隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

エリザガラコン …ガラコンって何

ああ、私の夢千鳥……

急所を狙うがごとくのタイミングでやってくれましたね、緊急事態宣言。
ところで文句たらたらの国民は、各自が感染防止に努めていたら、一切の法的抑止力を伴う法律も宣言も措置も不要だということにお気づきだろうか。
結局のところ集団のなかでの心理(私以外のすべての他人が自粛してくれたらいいのに)が勝り、この体たらくを晒したということでしょう。
公演中止は政府のせいではなく、黙って観劇や一人行動ができない我々のせい。
真に自分たちを律して清く正しく美しく舞台を作ろうと奮闘している宝塚歌劇の方々に、劇場ロビーですら静かにできないファンがいる。この状況、勝手に申し訳なくなりました。

人生初バウが、夢千鳥で、おまけに3列目というかぶりつきで、それはもう大変楽しみにしていたけれども…、ゆの初バウに私の初体験を捧げるための巡り合わせと思って前向きに自粛する。
それに夢千鳥はいつか、いつかまた同じメンバーで東上してくれると信じている。
そんなやるせない気持ちだったので、当初は観る予定のなかった土曜のエリザガラコン ライブ配信を観た。

ガラコンてなんぞ

私はエリザベートに強い思い入れがないので、まったくもってこのイベントに興味がなかった。今回も、楽しみにしていた観劇が幻となったので、なにかこう自分を慰めるためのタカラヅカを欲していたため、Twitterのヅカ民がみんなこのガラコンライブ配信を観ようとしているし一緒に…という気持ちで、ギリギリになって視聴を決めた。
一番観たいメンバーが、まあ様トート、みりおんシシイ、みったんフランツ、だいもんルキーニ な5/1の配信版。でもこれが夢千鳥観劇と被ってたので、じゃあエリザガラコン視聴じたいを諦めようっておもってたの夢千鳥は夢になってしまったので観られるようになったけれど

そもそもガラコンサートって何?という無教養な私に、Wikipediaさんが教えてくれた。
ガラコンサート (gala concert) は、何かを記念して企画され、特別な催しとして行われる演奏会。日本語ではおおよそ「特別公演」「記念演奏会」「祝賀音楽会」といった意味合いである(ガラは、「祝祭」「公的なパーティー」を意味するフランス語)。

フーン…?
特別公演なんだな、と思ってみてみたけれど、ほぼエリザ。

えっ?
フルコスチューム版だから?
色々簡略しただけでほぼほぼエリザだったよね。コンサート…?

満足度

Twitterの名言に「人は最初に観たエリザベートを親エリザと思って慕う」とかいうのがあって、私は一路エリザ(初演)を映像で中途半端に観たのが最初であり、ちゃんと見たのが月組エリザ。物議をかもした愛希シシィと珠城トート。でも私のトートの解釈は珠城トートに近いのでやっぱり親なのよね。

明日海トートは解釈違い過ぎる。強烈なるビジュアル強。大変美しく文句なしなんだけれども、やっぱり亜流トートなんだよね。で、エリザのトートはもはやどんな亜流も受け入れられる不思議な役になっている。正解も誤りもないのね。

で一番よかったのは当然ながら北翔海莉フランツ。最強。
いい、いい、とはきいていたけれど、こんなにもよいとは…。
私の親エリザである月組版フランツは弱くてね。しかしみったんフランツは、スゴツヨマザコン。それでいながら、あんなにも愛おしく口説いてくれるのなら、そりゃあどえらいところに嫁入りなんて考えもしてなかったシシィだってほだされるというもの。
花乃まりあシシィもとてもとても、強くて弱くて(というか脆い?いや、やっぱり弱いかな)私の親エリザ(しつこい)よりもこのシシィが正解だ、こっちが同情できるな、と思いましたね。

かのちゃんは花組トップ娘役になったばかりに、相手役が相手役だっただけに大変苦労して苦労したトップ娘役のひとりだったと思いますが、このシシィはかのちゃんの舞台俳優魂の叫びのようでした。
挨拶は、彼女に全く思い入れのない私ですらもらい泣きしました。

いやしかしねぇ…北翔海莉ってどう否定しようにも無理ってくらい、才能の塊というか……すごかったです。舞台で一人だけ何十年も年齢を重ねていて、歌はいいし語りかけてくるし、最終審判のシーンでは明日海トートに勝ってた。
伊達にあのゾフィーに仕込まれた皇帝じゃないぞ、女に弱いだけで男としても皇帝としても強いんだぞという一面がしっかりあって。
ふわふわした概念としての「死」に愛と弁論で負けるわけがないフランツであった。

※エリザにおけるトートはウィーンのオリジナルでは「死」の擬人化であって、「黄泉の帝王」にまで潤色したのはイケコ。

ルキーニは、今回の場合「望海風斗でございます」という立ち回りでしたね。特に感想はない。もっと何か感じるところがあるかと思ったけど…
脇役に徹してたところがよかったかな。これが出来るならだいもん第二の芸能生活も活躍が期待できる。真ん中だけしか出来ないのも足枷になるからねぇ。

退団後、OGとして食っていく

先の話になるが、タカラヅカライブネクストが成功したとして、OGの受け皿がもっとしっかりできた場合、元トップの称号を得なくとも、芸能界での活動が今以上にしやすくなる場所ができているかもしれない。
いま明日海りおの退団後の猛烈売込み時期で良くも悪くも珍妙な目立ち方をしているが、彼女が「なんだかすごい存在」のキャラでもってこのままゴリゴリに売れると、元ヅカ全体のバリュー底上げにつながるわけで。よろしいんじゃないでしょうか。
ただ、男役は宝塚歌劇のものであって明日海さんの男役も望海さんの男役もいずれも本来は宝塚歌劇のものだ(過去のものだ)というのが個人的な考え。ま、むずかしいですね。

かつて、元男役も男役芸も宝塚歌劇を一歩でたら需要なんかなくて足枷にすらなったから、どの元トップスターも急いで女優化した。

しかし今は、だんだん何でも良くなっている。少しずつ確実に。
けれど朝夏まなとや瀬名じゅんのいまの成功は、彼女たちが速やかな女優化に成功したからこそとも言えるので、男役芸を引っ張ることは、仕事の幅は狭めてしまう事実もあるだろう。

それにやっぱり、現役ヅカへの敬意や特別視の思いを考えると、辞めといていつまで男役やるの?てのもね…あるよなぁ。

そんなときのガラコン

ガラコンの意味に立ち返れば、祝祭。特別な公演に冠する「ガラ」ならば、ここでだけ、男役芸、娘役芸の復活てのもいいのかもしれない。
ファンが微妙な顔をするよりもずっと、強い思いで退団してきたOGの方がその辺にはセンシティブに考えているだろうし。
今回の北翔海莉は身体付きはまるで女性なんだけど、コスチュームの力だけではない男役芸が出てました。
そういうのをチラッと観られるので充分よいもの。

残りの日程は無観客というお互い少々虚しいステージになってしまうのが残念だが、それでも幕を開けてくれるだけマシなのだな。感謝。

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