これお披露目公演だったっけ?
東京公演の、それも半ばを過ぎたタイミングでの観劇だったので舞台が安定していたのもあるでしょうが、彩風咲奈・朝月希和コンビの雪組がもうずっと存在していたかのような、そういう安定感をビシバシ感じました。これほどオーラ満開の新トップスターもなかなかいないのでは。
シティーハンターへの反応に戸惑った
まず、タカラヅカファンがシティーハンターについて想像以上に無知なことに驚いた。「世代が違う&趣味趣向が違う」という、ファンとの相性が未知数すぎる原作を持ってきたことがここで明らかになりましたね。
1971年生まれの齋藤 吉正氏はたぶん、アニメ版シティーハンターの開始とその後の人気ぶりの時代が思春期にかぶっていて、当然原作の人気も高かったし、びしばしに観てた世代だと思う。私はヨシマサ氏より若い世代だけれども、あのアニメ第一話の衝撃今でも忘れていないし、GetWildのイントロに夢中になった子供時代を過ごしてましたので、今回の舞台化には驚いたものの、世間は「シティーハンターの人気・知名度>>>宝塚歌劇の観劇経験度」なのに、ヅカファンはこれが逆転しているんだから、そのギャップにびっくりした。
それでもシティーハンターを知っている・好きだというヅカファンがまず心配していたのが、もっこり発言の扱いなんだもの。
私は、あのガンアクションをどう舞台化するんじゃ、とそっちの方が気になったよ。だって性的表現についていえば、タカラヅカは元々偏っている(キレイであればなにしてもよし)。
実際観てみて、ガンアクションシーンはうまく処理したなぁとは思うが、見どころではなくなっていた。
縁がある作品を観る面白さ
私にとってはとても思い入れのある「シティーハンター」。
タカラヅカ版を実際にみてみた感想としては、原作のエピソードや要素てんこ盛りだなあ…というのにおなかいっぱい。これでもかと詰め込まれてて、作者は原作にめいっぱいこびているというか、原作者に褒められたいのか?と感じた。
今回、2階席どセンターエリアの前から3,4列目という席で、舞台全体の見やすさが素晴らしかった。友会チケットはいつも1階席後方なので、全体の見やすさでは圧倒的に2階席!舞台奥まで、全部がよくみえる席にこの作品はぴったりだった。新宿の群衆を描きたかったんだなって伝わってきた、
シティーハンターの描き方は2種類あったと思う。冴羽 獠という特異なキャラを深堀りする方向と、一個の出来上がったキャラとして普通に存在させ、話をガンガン進めていくのと。組のみんなに演じどころのある役をちりばめたくて、後者のような展開なのかな?と感じた。
ファイヤーでフィーバーしてた
ショーが始まる前、後ろの席の人が「体感5分だからね」とおっしゃっていたけれども、そうでもなかったよ、体感15分くらい。
ん~、私にはここはイマイチ…と思った場面は一か所。2番目の場面というのか。あーさがヨーロッパ貴族な扮装をして、2タイプの女性たちとわちゃわちゃするところ。
2曲進むほどの場面ではなかったし、冗談かもしれないが、ガチ武器を取り出した貴婦人たちには品がなくちっとも笑えなかった。
総踊りのシーンが多かったのはお披露目公演、新体制だからかな?2階席からだとより迫力だった。でも、後半、最後の手前で若手組が次々と踊る場面を観たときには新鮮なんてものじゃなくて、やっぱりショーのいいところというのは、若手や新人やベテランを自由にピックアップできるところだよなぁ、と思った。
ティンパニ奏者歓喜
幕間のオーケストラ練習タイムで、ずいぶんとティンパニが鳴っているなあとは感じたのだけれども、フィーバーしていた!ティンパニが!あの、数十分待った挙句最後の数音のみ、みたいな忍耐の楽器かよっていうティンパニ、そういう楽器のティンパニが大活躍の楽曲であった。低音ズンドコの『Fire Fever!』の主題歌は気持ちがよくて、それが楽しかったなあ。
あとスマートに踊る咲奈ちゃんが観たかったので、彼女が踊りだすと期待通り、そして期待以上にかっこよくて、とってもわくわくした。
これからの雪組も面白そう
このメンバーから彩みちるちゃんが抜けて、和希 そらがくる?男役のメンバーは確かに、上位路線が足りないからいいかもしれない。ここに、歌って踊れて芝居巧者の和希 そらがくるのはきっといいこと。でも彩みちるちゃんの穴は大きいのでは…。彼女は本公演でも別箱でも、いつでもとっても活躍している。本公演でも、冴子は儲け役。いったいこの枠に誰があがってくるのかしら。朝月 希和ちゃんは透明すぎる。控えめで可憐であったところがそのまま好感度になったような娘役さんだと思っていた。
昔の若手のころの朝月 希和ちゃんは、やぼったくてニキビだらけでメイクも酷くてただただ、懸命にやってるだけの若手だった。今の美しさはどうだろう。彼女の努力は実を結び本当に美しい人になった。この公演でも、なんでもきれいにそつなくこなす姿がみられた。控えめ過ぎて心配になるくらいなんだけど、隣の咲ちゃんがギラギラだからいいのかな。ぶつかり合ってバッチバチにやってほしい。