取材記事や記者会見、スカステ番組などでみかける組み合わせ、対応するのが二人きりの場合は以下のいずれかに絞られることがほとんどの、トップスター。
・トップスター&トップ娘役
・トップスター&二番手スター
トップスター&3番目以下と「2人きり」でなんらかの番宣や取材に出演 はゼロですかねぇ。ちょっと思い当たらない。
最近はコロナで、スカステの公演宣伝番組においてもふた組に分かれ、トップをはさんで3人ずつでの収録になっていたり。例外的にはトップ&組長での出演でしょうか。
組長と超ベテラン別格娘役以外は無理なこと
それはトップスターとの自然なトーク。
思っていることをそのままお話ししたり、ファンが喜びそうな稽古場でのスターたちの様子を話題にするなど言語道断なんでしょうね。
個性を出さず上級生をたて、出しゃばらず、余計な口を挟まず、無難かつきちんと誠実さが伝わるコメントをする
私が画面で観ている、スカステ番宣に出られる娘役さんは全部これ。
トップ娘役も新人公演抜擢の若手も、この点はかわりませんねぇ。勿体ないけれどそうなるしかないことを大抵のトップ以下のスターたちもわかっているので、彼女たちを番組でおいしくしてあげようなどとはせず、必要なコメントだけ発言できるよう話を振っているのみに終始しています(少なくとも放送上は)。
大抵は小さくなっている娘役さん。娘役ってほんと大変。女が女に男(役)尊女(役)卑を求める世界なんですよねぇ宝塚って。若手の娘役が出しゃばるほうが男役が出しゃばるよりよっぽどヘイトが高いだろうしなぁ。この辺もう少し緩和しないかなと思う。
2020-21のスカステ年末年始特番にて
2020年ー2021年の特番も楽しみだった(この時期だけでもスカステ加入の価値ありと思う)けれど、今年は
・トップスター5組(月組だけ東京公演中につきリモート)勢ぞろいでのテーマトーク
・各組2番手+路線+トークスキル高い子 の3人組でのテーマトーク
・トップ娘役はそれぞれコラボ商品を使用してのヘアアレンジ披露
・各組トップスター&トップ娘役がそれぞれ、連想7を披露
というラインナップ。
トップスター&トップ娘役が一緒に何かやるってのがひとつもなかったですねぇ。若手娘役がピックアップされるコーナーももちろんなし!
トップスター同士のやりとり
2020-2021年のトップスターの顔触れは、2020年当初の予定を大幅に変更し以下の通り。
花組:柚香光(95)2019年11月トップ就任
月組:珠城りょう(94)2016年9月トップ就任
雪組:望海風斗(89)2017年7月トップ就任
星組:礼真琴(95)2019年10月トップ就任
宙組:真風涼帆(92)2017年11月トップ就任
コロナがなかった世界では、宙組以外総入れ替えしたばかりのフレッシュなメンバーになり、おそらく宙組も2021年中に交代がスムーズに行われていたのかもしれない。信じられませんねぇ…。
年末年始特番での、この5人のトークをふんわりとやわらかく仕切るのが真風涼帆。で、最上級生望海風斗は、最上級生は仕事しないとばかりにリラックスして受ける側。まあ彼女は受け身タイプですやね。
柚香&礼の両名は非常におとなしく下級生の顔をしてましたし、リモート先の珠城りょうはひとりなので、画面の向こうの様子をうかがうばかり。
それを「忘れてないよ☆」とばかりに声をかける真風→珠城間の「みきちゃん♡」に「ゆりかさん♡」と返す様子は、彼女の気遣いを感じました。それにしても望海風斗&真風涼帆による珠城りょうへの甘やかしがすごかったですね。ボケの珠城を全肯定していくスタイル。
しかし並べてみると、早期就任の柚香&礼と、珠城りょうがたった1期違いってすごく…すごい…。その珠城りょうがこの中で最も長期トップだなんて。
彼女の厳しく大変な立ち位置がわかるというもの。そりゃあ真風&望海コンビが甘やかすのもわかるわ。
トップとトップ娘役のやりとり
退団公演でがっぷり四つに組んでいる様子が伝わってくる望海&真彩コンビ。
真彩ちゃんが目いっぱい頭を使って気を遣ってお話ししているのはもちろんですが、いつも真彩ちゃんが一生懸命話す姿と、それを見守る望海さんっていう感じです。
実はこれに近いのが、月組の珠城&美園コンビだと思ってます。もっと塩っぽいじゃないかと思われがちですが、遠慮しながら何か、セーフの範囲で言わねばとする美園と、別に何を出してきてもいいのに、と本気で思っているので美園がキョドるのを不思議と感じていそうな珠城両名の攻防は、トップが受け身な点が似てるなと。
一方で完全に上級生と下級生の先輩後輩コンビなのが、礼&舞空の星組トップコンビ。どう振舞うかは、まだまだ舞空ちゃんのなかで正解はでなさそう…。ここはほんと、星組伝統の先輩後輩の体育会系上下関係が見え隠れしていると思う。舞空瞳ならまあ何とか耐えるんじゃないかな。
次作で退団発表された華優希と、柚香光の花組トップコンビも先輩後輩の部活コンビっぽい。ただ、星組と違って、こちらはこれ以上ないくらいのハッピーエンド・コンビ売りが大成功したところが大きな違い。やりぬいた華ちゃんが惜しまれつつある流れで、この花道へともに進んだ柚香光は偉い。組む相手としっかり組むことができるトップスターだと思う。華優希も最初から柚香光と組めてればもっとやりやすかったかもね…。
そして今作でコンビ解消する宙組真風&星風コンビは、星風まどかが、学年差もあるのかいつも緊張した様子。真風涼帆のほうは、誰が来ても同じように優しく厳しく温かく接しそうな雰囲気をたたえております。なんていうかあんまり気にしなさそうですよね、真風さんて。相手が誰でも。
トップと二番手のやりとり
ここは学年差もだけれど、もっと関係性がはっきり出ていると思う。どのコンビも、トップ娘役とのやり取りほど壁やお互いの緊張感もなく。
雪組は先輩後輩感が満載。咲奈ちゃんのだいもん先輩への尊敬度がとても強いのが伝わってくる。
月組は少し前から、1コ上さん・1コ下さんとのやりとりをお互い楽しみ始めて、月城さんが珠城さんいじりを覚えて、実にいい感じになりましたねえ。
花組と星組はここも共通点があり、二番手上級生。しかし星組の愛ちゃんの性格もあってか、空気がとっても朗らかで。一方、花組の瀬戸かずやはある意味仕上がっているスターなので、互いに尊重と気遣いにまみれていそう。花・星両組の、ある意味緊張感のあるトップと2番手以下の空気は100周年以降のタカラヅカっぽいっちゃーぽい。
で、宙組は一番仲良しでしょうねぇ。キキちゃんはもうトップ二番手というか二番手のプロというか。宝塚のスターシステムが憎らしい。
トップスターの花のみち
過去に存在した超例外を除いて、トップスター、トップ娘役は、わずか数年で卒業する。その間、劇団の顔として組の顔として、常に美しく笑顔で、輝いている。
ロシアのワガノワバレエアカデミーという、世界最高峰のバレエ学校のドキュメンタリー(NHKでおととしくらいに放送され話題になりましたねえ)では「バレダンサーは泡の上で踊っている。その泡に、血と汗と涙が滲んでいるが、決してそれをみせてはならない」というようなナレーションがあった(正確な表現ではないです)。
世界は違うが、タカラジェンヌという舞台人に求められているのもこれ。スカステなどで素顔を見せてくれている気になるが、それは素顔ではない。求められている作られたオフショットでしかない。
このワガノワバレエアカデミーの校長で、元は天才といわれたバレエダンサーだったニコライ・ツィスカリーゼ校長が、もう、最高に熱い指導をされている様子がこのドキュメンタリーでは撮影されていて、名言があった。
このバレエという職業に奇跡は起きない。
奇跡は絶対にない!
この世界ではコネもファンタジーも役に立たない。
努力しかない!
努力しか成功のレシピはない。
永遠に忘れるな。
バレエ界では才能は降ってこない。
絶対にだ!
さて、タカラジェンヌの世界には才能は降ってくるのだろうか。宝塚のスター達にはコネやファンタジーはあるのだろうか。
間違いなく言えることは、努力がなければ、舞台の真ん中に立ち、立ち続けることはかなわないだろう。