隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

こどもとタカラヅカ

先日、久しぶりに劇場で観劇。
宝塚大劇場まででかけてきました。

久しぶりの宝塚大劇場は、劇場内空間が広いなぁ、とあらためて実感すると共に、客層が東京とは違うなってのが結構はっきりしていました。
そういえばはじめて宝塚大劇場で観劇したときも客層の違いは感じたような…。

この日は某貸切公演。皆、連れを伴いペア観劇とあって、劇場アナウンス虚しく、結構賑やかでしたね。といっても意識はしている、が、同伴者と最低限のコミュニケーションを取っている、というささやきの積み重ねでざわついていた感じかな。

いつか東京で観たような「会話をお控えください」=「出来るだけ静かにしてね!」と誤解して喋くってるていう、いやな感じとはちょっと…違ってましたね。
お控えください=私語禁止
だってのは認識しているけれども、ちょっとだけよ、とひそひそして、それが積もり積もってざわついていた感じ。開演前の幕撮影タイムあたりでは咳ひとつなく静まり返るので、尚更観客は皆、なんだかんだ自分たちの態度に自覚的なような…そんな空気を感じた。

貸切だけれど

この貸切公演、宝塚大劇場の公演だけあって、お客さんの大半は地元か関西近郊らしく、どこらからも関西弁が聴こえてました。
てっきり全席貸切かと思いきや、一部別団体の窓口もあり、関係者向けの特別な団体窓口のようなものが設置されておりました。それがSS席引き換えカウンターとならんでいるものだから、
あーいいところは全部関係者なんだなあ、と…。なんか見慣れない雰囲気を色々感じましたね。
自分のような一般人には分からない色んなものが宝塚歌劇を取り巻いているんだなぁとあらためて思ったり。

男の子も女の子も

メインの貸切公演は、ペアチケットでの当選を出してましたが、時節柄、1名のみであったほうが劇場空間は静かでしょう。しかし、やっぱりペアにした方が事務手続きが減るからかねぇ。単純に当選通知が半分で済むし。
そして当選した客層には、母と子どもというペアが思いのほかおりました。連れてこられたちびっ子は男の子も女の子もたくさんいたけれど、皆んなはじめてじゃなさそうな雰囲気がビシバシでていた。
帰り道で私の前を歩いてた男の子(推定小学一年生)はお母さんへ拍手のダメ出ししてましたね。よく知ってるね。

この日見かけた最高に素敵なペア観劇者は、ほとんどお揃いの一張羅なワンピースでオシャレしてた、赤毛のアンとダイアナみたいな、推定小学3年生くらいの女の子2人組。
ウキウキで席に向かってて、なんて可愛いんだ!!と見入ってしまった。
おじさん同士、おじいさん同士みたいな、男性トイレが数m、行列になる程度に男性客も多かった。

宝塚歌劇と親と子と家族と

宝塚歌劇団はその成り立ちにも由来して、子供の観劇をウェルカムしています。
3歳児以上はチケットが必要、大劇場には託児ルームもありと公式にアナウンスされており、大抵の劇場は各公演の主催側の判断で「未就学児はNG」としているのとは、考え方・文化が違う。
SS席などの、目が合う距離に子供が座っていれば、タカラジェンヌは舞台上から大サービスするし、客席降りがあった時代も、ちびっ子は大サービスされておりましたねぇ、あれうらやましいよねぇ。

ま、でも、大抵の観客は、自分とは無関係の観客に小さい子どもをみつけたら、場合によっては正直そこまで歓迎はしないかもしれない。
騒がないといいな、という想いがよぎるでしょう。騒ぐ中高年とどっちが多いかといったら、劇場にくる子供のほうがおとなしいことの方が多い気がしますが。
宝塚の劇場にはタカラヅカが好きな子どもが多いのが、特徴かなあとおもう。

タカラヅカは沼であり世界

宝塚歌劇は、子どもでも沼落ちする世界なので「ああ、こんなに幼いのにそんなにのめり込んで…」と察せられるちびっ子も多いため、他の映画館を含む劇場よりも比較的問題にならない事が多く、歌劇団側のウェルカム姿勢もあって寛容なのかなと感じます。もっとも年々、他の大人の観客のほうが狭量かなーと感じることも。
私自身は、かなり幼いのにすっかりハマって、夢中で観てる子に遭遇する確率が圧倒的なので、小さな観客に邪魔された経験はない。小学校低学年くらいまでの子どもの多くが本能的に暗転や爆音、じっと座っている事の全部が苦手なので、やはり大抵の親は、子どもをヅカ沼に沈めてから連れてくる模様。

劇場空間の価値

私が、劇場で遭遇したくないものに順位をつけるとしたら、

1.芝居中の電子音
2.座高の高い前の人
3.イビキ、寝息
3.不要な話し声
5.ぐずりだす子ども

かなぁ…

3位は同列。宝塚ではあんまり遭遇しない寝息・イビキは歌舞伎観劇だとわりとあって。
歌舞伎は元々、幕間の休憩にみんながっつりお弁当食べるから、次の幕で三味線や浄瑠璃が優しいとみんな気持ち良くなって寝ちゃうの。あのスヤァってのが舞台上に聴こえていませんように!てこっちもヒヤヒヤする。

2位の視界を奪う人が前に座ってしまった場合のほうが、悲劇と感じる。これで今日の観劇は負けだ!と思う程度に。この頭の位置高い人ってのは、姿勢なのかなんなのか、意外と性別関係なくいるね。
目の前の視界が半分ない…そんなときはオペラグラスでみえるところだけひたすらオペラ越しに観ることでストレスを感じないように工夫します。

とにかく一番いやなのは、電子音。
この日の観劇でも、芝居の最後の方、しんみりしたシーンでぴろん!と一度鳴ったことは、思い返しても許し難いことで本当にイヤ。
なぜ主電源を切らないのか。そんなに大事な連絡はこない。あなたが重要な連絡を待つ大統領であってもぜひ主電源を切って欲しい。電子音はあなたを裏切って突然鳴るのだから。
この日はこれがSS席方面で聞こえたので、関係者め!となりましたねぇ。

で、5位のぐずりだす子どもは、ケースバイケースだったりする。原則として、やはり舞台上の集中力を邪魔する者には劇場空間から出ていって欲しいという思いがあるので。
ただ、舞台を楽しむがゆえに「ママあれなーに!」とか「◯◯ちゃんはどこ?」みたいなものは、別にそのままで構わないと思っている。
観劇体験を子どもなりに楽しんでいるのだから、それは咎められるものではない。なんというか、そういうざわつきは劇場空間には「あり」だと思っている。舞台上も嫌がってないんじゃないかなあと。

あくまで問題になるのは、舞台をちっとも楽しんでいなくてぐずっている場合。これは連れてきた親も、観劇を続けることは諦めた方がよいかもしれない。

こどもと退団公演

たとえば子供向けの着ぐるみショーを観劇していたら、騒ぐな静かに観たいんだっていう観客がどうかしている。
クラシック音楽のコンサートなどは、あえて子供向けの公演を開催したりと、主催側や演者の意図だけでは公演内容と観客の関係性は決められない以上、観客の住み分けができる公演機会を持つなどの工夫もされている。

宝塚歌劇は「3歳児以上はチケット買ってね」というルールを設けて、未就学児NGとはしていない姿勢から、観客はくみ取るべきものがある。劇場がOKとしているのに、自分が迷惑に感じるからといって、子連れ観客を排除したり、舌打ちするような振る舞いをすることはしてはいけない。

しかし厄介なのは演目。たとえば桜嵐記。

静寂のなか、主人公の父の歌声だけが響いてくる場面。あの場面は「静寂のなかで、その歌のみが聴こえてくる」という情景が演出である。

そこにもし幼児が「まんまー!」と泣いたらば、もう想像だけで全員ツラい。

fffの、人類の不幸の女とベートーヴェン歓喜の歌を紡ぐ場面、あるいは、夢のなかナポレオンと邂逅する場面で、ウワアアとぐずる声が聴こえたら。
青い薔薇で、老女となったヒロインと青い薔薇の精が手を取り見つめあうところでアンギャーと泣かれたら。
想像ですらヒエとなる。こればっかりは、致し方ない。

もし「ほんものの魔法使」のたまごのマジックのシーンで、客席のちびっこが「たまごはー?」なんていう声をだしてもみんなウフフって思うかもしれないが、退団公演のような神経質にならざるを得ない舞台でおまけに劇場にはその日その時が最初で最後の観劇だというお客もいるわけで「今日は子供が元気だったわねぇウフフ」なんて広い心を持てないよ!という想いも、とてもとてもよくわかる。

この日の観劇、実は推定2歳…にもなっていない乳児連れをみかけた。客席に赤ちゃんがいるので大変驚いた。どうやら親の膝の上に座ってみていた模様。
この存在に気がついたのは、芝居の一場面で一度だけ、赤ちゃんがなにかぐずった声を出したから。芝居の場面は緊張感ある場面であったので、芝居が止まりやしないかとヒヤリとした。

客のピリつき度合いが増す退団公演では、ヅカ沼に落ちていないお子様はちょっときっついな、と思ったのが正直なところ。
一方ではこの日ショーのほうで、デュエダンがはじまったあたりで急に前方で席を立つ観客がおり、半ばの席から通路へでていくものだから、マジか!と思った。貸切公演には、観客というものにはさまざまな個体がいるってことを思いださせてくれる。

観劇という娯楽

観劇の集中力を削ってくる存在は勘弁してほしいし、自分もそうならないように努めるのはもちろんのこと。
大事な場面で静寂が支配するような緊張感の高い演目については、咳ひとつにも舌打ちしたい気持ちがおこるもの。
私自身が劇場で嫌な思いをさせられたことの原因は、すべて大人の観客が行うマナー違反であった。この日赤ちゃんがぐずったことより、老齢の弁内侍と正儀の邂逅シーンで電子音が鳴ったことの方が舌打ちものだった。
劇場という空間に子供がいることは、とても健全でとても素晴らしいことだと私は信じている。






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