隣のヅカは青い

ヅカファン歴は30年ほど。しかし観劇デビゥは2019年から。それほど遠い宝塚についてのブログです。

配信でSPEROした話

東宝版、月組桜嵐記を観劇した感想のまえに、望海風斗コンサートの感想をさっくりまとめておく。

9月末に観劇予定でありながら配信があることも知らず、あんまり熱心に情報を追いかけていなかった。ヅカ生観劇にひっぱりこまれたのはだいもんの歌声がきっかけだったのに、やっぱりOGになってしまうとこうも温度が下がるのか。はて。
というか普通に日常が忙しいし…、ワクチン接種だ通院だで日常を生きていると、自分にとっての非日常=観劇の世界につかっているわけにもいかない。
ヅカとそれ以外と、やっぱりOGとはいえ趣がことなるので、2つの趣味を持つように、自分に対する受け入れ方が変わる。そしてそんなに引き出しは多くないわけで、SPERO配信の存在を知ったのは開幕30分を切ってからだったけれども、楽天と違って開幕後30分まで販売しているぴあでよかった(配信~購入~配信視聴システムは楽天のほうが好きだけれど…)。

エリザコンを思い出す

梅芸のあの舞台の感じ、導線が似ていたなー。
最も効率がいい配置っぽいよね。そしてダンサー多いのに驚く(…ナンデ?)。あ、いやいいんですけど…。

なんで歌メインのコンサートって、概念みたいなダンサー出てくるんでしょうね

歌唱力抜群の望海風斗さんですから何の心配もしていなかったんだけれども、wowowの副音声スペシャルの際のフリートークで、「毎日気が付くと歌っている」と、宝塚歌劇を卒業して多忙なる稽古と本番の日常から離れた真彩希帆ちゃんがまるでその忙しさを懐かしむように、毎日のんびり過ごしながらもひたすら歌っている様子を紹介すると、望海風斗は「自分は歌わないようにしている」といったんですよね。男役の発声がもどってきちゃいそうで、今その癖を取り払っているところだと。
そして、今までいかに無理して歌っていたか実感しているようなことを(ニュアンスです)語っていたのが印象に残っていたけれど…

コンサート冒頭の2曲でなるほど、と思った。

わかっていたはずなのにわかっていなかった美声に戸惑う

望海風斗は今までとうたい方を変え、本来の、本来のご自分の身体にしっくりくる声を披露していました。それのなんとぞわぞわすることか(※不快という意味ではない)。
彼女が(知ってはいたけれど)とっても女らしい歌声で歌うともう、くらくらする。ギャップに。私はいままで一度も、どんな男役のジェンヌでも男に見えたことはないし、疑似恋愛感情を持ったこともないのだけれど、いつみても脱皮にはくらくらする。
途中タカラヅカ時代の曲の際には、急に元気に歌い慣れたパフォーマンスを見せてくれたので、ああ、本当に同じ歌うといっても全然やっていることが違うんだなあと感じた。

ラミンさん

みんな大好き大人気ラミン・カミムルー。私は一切ですね、こう、知らないというか!興味の範囲外なのでね、へえ、この人が~と思った。
さすがにお声や歌っている姿は過去に映像で見たことがあるけれども思い入れはなく…上半身ムッキムキやないかーい、ていうのがファーストインプレッションでした。
そしてとてもプロ意識の高い人だなあと。とっても親切な方でしたね。
終始、ふわふわしているだいもんが言葉全然出てこなくなっているもんだから、少々ハラハラした笑。
あこがれの人と一緒に歌えるってすごい。相手は世界的な歌手。彼女のこの日までの努力が実った瞬間に立ち会えて、なんだか貴重な場面をありがとう、という気分。

ただ本当にスペシャルダンサーの雑な英会話と、受けを狙ったのか知らんけど少々失礼な、そしてデリケートな発音の指摘なんて余計なネタをぶちこんだダンサーさんには白けた。
英語ができるとか、そういうことではなく、海外ゲストには必ず本業の通訳を通すべきです。
あれは座長としての望海風斗の課題と思いました。こなれた外部のダンサーとかミュージシャンのノリに自分のステージを預けてはいけない。

情熱の行方

wowowの番組でも「ただ生きてます」と近況を話していた望海風斗。彼女の情熱や夢がすべて詰まっていた宝塚歌劇を卒業してから、その後の芸能活動は飯のタネにはなるだろうけれども(生活のためにも働かねばならないだろうけれども)、彼女は燃え尽き症候群になりはしないかしら、とちょっと思っていた。
実際、この歌声は「余生」みたいな歌かな、と序盤思った。彼女は残り一生こういう舞台を続けて生きるのかな?とか…。いつか芸能活動50周年とかでもこういう舞台をやるんかな、と…。
そしてそれを自分は細々とみていくのかなあ、と(芸能生活50周年目はみれんかもしれんが…)、なんか遠い未来に思いをはせちゃったりして。
モニタ越しに眺める遠くにいる一人のファンの自分には推し量れないけれども、つまり、こういうステージがだいもんの幸せだったりやりたいことであったらいいなあとは思う。
ただ、まだまだ、とにかくまっさらな印象を受けた。

美しい歌声

後半、愛らしいピンクの衣装の上着を脱いで、きれいな背中と華奢な二の腕を披露してましたが、いつみてもジェンヌ・元ジェンヌの二の腕は華奢なものよ。
だいもんの腕、先日のスペシャルで披露してた舞空瞳ちゃんより細かったよね(※筋肉の差)。
みんなあんな風に華奢な身体に燕尾服着て変身しているんだなあ、とちょっと、いますべきじゃない感動とかもしつつ、時間はあっという間に過ぎた。

この配信日のだいもんはラミンさんの存在でふわふわしっぱなしだったけれど、私は新しい望海風斗にふわふわしっぱなしだった。
生観劇できる日にはまたどんな風に見えるのかしっかり確認してくる。



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退団と卒業

星組集合日だったのか。
ファンにとってはまた、立ったり座ったりする日になったことだろう。
星組にとっては中堅が抜けることで若返るのか?そんな感じの発表と受け取った。

卒業生とその同期

紫月 音寧(92期)研16 → 千海華蘭、鳳月杏、真風涼帆
夢妃 杏瑠(93期)研15 → 彩風咲奈、芹香斗亜
愛月 ひかる(93期)研15 → 上に同じ
漣 レイラ(94期)研14 → 珠城りょう、久城あす
彩葉 玲央(97期)研11 → 永久輝せあ、海乃美月、留依蒔世
湊 璃飛(98期)研10 → 暁千星、綾凰華、瑠風輝
澄華 あまね(102期)研6 → 舞空瞳、潤花

信頼の中堅

ざっくりと、この期ならこの子という、自分にとって名前と顔と舞台姿が一致するジェンヌの名前をピックアップしてみた。

研14より上は、務める役の大小以上に舞台に安定感と質をもたらすベテラン層だとすると、
星組は、礼真琴(95期 研13)より上級生が

美稀千種(79期 研31)
白妙なつ(90機 研18)
天寿光希、音波みのり、大輝真琴(91期 研17)
輝咲玲央(92期 研16)

と、さっくり6人と心細くなる…

いや…

よく見てみると…
この卒業で、やっと他組と同じバランスになるのね。なんという。
他の組はトップの上級生が大体、4〜8人くらいか。
まあ宙組が、マカゼがもうだいぶ上級生で美風副組長が花組に異動するから3人になるのか。

花組星組はトップが若いから、と思いきや、花組は7人、美風副組長いれてやっと8人。
月組は、時期トップ月城かなとに交代してトップが若返っても上級生が5人。10人いた星組はやっぱり大所帯だったということになる。

これは基本的に低学年ほど在籍人数が多く、大体同じくらいの人数になるから、差が出るのは上級生の人数次第、というざっくりとした考え方によるもの。

卒業は個々の生徒次第とはいえ全体的に一定のバランスを保とうという力が働くのかなと思う(ここでいう力とは概念)。宝塚歌劇ホメオスタシスみたいな。

みんなに愛されたひとたち

で、愛ちゃん。愛月ひかる。
私は、彼女はなんかずっとマイペースに、在団し続けるのかなってちょっと思ってた。
宝塚愛が強くて、なんかそのときそのときの与えられる課題を、自己肯定して望んでいるような人ではないかと。

私の中で愛ちゃんに好感度が増したのはやっぱり、2016年のスカステ年末年始特番。92期と93期でわちゃわちゃすごろくゲームをやって、愛月ひかるはしっかり爪痕を残した。
マカゼとのコントのような寸劇は本当に面白かった。

芝居の方は、私はあの頃、1人くどいのがいるなぁと、そんな感想持っていた。アクが強いというか、濃ゆいというか。好悪に関係なく記憶に残るジェンヌだった。だから、その後異動したあとそのまま専科で卒業されるのかとちょっと思っていた。

愛月ひかるはやっぱり容姿が華やかなスターで、それはいま星組の2番手位置に立つようになってから益々、なんと得難いスターかと思った。

時と運と良し悪しと

愛月ひかるは、研3で新人公演初主演。そこから4度主演して、ルキーニもやって、バウ主演も東上もして、でもトップにはならなかった。
巡り合わせやタイミングもあったろう。
ただ、劇団が95期に早々に舵取りしたことも影響したと思う。

いつだって、特別な演目とか、特別に速やかに上にあげたいジェンヌが出てくるとか、そういうことがあると、順当にあがれなくなるジェンヌが大量発生するもの。まあ、順当てなんだよと興行主は思っているのかも。
ファンはつい、順番があるものと勝手に勘違いしてしまう。

彼女の魅力

愛月ひかるの魅力が客席の私にダイレクトに響いたのは、星組で礼真琴主演舞台に参加してからだった。
なぜか愛月ひかるが登場すると、とたんに舞台が面白くなったのだ。
ああ、パーフェクトな礼真琴にも持ってないものがある、それを愛月ひかるは持っている。そう感じて、なんと相性のよい組み合わせかと思った。

星組の愛ちゃんは誰の目にも益々よく見えたのは間違いなかったと思う。彼女の人気は確実に、星組に来てからあがったと思う…!

礼真琴は案外長期ではないのでは、と思うことがあったので、もしや愛月ひかるがトップになることもあるのか?と考えたこともあった。しかしこればかりはわからない。

華々しく扱いが良くなった「2番」

先日、瀬戸かずやが愛されて賑やかに卒業していったが、それは想像以上に厚い待遇で手厚く卒業させてもらってたな、と感じた。

なのでかえって「これは、各組の番手上位にいる路線上級生はみんなこんな感じで卒業するよーの、見本なのでは」と思わされた。
頭によぎった人、私だけじゃないと思う…。

その第二弾が愛月ひかるなのだなと…

トップという役割はその性質上どうしても限られる。でも人気を支え舞台を彩り仲間の精神的支柱にもなり、というトップ以外の上級生スターは、もっと大々的におめでたく卒業していい。

番手にこだわるひとも

でもどう言葉を尽くしたところで、番手切りという表現を自ら使用して怒り傷つくファンもいる。
しかし公式は一切そうは思わないものだと私は感じている。
宝塚歌劇団はなんといってもお金大好き関西企業。
そして退団公演で稼ぐタカラヅカである。その稼ぎチャンスを、トップの卒業に限ることはない、と考えたのでは…
そういうことではなかろうか。

今後も、同時期に期の近い3人くらいの人気スターが育ったら、あえていちばん期の若いのを上にあげて上級生2番手構造でファンをヤキモキさせながら引っ張る、というこの判官贔屓商法を使ってくるんじゃないかと、ちょっと思ったりした。

祝いたい

すべてのタカラジェンヌが、青春のすべてを賭けた日々に終わりを告げるその日を、私は心から拍手しておめでとうといいたい。タカラヅカほど恵まれたとんでもない劇団はない。
私は自分の青春の全てを何かに注ぎ込んでひたすら努力などしなかった。できなかった。
だからそれを成し遂げたすべてのジェンヌを尊敬している。



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wowowでタカラヅカ

雪組トップコンビの望海風斗スペシャルであった、特別版宝塚プルミエールと、だいもん&まあやコンビが副音声をつとめる「Music Revolution!」の初回放送日だった。
私はテニスのグランドスラム大会観戦視聴が趣味なので、WOWOWはテニス目的だけれども、そういやWOWOWではいつからか、トップスター退団→退団トップを迎えてスペシャル番組と、年間ナレーター交代 の流れをつくっていて、ヅカファンにとってもWOWOWはちょっと時々観たいでしょっていうチャンネルになっているのかな。

「宝塚プルミエール 望海風斗 退団スペシャル」

ゲストナレーションに彩凪翔を迎え、望海風斗・瀬戸かずや・冴月瑠那 という花組時代の戦友と「退団スペシャル」をやるって最初にニュースをみたときは、ああ、だいもんにとっての花組は格別なんだなあ、と思った。ちょうど退団ホヤホヤのあきら&るなくんという仲良しがいて、なんとちょうどいい企画か。
まだまだ現役と変わらぬビジュアル・衣装感の3人が唯一現役時代と違うのは、東京の街にいるところかな。スカステだと本拠地だものね。

瀬戸かずやが大事だった

・ちょっと東京墨田川のほとりを散策
江戸切子の工房で切子グラスの制作体験
・珍しい動物がいるふれあいカフェで動物とわちゃわちゃ
・ハウススタジオらしき広いお部屋に移動して、ゲーム(ストラックアウト)
テーブルゲーム(はぁっていうゲーム)
・ミニセグウェイ体験
・クレープ焼く
・乾杯して食べる
・さらに場所を移して乾杯

っていう番組内容だったかな?終始「女3人寄ればかしましい」のごとく、キャッキャ楽しげでリラックスしていて、みているこちらも楽しかったが、
なんていうかそこかしこで瀬戸かずやの優しさと細かいフォローと、物おじせずトライしてくれる男気のおかげで色々スムーズであったと思う。イッケメーンあきらさんあとすっごい美人よあきらさん。

意外とへたれ 望海風斗

だいもんの愛すべき魅力のひとつに、にこにこと親しみやすくて対人においてとてもやさしげなところがあるかなと思う。しかしフェレットを飼っていた経験があるのにコツメカワウソにはちょいビビり、ミーアキャットエリアには入らず、フェネックにおどおどしながらニボシあげ、爬虫類をなでるのにトライしたら鳥肌と、ちょっとヘタレキャラ。そんななところがスペシャル番組を盛り上げていた。
番組企画内容によってできないとか、無理とかいうと、キャラによっては番組の空気が盛り下がることがあるけれど、だいもんの場合庇護欲をそそるというのか…、明るい冴月瑠那と、スッと先にやってくれる瀬戸かずやがいい感じで、仲良しっていいなあと。

食事風景

タカラジェンヌはいつのころからか、食事を紹介はしても口に入れるところ、食べる様子は見せないことになっている。私は意外とそのことを知らなくて、ここ何年かで知ったときはちょっと驚いたことを覚えている。そういえば坂東玉三郎も、楽屋の食事を紹介した番組に出ても食事風景は見せない、というのをやっていたっけ…と。
起源はわからないが、古風な役者の慣習の名残りなのかしら。
この退団スペシャル番組は、みんなでミルクレープを作っていた。それをトッピングして、切り分けて、切子グラス制作体験で作ったグラスでみんなで白ワインで乾杯していた。
そして、退団の証のように3人は、カメラの前で美味しそうにグラスに口をつけ、お酒に美味しいと喜び、クレープを食べていた。
どってことないシーンだけれども、特別なシーンであった。

副音声にみるOGの関係性

連続して放送された「Music Revolution!」の副音声解説つき。ショー自体は何度も観たけれども、解説付きは楽しい。
ここで視聴者として聴きたいのは、いわゆる裏話。
だいもんと真彩ちゃんはポンポンとよく喋ってくれて、出演者のこともだけれども在団中の話とか途切れなく、振り付けの先生の話を出してこの場面はどういう感じで作られていたとか、そうそう、そういうのを聴きたかったんだよ!とこちらが思ってたことをいっぱい喋ってくれて。とにかく盛り沢山でとってもあっという間の時間だった。

このWOWOWの副音声シリーズは結構歴史があったはず。すべて観たはずだけれども、副音声解説担当するOGの個性が出る。過去最高にかしましかったのは元月組、みやるり・宇月・ゆりのさんの3人によるBADDYだった。あれは腹を抱えて笑うほど面白かった。
今回の二人も日ごろからコミュニケーションが密なのだろうなっていう関係性がとてもよく出ていて会話がとにかくはずんで、副音声を聴いているこちらとしてはとっても気持ちがよかった。
この副音声解説は、参加するメンバーひとりでも黙りがちだとせっかくの副音声解説企画がもったいない。たぶん過去に一番黙ってたのが明日海りお。全然喋らなかったな~。つい観てしまうタイプだったのか、仙名ちゃんがすっごい頑張ってたっけ、歌ったりして。
でも当事者の話が聴ける特別な機会なので、ぜひ今後ともこの副音声企画、続けてほしいな。







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天海祐希の『Kitsch』

いや、ないと思ってたんだけどあったんですねぇ…変則的に。

なにげなくみていたら

いつか録画していた、95年のマニフィークタカラヅカ(’95TCAスペシャル「マニフィーク・タカラヅカ」)。ここ最近で言うところ「タカスぺ」ってやつですね。
元々は「TMP音楽祭」。その後「TCAスペシャル」という冠に変わって2007年まで続いてたイベント。この時代までは主催が当時のTMP、その後のTCAが担っており、宝塚歌劇団の主催イベントではなかったのよね~。同じグループなれど別会社だものね。
昔のほうが無茶苦茶やってたのでファンには嬉しかったと思う。SNSのない時代ならではというか。現代では、多忙すぎるジェンヌの酷使が過ぎて寸劇もさら~っとしたものになっちゃってたものね。
それに学年が離れているトップ同士の会話も、なんかどこかおおらかな時代。上下関係の厳しさみたいなものは変わらないと思うのだけれどもね。

そんなタカスぺの前身、「TCAスペシャル」の第一回が1995年。
花組真矢みき
月組天海祐希
雪組一路真輝
星組麻路さき
という、当時子供だった私にタカラヅカはあまりにも遠かったけれども、ちょっと思い入れのある時代のメンバーだった。宙組ができるちょっと前のこと(もうお花さまはおられる)。

この年は阪神の震災があり、宝塚歌劇にも大きな影響があった。月組の大劇場公演が中止になり、その一部をこのTCAスペシャルで救済上演することとなった。
第一部が月組中心で、第二部がいわゆる音楽祭的な、いつもの各組がテーマにそって様々な歌やダンスを披露するスペシャル構成であった。らしい。

色々レアな

この公演では天海祐希の女装も観られ、見事な歌を披露している(衣装はイマイチ…なんでシースルーで水玉模様なんぞ…)。で、その前にさらっと披露されたのが「Kitsch」。
月組「EXOTICA!」の再演部分なので、しっかり見るにはその公演の「第13場エキゾティカ・ゴールデン・ファンタジー」を参照すべきか。
なーんか聴いたことあるな?という音楽に乗せて、銀橋をひょいひょい歩いてくる3人のキラキラした男役。

ダイヤの男 : 天海祐希
ブルーダイヤの男 : 久世星佳
黒ダイヤの男 : 真琴つばさ

という…その名の通り(通り?)、ターバン巻いてエキゾチックないでたちの3人。全然エリザベート感のない、歌詞も全く違うアラビアンキッチュ。なんでこれ出したのかな?

私にとって天海の前トップ涼風真世が最初に「ときめいた」スターであったし、その前の剣幸もテレビ観劇してたかなあ、だいぶ子供だったので細かい記憶ないけれど。この辺の記憶があって、なんとなくいまも月組びいき。このトップ3の銀橋なんちゃってキッチュは、今みてもやっぱりゴージャスで。天海祐希が超イレギュラだったからアレなんだが、三番手の真琴つばさが、轟悠と同期だからね。
天海祐希を支えた久世星佳もまたこれが何でもできる人で。

イケコがエリザベートに出会っているのは1992年。日本初演雪組一路真輝の退団公演)が1996年。この「EXOTICA!」は95年の年明け2月から大劇場で上演予定で、東宝宝塚劇場では6月から公演された。つまり94年には公演のお稽古がはじまっていたはずで、94年にはエリザベート自体の上演権がまとまっていたんだろうね。
もっともファンは一切そんなことは知らないわけで…、単なるエキゾチックな男役トップ3のキラキラしたワンシーンの曲にアレンジされ、オリジナル歌詞で「Kitsch」は使用された。よっぽどこの曲がお気に入りだったのかな?
どうせなら普通にルキーニっぽくやってほしかったかな~。みてみたかったなあ…このころの天海祐希でのルキーニ。

印象って大事(ほっとなふたり…)

観ました。

タカラヅカ・スカイ・ステージ 開局19周年夏のスペシャル「ほっとなふたり、とっておきのひととき。」

ま〜、ちょっと過半数の組で軽く事故ってたシーンがあったようななかったような。
アフタートークをやるならば、いっそ副組長たちの反省会がよかったよね!

待望のれいまど

動いて喋るツーショットとしてはこれが初の柚香光&星風まどか。なにげにいちばん注目してましたけれど、完璧なまどかに5組のなかで1番態度がイケメンだった柚香光…

え、この2人の愛憎劇とか激しいショーとか早く観たい…

星風まどかが何で完璧と感じたかというと、これから組む相手のことをリサーチしてきてるよな、というそつのなさと、カメラ目線というよりも横に座り正面にたたずむ柚香光からできるだけ視線をはずさず、しっかり見ていた点、そしてめちゃくちゃ気を遣いつつも相手の出方をとにかく注視していた様子。なんだかお見合いみてるかと思った。
それくらい初対面な感じが結構あったのが意外。すでにあれこれ動きがあってコミュニケーション取っているのかと思いきや、やっぱり稽古場に入るまで・入ってからでないとろくに顔を合わせる機会がないんだなあと。今ならオフタイムの交流禁止のようだし、なおさらだろうな。

すっかりリズムをつかんだ星組

ロミジュリ前のCD発売特番ではピリついていた様子もどこへやら、いちばん和やかで、肉体言語チームだった星組。なにげに副組長の白妙なつさんが、あんなにお姿が品位あふれるのに筋肉系の喋り(ナニソレ)で、面白かった。
コンビ仲よさげでいい感じ!ていうよりも、この星組そして礼真琴はお祭り系とか、こういう番組の回し・雰囲気を掴んで盛り上げたり楽しんで見せることがとにかく上手なんだなって。
番組として一番成立してたと思う星組。あとノースリーブの舞空瞳ちゃんに握力測定させた子だれ?めっちゃいいでしょ…。
あと、あ、この組これはいいな、と思ったのが「私たち女の子」な空気がとってもいいさじ加減で出てたこと。そこを肯定しないとね宝塚歌劇は。
男役上位主義だなんだいうても男女性の上下を作ったり女を否定してはいけない。あんなカッコよくやってるけど若い女よ~ってのを、こういうオフな雰囲気の番組で自然に表現することは、意外と重要なメッセージではないかと思う。

急募!ツッコミ役 な月組

いやね…
私ね……、いま一番好きな組はどこかときかれたらそれは月組なんだけれども。珠城りょうは「挨拶がとても上手に綺麗にできる人」であっても「喋れない」てのをね、ちょっと忘れていたのを、今回しっかり思い出させてくれた。
2人喋りの相手が樹里咲穂レベル(つまり最高クラス)にうまい相手で、ようやっと2人喋りができるのかな~?珠城りょうは。
相手の話をしっかり聴いているし観察しているのは間違いないけれど、「相手の好きな食べ物3ついえるか?」というのはよっぽど意外な質問だったのか、眉間にしわは…なんかでてるでてる!と思った。はじめてみたよあの表情。

かつて、美弥るりかちゃんが「りょうちゃんは話のオチがない」てのを笑いながら突っ込んでいて、さらに解説として「面白い話があるんですよー!」て話をしてくれるんだけれど最後にいつも「え、で?」てなると。これ、先に「面白い話があってー」とか「怖いことがあった」とか最初にいう話し方は、会話術でアウトなやつであり、お笑い芸人が笑いを取る(場を盛り上げる)ときに絶対やらない話し方として指導されるやーつ。

美園さくらはなんだかんだ、珠城りょうが各質問にどんな反応をするのか全部わかってる様子でしたね。おとなしすぎだよって思ったけれども性格か。
ゲームコーナーの折り紙は企画が失敗でしたね。画面に拡大比較させられないとは…。
理数系の美園・カンのいい珠城のコンビなので、WOWOW番組のようなパズル系の方が盛り上がったのでは?と思ってしまった。

(不思議ちゃん×天然ちゃん)×クソ真面目=月組トップコンビ で、いいんじゃなかろうか。
どっちも受け身な会話をする子なので、2人喋りには相性が悪いんだね、珠城りょうと美園さくらは。役回り上、しゃしゃり出ていくわけにはいかぬ副組長含めて、ツッコミ不在でした。

実は雪組もツッコミ急募

月組ィィィと全国の月担がアワワしていたと思われるYES・NOコーナーのあと雪組の番になって、まさか彩風咲奈ちゃんがほぼ珠城りょうくんとおんなじリアクション取るとは思わないじゃない?思わないじゃなーい。

YES・NOの回答はほぼ珠城りょうとおんなじ調子。もうちょい相手を意識するのかと思いきや、珠城りょう同様に忖度なし!
さかのぼればこの男役としてクールなノリは雪組らしいのかも。っていまイメージしてるのは杜けあき一路真輝とかあのくらいからなんだけれど。

決して守備範囲からはみでない、とってもきちんとした朝月希和に対して、なんていうか執事不在のくそ坊ちゃんみたいな、坊ちゃまー!とツッコミをしたくなる彩風咲奈も、回答の様子だけ見たら結構な塩っぷりで、珠城りょうと変わらないのになんでかだいぶ印象は違うよね、と思った。なんだあのおっとり。
まあ職場の同僚しかも後輩の好きな食べ物なんて知らないわね。私も知らない。

リアクション女王爆誕宙組

ここまでキャーと笑ってとりあえずなんか言ってくれると間が持つし、相手しやすいよね、潤花。
副組長の松風輝(まっぷーさん)がマカゼと同期なだけあってここの息がやたらあっており、「まっぷーさん+マカゼVS潤花」が実に面白い構図だった。
潤花って抜擢は受けてるけれども全然優等生キャラじゃないというか、バカキャラというとちょっと違うか…まあ毒のないこと。

10秒で相手の素敵なところ3つ言えるか?のお題ってそれほど難しくなる想定ではなかったと思うの。番組的には。でもこれをきれいに二人ともやりきった宙組
ここまではいいのだけれども、相手の好きなものとか全然把握してなくて、特に潤花、リサーチもしてなかったなていうのが無邪気にわかっちゃう。
最後の、コーヒー紅茶問題は、まっぷーさんとマカゼのきれいな「ぶっぶ~」がハイライトでした。そこで外すとは番組の盛り上がり的にはわかってる潤花。
でも新トップ娘役としてはどうかな!でもそこがいい。

5組横並びで、同じようなレクリエーションをやるならば

各組、やることが同じではなくそれぞれにカスタマイズされていたところには「変に比較して優劣を感じてほしくない」という意図があったかと思う。
にしてもYES・NOに、YESという答えを強要するかのような「○組は最高だ」とかあったのにはちょっと疑問。話膨らんでなかったよねぇこの質問から。もしかしたらカットされてただけかもしれないけれどもさ。
やたらノリのばらつきがあったのには、バラエティ番組のノリが必要だ、と感じて実践していたのが星組のみであったためと思う。たぶん、雪や月には「これはバラエティ番組としてキャッキャウフフでノリよくね」て指示があれば、その通りやったんだと思う。星も雪月も、方向が真反対にちがうけれど無邪気であった。

自分としては正直なところ、どの組もそれぞれその場の自然な感じが出てたとは思うけれど、もう少し番組としてきちんと振り切ってほしかったかなと思った。
番組Pにもっと締めてほしかったなあ。ぬるい番組であった。


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星風まどかと珠城りょう

体育会系で真面目な印象の2人…

そんな、なんかちょっと似てるところがあるような気がする、と思っていた2人。

1年でエースで4番だった2人

とにかく劇団からの推し(急速育成モード)が強かった珠城りょうと星風まどか。
星風まどかは音校時代から注目され、組まわり中に最初の抜擢を受ける。その後、組配属3ヶ月目のタイミングで初新公ヒロイン、そのまんまペースがおちることなくあっという間に宙組トップ娘役に。そしてこのたび、専科を経由して組み替えトップ娘役就任という、このうえなく責任の重い役割を背負っている。

一方珠城りょうの方も、イレギュラといっていい爆速トップ就任のため、人より険しいタカラジェンヌ人生を歩み、いまようやく誰よりも高いところへ到達し最高の作品で卒業という花道を歩んでいる。
先日スカステで再放送されていた、ラストプレイ新人公演のトークショーに、新公卒業という研7でダメ押し新公主演の明日海りおと出演していたけれども、あれ本来は新公ヒロインと出演するトークショーなのに、えらいきゅるんとした新人珠城りょうがお披露目されている番組になっていた。
当時の月組はトップ娘役不在。作品的にも娘1不在。男1と2の物語だったからそういう登板だったとはいえ、その男2を研2の彼女が勤めるというのは、男役が受ける抜擢としては超特大級。
そしてこの新公は評判良かったと記憶してる。

どちらの役割も誰もができることではない、特にまじめで責任感の強い子が、それぞれ重たい役回りに選ばれたのかなと思う。

宙組トップ娘役 潤花爆誕

現在好評の宙組公演。演目としては新しいトップ娘役を迎えてのコンビお披露目となっているが、リアルタイムにつぶやかれるSNS上では完全にまかキキコンビの評判>>>まかじゅんの評判。
トップ娘役のチェンジ公演であるから、潤花といきなりいちゃいちゃするような演目や演出は避けたいところだったと思うが、それは成功した模様。ただ…
ただ、「まかキキ」コンビ売りを今更強めてもどうすんのかしら、と思わなくもない。もう結構長くみてるんで……
にしても、作品の傾向と、前任とのキャラの大きな違いによって、潤花のデビューは成功した。よかったね!

これまで一切興味の持てない娘役で、好悪の感情もとくにない子だったんだけれども潤花。スカイレポートの舞台終演後のインタビュー映像で、けらけら笑いながらうまく喋る潤花はとっても良くて好感度爆上がり。あのー…、彼女の「カッコいい…♡」がめっちゃ軽くていいよね(笑)。世代なのか本人のキャラなのか、なんか軽いもんだからお慕いにも見えず、距離感が団扇降ってるファンに近くて、面白さの方が勝つ。
上級生でトップたる真風涼帆が、組替えしてきたぴよぴよ下級生の新しいコンビ相手を支えるのは当然の役割としても、潤花の怖いもの知らず感は組替えしてきたからこそかなと思うし、天真爛漫さを発揮できる性格は強み。
ちょっと厳しめの表現をすると、しょせんよその子だからこそ許してもらえるところ に、潤花は最大限のっかっている。
いまの空気感をつくることは生え抜きの星風まどかをはじめとする宙組の娘役にはできないことだったと思う。村じゅうの人が、よそからやってきたお嫁さんをうんと大事にする感じかなあ…そんな風に見える。
潤花はこれから満開になる娘役で、今後どんな役と出会っていくのか楽しみ。

対比しやすかったので気が付いた

同じマカゼの相手役を務めることになった星風まどかと潤花とが同じ時代にいたことで、あ、こんなにも違いってあるんだなあと、鈍い自分でもようやく気が付いた。
特に星風まどかが、とてもとても部活の後輩感が強い子だったことに、ほんっとに今更気が付いた。もともと優等生でしっかりした雰囲気だけれども、ナウオンなどで話を振られても決してネタを振り込むことはしない守りの堅い子、星風まどか。まあ、ナウオンていうあの場は本当に…アカギでもみている気分になる私。誰が何を振り込むのか、誰が鳴いて誰がテンパるか、ざわざわしちゃう。雀卓よあそこ。
マカゼに対してえへえへうふうふと笑う潤花を見たからこそ、あー星風まどかってめっちゃくちゃマカゼとは先輩後輩で、押忍!てノリが根底にあってこその立ち居振る舞いだったなと。
1年エースに選ばれ甲子園レギュラーにも選出されたけど一所懸命球拾いしますなノリの星風まどかだったのだな。※個人が抱いた勝手な印象です。

後輩が抜擢されること

なんだかんだ宝塚歌劇では日常茶飯事というか、新人・若手の抜擢って普通のことに思う。ファンは大騒ぎするけれども、内部では常に試験やオーディションがあるわけで、外からは早い抜擢にみえることも、内部からは妥当なことなのかもしれない。そんな中でもいまの星風まどかやここまで珠城りょうが担ってきた役割が「1年が甲子園でエースで4番」っていうとんでもなく大きなものであったよね、て感じるのは、現実にそんな野球選手は、マンガにしか出てこないレベルなわけで。珠城りょうも星風まどかも、本当にど根性である。尊敬する。
そして一人は卒業、もう一人は第二シーズンにはいる。
どちらもこの先の道が桜咲く花道であってほしい。



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桜嵐記 夢想ばなし

実は芝居のあらすじと配役が発表されてから、ずっと地味に引っかかっていたことがある。
「ハテ、高師直というのはあの忠臣蔵高師直のことだろうか」
と。
いろいろと記憶が混同していたので、今後また混同しがちなの自分のためにもきちんと整理しておかねばならない。

私にとっての高師直

結論から言うと、私が思っていた高師直と、桜嵐記の高師直は同一人物であった。私の記憶は(ざっくりと)間違ってはいなかったけれども、忠臣蔵は史実のほうではない。人形浄瑠璃・歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵(かなてほんちゅうしんぐら)」のこと。
忠臣蔵」という名前で広く知れ渡っている「赤穂事件」は江戸時代の初期に実際におこった有名な事件で、これを題材にしたフィクションが「仮名手本忠臣蔵」。

当時の事件をそのまんま芝居にして上演すると幕府にめちゃくちゃ怒られるから、太平記南北朝時代を舞台した戦争物語)に時代を移し、主君の敵討ちをした(一応そういうことになっている)47浪人をヒーローにして、登場人物の名前も全部書き換えてフィクションにした仮名手本忠臣蔵は、足利尊氏とか高師直など太平記に登場する実在の人物も名前をかりて太平記のエピソードも借りて、独自にアレンジされたキャラとして登場している。太平記忠臣蔵も、何百年も人気が続いている物語。特に歌舞伎版の仮名手本忠臣蔵になじんだ自分にとっては、高師直といわれると「ああ、あの冒頭の黒い着物のエロおやじ(※エロおやじだけど品位もバリバリで、でも色欲むんむん)…」とまあ、そのイメージがよぎる。

紛らわしくも共通するキャラクター性

史実の方の主人公はご存知「大石内蔵助(おおいしくらのすけ)」。
これが仮名手本忠臣蔵では「大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)」となる。フィクションの命名センスが良すぎるといつも思う。
桜嵐記の高師直を知ってから、あらためて思い返す仮名手本忠臣蔵のはじまりは面白い。

色めく高師直

仮名手本忠臣蔵に、悪役で敵役として登場する高師直は、もちろん女好き。
仮名手本忠臣蔵の物語は、「大序(だいじょ)」という、とっても儀式めいた特別なプロローグからはじまる。

舞台は鶴岡八幡宮(鎌倉)。尊氏が討ち取った新田義貞の兜がぶっちゃけ本人のものか分からなくて、現物をみたことのある、元宮廷の内侍を務めていた美しき人妻、その名も「かおよ御前」が呼ばれる。彼女はその名の通り顔が良い。そして兜あらため(持って帰ってきたものが本当に新田義貞のものか鑑定する)のために登場した彼女のことを、以前から目をつけていて鼻息荒く狙っているのが高師直。この冒頭シーンでは桜嵐記の後村上天皇登場シーンのように、鶴岡八幡宮の境内という神聖な場所にずらりと武士大名が並んでいるが、顔をあげてかおよ御前のほうを見ていいのは高師直の役だけ、と決まっている。
高師直は、この厳かで重要なイベントのさなか、人目を避けてそっとかおよに手紙(ラブレター)を渡す。

この高師直の、かおよ御前に対する一方的なアプローチがその後の刃傷沙汰につながる事件の芽となる。

……若干うろ覚えの仮名手本忠臣蔵のプロローグを思い出しながら書いていて、アレ?
なんとなく桜嵐記に通ずるものがある。

物語の種

桜嵐記では、弁内侍に目をつけた高師直の心を汲んで、仲子(白雪さち花)が弁内侍を罠にはめるべく偽の手紙を使う。この誘いを罠と知りながらも親の仇討ちのためにのこのこやってきた弁内侍は道中、楠木正行と運命の出会いを果たす。
一方の仮名手本忠臣蔵高師直はその後、かおよ御前から手紙の返事で振られ、その腹いせに塩谷判官(えんやはんがん。史実では浅野内匠頭)に思い切り八つ当たりをしたのでブチ切れられて額を斬られ、これが例の殿中でござる!でここから、武士一門の滅びの物語がはじまる。

それぞれ全然違う話なのだけれど、どちらの武士の物語でも高師直がキャラクタとしてとても強いからこそ話がごとりと動いたと、そんな説得力の増す存在。
高師直太平記仮名手本忠臣蔵とそして桜嵐記でも、登場人物としてとても作者に好まれているキャラだと感じる。人気武将ね。

かおよ御前と弁内侍と高師直

歌舞伎では顔世御前と書く。
顔世御前が良くなければ、高師直が是が非でも欲しいと思わない、それが無いと物語のはじまりに説得力を欠いてしまう。そして高師直という人物は、人妻の顔世御前がわざわざお手紙の返事を書いちゃうような、ちょっと困ってしまうような色気の無視できない男でなければならない。

弁内侍は美園さくらへの当てがきだという。
桜嵐記の高師直にとって、単に若く美しい娘なら湯殿チームで間に合っている。「公家の、できるだけ身分の高いお姫様が欲しい」という欲望も祝子が自ら落ちてくる状態で、こちらも間に合っている。はたして弁内侍をなぜ高師直が欲しがるのか。紫門ゆりやの「わしはあれがほしい」という台詞が説得力を持たねばならない。
高師直には弁内侍がどう映ったのか、詳しくは描かれていないけれども、ただ桜嵐記を観る自分には、たしかに弁内侍がほかの公家の姫様の中でちょっと変わった子に見えた。

「仇討のために罠に飛び込もうとする」「武士の行軍にもついてゆく」「料理がんばる」「血をみても耐えられる」などの、ただのお姫様たちとはちょっと違う子として実際にお芝居で描かれていく弁内侍だが、その姿を実際にみて惹かれていった楠木正行と違って、弁内侍として行宮で勤めているうちに目をつけていたとみえる高師直は、やっぱり普通ではない。




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