隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

およそ2年ぶりに星組本公演を生観劇したら、なんか違っていた

アレ、いつぶりだろう星組…と調べてみたら、柳生忍法帳以来…? 2022年は星組チケットが当たらず。2023年一発目のディミトリが中止だったから…配信でたびたび公演は見られていたとはいえ、まさかの約2年ぶり。

ただの歌うまではなくなっていた礼真琴

礼真琴といえば。私にどう見えていたかというと、2番手までの彼女は素晴らしい実力派下級生、万能2番手として歌やダンスは全部引き受けて、ドヤはトップにお任せのそれはもう献身的に舞台を駆け回る礼真琴がスッゲーナ~~~ってノリで観てた。礼真琴がいざトップになったとき、雪組は望海風斗がトップにいて、歴代最高峰の歌うまトップとして人気爆発していただいもんに、礼真琴が「1か月半の本公演で喉を持たせる方法」をスカステ番組でそっときいていた様子は、私のみならず多くのファンの心に残った一場面。
礼真琴はそれくらい、すぐに喉が枯れるタイプ(ていうかそこまで酷使している日常)てのはもう、モニタ越しのこちらにも伝わっていて。

本気でケアをして鍛え続けてきたのであろう礼真琴はその後トップとして公演を重ねるごとにどんどん、安定度が増していっていたのはさすが。今回も、特に難しい楽曲の数々であり複雑な振りのある場面も多かったのに、声の豊かさはぐっと増していて、安定感抜群で、本当に彼女のロナンを無心で観ていられた。

1789といえば、初演(日本初演でもある)月組2015年版

やっぱり、ヒロインをオリジナル通りオランプに戻したことで実に作品として、すっきりまとまったし見やすくなったなと思った。ただ、念のためWikipediaを確認すると

フランス版の結末は、主人公ロナンもしくはヒロイン・オランプのどちらかが亡くなる2種類のエンドがある。 日本版は、宝塚版・東宝版ともにロナンが死亡する結末である

エッ。
絶対にロナンとオランプが悲劇じゃないといけないわけ?そこまでしなくてもよくない?どうせフランス革命直後のフランスなんて最低で生きるの大変だよ…。

愛希れいかならオランプもうまくやれたろうに、2015年版でヒロインをアントワネット役にすることに歌劇団固執したのはなぜなんだろう。
なんとなく、ベルばらの大事なヒロインであるアントワネットを1789でも重要な役であり貴族側の主人公ともいえるアントワネットに重ねて、オランプをベルばらのロザリーに、ごく感情的に重ねちゃったから、オリジナルを改変することにしたのかな?とか思ってる私。偏見。

今回は、オリジナル通り、平民側の主人公ロナン、貴族側の主人公アントワネット、その両方の世界の狭間で生きているヒロインオランプと、役割明確、そしてロナンとオランプがヒーローヒロインで、配役含め大正解!って感じだった。ノーストレスですべての配役のひとがよかった。

海外ミュージカルだからってのもあるけれど

にしても、主人公がロナン礼真琴であること、そんな主人公と恋に落ちるオランプがヒロインであることってのはごく自然につたわってきたけれども、「タカラヅカ的2番手は誰か」というのは全然わからなかった。海外ミュだから配役構成にヅカ的番手という概念がないってはあるけれども、番手ゴニョゴニョ星組にとってそっちの配慮的な意味でも都合がよかったのかもしれない。

アルトワ(瀬央ゆりあ)、デムーラン(暁千星)、ペイロール(輝月ゆうま) が2番手がやってていいよね っていう役に見えた。
ロベスピエール(極美慎)はその次の番手かなと。

この中でわくわくどきどきしたのはデムーランありちゃん。はああ。ありちゃんのことが、私は、好きでねぇ…。すっかり星組っ子。より大きくかっこよくきれいだった。しっかりばっちり舞台を支えていて、はっきりと、頭ひとつ目立つ舞台姿で。バブみありちゃんの顔もたまには見せてね。

それからまゆぽんペイロールにはどきどきした。ただのああいうやな男にみえて。市民は納税する者たち、いわば貴族にとっては金の生る木なのに、なんでフランス貴族たちは、市民を大事にしないんだろうね。ペイロールが彼らを狩ってしまったら、ペイロールの明日のご飯がなくなるじゃない。
…そんなことを考えてしまう、そんな、徹頭徹尾ペイロール。でもちょっと惹かれちゃうかっこよさだった。後ろ姿とか横顔とかさ。艶っぽくて。

アルトワ瀬央っちは劇場中の観客から愛されているな~と感じた。この日も拍手喝采で。人柄やスカステで見せるあの芸人のノリというか頭の回転の速さみたいなものは星組だけではないどこの組であっても貴重な存在であるはず。アルトワ伯といえばみやるりの印象がやはり強かったけれども、より骨太で本気で王位欲しそうな野望かかえた男感は、実によかった。

ロベスピエールは、私はあの珠城りょう版が好きで。で今回私は、ロベスピエールというより極美慎を観ていた。イケメン…。
極美慎くん。数年前まで誰だっけ…て思っていたところ、ある日スカステでみて、こんなに等身バランスが見事で顔がよくて笑顔キラキラで高身長でこんな、こんな子が存在するとは…タカラジェンヌって恐ろしや なんて思った。世間の評判は、才能や素質・素材は最高なのに抜擢と本人のやる気や覚悟がイマイチという評価だった頃のこと。

前の柳生忍法帳のときも、特に印象残らずだった。今回は視線泥棒でキラキラロベスピエールは、芝居もよいし姿も抜群だし、あの素晴らしい等身バランスのロベスピエール、魅力たっぷりのロベスピエールはこの物語のあと恐怖政治を始めるにふさわしい魅力ある人物だった…けれど。
ただ一幕くらいまでは、「同じ長身キラキライケメン路線であれば、先日の大逆転裁判の瑠風輝の方がいいな」と思ったことも事実。2幕最後までみて、ああ、極美慎もいいなと思い直した。後で確認したら、もえこちゃんは98期。ありちゃんと同期。これは2期というキャリアの差なのだな。

有沙瞳の集大成

インタビューによると、1789だから退団決めたとかいうことではまったくなかったようで。もともとこの時期に卒業を決めていて、あとから演目がわかって運命を感じたとか。
発光していた。大活躍であった。にしても、やっぱり。カジノシーンから例のブルーにピンクのバラのお衣装は。今回新調された有沙アントワネット用のそれは大変豪華で大胆ですてきだったけれども、なんというかマリー・アントワネットのイメージって、2015年月組版の、もう少し淡い、グレーがかった品の良いブルーに淡いピンクのアレだよね。あっちの方が好きだなー私も。

フィナーレのときちょっと思ったけど有沙瞳、ムチムチしてみえて、子供3人産んでおしろいでいろんなことをごまかしている王妃そのものにみえて、ほんとにこれ、赤と黒のあのレーナル夫人と同じ人??て思った。歌もだけれど、芝居もいいよね有沙瞳

フェルゼン(天飛華音)は若い年下の恋人、にしか見えなかったけどそれは正解なんだろうか。振り返っても月組版のフェルゼンはありちゃんで、若手路線のやる役なので、それでいいのかな。あの、パレロワイヤルのお忍びで着用する赤いクラゲのバケモンみたいなバラのローブ大好き!

それから、アントワネットの登場シーンにちょいちょい出てくるポリニャック夫人(白妙なつ)、うまかったねぇ。めっちゃよかった。

個人的名場面

初演時はそこまで印象に残っていなかった、ロナンの妹ソレーヌがあの日一人残されたあとパリに出てきて、娼婦になってロナンと再会するパレロワイヤルのシーン。
今回は小桜ほのかちゃんが最高だった。全編通して最も印象に残ったシーンのひとつで、個人的MVPといおうか…。まず小桜ほのかのメイクが他とちがったし。芝居も歌も、彼女だけ帝劇みたいだった。よりリアルでくっきり役の輪郭がたっていて、歌と芝居で訴えているテーマ…男たちの甘っちょろい革命思想の脆弱性を突く女たちの代表としてのソレーヌの独唱もセリフも、すべて際立っていた。あんなこと言われたらロナン、革命だあ!なんてのんきに思えなくなっちゃうよね。

オランプ!オランプ!

舞空瞳の代表作ではなかろうか。ロミジュリよりずっといいじゃんね。オランプ瞳。顔ちっちゃいねぇ…て何度も思った。それに登場のシーン。上手寄りに座っていた私には、オランプは登場からしばらくずっと後頭部しかみえなかったんだが、それでもヒロインだってわかった。舞空瞳圧倒的ヒロイン感よ。
実際に今回の役、主に忠実で控えめだけど、大胆なところもあって。フェルゼンとアントワネットの別れのシーンで、後ろに控えてしゃがんでいるオランプ瞳はほろほろ泣いていた。
ロナンとの恋愛模様も自然だったし、舞空瞳が舞台上でオランプとして生きていたのが伝わってきた。

なので、ひとつ…最後、フィナーレであの~、ミニスカにエメラルドグリーンのブーツね~、なんであれかな~、どうしてもミニスカ履かせたい勢が劇団内にいるのかな?

1789

ルイシャルル(生き残ったアントワネットの息子)の最期の様子をWikipedia(本当に本気で閲覧注意!)で読んでからすっかりフランス革命ものもフランスそのものも苦手になってしまったが、やっぱり1789は楽曲がよくて、有名な革命の話でもあるし背景がわかっているということもあって見やすいし、よい娯楽作品だなと思う。

礼真琴・舞空瞳時代の現星組での上演は、大成功。そういえば、礼真琴で、私がよかったと思ったものはロクモも赤黒も、どこか流され系病み系みたいなものばかりだったが、このロナンはもっと普通に懸命に物語の中で、困難な状況のなかで生きている役で。生き生きと真っ当な青年役の礼真琴。死の瞬間までよかった。泣くとは思わなかったけれど、ラストはたくさん泣いてしまった。

舞台降り

そういや2幕初めでちょっと舞台降りがあるじゃない。あそこ、なんか陽気な場面ってわけでもないこともあって、緊張した。私の席はうんと上手寄りの前方だったので、すぐ脇にジェンヌさんがぱーって走り抜けて。間近で見るとすごくドキドキした。

蛇足ながら、その後、市民が武器を持つぞ、とパレロワイヤルで、ありちゃんデムーランが市民に武器を配っているんだけれど、若い娘さんに結構な斧を渡しててね。
受け取った娘役さんが感触を確かめながらそれ握りしめてて。そんなごつい武器をその子に…?と思ってちょっと笑ってしまった。
あとちょいちょいいちゃつく詩ちづるちゃんとありちゃんの並びは萌える身長差でお似合いでしたねえ。お顔の並びもお似合いだった。

千秋楽の配信は27日日曜日。楽しみ!


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