょっととぼけたおっさんにみえるが、舞台全体、芝居全体のなかのレナールという役の加減みたいなのが完璧なゆりさん。塩梅がいいというのか、やり過ぎず出過ぎずでも確かな味わい。好き…。
1幕における真犯人のようなメイド役、瑠璃 花夏ちゃんもうまくてとっても印象に残った。

マチルドは魔チルド

詩ちづるを久しぶりに堪能。
出だしからぶっちぎりヒロイン感が強くて声が良くて。2幕前半で礼真琴ジュリアンとデュエットを歌うがこれがすごくいい。

このデュエットの後半、レナール有沙瞳も入ってくるんだけど、ハーモニーは美しいのに有沙瞳がはいってくると微妙な不協和音なの。全員歌上手いのに。ジュリアンを中心とした三角関係だからなのよね。うまい演出。

詩ちづるの舞台姿、マチルドとしての姿は王道のタカラジェンヌの娘役らしくて、メイクもすごく綺麗だし、こんなに素敵だったっけと何度も見惚れた。

お衣装とダンサーの演出

ロミジュリっぽい。
フレンチミュージカル界も、ロミジュリ以上の作品を生み出したくて試行錯誤しているのか。
それともこの赤と黒作ってるのが単に同じ人たちなの?というくらいに。その辺の事情よくしらないけれども、全体的な構成(概念のような存在のダンサーとか、派手な衣装とか、色の対比とか難曲とか)がロクモというかロミジュリと同じ系統。

ビジュアル系との親和性

礼真琴が上手くなければ成り立たない舞台だったな。
礼真琴のジュリアンは出だしから病んでるというか、ふるまいと言動はナポレオンを偏愛するコンプレックスの塊のキモオタなはずなのに、ひとり部屋で鬱屈せずに世界でもがいた者として昇華されてるからか、このジュリアンは最初から疲弊していたのかも。

あっちの赤と黒のジュリアンは抗って戦いを挑んでいるというのか、成り上がってやる、みたいな反骨精神と、それにそぐわぬ世間知らず感とがあったなぁって記憶だけれども、こっちの赤と黒は、登場した時点で、彼と彼の生きる世界との勝負はついている。だから最初から、礼真琴ジュリアンは、なんか病んでたのかなと。

それか、礼真琴がやると「運命に流され翻弄され」感が強いのかな。ナポレオン愛をみせるとき以外はちょっと状況に流されてる人にも見えた。

ジュリアンといえばの袖の膨らんだ白シャツ。白い化粧に目のまわりの影が美しいメイク。

ジュリアンの、最後の裁判場面において、礼真琴ジュリアンは答弁する。自分に罪があるとするならそれは2つ、と。

「持たざる者として生まれながら全てを得ようとした罪」
「そしてもうひとつの罪は、愛を得ようとした罪」

この台詞、これこそがジュリアンのもがき、生き様で。このときの礼真琴といったら…。

喜劇か悲劇か

芝居がそうだから仕方ないんだけど、2人のヒロイン、レナール夫人と、マチルドとの最後の3人でのダンスはこう、元カノと今カノのバッティング感があってちょっと…笑。

赤いびらびら衣装の悪役夫婦、ヴァルノ夫妻のひろ香 祐&小桜ほのかちゃんが、芝居のなかで悪いんだけどいちばん夫婦仲がいいっていうのが皮肉がきいてる。


にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

上級生…

5/1付で組替えして、月組の組長が梨花 ますみさんになる。
このニュースをみたときは少し残念に思った。(みとさんは雪組組長でやり切ったと思ったしまた大変な仕事させるなんて、他にも候補はいるでしょうに…)

……いや、いなかったのだな他に。

あれっ?と思ったキャスト表

前回、副組長としても1人の役者としても、もちろんタカラジェンヌ、娘役としてもいつも素晴らしい姿をみせてくれていた夏月さんが卒業。寂しいけどありがとうの気持ちが強かった。その次に光月るう組長も卒業、と聞いてそりゃびっくりしたわ。
おまけに、同時卒業に千海華蘭ちゃんの名前まで。

月組に上級生が、いない

組長、副組長は組の最上級生が担うという。
夏月さんの次、白雪さち花ちゃんが副組長。
で、卒業生を除くとその次の上級生が鳳月杏になる。
ちなつさんは2番手羽根を背負っているから役職はやらない。

となると月組…月城かなとが95期。これトップスターさんだから…その次が96期生の春海ゆう・夢奈瑠音になってしまう。
トップスターを含む組子の相談役・指導役の側面もある組長職はやはり、最上級生が担うべきだろう。
いまトップスターを担っているのが90期前半の生徒たちだから、それより上級生がいたら望ましいのだろうけれど、月組だけじゃなくいないんだわね。

宙組は?

組長卒業、ということではこちらの方が寂しさいっぱい&ひとつの時代の終わりにも思える、宙組組長、寿つかさの卒業。
宙組はトップ交代によって、キキちゃんの上が松風輝しかいなくなる。
宙組は、副組長の秋奈るいが97期!充分ベテランなんだけどまだまだこのあたりの期に対して若手と思ってしまう感覚が残っている。
親戚の子がもう成人してるのに「この前中学生になったよね」とか言ってるおばちゃん感覚。

二極化の専科

紫門ゆりやと輝月ゆうまの2名が専科に異動となったときの発表は、びっくり&寂しい&他組での活躍もみたい の心が三つ巴で。
89期の凪七瑠海、92期の凛城 きら。そしてここに95期水美舞斗が加わる。
この5名以外の専科は10名。

57期汝鳥 伶、京 三紗
59期一樹 千尋
62期夏美 よう
68期英真 なおき
70期万里 柚美
72期五峰 亜季
75期美穂 圭子
76期高翔 みず希
81期悠真 倫

ザ・専科 というべきベテラン勢は10名。
専科の中でも若い5名は全員いずれこの10名のような存在になっていくのかしら…

いきなり経験はためられない

ショーの主演を担えるカチャさんは専科の中でも扱いが特別だけれども実際に舞台をみると彼女の男役姿はやっぱり格別で。
専科に異動となったマイティに関して今のところなんとなく「そのうちどこかの組に異動するのでは」と半ば確信していたが果たしてそうだろうか。凪七瑠海のようにショーの真ん中に特出することができるような専科になるかも。

あと数年のうちに、超ベテラン専科の方々からも卒業される人がでるかも、なんて思う。そうでなくとも、どんなにうまいジェンヌだって次の舞台でいきなり「汝鳥 伶さんのあの味わい」を演技で出せはしない。
若い娘たちの集団に少しのベテラン勢がいるというバランスは不思議なものだが相性はいい。

しかしこの先、確実にタカラジェンヌを目指す子は減り続ける時代にはいるし。専科って一体どうなるのか。
そしてそれ以上に、各組の構成がより一層若くなりがちになるんでは(新公学年卒業が増える)とか、漠然と感じたり。

関東人には1ミリも興味が持てない大阪万博。そのアンバサメンバーがアンバサダーとして本格稼働しはじめる2024年〜2025年あたり。ほんのあと数年後だが、マジで本当に一体どうなっているんだろうね。




にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

スターたちの「ありがとうございます」に感じるトップのありかた

その返しがすっぱり鮮烈だったので印象に残ったのが、望海風斗。

スカステ番組の何気ない場面で、「美しい」というようなその容姿に関する誉め言葉を受けただいもんが「ありがとうございまーす」と笑いながらこたえていた。
イヤミなし・余計な照れ隠しもなしの実にさっぱりした返しで、外見を褒められることの多い人にとっての最適解はこの、さっぱりとした「ありがとうございます」なんだなと感じた。

少し前にネットで話題になっていたつぶやき

筆者の方がたしか女性だったか…。様々な形態の水商売で黒服経験ありの人が、エッセイ漫画風にさらりと1枚イラストで紹介していた、
「誰が見ても美人が多いキャバクラでは自己評価の低い女性が多く『この中で自分が一番ブス』と思っている子が多くて、誰が見てもフツーかそれ以下の女子が集まっているコンカフェのキャストは自己評価が高い女性が多く皆『この中なら私が一番かわいい』と思っていた」
っていう内容。
どちらのお店に遊びに行った経験がなくとも何故かなんとなく「わかる…」と思わせるこのつぶやきがめちゃくちゃ反響があったようで、自分の目にも飛び込んできて、とても面白いなって記憶に残った。
そして自己研鑽を惜しまない、本当にきれいな人の自己評価が辛口というのは、どの世界でも同じなんだろうかなんてことをふと思ったり。自分の周りのガチ美女も、そのことが逆にコンプレックスな子が多め。まあ、小さいころから異性に変な目で見られがちというのもあるようだけれども。

ガチ美人だらけの女の園

歌劇団に伝わる と、されている「ブスの25か条」というものがある。内容はともかくタイトルがキツイ。
いつ誰がそれをまとめたのかはわからないが、集団の中の個、個の集まりの集団をまとめるのにこうした、誰もがちょっとは心当たりがあるような格言を全員の頭上にかかげて、全員で同じ価値観を共有することによっていらぬ揉め事を回避しよう というのはたぶんすごく効果があることだと想像できる。
価値観を同じくすること というのは、ひとつ屋根の下で長時間過ごす間柄では最も重要なことのひとつだものね。

だから、「ブスの」というとてもキツイ言い回しの「25か条」を掲げることによって「あなたその態度ブスよ」とか「その考え方はブスよ」ていわれたら、歌劇団のような場所にいる子たちにとっては我が身を振り返りやすいのかなと思う。それに、指摘しづらいことを指摘しなくてはいけない場合にもこうした共通認識の看板があれば、それを引き合いにして言いやすい、なんてこともあるのかも。
まあ、今のジェンヌたちがこの、数年前話題になった25か条とやらを実際に本当に認識しているのかはなはだ疑問…。

ちなみに、かつてアニメ化もされた「らんま1/2」にて、原作ではその回の敵キャラが、主人公の女体化した女らんまに対して「ブス」を連呼する話があった。
これがアニメではすべて「チンクシャ」に置き換えられていた。1990年頃放送していた昔のアニメ表現ですでに「ブス」は規制されていたのである。

立場や状況でのぞまれる態度

ずっと自分が一番下の立場でいられたら、それはある意味では楽なことかもしれないけれど、翌年には下の子が入ってくるから「自分が一番下っ端」で居続けることはできない。つまり、毎年一年ずつ上級生になっていくのにふさわしい自信をつけないといけない。選ばれた女性たちがうんと美しく笑顔を見せ続けるのは本当に大変なことと思う。

その場で最下級生の子が「かわいい!」と先輩たちにいわれて「ありがとうございます!(ニコッ)」などとは、なかなか、やれないだろう。
「いえいえとんでもない、やめてください…」スカステ番組に登場する下級生、特に抜擢のはやい娘役さんなど、かわいいといわれるといつも本気でどうかえせばいいのやら戸惑っている様子が映る。その様子もかわいらしいけれど、これ毎度、最適な受け答えをするのに本当に困ってるんだろうなと思う。

スカステ番組の「Cafe ふぉるだ」において、カチャさんに対して下級生が「本当にお肌がきれいで、どんなお手入れを…」と質問する場面がたまにある。
そのたびにカチャさんは全力で「イヤイヤイヤイヤ」と否定しつつ、実際に取り入れているお手入れ法(ちゃんとこたえてくれるカチャ好き)をサラッと紹介している。このときのカチャさんの「イヤイヤ…!」てのもまた、本気だと思う。カチャさんのお肌は本当に綺麗だが、かといってうんと若い子にお肌キレイって言われたときのなんともいえぬプレッシャーみたいなものってのは大人にしかわからぬもの。


※ちなみに、とある下級生が紹介していた、上級生に指導されたという「シャワーを直接顔に当ててはならぬ」ってのは驚いた。
 両手でやさしくできるだけ刺激を与えずに流すんだそうな…。真似してみたけどまだるっこしくて無理だった。本当にジェンヌさんのお手入れはスゴイ。

ファンの前で最も褒められる人たち

トップスターはいちいち謙遜している場合ではないし立場でもないから、褒められたら「ありがとうございます!」で受けるというのは大正解なんだろうと思う。
意識してみれば、特に容姿をほめられた場合のトップスターはみんなあんまり謙遜せずにさらりと受け止めているような。

誰から、とか誰といる場面で、などでは言葉にそれぞれ違いがあり、色々な意味合いがあると思うが(美しくないといけない立場とか、自分を下げる発言で他をも下げかねないから否定的な言い回しは避けるとか)、スカステ番組などのファンが目にする場において、トップスター達が相手役の娘役や路線下級生に「カッコいい」とか「カッコいい」とか「カッコいい」ていわれるときに「ありがとー笑」とニコニコしているのは、なんだかとっても素敵だと思う。

にしても、そのなかでもだいもんのほんの少し棒読みでの「ありがとうございまーす!」というあの返しは、ピカイチだったなぁ。
褒められたときの受け答えによってキャラも出るし。「ありがとうございまーす」には愛されの秘訣がある。


にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

ソラカズキ東上

ヤッフー

昨日はいい花道大千秋楽、そして今日は何かあるのかと思ったら雪組の別箱が発表。やっぱりきたソラカズキ。

厳しいコロナ禍だった

和希そらといえば、夢千鳥のバウホール公演のチケットが当たったのにコロナで流れてしまい。
作品は異例のディレイ配信が決行され、その鮮烈な…名作舞台も、和希そらの芝居も大評判となった。私にとっても、記憶に残る名舞台になった。生観劇できなかったのが本当にせつない。
でもあのディレイ配信は大チャンスにもなったと思う。たくさんの人が観られることになったし。フィナーレの赤い鳥逃げたの名曲が最高にソラカズキの魅力にドンピシャで。明菜とソラカズキの親和性の高さよ。
また夢千鳥は、宙組の娘役がどれもこれも粒ぞろいで魅力的だってことも知らしめてくれた。

そして雪組に異動してからの別箱主演、「心中・恋の大和路」がこれがまた、コロナ禍の影響をもろに受けてしまってかわいそうだった。
作品がまた手堅い名作でね。和希そらは演目に恵まれている。これも運だし、その貴重な機会が思うように上演できなかった時代であったというのも運か。
こちらは配信も観ることができなかったので私にとっては幻。

2年連続2度目の東上主演

そんな和希そらに、ふたたび主演の機会が与えられたことは大きいと思うし、宙組から雪組に移ってきた彼女はもうすっかり雪組の看板役者のひとりで、さらに人気があがっているのかなと。で、演目が「双曲線上のカルテ」と……。
観た覚えあるな映像で…。

なんか暗かったような…

あれか、主演が死ぬ(含死にそう)役って雪組の伝統かな?
ヒロインは育成中のあらたな娘役にまわってくるだろうか。

てことは全ツ

雪組の2023年夏が、全ツが彩風・朝美・夢白を中心にいくのか。御曹司・縣君も全ツな気がする。
次期御曹司の華世 京が東上組だったら面白そうなんだけども。まあチケットはどのみち厳しい戦いになりそう。

全ツや別箱公演というのは、チケットが縁遠い。今年の夏はどんな世の中になっているのか想像もつかないが、しかし、全国での興行というのはたぶん想像以上に得難い価値のある機会なんだろうし、公演の無事と成功を今から祈りたい。






にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村