隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

双曲線上のカルテ、というかソラカズキ

生で観劇された方の感想が「ていうかソラカズキ」という一言だったもので、それはさぞかしソラカズキだったんでしょうねぇ、と期待していたんですけども。

期待以上にソラカズキィィィでした。

白衣に萌えるとかもえないとか

あんまりコスプレ萌えはないんだけれども。和希そらの白衣そのものというか中のダークカラーのスーツの上に白衣…というコントラストの見せ方、立ち姿のこだわりがみえてときめいた。あと縣千はただ羽織っただけで似合うな白衣!
あがたくん、立ち姿より、フェルナンド(和希)のレントゲンを見つけて確認しているシーンの、椅子に座っている姿がめっちゃくちゃかっこよかった。
和希そらのフェルナンドだけではなく、この双曲線上のカルテ初演の早霧せいな版もたしか妙に髪の長い医者だったな~とそれが気になる…(髪を切れ…)、まあイケメンの象徴のような髪型ですよね。
看護師たちの白いワンピースタイプの白衣ももはや懐かしい。

モニカっぽいモニカ

ヒロインにあたるのは転職したての若い看護師モニカ。華純沙那ちゃん。名前は少し前から覚えていたけれどもそうかぁこういう娘役さんかア…と今回、じっくりみることができた。この役にとても合う子であった。一幕途中まではピンとこなくて(まあ登場場面でもモブっぽかったけど)普通かなあと思ったけれど、物語が進むごとに彼女のモニカがよくわかってきて。
なんていうか彼女に関しては、フェルナンドが女を落とすのがうますぎて気が付くとなんかこの二人出来ちゃってて鮮やか過ぎてびっくりでね。

モニカって、フェルナンドに一番近づいた女なのに、フェルナンドの秘密に最後に気が付く役回りでしょ。で、ほんとのところ少しくらいは察するものがあったんじゃないの?って点なんだけど…、華純沙那のモニカは、和希フェルナンドの言葉だけ信じていたんでしょうね、彼が話さないことは彼女は見ない聞かない言わない…ただ信じる、そういう子だったんでしょうねぇ。
けれども、秘密に触れたシーン、同僚の医師ランベルト(縣千)、院長セルジオ夏美よう)やクラリーチェ(野々花ひまり)に「あなたは知っていたの?」とすがるシーンはただ愚かで哀れでした。

かわいくてやな女専科・野々花

野々花ひまりはキャンキャンうるさい系女子がよくはまる。強くて優しくて生意気でしたたかで、意地悪ででも情に厚いお嬢様な美人。そういう役がとてもはまる。
クラリーチェは単なるライバルキャラとか横やり意地悪キャラってわけではなくて、劇中フェルナンドとしっかり関係していたし物語を大きく動かす重要な役回りである。
フェルナンドに「心が向いていないほかの女じゃ意味がないんだ」と気が付かせる役回りでもある。

ポッと出の若くてかわいい女モニカよりこっちのクラリーチェに同情してしまう人も多いだろう。やってらんないわよね~。

フェルナンド和希そら

主演の和希そらをひたすらカッコよくみせるだけの2時間半って感じの舞台だった。その通り、ソラカズキはひたすらカッコよくて。みた?あの最後の、はだしで踊るシーンのはじまり。
彼が水底(みなぞこ)にゆっくり沈む…そこからはじまる魂の踊り。
和希そらがなぜ、人気がでたか?といえば、こういう表現力が見る人に刺さりまくったのも理由のひとつだろうな。単にはだしでダンスならフーンそういう演出ねって思っただけだったかもしれないが、和希そらが表現して見せたそれは、とても美しくて強くて心に残った。
くるぞくるぞ…って思っていても、その期待を軽く飛び越えるあの始まりの動きと表情と…すごいねぇソラカズキ。

なんでなんだフェルナンド

フェルナンドがどうしてモニカに秘密をはなさなかったの?ってのは…、それだけは、大事な人にそれだけは言葉にして言えなかったんだろうなぁ。言葉にしてしまうとなんか全部終わりそうで無理だったのかななんてちょっと思う。

とはいえ。

この物語、最初からずっと「告知」の在り方についていくつかの例が示される。
フェルナンド自身、モニカのあの「なんで言ってくれなかったんですかぁアア」のシーンをみればわかるけど、本人言わない割に周りに気づかれまくっていたわけで。なのにみんな配慮して沈黙という空気の読みっぷり。周囲があんなだからなんとなくモニカも察してたりしてって思ってたのかもしれないがフェルナンド…。せめて最後の手紙に細かくこれ以上なく細かく事情と経緯と詳細と謝罪をこれでもかと書き残しておいてほしい。モニカかわいそう。

ソラカズキ版フェルナンドで思ったことは、「この人(フェルナンド)、色々ろ依存症だったんだろうなぁ」てこと。単に病気ってだけではなく、ご本人のセリフにも「酒や女におぼれていた」とかなんとかあったわけで。早霧せいな版は、なんか死相がでている感がかなりあった印象だけれど、和希そら版は病気もあるけど痛みや恐怖から逃れるために色々なものに依存しちゃった、そっちの依存症がかなり深刻だったのでは?とガチ系のヤバ味が感じられて。きっと背中から香る体臭も薬品のにおいだったろうなぁ、とかちょっと妄想した。

たぶん誰が見てもちょっとセンシティブな題材や物語展開なのでね、まさか再演するとはと思っていたのだけれどもソラカズキを堪能するという目的の公演なのだからこれでいい、という満足感が大変大きい配信観劇となった。





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