隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

謎の『会』という存在

少し前のことだけれども、知人がとあるスターさんの「会」に入っている話をしてきた。知人がわざわざその話をしてきたのには理由があって
「私、『大人会』に誘われたのよ」というのよ。

じ、実在するのか~。おそろしや~ ※個人の偏見によるイメージです

その知人は「チケット手配できることがあると思うから遠慮なく相談してね!」と言ってくれたけれども、結局、勝手がわからなさすぎて結局頼むことはなかった。※ビビったともいう

本当に存在するんだ「大人会」

昔、後援会=会 の存在を知ったときに、またそのいろいろな独自ルールがあるという話をきいたときには、正直、ちょっと引いた。
同じ観客なのにその「会」とやらがルールを作って劇場周辺を仕切るのは、なんだかなと思うし観劇マナーという名のもとにローカルルールを作るのもなんだかなと思ったし。
純粋に、ジェンヌを守りたいのなら、阪急が守ればいいのに、と思った。

ただまあいろいろあるようで。事情が。
にしても、そんなコテコテの愛が重いファンが集う「会」というだけでも、偏愛を煮詰めた存在だというのに、その中にさらに階層があるなんて…。

知人はあるジェンヌさんのとりこになって、数年前にそのジェンヌさんにお手紙を書き、会にはいった。そしてある時、会のスタッフから「スカウト」されて「大人会」の仲間入りになったそう。
年会費が存在し、私が聞いた金額は、都内23区一人暮らしの一か月家賃くらいのお値段だった。まあ私が参加した、阪急貸切公演帝国ホテル宿泊プランよりはお安いお値段だったな。

高い?安い?会員になる費用

びっくりするほど高い、というわけではないが、といって安いわけではない。そのお値段でどんなスペシャルサービスがあるの?ときくと、
『ジェンヌさん直筆で、私の名前いりのサイン入りプロマイドがいただけるの』と。
それはまあ、ファンならうれしいでしょうねぇ…。

で、直接触れ合う機会みたいなものはあるの?ときくと、その知人の場合は、ちょうど大人会に入会したあとに仕事や家庭の事情により地方へ。そのため、観劇もままならず。さらにそうこうするうちにコロナ禍になり、クローズドな会合もすべてなくなり。そのまま知人の会活動は終了。

それでもご本人は「〇〇さん(そのジェンヌさん)がタカラジェンヌでいられる時間は期間限定、その間に、自分は何もできなくとも応援だけできればいいのよ」と大変お幸せそうであった。

それでいいよね、と思う気持ちもあるし、非公式である以上グレーすぎる金銭の扱いが気になる面もあり。

お弁当をせっせとつくるファンの女性

昔々80年代後半~90年の初めごろ、私が子供時代に観た、たぶんNHKの番組で、歌劇団の、まさに、会のファンの様子が思いっきり普通に紹介されていたものがあった。そこではとある20~30代の女性ファンが、とあるスター(当時のトップスター)の、たぶん会に入っていて(テレビ番組内では会とはいっておらず)。女性ファンは一所懸命会活動に励んだ結果、そのスターさんの「お弁当を作る当番の権利」が回ってきたとかで、せっせと豪華なお弁当を作るシーンと、そのお弁当を、入りの時にそっとスター本人が楽屋に入る手前のところで渡せる というその一部始終をカメラが追いかけていて。

あのテレビでみた女性ファン、今の私は意地悪にも愛の名のもとに搾取されてんなー、なんて思ってしまうけれども、当時のあの人は舞い上がるような幸せ体験であったに違いない。寿美 花代がかつて新婚当時、家事ができないもんだから、ヅカ時代のファンの子にご飯作ってもらって差し入れしてもらい、それを食卓に出してた、なんてエピソードをむかしテレビで披露していたけれども、それもまた、ずいぶんと距離の近い関係性。

お弁当差し入れが許されるくらいのファンは、会でも認められないと無理だったらしいし、新婚の寿美花代の家庭の食卓までヘルプしていたのは、会の名残のそば仕えのファンがやってあげていたんだろうし。
30年より前の話。おおらかだわね。

コロナ禍でも

大人会に入った結果ほぼ活動できずに終わった知人から、別の知り合いの話としてきいたのは、コロナ禍どまんなかに会に入り、その後、その会の「大人会」に加入した人というのもいて、コロナ禍だったのでそれこそ、会に入っても特典は直筆サインくらいで、会費を納めただけの数年であった、というの。
ホストと客じゃないけれど…なんかちょっと、お金の話になるので自分は気になってしまった。そのジェンヌが悪いわけじゃないが。お金集めてどうするのって思ってしまう。ジェンヌだってある程度いくと「会を立てなくてはならない」ってなってるんだものね。マジで、なんで非公式なのか理解しがたい。

かつて本で

歌劇団の昔々からの紹介をされている本で、会にも触れているものはある。何で読んだか覚えてないけれどそのはじまりとして「関西の文化であったから人の距離間が近く、入り出待ちで本人と交流を持ったファンのなかに、他の芸能でもみられる『タニマチ』的存在がでてきたのは自然の流れ」であったと。
で、タニマチは当然ながら裕福でなければそうとは呼ばれない。贔屓の相撲力士や歌舞伎役者に大盤振る舞いするように、彼らは目当てのジェンヌに貢いで。

使われていた表現が印象的だった。
「応援しているジェンヌが舞台を降りても品位が保てるように」
会はお金を集めて貢ぐんだそう。
そして、品位を保つとはどういうことかというと、ジェンヌが一流ブランド品を身に着けることになるらしい。

いやすごい世界。テレビ芸能人以外の、舞台だけの役者で、ブランド品に身を固めてる人がいるのは確かに、タカラジェンヌだけかも。
タニマチは個だけれど「会」は団体だもの。そりゃあ、保てるでしょうねえ。品位。

某北翔海莉が、新公学年中リュックでお稽古場に出入りしてたら、紫吹淳霧矢大夢に「リュックサックはどうだろうか」と怒られた(男役らしくスマートであれという指導であったらしい)って話もあったし、ほんと見た目からのイメージに命を懸けてる世界なんだと思う。

ファンがそれを望むのか、ジェンヌがそう望むのか、今の時代ではもうわからない。





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