隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

ガラコン配信祭り、当初モヤっとさせられるも大いに楽しむ。

結局配信されたうち、連休に入ってからは全部観たかな?

注目の望海風斗トートバージョンについては、事前に出演情報が出た時点で、複雑な気持ちになった。
本公演でやってない人が、いくら歌えるからって、あり?
89期優遇イベントなの?
エリザガラコンはキャリアの踏み台なの?
配信も89期優遇なのは、過去のエリザを何だと思っているの?

などなど。
まあ本人たちはこの企画に乗る以外の手はないでしょう。そして出演したら、よほどの失敗をしない限りはワーキャー大好評で終わってよかったねで終わるんでしょうよ。
さらに言えば、現状とにかく話題と人気のある、89期OGを取り上げるとマスコミの反応もファンの反応も大きい=次の、そのまた次の企画への足掛かりになり、総じてヅカOGの活躍の場が増える
というよい客寄せになると、いうことなんでしょうけどねぇ。……。

でも。意地悪いかもしれないが、この89期をガラコンでおいしくまとめよう企画はまったくもって気に入らなかった。エリザベートというコンテンツを大きなものにしてきた、歴代をないがしろにしたなぁと思った。
で、そうしたもやもやをひと通り感じたうえで、割り切って楽しんだ。昔から、踊る阿呆に見る阿呆~っていうし。
踊らなソンソン です。

どのエリザが好き?

ウーン私は、花乃まりあシシィがビジュアルと芝居、歌全部、「このミュージカルのシシィであれば」一番よかった。同率一位くらいによかったのが実咲凛音シシィで、こちらは史実のシシイ風味が強くて一番のお気に入りになった。

花乃まりあはミュージカルに描かれている通り、悲劇のヒロイン風味で、孤高で孤独で愛にさまよったシシィで、これが正解で王道のシシィだったのでは、と思う。
だからこそ私はこのミュージカル、好きじゃないんだけど…エリーザベトを美化しすぎていて…。
でもそういう脚本なんだから、それを見事に表現したシシィだった。

実咲凛音シシィは自分が悪女だってことを知ってるシシィというか、やりたいことだけをやりたいようにしかやらない女(史実のエリーザベト)に印象が寄せられているような、冷たいというか、今欲しくないモノにはとことん心を配らない女感が、あのきっつい表情、目線に出ていて、それはそれは萌えた。

史実のエリーザベトは自由派の父親の影響を受けているが、嫁いだ先はハプスブルクの超保守派であり、ルドルフにはある歳まで、帝王学と保守派の教育がされていた。
これは日本の皇室の、皇太子教育にもある(あった)のだが、「個に同情してはいけない(国を治めるためには)」というのは帝王学あるあるだそうで…。目の前の人にいちいち同情していては、全体を見落とす、大局に対応するための力をなくしてしまうということで、必要なことなのね。だから一般人からは、この教育を受けたものが冷たく見えてしまう。
これに茶々をいれて、自分がえらんだ自由主義の先生をルドルフ皇太子につけたのがエリーザベト。その結果、彼は成長するにつれ、父親フランツ皇帝とは当然政治的意見があわず最後自殺にまで進んでしまった。彼の死の遠因はシシィにあるといっていいが、無責任にも興味はなかったのだ。

死ぬなんて思わなかったから涙した、つらい。でもそれだけ。そういう実咲凛音シシィ。

明日海りおのシシィは、まあ言葉を選ばずにいうと、まったくよくなかった。無理がありすぎたし浅いのが露呈していた。顔はきれいだがそれだけで、もしタカラヅカ現役の舞台であれを披露していたら批判がすさまじかったろうと想像する。歌声がとにかく、聴いているのがしんどくて、歌詞の一つ一つが全く聞き取れなかった。よかったな周囲が甘やかしてくれて。マジで。ファンの明日海りおスキスキ貯金があったから許された舞台であったと思うよ。

夢咲ねねシシィはよかった。あと首がながかった。

望海風斗のトート

待望の といっていいと思う。
歌える人にはとりあえずなんでもいいからやってよ、とファンは言うけれど、よくやったなこれを。
役作りはないも同然、浅かった。歌は絶品だった。トートは変幻自在の役なので、どんなふうに表現するかは際限がない。きっとご本人ももっと時間をかけてやってみたかったろうな。

私は井上芳雄の歌が結構かなりとっても苦手なので、東宝エリザは無理なんだけれども、望海風斗のトートはなんかもう、歌の表現と歌唱力だけで、どこでもやっていけるよねっていう…。
ただやっぱり芝居じゃないので役作りという点ではそうでもなかったと思う。でもこれは、言い換えればこのステージはコンサートだから、やっていない舞台芝居表現は最低限にして、
歌表現に特化したのが、望海風斗のそして演出家のさすがなところ、となる。

「誰か、望海さんにフルコスチューム版じゃないってちゃんと伝えた?」ていうtweetをみかけたくらい、このコスチュームがフルじゃないならなんなのってくらいに、モリモリで、驚いたが、歴代トートすべてをリスペクトしたかのような作りで大変よかった。特に、一路真輝風味と麻路さき風味が感じられたのには胸が熱くなった。これはファンサだったのかな?

とにもかくにも、歌えるって、強いよね……。

子ルドルフが猫を殺したよのとき、にっこぉ ってしたのが、やっぱりこの人の役作りの一番光ってたところで、もっともっと掘り下げたものがみられたら、と思った。
将を射んとする者はまず馬を射よの精神で、トートはルドルフがどうだろうと知ったこっちゃないから、猫を殺したんだ~って発言するルドルフ少年の状態は、トートにとって喜ばしいことなのね。
こいつちょろい、と。
だから笑う。ここで顔をしかめる歴代トートの反応は、子ルドルフに同情的すぎるの。何目線なんだろう。子を見捨てたシシイの代わりのつもりだたんだろうか。

ガラコンとは

この公演に支えられている、この公演を支えている、そういうOGたちがたくさんいるんだなあ、ということが伝わってきた公演だった。
ガラコン自体観るのがはじめてだったので、いつもこんなかんじなのかな。宝塚歌劇ってのは、たくさんいるねぇ、OGが…。
毎年40人ほどの新陳代謝があるんだものね。そりゃそうだ。そういうすべての人たちに、彼女たちを応援するファンたち、元ファンたちにとっても、このエリザガラコンというのは、とても大切な舞台なんだなあと、感じた。

これを実現させるエリザベートというコンテンツが日本でこんなに育つとは、イケコ先生の、校長先生のようなご挨拶にもあったとおり、25年前は予想もしていなかったろう。
愛されるって強いんだなあ。










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