隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

「元タカラジェンヌ」が進むみちって

2パターンあると思う。

ひとつは昔から変わらない永遠のテーマ「素敵な夫とかわいい子供に囲まれた幸せな家庭の奥様」
舞台に未練はなく、私生活を充実させたいと、卒業後花嫁街道を進む人。
また、超お嬢が混ざるジェンヌさんの中には、「そろそろ花嫁修業を」と、ご両親からタカラヅカ卒業を促され、これに従って卒業していく若手もいると元ジェンヌさんにおききしました(最近の話です、さすが本物のお嬢様がいる世界です)。

ほかには、スクール講師など、別ジャンルの仕事へ就く方々だろうか。
現役の芸能人から離れていく、という選択。

もうひとつは、なんだかんだ言って要するに「天海祐希になりたい」というもの。
特に元トップスターなど、卒業後まもなく芸能活動を開始される近年の元ジェンヌたちは、好みはあれど、ここ(天海祐希ポジション)がうらやましくて仕方ないんじゃないかと思う。

天海祐希は、タカラヅカの歴史において稀有な存在ではあったが、「宝塚歌劇の歴史に残る名ジェンヌ・名トップスター」かというとちょっと違う。
宝塚歌劇で唯一無二の特別なトップスター」であったのではないかと思う。
イレギュラ過ぎる研7のトップ就任は、30歳までに芸能界入りが必須であったからと思われる。
20年以上前の芸能界は今以上に年齢が大事な要素であった。
SNSの利用状況が今とは雲泥であったとはいえ、タカラヅカのファン層なども大きく変えたといわれる天海祐希をもってしても、宝塚歌劇卒業後、化粧品CMでの華々しいデビューの記者発表ニュースでは「この人はだれでしょう」という、知る人ぞ知る珍獣扱いであったし、その注目ポイントは、「宝塚歌劇史上スピード出世でトップになった」というその経歴のみ。

天海祐希はその後かたくなに「元タカラジェンヌ」での売名を、少なくとも表むきには封印し、ぱっとしないドラマに主演し、セミヌード体当たり演技がうたい文句のマイナーな映画で主演し、と、こつこつやって、「女王の教室」という、ゴールデンタイムのドラマ主演でもって人気と知名度を勝ち得た。
その後、舞台も映画もドラマも、そしてバラエティも、彼女はそれなりにコントロールして仕事ができる商品へ成り上がることができた。
この売れ方は、オーディションやグラビアなどをきっかけにテレビ芸能界へデビューしてからコツコツやって数年で大人気タレントになる、一般的な売れっ子芸能人・女優と全く同じ流れ。
事実上「宝塚歌劇史上スピード出世でトップになった」という経歴のみを得るためのタカラヅカ時代といえるほど、いまの女優・天海祐希にとっての「元ジェンヌ」「元トップスター」の看板の使用方法は、「最初の足がかり」に過ぎなかった。

それはその後の成功が大きかったからこそ言えること。だから、芸能人としてやっていきたいと思う元ジェンヌが、そこの位置(天海祐希)を羨望するのは当たり前と思う。
子供時代から夢見た宝塚歌劇にいられる時間は、スポーツ選手のように短く、その後の人生のほうが長いのだから。

しかしテレビに現役・元を問わず宝塚歌劇が出るとき、ジェンヌさんの扱いは、「テレビに降臨した」みたいな、
なんか高いところからやってくるような扱いなのは、不思議である。大昔ならわかる。テレビ芸能界が後発で狭い世界だったのだから。この夢々しい魔法がとけないといいと思う。「ゆめゆめしい」て「努々しい」と書く。夢には努力が必要だ。

どんなジェンヌさんであっても、コアなファン(会)を飯のタネにし続けるような「元ジェンヌ」にはなってほしくはない。


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