隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

ダル・レークの恋 名作の完全なる再誕

おそらく人生ではじめて、先着先行でとるようなチケット争奪に勝った私。その勝ち戦がダルレークとは、嬉し過ぎて小躍り。
発券したチケットみてさらに震えた。なんとD列、前2列販売見合わせていたので実質2列目、おまけに通路側で何も目の前を遮るものがなく、まるで王様になったような気分で観劇してきました。

とにもかくにもラッチマン

いやぁ…

いやぁ…

こんなに美しい男、います?

タカラジェンヌの中でも、最高のビジュアル。おまけに芝居よし歌よし、動いてよし静止してまたよし、で、ため息しかでなかった。

月城ラッチマンはかつて、若気の至りでパリで割とのびのびやっていた過去がある。
だから、カマラに最後に別れを告げたあとの歌


僕は信じてる いつの日か
もう一度 君の心を
教えて欲しい


この歌詞はラッチマンの心。
カマラに別れを告げ、突っぱねた形ですが、わかります、それでも追いかけて欲しい、まことの愛ならば、という気持ち。

かつてのように、賭けをしたのかなと思いました。カマラが諦めたらラッチマンの負け。
カマラが自分を追いかけていつか再会できたときはきっと、という思い。

自分は去るけれど追いかけて欲しいのです。
「色々ある(あった)けど愛してるから手が届くならなんでもいい、手に入れたい」
というのは、彼としてはイヤなの。

こんな厳しく面倒くさい愛に付き合ってくれるモノ好きはそうそう居ないので、ラッチマン的には、本気で別れを告げているのです。
それでも育ちの良いカマラの心に後悔をしっかり植え付けているあたりが、ラッチマンがパリ時代によくやっていた賭けのイカサマのようで…
ラッチマンとしてはこのカマラとの賭けにすんなり負ける気はないのかな…などとも思ったり。
カマラもプライドが高いので、己の心をラッチマンになんとしても認めさせてやると、しつこく追っかけてくれそうだし。

それにしても、こういうラッチマンのキツい愛し方はものすごーーく、私の好みで…
れいこちゃんがそれを最高に描いてくれるからもうたまらなかった。

(彼にとっては)しょうもない身分問題で自分に手のひら返したことも、
そんな状況を利用して愛する人を恐喝して奪った自分の卑怯さも
何年経っても絶対に許さない月城ラッチマン、イイ…

7年前のパリのシーンも登場がよかった。パッと若くて。
月城かなと、なんていい男役だろう。
作品が古臭いので再演は厳しそうだけれど、レットバトラーとかもきっといいでしょうねぇ、れいこちゃん…

期待以上だった風間柚乃のクリスナ

舞台全体で、つい意識が集中したキャラでした。物語の進行上すごく重要だとか、クリスナの言動で展開が左右されるってことはないのだけれど。逆にそういう静の役なので、言葉は悪いけれど「大したことないのかな」と、思いきや。
とても印象に残るお役でした。風間柚乃ってやっぱりうまいんだなぁ。
浮世離れした王族感がありました。チーム王族って今作には沢山出てくるけれど、皆いいのだけれど、風間クリスナだけ空気が違っていて。
だから、この役の最後のシーンがとても印象的。

ラッチマンの正体が明かされ、色々あってカマラとあらためて再会と別れの挨拶のシーン。チーム王族は口々に勝手なことを言いつつも、カマラを励まして2人きりにするべく舞台から去っていくのですが、なぜかこの、物語上で終始自分の意見をあまりみせずに悠然としてるばかりのクリスナが、他のメンバーよりもゆっくりと居残る。カマラにかけてもかけなくてもいいような声をかけて、ようやく去っていくけれど、このとき、上手側のうんと前の席で観ていた私には、風間クリスナが、小さなため息のような吐息を漏らしたのをみた。

これで私には、カマラの他の家族が彼女の幸せな結末を期待するよう励まし気遣いつつ去ったのに対し、風間クリスナが
「この2人、まあ無理だろうなぁ」とでも思っていることが伝わってきた。
風間クリスナは、カマラの幸せを願う気持ち故
に他の面々のように甘い期待をするような、そんな考えの持ち主ではないの。
君主らしく冷静で何事にも客観的で同情しない、そういう育ちの人だとわかるワンシーン。
痺れた。
俄然るねちゃん版クリスナも観たいが、梅芸のチケットはない…。

跳ねる夢奈瑠音 奪う千海華蘭 従僕専科 佳城葵

ピガールに通ってから大好きになったこのトリオ。
中でもからんちゃんは上級生だけあって、やっぱり抜群の空間支配能力をお持ちですね。
おまけに今回はかっこよく躍るからんちゃんがそこここに…。
オケボックスもないのでほんと舞台が近くって、たっぷりからんちゃんを拝めた。

るねちゃんも、あちこちに出ていたけれど、金の男でうわぁと目を奪われ、7年前のパリのシーンでは本当に別人のようでどきどきしました。

あと、やすちゃんはあっちこっちでお行儀のいい支配人とか従僕系で出てて、それがみんなよくて目で追いかけました。

ライブ配信も楽しみ

水の精のこととか、ペペルとか、長くなるので書ききれないことは皆、明日のライブ配信で反芻してからに。

いやとにかく、一言一句が美しい戯曲であることは間違いなく、濃い古典を最高の形で観られるのは宝塚ならではとあらためて思った。
豪華な衣装に舞台装置に…
ただ。

ただですよ。
例の濡れ場。ベッドを丸くすると一気に安いホテル感が出てしまい、いかがなものかと思うよ。


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