隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

「礼真琴」の表情に理由あり ヴィオレトピア感想

指田珠子先生って名前は憶えているけど誰だっけとピンとこなかったが「龍の宮物語」の…アー!

指田先生のお好みって

龍の宮物語
冬霞の巴里
海辺のストルーエンセ
ときて大劇場ショーデビューでこのVIOLETOPIA(ヴィオレトピア)。

ハッピーラッキーきゅん萌え大好き!今いちばん流行ってるモノ大好き!&部活とか学校って友達がいてサイコー!夏休みは友達に会えないからやだ~涙 
…なノリはきっとお好みでない方と思われる。簡潔に書こう、きっとメリバ好きですよね指田せんせー。

にしてもこれだけ物語性やテーマを明確に打ち出したショー作品であっても、ファンから「礼真琴きゅんの衣装がひとりだけぼろいプンプン」て感想が投げられるのならば、それは非常に萎える話でありかなしいことだ。

作品紹介を読んでみるよ

生観劇できていないので手元にパンフがないから、深堀りする情報を持ち合わせていない。公式の紹介文をみると

ユートピアディストピア・・・。「TOPIA(トピア)」は「場所・郷」を表す言葉。

とわざわざここ数年ネット配信ドラマの隆盛などでテーマとして一般化しつつある「ディストピア」という単語をあえて華々しいショー作品の説明文に入れてきている。
でも文学にも造詣が深いはずの指田氏がそもそも「ユートピア=理想郷→光、よいもののイメージ」「ディストピア=非理想郷・暗黒世界→闇、昏いもののイメージ」…などと記号化したはずがない。

礼真琴が降り立った世界は「ヴィオレトピア」

ユートピアというだけで、この言葉を造ったトマス・モアが示した本来の意味に近い世界なんだろうなと予感した。ショーはどこか不気味な、怪しげな雰囲気があり、さまようフードを被った青年(礼真琴)が最後に再登場したところでも、「解せぬ」って表情でいたのは、この青年が「ヴィオレトピア」に酔いしれてここの一員に…なるわけではない感じもまた、でしょうねと。

ユートピアという言葉と概念を示したトマス・モアも「格差がなく個性もない非人間的な管理社会」として描いていることから、物語の題材に「ユートピア」というものが出てきたときは、たいてい見た目通りの理想的な世界ではなくて、なんか恐ろしい仕組みがあったりなんかして。
…すみれ色の理想郷としてその辺も匂わせているのだとしたら指田先生、攻めていらっしゃる。

礼真琴がフードかぶって戸惑いたくなる絢爛豪華な世界ってのもガッテンである。

ま、それはそれとして

で中身なんですけども。
最初はなかなか出さなかった舞空瞳の脚が、ここ最近毎回でますね。ショーで。なんでですかね。公式のトップページにも出てくる緑のミニスカ?みたいな衣装、何がどうなってんのかよくわかりませんでしたがコスチュームものは何でも着こなしますね~。

暁千星が、ちなつパイセンの遺伝子を引き継いでいるのか、イイ女役で登場。もっとやってくれてもいいのに、数年前とは別人の迫力がでてきてて、もっともっと、これからが楽しみ。

中詰めは曲も印象的でよかったな。おぼえられなかったけれどまた聴きたいなと思った。そして客席降りはついに必修科目に戻ってきたのね。なんだかんだ、客席通路をジェンヌが走り抜けるとドーランの香りやなんかいい匂いがして華やぐ。

退団者へのはなむけシーンはここかな?というところ…、茶系のジャケットのところ、の序盤。胸にお花つけている子、全員を銀橋にわたらせてあげてほしかった。

他、ショーの記憶がうすれているので、生観劇にておさらいしたい。

すみれ色のアルカディア

すみれが110年咲く場所が、ただの理想郷ではない『劇場の光と闇を描く』とはっきりと紹介文に描かれているとおりに、そして平沢進のパレードという名曲を持ってきた点を考えても、「グロテスクな美」なところを描きたかったのかなと思った。ただただ無邪気に美しいだけのショーでない点はある種の潔癖さなのかもしれない、とか妄想したり。少なくとも平和ボケした作品を出すまいという意思は感じた。

もしもショーのタイトルが「VIOLEDIA(ヴィオレディア)」であったなら。
アルカディア」という言葉もまた「理想郷」の意味を持つ。それは「ユートピア」よりもより牧歌的な、我々がすなおに思い描くもっとも夢見心地な平和な楽園のイメージを保有した言葉である。

すみれ咲く場所が真に理想的な平和な楽園だよ、なんて思いや願いが込められていたら、もしかしたら作品名は「VIOLEDIA(ヴィオレディア)」だったかもしれない。

タイミング的に皮肉が過ぎていないかと思わなくもない。ショーにおいてはひたすら夢夢しいのがある種正解ではないかと思わなくもない(タカラヅカは全年齢向け・家族向けであるという創設時のコンセプトに立ち返ると)。

指田先生の手による「片思い真っ盛り脳なテンションでハートがとびまくりよぉ」みたいなショーもひとつ作ってみてもらいたいなと思う。わざわざ味付けしなくてもたぶんそのままでちょっとしょっぱいと思うし~。





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