隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

ラストデイを観る〜宙組の元号は真風から芹香へ〜

カジノロワイヤルがなんで一本ものなのかって「小池氏が1時間半のものを作らないから」っていう理由なのかな?そもそもが展開も結末も約束された原作もの、うまく1時間半にまとめて、ショーやればよかったのに、なんて。

それが第一印象の感想。

でも観ているうちに、ショー感もあるこの不思議な、小池氏にしか作れないような絶妙な加減の、「ヅカファン」を「男役」を知り尽くした人にしか作れない作品なのだとじわじわきてね。非常に説得力のある「タカラヅカ作品」として高いレベルで成立しており、見終わったあとは妙にスッキリ…。
主演男役真風涼帆への愛情もこもっていたし、「ヅカを知らない初見への配慮」みたいな、なんか平均を取っていくような保守的な手段を完全排除している点も、むしろ大正解だと思ったし。だって長期トップスターの退団公演だもの。

マカゼカッコイイの詰め合わせ

既視感ありまくりのシーン連続過ぎて、アレー?ナンデカナー?と思った。
このトップコンビ退団公演、チケットが取れなくて、大千穐楽の配信が最初で最後の視聴となった。

なにもかも、見納め。それにふさわしい場面の詰め合わせだなーと思った。けれど、第一幕が終わった時点で、何が終わったのか、ナニが片付いてないかいまいち整理がつかなかった。ボケっと見過ぎか。

登場シーンから発光

潤花はヒッピー姿がスタイル美麗でまー、輝いていた。
しかし、彼女の演じるデルフィーヌと真風ボンドの掛け合いも、なんか何度も見たことあるやつ感満載。

1幕後半でずっと着用していた白のミニスカドレスだが、胸元がクロスするように中央で繋がって肩が出るあのデザインが、なんか思ったよりよくなくて気になってしまった。微妙に潤花に似合っていると思えず、この手のデコルテ・鎖骨・脇が見えるデザインが格別に似合っていた元雪組朝月希和を思い出す。
何が違うのか、正面からだとどうにも貧相に見えるミスマッチ感の原因を探っていたのだけれど、
あの胸元デザインはもっと年増の欧米人が着ると良いものでは?と思い至った。なんというかセレブマダム系。シルバーの丸い装飾品も含め。
希和ちゃんは娘役史上最強のデコルテと脇ラインの持ち主だったから別格とはいえ、基本的に丸い豊満な胸に似合うデザインは、ロシア人女子大生の華奢な姿をした潤花にはいささか老け過ぎてみえたもので、大変もったいない。逆に背中側はスクエアラインでこちらはとてもきれいにみえていて、前側もそうすりゃよかったのに。フロント側のデザインが残念過ぎた。ミニ丈もさすが潤花なのに。そこばかり気になってしまった。

2幕のミニワンピは一転、とても可愛いらしかった。サヨナラショーでカプリチョーザの場面再演してた際の、ワンショルダー風の胸元は、あの白いミニスカワンピのようにデコルテが出るデザインにも関わらずとっても綺麗だったので、ほんとにささやかなラインの話なんだけど。
こういうの勉強してた学生時代を思い出して懐かしい。

脇から美形

なんか画面に綺麗なつるりとしたお顔が入り込んできたら、それはいつもの紫藤りゅうであり瑠風輝であり。美しいなぁと見惚れた。
寿つかさもだし秋音光や小春乃さよなど、ああ宙組だ〜〜!と嬉しくなった。

あと、この美人誰だっけと思ったら春乃さくらちゃん。ほんっとうに綺麗ねぇ。

ストーリーは置いといて…

カジロワ、フィナーレ始まった途端に内容のほとんどを忘れてしまった。なんかみんなビジュアル強かったな、て。

フィナーレは最高だった。
が、娘役群舞欲しかったな…。とはいえ、ロケットはお衣装もとっても素敵だったし、男役群舞を見ていて本当に、各組個性あるんだなぁと実感した。
宙組の男役たちは不思議な等身大感、非現実なんだけど現実感というのかリアル感というのか、スタイリッシュでアダルトで本当に最高にカッコいい。

私の「ジュリエット」は潤花イメージ

本公演ではラストデュエダンとなる2人のダンスの、クラシカル感はマカゼカッコイイだったし、潤花の!ドレス!
この2人はアダルトアダルト言われ続けたけれど、この2人でロミジュリやったらきっと、似合いだろうなと妄想できた。お衣装で妄想した。ロミジュリは若い恋代表の演目だけどきっとこの二人で演じても素敵だったろうなぁあ。
特に潤花の品の良いふんわりしたお袖がね、ジュリエット感ほんのりあって、あー彼女の魅力はジュリエットと親和性高かったろうなぁ、と。
惜しい、けれどご本人たちが到達したこの素晴らしい卒業を惜しむだけではなくお祝いしたい気持ちのほうがもちろん大きい。

キング・オブ・タカラヅカ

ラストデイの真風涼帆を観ていたらそう思った。ただ、恵まれた外見通りのアダルト系男役なだけだったら、こんなに魅力的じゃない。
コブラしかり、アナスタシアのディミトリしかり。瑞々しい青年のときのキラキラがまたとってもカッコよくて。
王子様も未来人も、この人はやりこなす。とっても謙虚に努力しないとこんなに素晴らしいスターには到達できない筈。

だから、彼女が最推しというわけではなかった私にとってもマカゼは最高であり、存在だけで尊いと思えるスターでいてくれたのね。
コロナで想定より長く務めることになったトップスターの役割、その日々の大変さは想像できないが、彼女は間違いなく仲間にも恵まれていたんじゃないかな。宙組にぴったりだった。

とにかく綺麗に終わること

宙組は近年しょうもないスキャンダルの件もあってケチがついてしまった面もあった。その辺について、私には、どこか潤花のキャラで押し切ったというか、ファンにそれで許されたようなところ、あったよなぁと映っていて。だから組長もマカゼもなにより組Pも皆んな彼女に感謝だよなぁと思う点もある。なかなか、ないよこんなこと。
全体としては長きにわたる路線づまりやら、そりゃもう色々あるけれど、宙組が他にない魅力満載の組であることは間違いなく、新しい世代へ継いで行く瞬間をこうして見ていられて、私は幸せ。

二番手に次を託す意味

宙組は長らく変わらずトップ真風、二番手芹香の並びだった。長期になったことからより一層、次期トップが順当に芹香斗亜になるのか、について発表があるまでは確信が持てない事でもあった(OGインタビューをみても内部的には「正二番手(次期トップの意)」など存在しなさそうだし…)。
二番手だからといって次期トップになるわけではないトップ人事。その発表があるまでは誰にもわからない次期トップ。

それでも。
誰よりも長く二番手を務めている芹香斗亜にはやっぱり、真風→芹香で宙組トップのバトンを継いでいって欲しいと願っていた。キキちゃんがトップになれればいいとかじゃなくて、真風→芹香の交代がいい、と。
そのバトンタッチの様子をアンコールでたっぷりみせてくれて、このお二人の長い絆の強さが垣間見られて、わんわん泣くお二人が愛おしくてこちらまで泣いてしまった。

二人とも組み替えで宙組にやってきたもの同士だけれども、長く長く、今日の宙組人気を築いてきた二人でもあって。なんかほんとにこれからの宙組も絶対応援したいって思った。

ここでは愛を叫ばない潤さん

あとひとつの感想は、最後の幕前挨拶で、近年恒例化してきつつあった、トップ娘役が大好きです〜!ていうやつ。
あれはあれで祭り感があっていいが、やりそうな潤花がやらなかったのが、なんかかえって好感度上がった。そしてここの場面は本当に、各トップの個性がでるわね…。

シトラスの風よ…

長時間にわたって、素晴らしい千秋楽を楽しんだ。さわやかで心地よいシトラスの風が会場に吹いていて、ああ、よかったなぁ。すっしーさんがさよならでともに卒業する若手男役たちと一緒にシトラスの風をやっていたけれどもこういう、組の歌、みたいなのあるの、イイ。

宙組さんの退団者の皆さま、お花にみんな宙組カラーいれてたし、お花そのものは先日の月組千秋楽でみたものたちよりも全体的に小ぶりに見えたけれど、それぞれはじめて見るような素敵なアレンジで、統一感もあってとっても美しかった。

千秋楽の夜はなかなか、終わらないのだろうけれど、しばらくゆっくりゆっくり、おやすみして欲しいな。いいものみさせてもらってありがとう宙組




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