隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

キャリアを積むと主演機会がなくなるということ

経験の浅い新人のうちは簡単な仕事から覚えていって、ある程度スキルや経験を積んでいきながら徐々に難しい仕事へ、責任がより重かったり責任範囲が広い仕事にキャリアをステップアップさせ、と同時に仕事が大きく重くなるにつれて給与も上がっていって…そうやってみんな中年や老年になる頃には、信頼できるスタッフとか信用される上司とかそういうものになっていく

そんな風に、社会人のことをみていた気がする。

しかし仕事とはあらゆるものがあって、種類も多岐にわたっており、18歳から50年経ってもやることが同じという仕事も実にたくさんある。
どちらがいいとか上とか下とかいうものでもない。比較することは不可能なことで、そもそもが、誰かにとってあるいは公共の福祉にとって必要な行為が仕事となりお金が発生しているのだから、なんであれ働いて自ら納税している人間はみんなえらい。

…で、タカラヅカよ。
宙組新人公演の主演のメンバーが105期に。この前入団してきたよね!!なんてこと思ってた文字通りの新人たちがいよいよ抜擢を受けはじめている。
超路線が何度も新人公演主演を独占するよりも、こうした新しい人たちが主演経験を得ていく方が、なんとなく好きだ。
一方で、新人抜擢期を過ぎ、中堅期に入ることによって逆に舞台上での立ち位置や役が目立たなくなる子もいる。脇がうまいから真ん中が引き立つ、そんなことはわかっているが、スターシステムがある劇団をみている身としてはちょっと寂しかったり心配だったりと余計なことを考えてしまう。
歌劇団は「先」が見えやすいよね。いつまでそこにいるか・いられるか…

チャンスを得てそこそこ目立つ位置、70名くらいいるうちの、名前や顔が目立つポジションて10人分くらいだと思うけど、そこに引っかかったものの、その上の、さらに目立つ5名とか3名に入らなければ、それも数年のうちに入らなければ、どれだけ努力して上手くなろうがそれ以上の抜擢がほぼゼロになる世界。

変な話、本気になればなるほど厳しい世界だなぁと。

ゴールは自分で決める、の大事な意味

トップ候補というのは音楽学校時代からやんわり見えてきて、あーどうやら私頑張ったらいけるかもって子もいれば、あー私この中ではモブだわと自覚する子も、みんな、かなり早いうちになんとなくわかるんじゃなかろうか。
文化祭時点であからさまだものね。

だから、みんな自分で、いつまでこの舞台に立つかを何となく決めていくんだろう。
歌劇団スターシステムの頂点をゴールにする子もいれば、◯◯の役、◯◯の演目への出演、◯歳まで、というゴールを決めていく子もいるだろう。

100期が研10だという。ゴールを迎える子の方がきっと多い。
二桁台の期の生徒が専科以外にいなくなるのも多分あとほんの数年。
これが思いの外、さみしくかんじる。

きっかけは月組

さていま人気という月組
しかし私はある種の危機感を持って月組を見守っていて…(チケットも取れないから本当に遠くから見守っているだけだけど…)

応天の門のレポート、観劇感想なんかを眺めていても、ああ、また組織編成が動いてるなぁと。
ていうかぶっちゃけ私はうーちゃん(英かおと)が気になって仕方ないのである。

新公主演もあるけど路線ではない。らしい。かわいい顔してハッとするほどの色気をショーなんかでみせてくれたりして、あのすごい匂い立つような美しさをもっと、もっと使ってほしいけれど、いま以上においしいポジはなかなか回ってこなさそう。

抜擢ゼロの子より、うーちゃんくらいに抜擢経験もありちょっと目立つ活躍の場を与えられつつも外から内から上位路線の子が自分を抜いていく立場って、厳しいよなと思ってしまう。
勝手な想像だけど。

そういう仕事だからこそ、自分で自分の価値観を守り自分の中のゴールを決めておかないと、挫けることの連続ではなかろうか。
比較され続ける世界。抜擢合戦の世界。

熱烈なファンレター

某OGさんが、熱烈な分厚いファンレターを送って来られるファンの方ほど、ある日パタリとファンレターが来なくなるとエッセイで書かれていた。
あるあるらしいけど、そういうのひとつひとつ、結構おぼえてらっしゃるのね。だからファンてのが水モノってのもよくわかってる。
だからファンに支えられつつも、いつでも離れていく存在と一線引いておかないと「アレ最近あの子から手紙来なくなったな」なんてことに傷ついてしまうと思う。

男女役10年

ずっとはいられない組織。キャリアの限界がすぐに見えてしまう競争社会。公私に制約ありまくりの生活と、女性の身体のタイムリミット。
男役10年、娘役も10年。よくいったもんだ。

厳しさと難しさと、たぶんやみつきになるんだろう、舞台に立つ歓びとを客席から垣間見て分かった気になって余計なことを思って書き散らしてしまう。

今後、決して「ずっといて欲しい」て言葉は使わないようにしようと思った。
応援しててもそれは、いちばん余計な声援だ。
ご本人がゴールに至ったのなら、拍手することだけ許されている、そう思おう。

そんな気持ちで、研10に差し掛かるジェンヌたちを見守りたい。たっぷり余計なこと書いておいてなんだけど。


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