隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

愛こそすべてと言い切るロミジュリ

ライブ配信を観ました!
当初は観るかどうするか、あんまり考えてなかったんだけれども、どうやら愛ちゃんの死がみられるB日程は貴重だという評判をききつけて。

実際に観てみた感想は、「愛ちゃんは美しかった」です!

そもそもロミジュリがねぇ

宝塚歌劇ではたしか、2010年に初演して以来の人気演目。今年のこの星組での再演は大変気合のはいったもので、同時にこれまでの公演を(微妙に意図的に一部をなかったことにして)「網羅」したDVDボックスを発売したり、礼真琴&舞空瞳のボーカルCDを事前発売したり、特番を放送したり。

で、私もヅカファンあるあるの一人で「実はロミジュリ観たことない」のひとり。
ちょうどタカラヅカへの関心が薄かった時期だったり、「ロミオとジュリエット」という原作がそもそも好きではなかったり、といった消極的な理由でもって、いままで観る機会を逃してきた。

少年少女がボーイミーツガールでもってさっくり死ぬ(もとは15と13で、出会って一週間で死、でしたっけ)というのがどうにもこうにも、好きじゃなくって。

礼真琴&舞空瞳 コンビ最初の仕事

この「ロミオ&ジュリエット」は、礼真琴と舞空瞳がトップコンビとして任せられた、最初の大仕事でしょうね。
礼ロミオと舞空ジュリエットは実にロミジュリのイメージぴったりで、若くてみずみずしくて、美しかったです。

この演目ってやっぱり「若さ」が絶対的に必要。でも「幼い」とは違う、「若さ」が必要だと思う。
早熟だけれど童顔で少年ぽさや若い青年がはまる礼真琴はロミオがはまり役だと思うし、ピッチピチに若くってかわいくってはじける笑顔の舞空瞳もまた、ジュリエットにぴったりだと思った。
そしてこのカップル、より視線を持っていかれたのはジュリエットだったかな。

重い課題をクリアした舞空瞳

舞空瞳もまたよくできた優秀な娘役として、ダンスという目立つ特技から、持ち上げられすぎの感が強く本人のプレッシャーも相当なものだったろう。
みればみるほどかわいいのだが、お披露目公演では「常に同じ笑顔」がはりついていて、大丈夫か?と思ったものだ。
今作でも、最も心配された歌は充分だったと思う。私は、え、めっちゃいいじゃんって思った。約1年くらい歌い込んでよく練習したろうなあ。
こういうのは注文をつければキリがないだろう。私には充分にジュリエットらしいジュリエットにみえた。
どちらかというと、表情のほうがずっと気になった。やっぱり目や表情の変化が乏しいかなあ。でもこれまでのどの舞空瞳よりずっとよかった。
それは、ロミオとジュリエットが並んだ時に礼真琴より彼女が目立つという点で、舞空瞳の持つヒロイン特性が輝いて見えたから。

政略結婚がイヤ!と、薬を飲んで仮死状態になって、目が覚めたら愛するロミオときっと幸せな未来が待っている!て信じられちゃうジュリエットに説得力があった。
ちょっとこの子怖いなって思ったよね。冒頭、本を読んでいる姿からの、愛にあこがれる姿から、ロミオに出会って急激に燃え上がる姿は、恋愛に浮かれている、恋に恋してはしゃいでいるティーンエイジャーらしくってくらくらした。世間知らずで手に負えないこのジュリエットこそが死を招くわけで。

出木杉くんな礼真琴

ロミオはいい子なのかそうでないのか、なんなんだろう。
色々女と経験してきたけどどれもこれもいまいちだぜ、俺は満たされないぜみたいなのは、まあ、モテてきた経験しかないくそボンボンで、アレ?最近どこかでくそボンボンキャラみたな、どこだっけな…それはともかく。
礼真琴は優等生過ぎて、粗がなくて、舞台上で決してオラオラしすぎない行儀のいい役者だなあと、しみじみ感じた。
ロミオというキャラクタそのものは礼真琴にぴったりだけれども、舞台上のロミオはちょっとなぜか、影が薄かったかな。やけにいい子だった。

愛ちゃんの死

誰もが目を引いたし私もガン見した、愛ちゃんの「死」。とにかく美しかった!
愛ちゃんっていい意味で鈍感力があるジェンヌだなって思ってたんだけれども、星組2番ポジションになって、礼真琴との対比もよくて、彼女がとてもよく引き立っているなとあらためて思った。
死だけにトートを想起させたけれどもこちらの死は概念そのもので、互いを愛するロミオとジュリエットが結ばれるのは死を手に入れてからのことなので、この「死」は、「愛」と対比されるものというよりも、愛の別名でもあるかもしれない。
ロミオとジュリエットは性急で、状況は時間を与えてくれなくて、何かを解決したり現実の問題に向き合うとか、そんなことよりとにかくぱっと燃え盛ってあっけなく命を手放してしまう。ロミオとジュリエットの運命は、命を手放さなければならなかった。
死は終わりであり、死後の二人がハッピーエンド!なんてのは夢でしかないのだけれども、それを信じさせてくれる存在が、物語のはじめっから舞台にいる「愛」と「死」。それらがとびっきり美しいってのが、重要だよね。

パパがイケメン過ぎる

わき役も色々、いいなって思ったり、いまいちだなって感じたり色々それぞれ、偏見も交えて楽しくみられた。
ただ、天寿光希のパパ…イケメン過ぎる。こんな色っぽい男が夫とか、お母様、愛してないとか、そんなの説得力ないよ!て思った(笑)。
あと、B日程はティボルトが瀬央ゆりあ。これが憎らしくて、まったく好感が持てなくて。青チームがみんなかわいくみえたよね。
乳母の有沙瞳は、ウーン、この役が上手にこなせちゃうかあ、と。だいぶ役者としての資質を選ぶ役だと思うんです。乳母。それにはまりすぎてしまうということはジュリエットはやれないってこと。ちょっと切ないような、ないものねだりよりも持っているものに目を向けるならば、素晴らしい才能ではあるのですが。海乃美月とポジションは近いですが、彼女のほうが重要な脇役が板についていますね。

星組のこれからは

星組の舞台をみると、やっぱりこう、多少不器用さというか、粗さはあるんだけど、全体的なポテンシャルが5組中2番目くらいに高いって見えて。
じゃその不器用さとか粗さってなんだっていうと、体育会系独特の力業でこなすテンション第一な感じであって、下手とは違う。むしろいつも「あれ、うまいな」みたいな、予想の上をいくのが星組※個人の偏見に基づく感想です。
でもなんかこう、やっぱり、この星組が爆発するのはこれからかなあと思う。
なんとなーくもうちょっと、トップコンビが心を開きあってくれるといいんだけど。


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